[R-18]あの部屋

まお

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1.入学

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4月の上旬。

野坂朔のさかはじめは市内の底辺高校に入学した。


今日は入学式。

志の低い人間ばかりのこの高校は地元でも悪評で名高い高校だった。校則を守る気がない派手な髪色や髪型の集団。又は根暗のコミュ障。
そんな人間ばかりの同学年の学生達。

はじめは体育館の中に集められたそんな同級生達を眺める。みんな自分を含めた底辺みたいな奴らばかりだなと一通り眺めた後、興味無さげに視線を体育館上の窓に移した。

朔は何の期待も希望も持たず入学式にやる気なく出席していた。校長の当たり障りのないどこかで聞いたことのあるよう陳腐な話を聞き流しぼーっと体育館上の窓から見える青空を見上げていた。



新生活の始まる春。朔は春が好きだった。
新しいことが始まる季節に心踊っていたのが遥か昔のことのように思えた。今はそんな向上心もキラキラした気持ちも何も無かった。


あの日から何もかもがどうでも良くなった。


春だろうが冬だろうが、晴れていようが曇っていようが、何も変わらない。何も感じない。そんな無気力な気持ちになった。



そんなことを回想をしながらぼーっと空を見つめていたが、急に周りがざわつき出したのを感じて壇上に目を向ける。
1人の制服を着た男子学生が体育館内の壇上に登壇していた。


「え!!やば!!めっちゃイケメンじゃない!?モデル!?」

「本当にうちの生徒!?てか、同学年なの!?」

「こんなイケメンと同じ学校だなんて、私、このクソ高校に入って良かったとさせ思えてるんだけど!」

「何あの爽やか優等生くん、来る学校間違ってね?」

女達は色めき立ち、男達からは羨望と妬みの視線を浴びる壇上の男から朔は目が離せなくなった。



そこに立っているのは身長180cm以上の八等身はゆうにあるであろうスタイルの男。

この高校では珍しい黒髪で、綺麗で整った目鼻立ちや女子ウケしそうな優しげな笑顔が壇上との距離間でもわかる、まさに雑誌やテレビから飛び出してきたかのようなこの学校に似つかわしくない、好青年と言うのに相応しい容貌の男だった。


「本日、この高校に入学出来たことを心より嬉しく思い…」

壇上の男は新入生代表挨拶をそつなくこなし笑顔で壇上を去っていった。挨拶をしている、ってことは成績も当たり前かのように1番なのだ。



朔はその男から目が離せなかった。

それはイケメンだから、他の学生と異色だから
……そうでは無かった。
そんな理由では無い。その感情を言葉にするなら

『恐怖』

が1番近かった。


初めて会った男。なのに背中を伝う冷や汗。
何故か全くわからなかったが、朔は壇上の男、柏木颯希 かしわぎ はやきに対し明らかな警戒心を抱いた。

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