[R-18]あの部屋

まお

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8.強制1

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はじめは柏木の言葉が100%確信を持てるものかどうかの判断すらできなかった。とにかくこの状況から逃げたかった。

逃げる方法、今思いつく方法はひとつしか無かった。

「……て…」

「ん?聞こえない。野坂もう1回ちゃんと言える?」


吐息とも言葉ともつかない小さな朔の呟きを柏木は聞き逃さなかった。柏木は子どもをあやすような優しさで朔の髪を撫でる。

そう、まるで優しくて大好きだった頃の先生がいつも朔にやってくれていたみたいに…─

朔は悔しさと恐怖、そして心の底から何故か湧き上がる悲しさで、身体が震え溢れる涙で目の前の視界が歪んだ。

「……、おか…して…」


朔は消え入りそうな小さい声で言葉を絞り出した。絶望と羞恥に襲われて柏木に目を向けることが出来なかった。

「…ちゃんと言われた通りに言おうか。ほら、ここ。なんて言うの?」


柏木は恥をしのんで何とか口にした朔の一言では満足しなかった。そして言葉を促すように再び朔のスウェット越しの後ろの窄まりに今度はハサミを突き立てる。

「──ひっ…や、言う…!言うから…ッ」


そのまま力づくでハサミの先端を押し込んできそうな勢いに朔は慌てて制止する。

「野坂の口から聞きたいからちゃんと言ってね。」


つんつんと弄ぶようにハサミを突き立てる手に力を入れたり弱めたりしながら柏木は朔の様子を楽しげに伺う。

「か……かし、わぎ…の…………」


朔はそれ以降の言葉を言いたくなくて途中で口を噤んでしまう。

「俺の?俺の何が欲しい?」

柏木は朔の耳元で声を潜め熱っぽく囁く。

「……っ……ち……ち…ん………、……を…。おれ…の」

「俺じゃなくて、名前で言えよ。」


柏木は少し乱暴な口調で朔を急かす。そして同時に先程より力が込められたハサミの先端が皮膚を強く圧迫する。

「っ!…は、……じ…め……の……っ……………っ…」

「うん。…早く。あんまり焦らされたら、そのまま突っ込むよ…」


顔を覗き込まれ、妖艶な笑みを向けられる。他人が見たら卒倒しそうな色香を放つ柏木のその笑みも、朔にとっては恐怖の対象でしかない。そして柏木は朔の濡れたスウェットに手をかける。

「や……ッ、……めっ…」

「はじめの、どこ?」


スウェットをおろされベッド下に落としニコッと笑う柏木のどこか冷たい空気に抵抗を続けることが出来ず、朔はただ視線を返すことしかでき無かった。

「っ……」

「ここね。兄貴しか挿いったことないここ…」

「ぅ…ンッ…や……だっ……」


柏木は先までの乱暴さが嘘のように優しい手つきで下着越しに朔の後ろの窄まりに指を這わす。

「ここに挿れるよ。早く言って。」

「ッ…いや……だ……っ、許して……くれ……」

「………」


朔は縋るような視線を柏木に投げかけ再度この状況から解放して貰えるように哀願する。柏木は身体を起こし、上から見据えるようにじっと感情の読み取れない視線を朔に向ける。そして程なくして部屋にバチンっという乾いた音が響き渡る。同時に朔の頬に刺すような鋭い痛みが走った。衝撃で横に向いた顔を正面に戻し見上げると柏木は冷たい表情で朔を見下ろし、片手を上げていた。暫くして朔は柏木に強い平手打ちをくらったことを理解する。

「…なに…する…ッ」


じんじんと痛みが熱を持って伝わる左頬。その痛みからかなり強い力で頬を打たれた事を理解する。

「あのさ。勘違いしているみたいだから言っておくけど、俺は兄貴みたいに優しくないから。」


感情の無い冷めた柏木の瞳の中に朔が映り込む。その表情も、いつもの笑顔からは想像出来ない末恐ろしささえ感じる無機質な冷めきった表情だった。そしてそのまま拘束されている朔の髪をまた鷲掴んだ。


「お前は兄貴に甘やかされていただろうけど、俺はあいつとは違う。あいつみたいに気も長くないし、言う事を聞かないなら…どんな苦痛だって躊躇なく与える。あんまり俺を怒らせない方が野坂のためだよ。まぁ、俺の好きなようにしていいなら……話は別だけどね…。だから、俺を怒らす前にさっさと言ってね。」


話しながら柏木の表情はいつもの笑顔に戻っていく。その様子が逆に不気味で悍ましいものに朔の目には映る。柏木が再びゆっくり見せつけるようにハサミを手に取る。
朔はその様子を見ながら、この男に抵抗するのは無駄なように思えて、そしてこれ以上恐怖を感じたくなくて震える唇を開いた。

「……は、じめ……の、…………。ぉ……まん……こに……挿れてっ……くださ……ぃ……」


覚悟して言葉を発した筈なのに、後半は我慢しきれず涙声になっていた。


「ははっ、可愛い。ちゃんと言えてないけど最初だから大目に見てあげる。俺も我慢できそうにないし…」

先程まで力任せに掴まれていた髪を今度は優しく丁寧に撫でられる。柏木は朔の太腿を真上から手で押さえ、手にしていたハサミをボクサーパンツのゴムの部分に差し込みTシャツの時と同様にそれをざくざくとハサミで切り込んでいった。

「や……っ」


ろくな抵抗も出来ないまま、履いていたボクサーパンツはただの布切れと化し、柏木に取り払われた。

「…綺麗だね、野坂」


柏木は全裸の朔を舐めるように眺めてから身体の上に覆いかぶさり、噛まれて腫れていた乳首に舌を伸ばし触れてくる。

「ン!あ…ッ」


ビリッとした痛みに眉を顰める。
優しく執拗にそこを舐められ続けていると、次第に弱い快楽がじわじわと身体を侵食していった。

「ンッ、…んん…ぅ…っ」


胸への愛撫に気を取られていると、柏木の指が朔の後孔を今度は直に捉える。

「ッ!いっ…やだぁッ、触るなっ…─」

「慣らさないと痛いよ。ここ、裂けて血が出ちゃう。」

「っ…いやだ……やめろよ…っ…もうやだ……ぅぅ…」


抵抗したいが拘束された状態で何を考えているか分からない柏木に先みたいに一方的な暴力を奮われるのは、死を連想させるような恐怖を感じ、朔は大きな抵抗が出来なかった。抵抗出来ない朔を他所に、柏木は朔の足を左右に大きく開き、身体を折り曲げるようにして朔の頭の左右のシーツの上に膝裏を掴んだまま押し付け固定する。全てが柏木の目の前に晒される。
されるがままの朔は、恥ずかしい格好を取らされ同性の男の前で全て曝け出してしまっているこの現実を受け止めたくなくて顔を横に逸らし目をきつくつぶった。

「…野坂ちょっと勃ってるね。おっぱい気持ちよかった?」


嘲笑を混じえた柏木の言葉が鬱陶しかった。朔は敢えて反応を返さず目を瞑る力を強めた。すると突然予想していない箇所に予想していない刺激が伝わる。

「ぁあっ!?」


驚いて目を開け朔は持ち上げられ左右に広げられていた足の奥の方に視線を向ける。柏木の顔が朔の臀部のあたりにあるのが視界に入る。

「な……な…に……──っひ」


そしてそれを視界に入れたとほぼ同時にまた先程の刺激を感じる。視界に入った情報と、その感覚で朔は理解する。

「や…やめろ!!そんなとこ………離せッ!…ぁッ」


柏木は広げた朔の足のその奥に潜む朔の窄まりに舌を這わせていた。その状況を理解すると耐え難い羞恥と背徳感に苛まれる。朔は足をばたつかせ何とかそれを止めさせようと試みる。

「舐めるなっ…やめろ!嫌だっ、んッ…ぅ」


いくら制止しても柏木はやめる気配もなく、次第にその舌の動きは大きくなり、朔の胎内に入り込もうと力が込められていく。

「汚い!やめろっっ!ぁ…あッ!な…、か……ッ──アッ」


ばたつかせていた足がビクンと空を蹴る。柏木の舌先は朔の奥の秘所を割開こうと力強く捩る。そして朔が足をばたつかせたタイミングで緩んだその窄まりは遂に柏木の舌の侵略を受け入れてしまう。

「あ"ッ─ひ、や、ぁあッ抜けッ!」


感じたことの無い感覚に朔の全身が粟立つ。押さえられていて下に下ろせない足は、舌で胎内をゆっくりなぞられる度にびくびくと飛び跳ねる。羞恥で朔の瞳にまた涙が溢れる。後ろの不快感。そして奥からじわじわとちらつく快楽。こんな事をされて自分の身体が熱を帯びる事に対し朔は熱に浮かされた頭で絶望を感じる。
舌の動きが大胆になるにつれて、朔の宙に浮いた足は痙攣したかのように連動して大きく動く。

「はっ…あッ、うっ…ン……─あァッ!」


身体の火照りのままに身を任せそうになったタイミングで、新たな刺激を下半身に受ける。今度は柏木が後孔から舌を離すことなく、右手で朔の緩く反応していた昂りの先端をゆっくり指先で弄んでいた。身体中の筋肉がいっそう強く収縮し、拘束を解かれシーツの上に落ちた朔の左足のつま先に耐えるように力が入り、シーツの上にシワを作る。

「やめ…やぁアッ!ひ、あっ…」


柏木の指先は熱を持つ朔の昂りの先端から滲む透明な液体を周りに塗りつけるようにゆっくり何度も円を描くように撫で続ける。次第にその液体は目で見てわかるほどの雫を垂らし全体が濡れ、照り光る。

「んっ…はぁ、野坂すごい声だな。気持ちいいね。後ろに舌入れられてここもこんなに濡らして…」

「く…ぁあッ」


後孔から舌を抜き取り柏木は熱を孕んだ瞳で朔を見据えてから、舌が抜けて緩んでいた朔の後孔に今度は指を挿入する。

「1本ならすんなり挿入るね。」

「ぅ…ッ抜…け……よっ」

そこから間を置かず指は2本に増やされる。

「やめ…ッ、んっ…ン─ッ」


朔の抵抗なんてものともせず柏木は着実に後ろを慣らしていく。3本の指が挿入はいるとさすがに圧迫感と攣りを感じ朔は恐怖を感じる。

「やだっ!やめ、もう離せ…ッ」

「ここまできてやめる訳ないでしょ。」


柏木は笑顔で言い放つが、その表情には抑えきれない興奮を滲ませていた。そして指をゆっくり引き抜く。朔がそれに安心出来たのは束の間だった。

「野坂。これから中にこれが挿入はいるんだよ。」


そう言われたすぐ後に、朔の太腿に硬い物が押し当てられる。

「……え……」


押し当てられた物が、一瞬何か分からなくて朔は気の抜けた声が漏れた。太腿に押し当てられた物体は、太くて硬かった。大きさ的に一瞬、先程顔面に吹きかけられたスプレー缶だと思った。でもそれは布に包まれていて、スプレー缶のような無機質さや冷たさは全くない。おそるおそる視線をその物体の元に向けると、自分のむき出しの太腿が柏木の下半身と接触していた。そして、理解出来たであろうけど信じたくなかったその押し当てられた物体の正体を知る。

「待て……。嘘……だろ…?」


朔の顔面はみるみるうちに蒼白となる。

「さっき言っただろ。俺のは大きいから慣らさないで挿れたら、裂けて血まみれになるって。でも野坂に挿れてってお願いされたから挿れない訳にはいかないよね」


柏木は自身のスラックスのベルトに手をかける。

「野坂、今から欲しがってた俺のおちんちん、野坂のまんこに挿れてあげるねからね…」


ゆっくり、見せつけるようにベルトを外しスラックスと下着を同時に下ろす。そこには反応を示した、朔がスプレー缶と間違えるくらいの太さと長さを持ち血管が浮き上がる凶悪な屹立した雄が存在した。

「っ…む…りっ……」


それを目にすると、朔は新たな恐怖に戦慄する。

「ちゃんと言ってくれたから慣らしたけど痛いかもしれないね。でもそれはしょうがないよね。」


諦めに近い感覚に陥っていた朔だったが、目の前の凶悪な凶器を見てしまえば本能が逃げろと煩く働きかけてくる。

「嫌だ!やめ…やめて……。無理だッ!そんな…の…──ッ」

「野坂力抜いて…。挿れるよ」


後孔に直に肌と肌が接触する感覚と熱いものが押し当てられる。

「……い……やだ……っ」


柏木は怯える朔の頬を撫でながら優しい表情で腰を押し進める。



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