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親愛なる坂本葵様 (7)
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葵が、件の手書きの手紙のことを思い出したのは、長時間の難しい外科手術を終え、軍医局の休憩室で一息ついているときだった。日付を見ると、投函されたのは数日前だ。嫌な予感がしたから、極度の疲労にも関わらずすぐに開封した。読み進めながら、葵は、兄の忍に連絡をし始めた。
「だめなの、兄さんは今、パラオ紛争の解決に出ていて連絡がつかない…!」
葵は、その次には景悟に連絡するしかなかった。景悟が亜子に深い思いをかけ続けていることを知っていたから。景悟は、すぐにミロの携帯に電話をする。
ミロは、珍しく気持ちよく酔っていて外国人部隊の陸軍所属准尉と、北関東基地の兵舎でよろしくやろうとしているところだった。ギャリー准尉はミロの薄紫色のレースのパンティのクロッチ部分を何度も何度も薬指で優しくこすり上げた後、右側の紐をほどいてそれを脱がそうとしていた。ミロは耐えられずに熱い吐息を吐きながらギャリー准尉に舌を絡ませていた。景悟が狂気の声を上げてミロに連絡してきたのは、その真っ最中だった。普段だったらこんなときにかかってきた電話に出ることは絶対にないのだが、ミロの中に妙な予感、虫の知らせのようなものがあった。
怒鳴り続ける景悟の声を聞きながら、ミロはギャリー准尉をほとんど突き飛ばすようにしてベッドから飛び出た。30秒に満たない時間ですぐに床に散らばった服をかき集めて身に着ける。駐車してあった軍用モーターサイクルに飛び乗ると、アクセルを全開にして2秒足らずで時速120マイルまで上げる。そのまま第5京浜高速にのった。
「景悟、この状況で治安アラートを出すことはできない。交通警察への対応願う」
ミロは、マイクロホンで景悟に連絡すると、右手でアクセルを操作しながら、両目に特殊サーチャーを装備する。通常は、KIWAの操縦時にしか使わないものだ。1分もかからないうちに亜子は六本木の高層ビルのエレベーターに乗り込もうとしていることが判明した。すぐに第42首都高速へ進路を変更して六本木へ向かう。
プルデューファーマ第四メディカルビルに到着すると、そのまま非常階段を全速力で駆け上がった。エレベーターの数倍の速度で最上階55階にたどり着く。屋上につづくロックされた扉に全力で体当たりをしてぶち開けると、さらに数階分の階段を駆け上がる。さらにその先にある非常扉を同様に暴力的にこじ開けた。デッキにでると黒い人影が闇の中にゆっくりと消えていくのが見えた。亜子が、靴を脱いだ姿で屋上から身を投げた直後だった。ミロは、全力疾走で勢いをつけ、屋上を這うようにして散らばる長大な電源ケーブルを掴むと、そのまま弾みをつけて飛び降りる。亜子の身体に追いつくと亜子を抱きとめて地上へ落下しながら姿勢を立て直す。電源ケーブルを命綱にして、その高層ビルからぶら下がった。亜子を抱えたミロは、振り子の大揺れに翻弄される。隣の高層ビルの壁面がみるみる勢いで近づき、ミロは脚でその全面ガラスの壁面を蹴り上げる。片腕でケーブルを掴み、片腕で亜子を抱きかかえたまま、何度か激しい揺れの反動を繰り返した後、ゆっくりと停止した。
その後、景悟の手配した軍用ヘリによって救助された。
地上では、泣き叫ぶ亜子の母を父親がなだめ続けていた。景悟は、ミロに礼を言う例を暇もなく、亜子の両親と共に救急車に同乗してその場を去った。
「だめなの、兄さんは今、パラオ紛争の解決に出ていて連絡がつかない…!」
葵は、その次には景悟に連絡するしかなかった。景悟が亜子に深い思いをかけ続けていることを知っていたから。景悟は、すぐにミロの携帯に電話をする。
ミロは、珍しく気持ちよく酔っていて外国人部隊の陸軍所属准尉と、北関東基地の兵舎でよろしくやろうとしているところだった。ギャリー准尉はミロの薄紫色のレースのパンティのクロッチ部分を何度も何度も薬指で優しくこすり上げた後、右側の紐をほどいてそれを脱がそうとしていた。ミロは耐えられずに熱い吐息を吐きながらギャリー准尉に舌を絡ませていた。景悟が狂気の声を上げてミロに連絡してきたのは、その真っ最中だった。普段だったらこんなときにかかってきた電話に出ることは絶対にないのだが、ミロの中に妙な予感、虫の知らせのようなものがあった。
怒鳴り続ける景悟の声を聞きながら、ミロはギャリー准尉をほとんど突き飛ばすようにしてベッドから飛び出た。30秒に満たない時間ですぐに床に散らばった服をかき集めて身に着ける。駐車してあった軍用モーターサイクルに飛び乗ると、アクセルを全開にして2秒足らずで時速120マイルまで上げる。そのまま第5京浜高速にのった。
「景悟、この状況で治安アラートを出すことはできない。交通警察への対応願う」
ミロは、マイクロホンで景悟に連絡すると、右手でアクセルを操作しながら、両目に特殊サーチャーを装備する。通常は、KIWAの操縦時にしか使わないものだ。1分もかからないうちに亜子は六本木の高層ビルのエレベーターに乗り込もうとしていることが判明した。すぐに第42首都高速へ進路を変更して六本木へ向かう。
プルデューファーマ第四メディカルビルに到着すると、そのまま非常階段を全速力で駆け上がった。エレベーターの数倍の速度で最上階55階にたどり着く。屋上につづくロックされた扉に全力で体当たりをしてぶち開けると、さらに数階分の階段を駆け上がる。さらにその先にある非常扉を同様に暴力的にこじ開けた。デッキにでると黒い人影が闇の中にゆっくりと消えていくのが見えた。亜子が、靴を脱いだ姿で屋上から身を投げた直後だった。ミロは、全力疾走で勢いをつけ、屋上を這うようにして散らばる長大な電源ケーブルを掴むと、そのまま弾みをつけて飛び降りる。亜子の身体に追いつくと亜子を抱きとめて地上へ落下しながら姿勢を立て直す。電源ケーブルを命綱にして、その高層ビルからぶら下がった。亜子を抱えたミロは、振り子の大揺れに翻弄される。隣の高層ビルの壁面がみるみる勢いで近づき、ミロは脚でその全面ガラスの壁面を蹴り上げる。片腕でケーブルを掴み、片腕で亜子を抱きかかえたまま、何度か激しい揺れの反動を繰り返した後、ゆっくりと停止した。
その後、景悟の手配した軍用ヘリによって救助された。
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