山に登ったら巫女少女と出会ったので遊ぶことにしました

榊空

文字の大きさ
53 / 92

53

しおりを挟む

「ごちそうさまでした」

「さてと、今日はケーキを持ってきたからね。みんなで一緒に食べようか」

「ケーキ!? わーい!」

「今日って何かあった?」

「特に何かあったわけじゃないんだけどね? たまにならいいかと思って」



 ケーキと聞いて喜ぶもみじとは裏腹に何かお祝い事があったかと首を傾げる青藍。静人もそこまで考えてケーキを出したわけではないので困ったように笑っていた。



「あ、そういえば明日からはお兄さんたちの家に泊まれるんだよね?」

「そうやで、うちも遊びに行くさかい、よろしゅうな?」

「うん! 楽しみ!」

「さてと、明日の夕方にうちが迎えに来るさかいそれまではおとなしくしとき」

「はーい!」

「明日はわしらのほかに誰かおるのだ?」

「えっとね、明日は私としず君とここにいるみどりちゃんを除いた四人の合計六人だけかな。みどりちゃんも迎えには来るけどそのあとはすぐにどっか行くんだよね?」

「おん、出来れば一緒にいたいんやけどな? こっちにもいろいろ予定があるんよ。だから迎えだけやな」

「大丈夫なのだ。みどりがいなくてもわしらだけでなんとかするのだ」

「まぁ、静人さんとこの家の敷地内から離れることがないなら大丈夫やよ。あ、それと敷地内で人から獣になるんはあかんで?」



 みどりの言葉に異論はないのか青藍たちが頷く。



「大丈夫。正直わざわざ獣になる理由もない。こっちにいる時もお風呂入る時ぐらい」

「正直獣になるんも需要ないしなぁ。青藍やったらなんやお昼寝の時とかやろか」

「お昼寝の時は確かに獣のほうが気持ちよく眠れる、……ような気がする。実際はそんなに変わらないけど」

「私も狐になることは無いかな? いっぱい動くのも人型のほうが楽しいもん」

「あたしも別にイノシシになる理由ないもんなー。あ、でも、人型よりも獣の姿の方が力が出やすい気がするからものを運搬するならあっちかな?」

「いのししってまっすぐしか走れないイメージがあるんだけどそこのところは?」

「別に脳までイノシシになるわけじゃない……と言いたいけど、若干中身も獣に寄るから否定はできないかなー? まぁ、まっすぐ進むときだけならあっちの方が楽だったりする。道具が必要になるけどね?」

「安心しいや。ちゃんとそれ用のは作るさかい。……青藍が」

「あれ、私が作るの? 別にいいけど」

「おん? ホンマに? 冗談のつもりやったんやけどやってもらえるならやってもらってええ? 素材は用意するさかい」

「資材を用意してくれるなら別にいいよ。あ、茜さんはそれでいい?」

「もっちろん! 青藍ちゃんなら大丈夫だろうし。任せるよ!」

「わかった。でも、どういうのを作るのかは分かってないからそういう図案はみどり姉に任せる」

「おんおん。そういうのはうちやなくて静人さんに頼んだ方がええで?」

「おにいさんに? うん、分かった」



 静人に頼むことが意外に感じた青藍は不思議そうにみどりの顔を見上げたが、特に否定する必要を感じなかったからかすぐに頷き静火tのもとに走っていく。



「おにいさん、茜さんが使う運搬具を作るから図案書いて?」

「僕がかい? 一応書けるけど素人だし、みどりさんにお願いしてプロに書いてもらったほうがいいと思うけど」

「そのみどり姉におにいさんに頼んだ方がいいって言われたの」

「そうなのかい? うーん、分かった。何か理由があるのかもしれないね。とりあえず荷物運びに使う道具の図案は作るけどそれを運ぶ時って体に固定具をつけるのかい? 口で引っ張ることもできるけど」



 理解できないが何か理由があるのだろうと納得した静人が茜に向かって質問を投げかける。



「口よりかは体のほうがいいかな? 口でくわえるのはなんかやだし」

「それもそっか。体の大きさを知らないからあれだけど形を図案にするだけだからそこは青藍ちゃんにお任せかな?」

「どういう形にすればいいのかが知りたいだけだしサイズの補正はこっちでするから大丈夫」

「うん、任せたよ。あとは運搬用具かな。そこはちょっと調べながら書いてみるから少し時間をちょうだい」

「分かった。そんなにすぐには運ぶものが必要になるとは思わないし大丈夫」

「それならよかった。明日からは家にいるし一緒に調べてみるかい?」

「いいの?」

「せっかく来るんだしね。もみじちゃんには料理をしてもらうつもりだし、それなら青藍ちゃんにも楽しみがあったほうがいいかなって」

「お兄さんたちと遊べるだけでも楽しいよ? でも、うん。一緒に調べるのも楽しみ」

「それじゃあその時は一緒に調べようか」

「そのときはあたしも一緒していい? あたしが使うものだから調べたいし」

「もちろんいいよ」

「明日楽しみにしてる」



 青藍も静人と一緒に調べるのが楽しみなのか体をそわそわさせて落着きがない。そんな青藍を見て桔梗が話しかけてくる。



「うむ、静人。わしには何かないのだ?」

「桔梗ちゃんはかなでが呼んでたからかなでの相手をよろしく」

「分かったのだ! でも、かなではわしに何をさせるつもりなのだ?」

「多分だけど服とか小物とかの着せ替え……。まぁ、かなでに聞けば分かるよ」

「う、うむ。嫌な予感がするが分かったのだ」



 静人が言いよどんだ言葉に顔をひきつらせた桔梗だったが、元気よく了承したからか否定せずに頷く。そのあとはいつものように少しだけゆったりと過ごしてから帰った。

しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

異世界に転移したら、孤児院でごはん係になりました

雪月夜狐
ファンタジー
ある日突然、異世界に転移してしまったユウ。 気がつけば、そこは辺境にある小さな孤児院だった。 剣も魔法も使えないユウにできるのは、 子供たちのごはんを作り、洗濯をして、寝かしつけをすることだけ。 ……のはずが、なぜか料理や家事といった 日常のことだけが、やたらとうまくいく。 無口な男の子、甘えん坊の女の子、元気いっぱいな年長組。 個性豊かな子供たちに囲まれて、 ユウは孤児院の「ごはん係」として、毎日を過ごしていく。 やがて、かつてこの孤児院で育った冒険者や商人たちも顔を出し、 孤児院は少しずつ、人が集まる場所になっていく。 戦わない、争わない。 ただ、ごはんを作って、今日をちゃんと暮らすだけ。 ほんわか天然な世話係と子供たちの日常を描く、 やさしい異世界孤児院ファンタジー。

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

ご飯を食べて異世界に行こう

compo
ライト文芸
会社が潰れた… 僅かばかりの退職金を貰ったけど、独身寮を追い出される事になった僕は、貯金と失業手当を片手に新たな旅に出る事にしよう。 僕には生まれつき、物理的にあり得ない異能を身につけている。 異能を持って、旅する先は…。 「異世界」じゃないよ。 日本だよ。日本には変わりないよ。

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

『処刑されるたびに12歳に戻る悪役令嬢、7回目の人生は「何もせず寝て過ごす」ことに決めたら、なぜか周囲が勝手に勘違いして聖女扱いされています

六角
恋愛
公爵令嬢リリアーナは、18歳の誕生日に必ず断罪・処刑されては12歳に戻るという地獄のループを6回も繰り返していた。 真面目に努力しても、剣を極めても、裏社会を支配しても、結局は殺される運命。 心折れた彼女は、7回目の人生でついに決意する。 「もう頑張らない。どうせ死ぬなら、今回はひたすら寝て過ごそう」と。 しかし、安眠を求めて「うるさい」と敵を黙らせれば『王者の覇気』と恐れられ、寝ぼけて放った魔法は『神の奇跡』と崇められ、枕への異常なこだわりは『深遠なる儀式』と誤解されてしまう。 気がつけば、ストーカー気味のヤンデレ王子、パン屋の元ヒロイン、狂犬の如きライバル令嬢、元部下の暗殺者、そして不眠症の魔王までもが彼女の信者となり、リリアーナは意図せずして国を、そして世界を救う「最強の聖女」へと祭り上げられていく。 「お願いだから、私を寝かせて!」 睡眠欲だけで運命(システム)さえもねじ伏せる、無気力悪役令嬢の痛快勘違いサクセス(?)ストーリー!

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

家族転生 ~父、勇者 母、大魔導師 兄、宰相 姉、公爵夫人 弟、S級暗殺者 妹、宮廷薬師 ……俺、門番~

北条新九郎
ファンタジー
 三好家は一家揃って全滅し、そして一家揃って異世界転生を果たしていた。  父は勇者として、母は大魔導師として異世界で名声を博し、現地人の期待に応えて魔王討伐に旅立つ。またその子供たちも兄は宰相、姉は公爵夫人、弟はS級暗殺者、妹は宮廷薬師として異世界を謳歌していた。  ただ、三好家第三子の神太郎だけは異世界において冴えない立場だった。  彼の職業は………………ただの門番である。  そして、そんな彼の目的はスローライフを送りつつ、異世界ハーレムを作ることだった。  お気に入り・感想、宜しくお願いします。

処理中です...