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12.惨状
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意識が戻った後は最悪だった。
朔が意識を戻してまず一番初めに感じたのは全身の痛みだった。
起きかけの頭でぼんやりしていたが、その痛みを感じ警戒と恐怖で慌てて身体を起こす。勢い良く起き上がった身体はより強い痛みをあちらこちらに感じ朔は悲鳴を上げそうになる。
でもそんな事よりまずやらなければいけないこと─
朔は起き上がりすぐ、部屋の中を見渡す。
そこはいつも通りの自分の部屋で、柏木の姿は無かった。そして、身体も自由に動く事を同時に確認する。その事実を把握しただけで安堵で涙が出そうになった。
そこから状況を整理していく。
縛られていた両手首には紫色にしっかりと痣が残っていた。乳首は真っ赤に腫れていて、視界に入る身体には赤い蚯蚓脹れが何重にも刻まれている。
そこから視線をさらに下に移すと、より見たくない現実がそこにはあった。
自分が寝かされていたベッドシーツは未だに湿っており臭気を放っている。それ以外にもシーツの上に飛び散る血の跡、色々な液体がシミを作り朔の抜け落ちた髪の毛も散らばっていた。周りには切り刻まれた朔の服の残骸。切り裂かれた枕から飛び出す綿や、使用済みのティッシュもゴミ箱に捨てられず身体やベッド周りに散乱していた。
一見しただけでもここで何があったか嫌でもわかってしまう状態だった。
さらに股の間からは後処理されずに固まったままの白い液体や血がこびり付いたまま残っていた。
あまりにも酷い有様を目の当たりにして、フラッシュバックのように柏木にされたことが思い出され、朔の身体は恐怖で震えた。
朔は足腰の立たない状況の中で親が帰ってきてバレないように、慌ててベッドから這うように降りて床に落ちていた毛布をシーツが隠れるように被せた。それが精一杯だった。
「…ッ…ぅっ……っ…」
そして朔はベッドの下で自然と溢れ出す感情と涙を一緒に、声を押し殺しながら吐き出した。
もう学校には行きたくなかった。学校に行けば、同じクラスにいる柏木に嫌でも会ってしまう。怖い。会いたくない。
でも、高校は辞めたくなかった。高校をちゃんと卒業することは自分へのケジメでもあった。
朔は家庭教師との一件があってから酷く荒れて母親にも散々当たってきた。そしてそれが原因の全てでは無いにしろ、朔の母親と父親は離婚した。そこからは荒れる朔を精一杯1人で支えてくれたのが母親だった。
事件後すぐは、そんなことに気を回すことが出来ないくらい朔自身も混乱と嫌悪に苛まれていて自分のことで精一杯だった。だから母親に対して酷いことも言ったし何度も学校から呼び出しを食らわせてしまった。
ある程度時間がたった時に、朔は過去のことを清算して過去を引きずりたくないと思った。そして母に少しは恩を返したいと思えるようになり、高校進学を決めた。
始めは高校に行く気が無かった朔だが、進学を決めたことを母に伝えたらすごく喜んでくれた。
その喜ぶ様子を見れば少しずつでいいから今まで迷惑かけたことを返していきたいと思い、勉強へのやる気は相変わらず無かったが高校は辞めずに卒業することを決意して入学した。
だから、せめて卒業はしたかった。
…でも、朔の中で今は柏木から逃げたい、という思いの方が上回っていた。
朔はベッドの下にへたり込んだまま呆然としていたが、ハッとしてスエットのポケットに入れたままだったスマホを引っ張り出して慌てて柏木の番号を着信拒否設定にした。
(明日も学校休もう…)
その間に柏木に会わずに済む方法を考えなければ…。
朔は再びベッドに頭を預け重い身体と意識で自然と瞼が落ちてきて眠りにつこうとしたとき、スマホが光った。液晶を覗き込むと見慣れない名前の人物からメッセージが来ていた。
(はやき…?誰だ…)
─颯希
朔の背中に一気に冷や汗が流れた。
柏木だ。
メッセージのID交換をした記憶はない。
朔は震える指で液晶に出ているメッセージのポップアップをスライドする。
メッセージには動画が添付してあった。見たくない。知りたくない。指が震えて上手く操作できない。メッセージを消そうとした時に添付されていた動画に指が触れてしまった。
『嫌ッ、アッ…ぁあァアッ──ッんんっっヒッ─!』
再生された動画から響き渡る声、そして巨大な男根を後ろに咥え込み泣きながら乱れているのも紛れもなく朔だった。
その動画は先ほどまでこの部屋で行われていた行為の内容そのものだった。朔は慌てて動画を止める。動画添付と共にメッセージが添えられていた。
『よく撮れてるでしょ?明日学校おいで。来れないならお見舞い行くね。』
朔は察した。
──逃げられない
朔が意識を戻してまず一番初めに感じたのは全身の痛みだった。
起きかけの頭でぼんやりしていたが、その痛みを感じ警戒と恐怖で慌てて身体を起こす。勢い良く起き上がった身体はより強い痛みをあちらこちらに感じ朔は悲鳴を上げそうになる。
でもそんな事よりまずやらなければいけないこと─
朔は起き上がりすぐ、部屋の中を見渡す。
そこはいつも通りの自分の部屋で、柏木の姿は無かった。そして、身体も自由に動く事を同時に確認する。その事実を把握しただけで安堵で涙が出そうになった。
そこから状況を整理していく。
縛られていた両手首には紫色にしっかりと痣が残っていた。乳首は真っ赤に腫れていて、視界に入る身体には赤い蚯蚓脹れが何重にも刻まれている。
そこから視線をさらに下に移すと、より見たくない現実がそこにはあった。
自分が寝かされていたベッドシーツは未だに湿っており臭気を放っている。それ以外にもシーツの上に飛び散る血の跡、色々な液体がシミを作り朔の抜け落ちた髪の毛も散らばっていた。周りには切り刻まれた朔の服の残骸。切り裂かれた枕から飛び出す綿や、使用済みのティッシュもゴミ箱に捨てられず身体やベッド周りに散乱していた。
一見しただけでもここで何があったか嫌でもわかってしまう状態だった。
さらに股の間からは後処理されずに固まったままの白い液体や血がこびり付いたまま残っていた。
あまりにも酷い有様を目の当たりにして、フラッシュバックのように柏木にされたことが思い出され、朔の身体は恐怖で震えた。
朔は足腰の立たない状況の中で親が帰ってきてバレないように、慌ててベッドから這うように降りて床に落ちていた毛布をシーツが隠れるように被せた。それが精一杯だった。
「…ッ…ぅっ……っ…」
そして朔はベッドの下で自然と溢れ出す感情と涙を一緒に、声を押し殺しながら吐き出した。
もう学校には行きたくなかった。学校に行けば、同じクラスにいる柏木に嫌でも会ってしまう。怖い。会いたくない。
でも、高校は辞めたくなかった。高校をちゃんと卒業することは自分へのケジメでもあった。
朔は家庭教師との一件があってから酷く荒れて母親にも散々当たってきた。そしてそれが原因の全てでは無いにしろ、朔の母親と父親は離婚した。そこからは荒れる朔を精一杯1人で支えてくれたのが母親だった。
事件後すぐは、そんなことに気を回すことが出来ないくらい朔自身も混乱と嫌悪に苛まれていて自分のことで精一杯だった。だから母親に対して酷いことも言ったし何度も学校から呼び出しを食らわせてしまった。
ある程度時間がたった時に、朔は過去のことを清算して過去を引きずりたくないと思った。そして母に少しは恩を返したいと思えるようになり、高校進学を決めた。
始めは高校に行く気が無かった朔だが、進学を決めたことを母に伝えたらすごく喜んでくれた。
その喜ぶ様子を見れば少しずつでいいから今まで迷惑かけたことを返していきたいと思い、勉強へのやる気は相変わらず無かったが高校は辞めずに卒業することを決意して入学した。
だから、せめて卒業はしたかった。
…でも、朔の中で今は柏木から逃げたい、という思いの方が上回っていた。
朔はベッドの下にへたり込んだまま呆然としていたが、ハッとしてスエットのポケットに入れたままだったスマホを引っ張り出して慌てて柏木の番号を着信拒否設定にした。
(明日も学校休もう…)
その間に柏木に会わずに済む方法を考えなければ…。
朔は再びベッドに頭を預け重い身体と意識で自然と瞼が落ちてきて眠りにつこうとしたとき、スマホが光った。液晶を覗き込むと見慣れない名前の人物からメッセージが来ていた。
(はやき…?誰だ…)
─颯希
朔の背中に一気に冷や汗が流れた。
柏木だ。
メッセージのID交換をした記憶はない。
朔は震える指で液晶に出ているメッセージのポップアップをスライドする。
メッセージには動画が添付してあった。見たくない。知りたくない。指が震えて上手く操作できない。メッセージを消そうとした時に添付されていた動画に指が触れてしまった。
『嫌ッ、アッ…ぁあァアッ──ッんんっっヒッ─!』
再生された動画から響き渡る声、そして巨大な男根を後ろに咥え込み泣きながら乱れているのも紛れもなく朔だった。
その動画は先ほどまでこの部屋で行われていた行為の内容そのものだった。朔は慌てて動画を止める。動画添付と共にメッセージが添えられていた。
『よく撮れてるでしょ?明日学校おいで。来れないならお見舞い行くね。』
朔は察した。
──逃げられない
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