6 / 87
5.事実
しおりを挟む
次に目が覚めた時、朔は自分の部屋のベットの上だった。辺りは薄暗く日が暮れかけていることだけはわかった。
(あれ、俺何してたんだっけ…。今何時だ…スマホ…)
体を動かそうとした瞬間、腕の痛み、目の痛み、背中の痛みが一気に襲い起き上がろうとしても体が動かなかった。
「よく寝てたね。薬多かったかな」
自分の部屋から自分じゃない声が響いて朔は驚いて反射的に声の方に顔を勢い良く向ける。そこにいたのはベッドの横で微笑み朔を見下ろす柏木だった。一気に記憶が蘇る。
(そうだ、俺、コイツに変なスプレーかけられて眠らされたんだ…)
朔は忘れていた柏木への恐怖感に一気に支配された。
逃げなきゃ…
腕を動かそうとすると、腕は頭上で固定されている様で動かせなかった。
「野坂、さっきは手荒なことしてごめんね。大丈夫?」
柏木が朔の寝かされてるベットを覗き込み朔をいつもと変わらない笑顔で見下ろしてくる。
「…おい!!これ、どーゆうことだよ!?手ほどけ!!離れろっ!!」
「あはは、手放したら逃げちゃうでしょ?離す訳にはいかないんだ。」
「っ…、てめぇ、何が目的だ」
まるでいつもと変わらない様子で普通に話している柏木に朔は底知れぬ恐怖を感じた。それを押し殺し精一杯の威嚇を柏木に向ける。
「震えてる…かわいい」
柏木は朔の頬を手でさすり微笑んだ。朔は背中に走るゾワッとした嫌悪感を拭いきれず思い切り首を振り抵抗し始める。
「やめろ!!気色悪い!触んじゃねぇ!!離せっ!!!!」
柏木は朔の拒絶に対し表情一つ変えずベッドの横にしゃがみこみ朔と視線の高さを合わせ問いかけてくる。
「ねえ野坂、俺が誰かわかる?」
「…は?柏木だろ。訳わかんねーこと言ってないでさっさとこの手をほどけ!!」
「美伯 拓人」
朔は急に出てきたその名前に思考が止まった。驚きすぎて声も出せず目を丸くして柏木を見返した。
その名前を忘れるはずがなかった。忘れたくても忘れられない、朔の人生を狂わした張本人、家庭教師の名前だった。
「…って知ってる?……って聞かなくても充分みたいだね。」
「…なん…」
「なんで俺がその名前を知ってるかってことだよね?」
柏木は朔の頬を撫でていた手を自分の制服のポケットにうつし、ポケットの中からスマホを取り出す。そのスマホの背面を朔に向けて何か操作をし始めた。
「俺さ、旧姓美伯って言うの。」
ピッという音の後に右手に持ったスマホを下から上になめるように動かし朔をムービーに収めているようだった。柏木は朔の顔の前にスマホを固定し表情を愉快そうにスマホ越しに眺める。
「どうも、兄貴がお世話になりましたー」
とニヤっと笑いながらスマホの中の驚愕と困惑を表した朔の表情を見つめながらそう言い放った。
朔の頭の中は混乱していた。
(─柏木の旧姓が美伯。兄がお世話に?)
「驚いた?君をめちゃくちゃにした家庭教師の拓先生は俺の兄貴なの。ほら、笑った時の目元とかよく似てるって言われるけど覚えてる?」
朔は柏木を凝視した。
そうだ、柏木に対して抱いていた警戒心と恐怖。言われてみれば先生とよく似ていた。顔の造形は柏木の方が華やかではあるが、それこそ笑った時の目元の感じはよく似ていた。
だからこそ、朔の本能が朔に恐怖心と拒否反応という危険信号を送っていたんだ。
「やっぱり映像より本物の方が可愛いいなー。君と初めて話した時は本当に興奮したよ。勃ってるのバレないかヒヤヒヤしたわ。」
発言の内容に反した爽やかな笑顔でそう言いながら柏木は朔の表情をずっとスマホ越しに見ている。その内容への嫌悪感より、とにかく状況を理解するのに朔は手一杯だった。そしてこの状況に対する危機感や、その他にも聞きたいことが山ほどあって、朔は何から言葉を発していいのかわからず言葉を言いあぐねていると柏木は話を続けた。
「俺さ、こんな底辺のバカ高校に入ったのも全部君に近づくためだった。君のことは兄貴が警察に捕まる少し前から知っていた。兄貴さ、家族やみんなの前でお手本のような優等生ぶってたから、まさか部屋のパソコンから君とのハメ撮り映像が出てくるなんて夢にも思わなかったよ。それを見つけた時は腰が抜けるほど驚いた。もちろん兄貴には言わなかった。でもたまに盗み見るたびに君との映像が増えていって、初めはショックだったけど次第に俺も君にとても興味が湧いた。兄貴が捕まってから君を探して家も特定した。どこの中学に通ってるのか、普段何をしてるのか、彼女はいるのか、どこの高校に入るのか…君のこと全部見てきたから、俺もここの高校に入学することを決めたんだ。」
話を聞いて朔の記憶が蘇ってきた。
家庭教師と体の関係以上になった時、よく映像を撮られていたような気がした。記憶は定かではないが、怖くて朔は全て受け入れていた気がする。
まさか、それを見られていたなんて。
そして、まるでストーカーのような柏木の異常性に恐怖と嫌悪感を抱いた。これ以上話の続きを聞きたくなくて、柏木から離れたくて、本来の目的を思い出し朔は抵抗した。
そう、この場から逃げなければ。
「黙れッ!!離せ!!いいからこの手をほどけ!!今なら誰にも言わない、だから手を解いてこの部屋から出ていけ!!!」
朔は柏木を見たくなかった。混乱から一気に嫌悪感が襲ってきた。
気持ち悪い。思い出したくない。
そして、このままだとまずい。
そう朔の本能が警鐘を鳴らしていた。
「ははは、この状況で誰にも言わない?それは俺のセリフだろ?兄貴とのこと言われたら困るの君だよね。あとさ、手も解かないしこの部屋からも出ていかない。俺の目的何も果たされてないからね。」
そう言い柏木は持っていたスマホをベッド横の本棚にカメラに2人が映るように立てかけ、ベッドにあがりこみ馬乗りになって朔を真上から見下ろす。優しい笑顔を向け朔の頬に手を添え言い放った。
「君は今からね、俺に犯されるんだよ。」
(あれ、俺何してたんだっけ…。今何時だ…スマホ…)
体を動かそうとした瞬間、腕の痛み、目の痛み、背中の痛みが一気に襲い起き上がろうとしても体が動かなかった。
「よく寝てたね。薬多かったかな」
自分の部屋から自分じゃない声が響いて朔は驚いて反射的に声の方に顔を勢い良く向ける。そこにいたのはベッドの横で微笑み朔を見下ろす柏木だった。一気に記憶が蘇る。
(そうだ、俺、コイツに変なスプレーかけられて眠らされたんだ…)
朔は忘れていた柏木への恐怖感に一気に支配された。
逃げなきゃ…
腕を動かそうとすると、腕は頭上で固定されている様で動かせなかった。
「野坂、さっきは手荒なことしてごめんね。大丈夫?」
柏木が朔の寝かされてるベットを覗き込み朔をいつもと変わらない笑顔で見下ろしてくる。
「…おい!!これ、どーゆうことだよ!?手ほどけ!!離れろっ!!」
「あはは、手放したら逃げちゃうでしょ?離す訳にはいかないんだ。」
「っ…、てめぇ、何が目的だ」
まるでいつもと変わらない様子で普通に話している柏木に朔は底知れぬ恐怖を感じた。それを押し殺し精一杯の威嚇を柏木に向ける。
「震えてる…かわいい」
柏木は朔の頬を手でさすり微笑んだ。朔は背中に走るゾワッとした嫌悪感を拭いきれず思い切り首を振り抵抗し始める。
「やめろ!!気色悪い!触んじゃねぇ!!離せっ!!!!」
柏木は朔の拒絶に対し表情一つ変えずベッドの横にしゃがみこみ朔と視線の高さを合わせ問いかけてくる。
「ねえ野坂、俺が誰かわかる?」
「…は?柏木だろ。訳わかんねーこと言ってないでさっさとこの手をほどけ!!」
「美伯 拓人」
朔は急に出てきたその名前に思考が止まった。驚きすぎて声も出せず目を丸くして柏木を見返した。
その名前を忘れるはずがなかった。忘れたくても忘れられない、朔の人生を狂わした張本人、家庭教師の名前だった。
「…って知ってる?……って聞かなくても充分みたいだね。」
「…なん…」
「なんで俺がその名前を知ってるかってことだよね?」
柏木は朔の頬を撫でていた手を自分の制服のポケットにうつし、ポケットの中からスマホを取り出す。そのスマホの背面を朔に向けて何か操作をし始めた。
「俺さ、旧姓美伯って言うの。」
ピッという音の後に右手に持ったスマホを下から上になめるように動かし朔をムービーに収めているようだった。柏木は朔の顔の前にスマホを固定し表情を愉快そうにスマホ越しに眺める。
「どうも、兄貴がお世話になりましたー」
とニヤっと笑いながらスマホの中の驚愕と困惑を表した朔の表情を見つめながらそう言い放った。
朔の頭の中は混乱していた。
(─柏木の旧姓が美伯。兄がお世話に?)
「驚いた?君をめちゃくちゃにした家庭教師の拓先生は俺の兄貴なの。ほら、笑った時の目元とかよく似てるって言われるけど覚えてる?」
朔は柏木を凝視した。
そうだ、柏木に対して抱いていた警戒心と恐怖。言われてみれば先生とよく似ていた。顔の造形は柏木の方が華やかではあるが、それこそ笑った時の目元の感じはよく似ていた。
だからこそ、朔の本能が朔に恐怖心と拒否反応という危険信号を送っていたんだ。
「やっぱり映像より本物の方が可愛いいなー。君と初めて話した時は本当に興奮したよ。勃ってるのバレないかヒヤヒヤしたわ。」
発言の内容に反した爽やかな笑顔でそう言いながら柏木は朔の表情をずっとスマホ越しに見ている。その内容への嫌悪感より、とにかく状況を理解するのに朔は手一杯だった。そしてこの状況に対する危機感や、その他にも聞きたいことが山ほどあって、朔は何から言葉を発していいのかわからず言葉を言いあぐねていると柏木は話を続けた。
「俺さ、こんな底辺のバカ高校に入ったのも全部君に近づくためだった。君のことは兄貴が警察に捕まる少し前から知っていた。兄貴さ、家族やみんなの前でお手本のような優等生ぶってたから、まさか部屋のパソコンから君とのハメ撮り映像が出てくるなんて夢にも思わなかったよ。それを見つけた時は腰が抜けるほど驚いた。もちろん兄貴には言わなかった。でもたまに盗み見るたびに君との映像が増えていって、初めはショックだったけど次第に俺も君にとても興味が湧いた。兄貴が捕まってから君を探して家も特定した。どこの中学に通ってるのか、普段何をしてるのか、彼女はいるのか、どこの高校に入るのか…君のこと全部見てきたから、俺もここの高校に入学することを決めたんだ。」
話を聞いて朔の記憶が蘇ってきた。
家庭教師と体の関係以上になった時、よく映像を撮られていたような気がした。記憶は定かではないが、怖くて朔は全て受け入れていた気がする。
まさか、それを見られていたなんて。
そして、まるでストーカーのような柏木の異常性に恐怖と嫌悪感を抱いた。これ以上話の続きを聞きたくなくて、柏木から離れたくて、本来の目的を思い出し朔は抵抗した。
そう、この場から逃げなければ。
「黙れッ!!離せ!!いいからこの手をほどけ!!今なら誰にも言わない、だから手を解いてこの部屋から出ていけ!!!」
朔は柏木を見たくなかった。混乱から一気に嫌悪感が襲ってきた。
気持ち悪い。思い出したくない。
そして、このままだとまずい。
そう朔の本能が警鐘を鳴らしていた。
「ははは、この状況で誰にも言わない?それは俺のセリフだろ?兄貴とのこと言われたら困るの君だよね。あとさ、手も解かないしこの部屋からも出ていかない。俺の目的何も果たされてないからね。」
そう言い柏木は持っていたスマホをベッド横の本棚にカメラに2人が映るように立てかけ、ベッドにあがりこみ馬乗りになって朔を真上から見下ろす。優しい笑顔を向け朔の頬に手を添え言い放った。
「君は今からね、俺に犯されるんだよ。」
12
お気に入りに追加
509
あなたにおすすめの小説
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
ある少年の体調不良について
雨水林檎
BL
皆に好かれるいつもにこやかな少年新島陽(にいじまはる)と幼馴染で親友の薬師寺優巳(やくしじまさみ)。高校に入学してしばらく陽は風邪をひいたことをきっかけにひどく体調を崩して行く……。
BLもしくはブロマンス小説。
体調不良描写があります。
学園の卒業パーティーで卒業生全員の筆下ろしを終わらせるまで帰れない保険医
ミクリ21
BL
学園の卒業パーティーで、卒業生達の筆下ろしをすることになった保険医の話。
筆下ろしが終わるまで、保険医は帰れません。
塾の先生を舐めてはいけません(性的な意味で)
ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
個別指導塾で講師のアルバイトを始めたが、妙にスキンシップ多めで懐いてくる生徒がいた。
そしてやがてその生徒の行為はエスカレートし、ついに一線を超えてくる――。
身体検査
RIKUTO
BL
次世代優生保護法。この世界の日本は、最適な遺伝子を残し、日本民族の優秀さを維持するとの目的で、
選ばれた青少年たちの体を徹底的に検査する。厳正な検査だというが、異常なほどに性器と排泄器の検査をするのである。それに選ばれたとある少年の全記録。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる