俺様幼馴染の溺愛包囲網

吉岡ミホ

文字の大きさ
上 下
8 / 82
初彼女事件(高校時代)

初彼女事件③

しおりを挟む
 ムカついていたのは私の方だ。

 なんで? ちょっと俺様だし、わがままだし、潔癖症だけど、誰からも好かれるいい子なのよ? 佐伯さんに文句言ってやりたいっ!
 
「亮平! なんで振られたの? 納得いかない!」
「……なぜお前がキレる⁇」

 亮平の部屋に乗り込んで、目をキョトンとさせている亮平に食ってかかった。

「だって、自分からあんな公開告白しておいて、次の日に振るなんて酷いじゃない! 悔しくないの?」
「いや。全く……」

 と、何故か口をモゴモゴさせて、言いにくそうにしている。

「亮平? 何? んも~っ! 説明して!」

 ため息をつき、頭をかきむしる亮平。 
 話す気になるまで待つよ! それくらいの忍耐力はあるからね。
 睨み続けると、観念したのか話しだした。

「お前、あれ、俺が付き合いたくてOKしたと思うか?」
「え……そりゃ、あの状況でお断りしたら鬼だよね。渋々なのはわかってたよ」
「そう。さすがにあの場でお断りは俺もマズいと思った。だから後でもう一度話そうとしたんだ」
「うん。賢明だね」
「それで、昨日は予備校の日だったから帰りに話そうと思って、あっちの教室に行ったんだ」

 話は早い方がいいと思ってな、と。
 
 佐伯さんの教室へ行くと、早速、彼氏として彼女を誘いにきたのかと冷やかされた。
 佐伯さんも当然のことの様に「あら、迎えにきてくれたのね」という感じで迎え入れたと。
 
 いや、何様だ? と思ったけど、その場ではなにも言わなかった。
 
 うんうん。賢明だ。
 
 だから学校を出てすぐに切り出したと。

「俺はバスケ部と予備校でほぼ1週間のスケジュールに空きがない。会えるのは予備校へ行くまでの時間だけだ。それでは付き合うのは無理だろう? って」

 うんうん。事実だし、それなら傷つけない。
 しかし佐伯さんの返しは想定外だった。

「『あら、もちろんわかってるわよ。亮平くん、中学からずっと学年トップなんでしょう? 予備校に行くことは大事だわ。将来のためにもね。それにバスケ部でも1年なのにレギュラー候補なんでしょう? それでこそ私の彼氏にふさわしいわ。だから大丈夫よ』……だと」

 ……なんだそれ?
しおりを挟む
1 / 2

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

君と生きていたいと思うのは罪だろうか。

恋愛 / 完結 24h.ポイント:127pt お気に入り:61

私が消えた後のこと

恋愛 / 完結 24h.ポイント:54,194pt お気に入り:646

ノーヴォイス・ライフ

恋愛 / 完結 24h.ポイント:0pt お気に入り:2

処理中です...