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しおりを挟む酒を飲んだことで眠ってしまった桔梗と青藍。そんな二人を見て首を傾げながらピザを静人に差し出す。
「ありがとう。もみじちゃんも一緒に食べるかい?」
「うん。食べる……けど、青藍ちゃん達はどうしたの?」
「あー、お酒を飲んでみて酔っちゃったみたいでね。僕もそうだけどお酒に弱い人って眠たくなっちゃうんだよね」
静人もお酒に強くないから分かるのか、青藍たちの現状について簡単に説明する。そのことを聞いて自分だけ仲間外れにされたと感じたもみじは納得した後に挙手する。
「そうなんだ! 私も飲んでみたい!」
「美味しいとは思えないと思うけどね、かなでの所に行けばもらえると思うよ」
「分かった! 行ってくる!」
お酒をもらえる場所を聞いてすぐにもみじは走り出す。もみじがかなでの元へ向かったのと同じくらいに青藍が目を覚ます。
「おはよう。おにいさん」
「おや、青藍ちゃん起きたのかい?」
「うん。とりあえずお酒はもう飲まない。でも、この体だと多分すぐに酔いが覚めるみたい」
挨拶をした後に先ほど飲んだお酒のことを思い出したのか、確固たる決意を持ってお酒を飲まないことに決めた青藍。そのあとに自分がそこまで寝ていないことに気が付き、自分の体の特性に気が付く。
「あはは、まぁ、無理して飲むものじゃないしそれでいいと思うよ。酔いが覚めるのが早まるのか、便利なようなそうじゃないような」
静人も青藍の言葉に賛成なのか笑って頷く。青藍の話の続きについては少しだけ苦笑気味だ。そんな静人を見て青藍は首を傾げる。
「? 便利なんじゃないの?」
「便利と言えば便利だけど、まぁ、それが嫌な人もいるってこと」
「そうなんだ」
青藍は理解はしてなさそうな声で頷く。そんな青藍たちの会話にいつの間にか起きていた桔梗が加わる。
「うむ、わしもお酒はもうよいのだ。そこまで美味しく感じなかったのだ」
「あ、桔梗ちゃんもおはよう。気分はどうだい?」
「おはようなのだ。気分は特にいつもと変わらんのだ。さっき青藍が言っておったのだ。多分お酒で酔うのはそこまで長くは持たんのだ」
桔梗も青藍と同じでお酒が体に残らないみたいで普段と変わらない様子だ。
「時間をかければもしかしたら飲めるようになるかもね。まぁ、好んで飲むようになるかは別だけどね」
静人は長い間飲み続けることが出来るのならば多少は慣れるかもしれないと思いつつも、味の問題で飲まないだろうなとも思った。その考えは正しかったみたいで青藍も桔梗も首を横に振る。
「わしは良いのだ。お酒飲むならお菓子のほうが良いのだ」
「私もお酒よりかはお菓子のほうがいい。ところでおにいさん、そのピザは食べないの?」
「え、あ、食べるよ。もみじちゃんが作ったものだろうからね。青藍ちゃん達もお腹に余裕があるなら一緒に食べるかい?」
もみじが作ったと聞いて青藍と桔梗は驚いた顔になる。
「もみじはとうとうピザも作れるようになったのだ? わしも食べたいのだ」
「もみじちゃん、どんどん料理作れるようになる。あ、私もほしい」
「ふふ、いいよ。みんなで食べようか。もみじちゃんも食べたそうだったし一つは残そうね」
「分かった。……ところでそのもみじちゃんは?」
静人の言葉に頷く青藍だったが、周りにもみじの様子が見当たらないことに気が付いたのかきょろきょろと辺りを見渡すそぶりを見せる。
「青藍ちゃんと同じようにお酒に興味があったみたいで、さっきかなでにお酒貰いに行ったよ」
「もみじちゃんが? それならもうすぐ帰ってくる?」
「どうだろう。あ、噂をすればだね。もみじちゃん大丈夫かい?」
帰ってきたもみじは、青藍と桔梗とは違いしっかりとした足取りで静人達の所に戻ってくる。静人の言葉に対する返答もしっかりと答える。
「うん! なんかさっきまでほわほわしてたけど、今は大丈夫!」
「やっぱり体質的に早く酔いが覚めるのかな? ま、そのことは考えなくていいか。それじゃあもみじちゃんも来たことだし、みんなでピザ食べようか」
静人は少しだけもみじ達の体について考えたが、すぐに気にする必要もないと考えるのをやめた。そのあとピザを食べようと促すともみじが照れくさそうに頬をかきながら笑う。
「えへへー、初めて作ったから茜お姉ちゃんのよりかは美味しくないかもだけど」
「普通においしそうなのだ」
「うん、おいしそう。早く食べる」
「そうだね。それじゃあいただきます」
「召し上がれ!」
青藍たちの言葉に嬉しそうに笑うもみじの召し上がれという言葉を聞いた青藍たちがピザを食べ始める。出来立てだからかチーズも熱々で、噛んでいた口を離すとチーズが伸びてついてくる。青藍はそれを慌ててすくって口に運ぶ。それを見たもみじはクスクスと笑う。
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