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後編
王太后様の秘密の恋
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ファイ様も驚いて、枕元に近寄る。
「ダイヤモンドダスト・・・あの人は、火の試練を無事に終えたのね。
妹は・・・ヴィノガンはちゃんとあの人に、私の『種火』を渡してくれたのでしょう?」
『種火』?どういう意味かしら。
王太后様は、ゆっくり私の方を見て目を見開く。
「氷河の氷のような薄く青みがかった純白の髪、オッドアイの神獣の瞳・・・あぁ、誇り高き氷の民、アイシュペレサ。
愛しい人・・・。
私の心はずっとあなたと一緒よ・・・。」
え・・・ええ!!
まさか、氷の民と恋に堕ちた火の民とは、王太后様?
私はファイ様の方を見る。
ファイ様も驚いていて、慌てて話しかけた。
「王太后様、伺いたいことがあります。
アイスローズにかけた、貞操の焼印のことと、火の試練を受けることについて・・・。」
「アイシュペレサ・・・どうして一人で行ってしまったの?
私は・・・どこまでも・・・あなたと・・・行・・・。」
王太后様はファイ様の質問に答えず、また目が虚ろになると、口をモゴモゴさせるばかり。
「・・・だめか。」
ファイ様が呟いた途端、ファイアボールがけたたましく吠えて、杖の音が聞こえてきた。
私は慌ててカツラをかぶると、ダイヤモンドダストを籠に隠して、ファイ様の後ろに控える。
間をおかずに、ヴィノガン様が扉をバーン!と開け放した。
「お姉様!?
ファンティーヌ!?どうしたのです?
胸が痛いとおおせだ。
医師を呼ぶから退室しなさい!!」
私たちは急いで退室すると、王様と王妃様の元へと向かった。
途中レストルームで、侍女の変装を解く。
王太后様のこと、ちゃんと伝えないと。
謁見の間には、王様と王妃様、ファイ様の兄弟姉妹・・・それから有力貴族がニ人来ていた。
この人たちは、先王の信頼が特に厚かった貴族たちだわ。
勉強しておいて、よかった・・・。
「ちょうどよかった。
ファイとアイスローズ妃も、呼び出そうとしていたところだ。」
王様が言って、ファイ様に巻物を渡した。
開くとそこには、魔法の火による炙り出しで浮き出した文字が書かれている。
「アイスローズ妃の廃位と、レドリシア嬢の立后の承認ですって?」
ファイ様が驚きの声を上げる。
え、つまり私はファイ様と離婚して、代わりにレドリシアが妃になるということ?
パーニスお義姉様が、足をドン!と踏み鳴らした。
「ヴィノガン様たち、有力貴族たち全員にこの書簡を回していたの。
ここにいる、ボムパニス公と、ヒエン公が早馬で知らせてくれたからよかったものの!!」
二人の有力貴族が、私たちに挨拶をすると、説明をし始めた。
「これが魔法で届いたのは、つい先ほどでございます。
国の法律により、有力貴族の三分のニの承認は、王命と同等の強制力を持ちます。」
「差出人は、王太后様となっております。
先王亡き今、この国の貴族の多くは先の戦の英雄の一人である王太后様の命令に従うものが多数を占めます。」
・・・つまり、ほとんどの貴族たちは、この呼びかけの通りに、私を追い出すことに賛成するということね。
そんな。どうして?
「これは先王の遺言に逆らう、由々しき事態でございます。
また、我々は王太后様がこのように心変わりされたことを特におかしいと思っていたのです。」
ボムパニス公は髭の長い高齢の貴族で、王太后様たちと同世代に見える。
「ボムパニス公、手を打たねばアイスローズ妃は廃位されてしまう。
これは、ブリザードゥ国との間に決定的な亀裂を生むことになる。」
口を挟むヒエン公も、高齢の貴族だわ。
この二人は、私の廃位に反対の立場みたい。
王様と王妃様も、流石に怒っている。
「私を飛び越えて、勝手な真似を。
王太后様の命令というより、ヴィノガン叔母上様の意向だろう。」
「外堀から埋めてきたのですね。
なんということを。
私も、王太后様の真意とは思えません。」
本当にそんなに、私が嫌なの?
私・・・私は一生懸命ここに馴染もうとしてるし、皇太子妃としての修行もしてきたのに。
落ち込む私に、ファイ様が優しく語りかけてくる。
「アイスリー、顔を上げて。
これは、アイスリー個人が悪いんじゃない。」
そう言って、ファイ様はそこにいるみんなに、王太后様のことを話した。
話せないはずの王太后様が喋ったことも驚かれたけど、やっぱりアイシュペレサと恋に落ちた相手だったと言うことが一番驚かれる。
その話を聞いていた二人の公爵は、目を伏せながら軽く頷いた。
「・・・知っております。」
そう言ったのは、ヒエン公だった。
王様も王妃様も驚いている。
「二人は戦場で出会い、激しい恋に落ちました。
アイシュペレサは、当時のブリザードゥ国王の弟でとても強かった。
アイスローズ妃と同じ瞳を持ち、神獣ダイヤモンドダストとツララが常に傍らにおりました。」
「!!」
私と同じオッドアイ、すなわち神獣の瞳の持ち主だった?
でも、私の国では彼の記録はないし、聞いたこともない。
もしかしたら、お父様が生まれる前にお亡くなりになったのかもしれない。
ボムパニス公も、ヒエン公の話に頷いた。
「私も知っております。
彼は王太后様との恋を成就させるため、勝負のつかない現状を踏まえて戦の終結を打診。
自身をダイヤモンドダストと共に、人質として差し出してきたのです。」
そんな・・・。
でも、すごい人だわ。
恋のためにそこまで出来るなんて。
「戦は一旦休戦となり、二国間でさまざまな調整が行われました。その最中、禁断の魔法が撃ち放たれ、今の中つ森のあたりが『氷の火炎』で一気に燃え上がりました。」
「禁断の魔法?『氷の火炎』?」
「威力がありすぎて、恐ろしい破壊力をもたらす故に、使うことが禁止されている魔法の一つ。
氷の火炎は水や氷でも消せぬ、世界を滅ぼす破滅の炎なのです。」
「炎はブリザードゥ国だけでなく、ファイアストム国にまで迫りました。
アイシュペレサは、皆を助けるために持てる全ての力を使い、氷の火炎を身の内に取り込み息絶えたのです。」
二人の公爵は、苦いものを飲み込んだような顔をした。
「なに!?
彼は火の試練で、耐えきれずに亡くなったと、伝えられておるぞ?」
王様が言うと、
「お察しくださいませ。
王の御前だからこそ、事実をお伝えするのです。彼は氷の民でありながら、王太后様と添い遂げるために、火の試練を見事突破しました。
彼が亡くなったのは、その後のことですから。」
と、ボムパニス公は答えた。
え・・・ではなぜ、火の試練で亡くなったと変えられたのかしら。
当時は王太后様と敵であるアイシュペレサとの恋は、受け入れがたかったからかな。
ヒエン公は、片手で胸を押さえて、目を閉じる。
「彼の犠牲は、私やボムパニス公、一部の火の民の、氷の民に対する偏見を大きく変えました。以来王太后様や先王と共に、ブリザードゥ国との和解に尽力してきたのでございます。」
・・・私がここにいるのも、アイシュペレサのおかげともいえるわけね。
それにしても、火の試練は氷の民でも可能なんだ。
私と同じ神獣の瞳を持つ彼が攻略できたなら・・・。
そこへ、大勢の足音が聞こえてきた。
侍従たちの騒ぐ声がして、謁見の間の扉が開け放たれる。
ヴィノガン様を先頭に、レドリシアと有力貴族たちが、なだれ込むように入ってきた。
「なんのつもりです、叔母上様!!
王太后様の威光があるからと、勝手は困ります!」
ファイアストム国王が玉座から叫ぶと、ヴィノガン様はクスクスと笑う。
「王よ、有力貴族の三分のニがアイスローズ妃の廃位に賛成しましたぞ。」
~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~
読んでくださってありがとうございました。
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※この物語はフィクションです。表現や人物、団体、学説などは作者の創作によるものです。
「ダイヤモンドダスト・・・あの人は、火の試練を無事に終えたのね。
妹は・・・ヴィノガンはちゃんとあの人に、私の『種火』を渡してくれたのでしょう?」
『種火』?どういう意味かしら。
王太后様は、ゆっくり私の方を見て目を見開く。
「氷河の氷のような薄く青みがかった純白の髪、オッドアイの神獣の瞳・・・あぁ、誇り高き氷の民、アイシュペレサ。
愛しい人・・・。
私の心はずっとあなたと一緒よ・・・。」
え・・・ええ!!
まさか、氷の民と恋に堕ちた火の民とは、王太后様?
私はファイ様の方を見る。
ファイ様も驚いていて、慌てて話しかけた。
「王太后様、伺いたいことがあります。
アイスローズにかけた、貞操の焼印のことと、火の試練を受けることについて・・・。」
「アイシュペレサ・・・どうして一人で行ってしまったの?
私は・・・どこまでも・・・あなたと・・・行・・・。」
王太后様はファイ様の質問に答えず、また目が虚ろになると、口をモゴモゴさせるばかり。
「・・・だめか。」
ファイ様が呟いた途端、ファイアボールがけたたましく吠えて、杖の音が聞こえてきた。
私は慌ててカツラをかぶると、ダイヤモンドダストを籠に隠して、ファイ様の後ろに控える。
間をおかずに、ヴィノガン様が扉をバーン!と開け放した。
「お姉様!?
ファンティーヌ!?どうしたのです?
胸が痛いとおおせだ。
医師を呼ぶから退室しなさい!!」
私たちは急いで退室すると、王様と王妃様の元へと向かった。
途中レストルームで、侍女の変装を解く。
王太后様のこと、ちゃんと伝えないと。
謁見の間には、王様と王妃様、ファイ様の兄弟姉妹・・・それから有力貴族がニ人来ていた。
この人たちは、先王の信頼が特に厚かった貴族たちだわ。
勉強しておいて、よかった・・・。
「ちょうどよかった。
ファイとアイスローズ妃も、呼び出そうとしていたところだ。」
王様が言って、ファイ様に巻物を渡した。
開くとそこには、魔法の火による炙り出しで浮き出した文字が書かれている。
「アイスローズ妃の廃位と、レドリシア嬢の立后の承認ですって?」
ファイ様が驚きの声を上げる。
え、つまり私はファイ様と離婚して、代わりにレドリシアが妃になるということ?
パーニスお義姉様が、足をドン!と踏み鳴らした。
「ヴィノガン様たち、有力貴族たち全員にこの書簡を回していたの。
ここにいる、ボムパニス公と、ヒエン公が早馬で知らせてくれたからよかったものの!!」
二人の有力貴族が、私たちに挨拶をすると、説明をし始めた。
「これが魔法で届いたのは、つい先ほどでございます。
国の法律により、有力貴族の三分のニの承認は、王命と同等の強制力を持ちます。」
「差出人は、王太后様となっております。
先王亡き今、この国の貴族の多くは先の戦の英雄の一人である王太后様の命令に従うものが多数を占めます。」
・・・つまり、ほとんどの貴族たちは、この呼びかけの通りに、私を追い出すことに賛成するということね。
そんな。どうして?
「これは先王の遺言に逆らう、由々しき事態でございます。
また、我々は王太后様がこのように心変わりされたことを特におかしいと思っていたのです。」
ボムパニス公は髭の長い高齢の貴族で、王太后様たちと同世代に見える。
「ボムパニス公、手を打たねばアイスローズ妃は廃位されてしまう。
これは、ブリザードゥ国との間に決定的な亀裂を生むことになる。」
口を挟むヒエン公も、高齢の貴族だわ。
この二人は、私の廃位に反対の立場みたい。
王様と王妃様も、流石に怒っている。
「私を飛び越えて、勝手な真似を。
王太后様の命令というより、ヴィノガン叔母上様の意向だろう。」
「外堀から埋めてきたのですね。
なんということを。
私も、王太后様の真意とは思えません。」
本当にそんなに、私が嫌なの?
私・・・私は一生懸命ここに馴染もうとしてるし、皇太子妃としての修行もしてきたのに。
落ち込む私に、ファイ様が優しく語りかけてくる。
「アイスリー、顔を上げて。
これは、アイスリー個人が悪いんじゃない。」
そう言って、ファイ様はそこにいるみんなに、王太后様のことを話した。
話せないはずの王太后様が喋ったことも驚かれたけど、やっぱりアイシュペレサと恋に落ちた相手だったと言うことが一番驚かれる。
その話を聞いていた二人の公爵は、目を伏せながら軽く頷いた。
「・・・知っております。」
そう言ったのは、ヒエン公だった。
王様も王妃様も驚いている。
「二人は戦場で出会い、激しい恋に落ちました。
アイシュペレサは、当時のブリザードゥ国王の弟でとても強かった。
アイスローズ妃と同じ瞳を持ち、神獣ダイヤモンドダストとツララが常に傍らにおりました。」
「!!」
私と同じオッドアイ、すなわち神獣の瞳の持ち主だった?
でも、私の国では彼の記録はないし、聞いたこともない。
もしかしたら、お父様が生まれる前にお亡くなりになったのかもしれない。
ボムパニス公も、ヒエン公の話に頷いた。
「私も知っております。
彼は王太后様との恋を成就させるため、勝負のつかない現状を踏まえて戦の終結を打診。
自身をダイヤモンドダストと共に、人質として差し出してきたのです。」
そんな・・・。
でも、すごい人だわ。
恋のためにそこまで出来るなんて。
「戦は一旦休戦となり、二国間でさまざまな調整が行われました。その最中、禁断の魔法が撃ち放たれ、今の中つ森のあたりが『氷の火炎』で一気に燃え上がりました。」
「禁断の魔法?『氷の火炎』?」
「威力がありすぎて、恐ろしい破壊力をもたらす故に、使うことが禁止されている魔法の一つ。
氷の火炎は水や氷でも消せぬ、世界を滅ぼす破滅の炎なのです。」
「炎はブリザードゥ国だけでなく、ファイアストム国にまで迫りました。
アイシュペレサは、皆を助けるために持てる全ての力を使い、氷の火炎を身の内に取り込み息絶えたのです。」
二人の公爵は、苦いものを飲み込んだような顔をした。
「なに!?
彼は火の試練で、耐えきれずに亡くなったと、伝えられておるぞ?」
王様が言うと、
「お察しくださいませ。
王の御前だからこそ、事実をお伝えするのです。彼は氷の民でありながら、王太后様と添い遂げるために、火の試練を見事突破しました。
彼が亡くなったのは、その後のことですから。」
と、ボムパニス公は答えた。
え・・・ではなぜ、火の試練で亡くなったと変えられたのかしら。
当時は王太后様と敵であるアイシュペレサとの恋は、受け入れがたかったからかな。
ヒエン公は、片手で胸を押さえて、目を閉じる。
「彼の犠牲は、私やボムパニス公、一部の火の民の、氷の民に対する偏見を大きく変えました。以来王太后様や先王と共に、ブリザードゥ国との和解に尽力してきたのでございます。」
・・・私がここにいるのも、アイシュペレサのおかげともいえるわけね。
それにしても、火の試練は氷の民でも可能なんだ。
私と同じ神獣の瞳を持つ彼が攻略できたなら・・・。
そこへ、大勢の足音が聞こえてきた。
侍従たちの騒ぐ声がして、謁見の間の扉が開け放たれる。
ヴィノガン様を先頭に、レドリシアと有力貴族たちが、なだれ込むように入ってきた。
「なんのつもりです、叔母上様!!
王太后様の威光があるからと、勝手は困ります!」
ファイアストム国王が玉座から叫ぶと、ヴィノガン様はクスクスと笑う。
「王よ、有力貴族の三分のニがアイスローズ妃の廃位に賛成しましたぞ。」
~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~
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