俺様幼馴染の溺愛包囲網

吉岡ミホ

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三隅先生と乾先生

三隅先生と乾先生②

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「おはようございます、結衣子先生!」
「あ、乾先生おはようございます」

 中学部の乾先生、聖くんの同級生だ。

「今、あくびしてましたね。寝不足ですか?」
「やだ! 見てたんですか!
 ちょっと……昨日女子会でオールだったものですから。お恥ずかしい……」
「オールですか。学生の時以来ないですねー。この仕事してると朝が早いから、どうしても規則正しい朝型生活になりますよね」
「いや、反省してますよ。でもね、今回ばかりは……」

 あれ、先に言っちゃっていいのかな?
 乾先生、同級生でどっちも知ってるしな。ま、来週には籍入れるみたいだし、そんなに問題無さそうだけど。

「実は友達が婚約して、そのお祝い会だったんです。ちょっと盛り上がり過ぎて。……で、オールなんです」
「ひょっとして、聖と長谷川?」
「あ、バレちゃいました? そうなんですよ~」
「あいつら、やっとか。長過ぎだろう。
 聖はグズグズだからなぁ。長谷川、よく我慢したよな。……あ、ごめん。言葉が昔に戻ってた」
「フフフ……お気になさらず。私、後輩なんですから。それにそのグズグズ、皆んな口を揃えて同じこと言ってます。雅ちゃんもね、散々言ってたんですけど、聖くん婚約指輪かなり奮発したんで、全部水に流したみたいですよ」
「へぇ~、聖やるなぁ!」
「幸せいっぱいですよ~」

 自分のことでもないのに、思わずにっこりしてしまう。

「羨ましいです。乾先生は? そういうご予定はないんですか?」
「いや、俺は今彼女もいないし……。
 あ、そうだ。結衣子先生、ウフィツィ美術館興味ない?」
「ウフィツィ美術館? フィレンツェの? ボッティチェリのヴィーナス誕生とか置いてるところですよね? ひょっとしてもうすぐ始まる国際美術館のですか?」
「さすがだね! やっぱり知ってたんだ。
 実は、招待券をもらったんだ。でも残念なことに一緒に行ってくれるような人がいなくて。よかったら、観――」

「おはようございます! 結衣子先生。あ、乾先生も、おはようございます」

 いつも元気な三隅先生が後ろから挨拶をしてきた。

「おはようございます! 三隅先生」
「チッ……おはようございます」

 ん? 今、舌打ちが聞こえたような……気のせいよね?


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