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後編
ブリザードゥ国皇太子 アイシス
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ヴィノガン様が目を細めて、私を見る。
怖い・・・。
「本当は、アイスローズ妃はダンジョンで死んだことを隠しておろう!?」
・・・え。
そっち?
その声を聞いて、ファイ様に変装したファイリアお義姉様が気絶する様に倒れる。アポロニお義兄様が侍従たちと一緒に抱えて、天幕の中に入っていく。
王妃様が、それを追うように一緒に入っていった。これできっと詳細は王様の耳にまで伝わるわね。
私は内心ほっとしながらも、体の震えがなかなか止まらない。
彼女の恫喝の迫力は、ベロジュの比じゃない。
でも、その本当の震えは、かえってヴィノガン様を納得させたみたいで。
「ふん、みろ、小鼠のように震えおって。
そんな状態で何が未来の皇太子妃だ。
お前は男のことと、その胸以外はさして取り柄のない小娘。まあ、駒としては使い道はまだあるがな。」
・・・レドリシアも散々な言われよう。
やっぱり彼女は、使い捨ての駒扱いなんだ。
ということは、試練の敗北も織り込み済み。
でも、レドリシアは自分を駒とは思ってない。
「こ、駒ですって!?
ヴィ、ヴィノガン様、私なしで殿下の心は射止められませんことよ?」
私の必死の言葉に、ヴィノガン様は鼻で笑って杖を下ろした。
「ふん、まあお前は、アイスローズ妃の亡き今、ファイバーンの寵愛を受ける可能性が高い。お前と付き合っていた当時のあいつは、荒みきっていたからなぁ。またあのようになれば、操りやすいのだがな。」
ダンジョンの中で、話を聞いていたからわかるわ。
えっと・・・中庭の見える廊下でファイ様と話していたレドリシアを見たから、彼女ならきっとこう言う。
「殿下は変わりましたわ。
私の知っている殿下ではございません。
ですが、彼の弱点はいつも『アイスリー』ですから。」
それを聞いたヴィノガン様は満足そうに頷いて、乗ってきた輿に戻ると、
「着替えたら、王太后様の宮で待て。
例のものを忘れるなよ。」
そう言って、魔神の心臓を入れた皮袋の方を指さして、ニヤリと笑った。
笑った瞬間ヨダレがダラリと大量に出てきて、全身から鳥肌が立つ。
ヴィノガン様の輿が丘の上の天幕まで戻っていくと、王様が彼女の方を見て、
「アイスローズ妃を亡くしたとなれば、ブリザードゥ国が黙っていませんよ、叔母上様。
この事態を招いた一人として、何かお言葉はないのですか!?」
と、厳しい口調で言った。
ヴィノガン様は、ヘラヘラと笑って輿から降りると、杖をガン!と鳴らした。
「どうもせん。
これは必然だ、王よ。
先王と王太后様の気の迷いで、和平協定など結んだが、我らは所詮敵同士の国なのだ。
心配するな、正当性は我らにある。」
「正当性ですって?」
「ブリザードゥ国は悪、ファイアストム国は正義。この構図こそ世界中が我らに味方をする、理由になるのだ。そのための手札は、もう、我々の手中にある。」
ヴィノガン様は、杖を持つ手をさすりながら、私たちを見下ろした。
「手札?また、私に黙ってことを動かしたのですか?」
隣の王様が、目を細めて彼女を睨む。
「王よ、その生意気な目を控えろ。
王太后様の身が誰の手の中にあるか、今一度思い出すが良い。
後世まで親不孝だと呼ばれる王に、お前はなりたくはなかろう?」
ヴィノガン様が、はっきりと王を脅した。
王様が悔しそうに唇を噛む。
「行こう、アイスリー。」
サラマンダムに変装したファイ様が、私の後ろに来て小声で声をかけた。
「でも・・・。」
「王なら大丈夫。王太后様を解毒し、アイシス皇太子を探す。そして焼印の解除。どれもまだ終わってない。それに、いつまでもアイスリーの肌を人目に晒したくない。」
う、そうだった。
確かに露出の多いこの格好は、恥ずかしい。
彼の言葉に、私も平静を装って歩き出した。
モタモタしてられない。
急がないと!
私は彼と王太后様の宮へと向かった。
レドリシアは、王太后様の宮の一角に部屋を与えられている。私は侍女を下がらせて一人になると、急いで甲冑を脱いでドレスを着た。
う・・・胸がブカブカ。
布だから甲冑の時より、露骨だわ。
わかっていたけど、何故か悲しい。
「ミャオ。」
ダイヤモンドダストが、背嚢の中から出てくる。
「しーっ。ダイヤモンドダスト、いい?
アイシスは、必ずお前の番のツララを連れてきているはずなの。お前なら気配を追えるでしょ・・・て、ええ!」
部屋の窓の外に、ツララがいた。
私を見て鳴こうとしたので、慌ててツララを中に入れて口を塞ぐ。
「レドリシア様?どうかなさいました?」
部屋の外から侍女が声をかけてきた。
「いいえ!あ・・・お黙りなさい!
呼ばれた時だけ返事をすればいいのよ!」
レドリシアを真似て、高圧的な口調で叫ぶ。
侍女はしゅんとなって、部屋の扉から離れていく足音が聞こえた。
ごめんね・・・ごめんなさい。
私は侍女に心の中で謝りながら、ツララを見た。
ダイヤモンドダストもすぐそばやってきて、二匹仲良く頭を擦り付け合っている。
「ツララがいるということは、ここにアイシスがいるのね。」
私は鏡を見ながら仕度を整えると、ツララを覗き込んだ。
ツララは、ダイヤモンドダストの番で雌猫。
この子も神獣。
「ミャ・・・」
「しー!ツララ、黙ってアイシスのところへ連れて行って!」
私は魔神の心臓を持って部屋から抜け出すと、サラマンダムに変装したままのファイ様と合流した。
「え、ツララがいる?どこに?」
ファイ様が怪訝な声で聞いてくる。
私は自分の胸元を指さした。
「ここに。この子が入ってくれて、ようやくサイズがちょうど良くなったの。」
「な、なるほど。ツララは、アイシス皇太子のところまで導けるのか?」
「えぇ、さりげなくついてきて。」
私は、胸元に入ったツララが向く方向に歩いていく。あれ・・・?ここって・・・。
見覚えのある扉の前に来た。
王太后様の寝室?
「ヴィノガン様以外は入れるなと、申しつかっております。」
扉の前にいる侍従たちはそう言って、胡散臭そうに私たちを見る。
強行突破すれば、ヴィノガン様にバレる。
どうしたものかしら・・・。
そうだ!
私は周囲一帯の従者たちを、一瞬で凍らせた。
「大胆なことをするなぁ。
アイスリーは。」
ファイ様が感心しながら、扉の前の凍りついた侍従たちをどかせる。
「急ぎましょう!
長く凍結させれば、彼等自身が時間の空白に気づくわ。
その前に済ませましょう!」
私はすぐに寝室へと飛び込んだ。
中には、寝台で眠る王太后様と、そばで見ているアイシスがいる。
「アイシス!」
私は迷わず駆け寄った。
彼は驚いて王太后様を守るように、私の前に立つ。
「だ、誰?ボク・・・いや、私の名前を呼び捨てにするなんて!」
怯えた彼の表情に、私は素早くコンタクトを外して瞳を見せた。
「あれ?姉上様?な、何してるんです?
えー、こっそり会いに来たのにもうバレたんですかぁ?」
私はコンタクトをはめ直すと、アイシスの肩を掴んだ。
「しっ!すぐに国に帰りなさい!これはお前にこの国の国王夫妻を襲わせるための、計略なの!」
ファイ様は、私の横を抜けて素早く王太后様の口の中へ、レマニカルを含ませようとして、動きを止めた。
「・・・罠だ。」
「え?」
「王太后様じゃない!
これは人形だ!!
伏せろ!!」」
~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~
読んでくださってありがとうございました。
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※この物語はフィクションです。表現や人物、団体、学説などは作者の創作によるものです。
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「本当は、アイスローズ妃はダンジョンで死んだことを隠しておろう!?」
・・・え。
そっち?
その声を聞いて、ファイ様に変装したファイリアお義姉様が気絶する様に倒れる。アポロニお義兄様が侍従たちと一緒に抱えて、天幕の中に入っていく。
王妃様が、それを追うように一緒に入っていった。これできっと詳細は王様の耳にまで伝わるわね。
私は内心ほっとしながらも、体の震えがなかなか止まらない。
彼女の恫喝の迫力は、ベロジュの比じゃない。
でも、その本当の震えは、かえってヴィノガン様を納得させたみたいで。
「ふん、みろ、小鼠のように震えおって。
そんな状態で何が未来の皇太子妃だ。
お前は男のことと、その胸以外はさして取り柄のない小娘。まあ、駒としては使い道はまだあるがな。」
・・・レドリシアも散々な言われよう。
やっぱり彼女は、使い捨ての駒扱いなんだ。
ということは、試練の敗北も織り込み済み。
でも、レドリシアは自分を駒とは思ってない。
「こ、駒ですって!?
ヴィ、ヴィノガン様、私なしで殿下の心は射止められませんことよ?」
私の必死の言葉に、ヴィノガン様は鼻で笑って杖を下ろした。
「ふん、まあお前は、アイスローズ妃の亡き今、ファイバーンの寵愛を受ける可能性が高い。お前と付き合っていた当時のあいつは、荒みきっていたからなぁ。またあのようになれば、操りやすいのだがな。」
ダンジョンの中で、話を聞いていたからわかるわ。
えっと・・・中庭の見える廊下でファイ様と話していたレドリシアを見たから、彼女ならきっとこう言う。
「殿下は変わりましたわ。
私の知っている殿下ではございません。
ですが、彼の弱点はいつも『アイスリー』ですから。」
それを聞いたヴィノガン様は満足そうに頷いて、乗ってきた輿に戻ると、
「着替えたら、王太后様の宮で待て。
例のものを忘れるなよ。」
そう言って、魔神の心臓を入れた皮袋の方を指さして、ニヤリと笑った。
笑った瞬間ヨダレがダラリと大量に出てきて、全身から鳥肌が立つ。
ヴィノガン様の輿が丘の上の天幕まで戻っていくと、王様が彼女の方を見て、
「アイスローズ妃を亡くしたとなれば、ブリザードゥ国が黙っていませんよ、叔母上様。
この事態を招いた一人として、何かお言葉はないのですか!?」
と、厳しい口調で言った。
ヴィノガン様は、ヘラヘラと笑って輿から降りると、杖をガン!と鳴らした。
「どうもせん。
これは必然だ、王よ。
先王と王太后様の気の迷いで、和平協定など結んだが、我らは所詮敵同士の国なのだ。
心配するな、正当性は我らにある。」
「正当性ですって?」
「ブリザードゥ国は悪、ファイアストム国は正義。この構図こそ世界中が我らに味方をする、理由になるのだ。そのための手札は、もう、我々の手中にある。」
ヴィノガン様は、杖を持つ手をさすりながら、私たちを見下ろした。
「手札?また、私に黙ってことを動かしたのですか?」
隣の王様が、目を細めて彼女を睨む。
「王よ、その生意気な目を控えろ。
王太后様の身が誰の手の中にあるか、今一度思い出すが良い。
後世まで親不孝だと呼ばれる王に、お前はなりたくはなかろう?」
ヴィノガン様が、はっきりと王を脅した。
王様が悔しそうに唇を噛む。
「行こう、アイスリー。」
サラマンダムに変装したファイ様が、私の後ろに来て小声で声をかけた。
「でも・・・。」
「王なら大丈夫。王太后様を解毒し、アイシス皇太子を探す。そして焼印の解除。どれもまだ終わってない。それに、いつまでもアイスリーの肌を人目に晒したくない。」
う、そうだった。
確かに露出の多いこの格好は、恥ずかしい。
彼の言葉に、私も平静を装って歩き出した。
モタモタしてられない。
急がないと!
私は彼と王太后様の宮へと向かった。
レドリシアは、王太后様の宮の一角に部屋を与えられている。私は侍女を下がらせて一人になると、急いで甲冑を脱いでドレスを着た。
う・・・胸がブカブカ。
布だから甲冑の時より、露骨だわ。
わかっていたけど、何故か悲しい。
「ミャオ。」
ダイヤモンドダストが、背嚢の中から出てくる。
「しーっ。ダイヤモンドダスト、いい?
アイシスは、必ずお前の番のツララを連れてきているはずなの。お前なら気配を追えるでしょ・・・て、ええ!」
部屋の窓の外に、ツララがいた。
私を見て鳴こうとしたので、慌ててツララを中に入れて口を塞ぐ。
「レドリシア様?どうかなさいました?」
部屋の外から侍女が声をかけてきた。
「いいえ!あ・・・お黙りなさい!
呼ばれた時だけ返事をすればいいのよ!」
レドリシアを真似て、高圧的な口調で叫ぶ。
侍女はしゅんとなって、部屋の扉から離れていく足音が聞こえた。
ごめんね・・・ごめんなさい。
私は侍女に心の中で謝りながら、ツララを見た。
ダイヤモンドダストもすぐそばやってきて、二匹仲良く頭を擦り付け合っている。
「ツララがいるということは、ここにアイシスがいるのね。」
私は鏡を見ながら仕度を整えると、ツララを覗き込んだ。
ツララは、ダイヤモンドダストの番で雌猫。
この子も神獣。
「ミャ・・・」
「しー!ツララ、黙ってアイシスのところへ連れて行って!」
私は魔神の心臓を持って部屋から抜け出すと、サラマンダムに変装したままのファイ様と合流した。
「え、ツララがいる?どこに?」
ファイ様が怪訝な声で聞いてくる。
私は自分の胸元を指さした。
「ここに。この子が入ってくれて、ようやくサイズがちょうど良くなったの。」
「な、なるほど。ツララは、アイシス皇太子のところまで導けるのか?」
「えぇ、さりげなくついてきて。」
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見覚えのある扉の前に来た。
王太后様の寝室?
「ヴィノガン様以外は入れるなと、申しつかっております。」
扉の前にいる侍従たちはそう言って、胡散臭そうに私たちを見る。
強行突破すれば、ヴィノガン様にバレる。
どうしたものかしら・・・。
そうだ!
私は周囲一帯の従者たちを、一瞬で凍らせた。
「大胆なことをするなぁ。
アイスリーは。」
ファイ様が感心しながら、扉の前の凍りついた侍従たちをどかせる。
「急ぎましょう!
長く凍結させれば、彼等自身が時間の空白に気づくわ。
その前に済ませましょう!」
私はすぐに寝室へと飛び込んだ。
中には、寝台で眠る王太后様と、そばで見ているアイシスがいる。
「アイシス!」
私は迷わず駆け寄った。
彼は驚いて王太后様を守るように、私の前に立つ。
「だ、誰?ボク・・・いや、私の名前を呼び捨てにするなんて!」
怯えた彼の表情に、私は素早くコンタクトを外して瞳を見せた。
「あれ?姉上様?な、何してるんです?
えー、こっそり会いに来たのにもうバレたんですかぁ?」
私はコンタクトをはめ直すと、アイシスの肩を掴んだ。
「しっ!すぐに国に帰りなさい!これはお前にこの国の国王夫妻を襲わせるための、計略なの!」
ファイ様は、私の横を抜けて素早く王太后様の口の中へ、レマニカルを含ませようとして、動きを止めた。
「・・・罠だ。」
「え?」
「王太后様じゃない!
これは人形だ!!
伏せろ!!」」
~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~
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