上 下
66 / 76
番外編 シャーリーン視点(本編)

小姑みたいだけど、心配なの

しおりを挟む
ライカ姫とティモシー王子の結婚式の日。
私は馬車の中で、レモニー様を待ってた。

着替えのドレスを準備して待ってたら、すごくきらきらした顔のレモニー様が飛び込んできた。

こんな生き生きした顔のレモニー様は、久しぶりだ。

レモニー様を着替えさせて、フェシャティナフィアの監獄へと向かう。

私が面会の手続きしている間に、レモニー様はあの元左大臣、マロマロ卿に、また文句言われてた。
なんでこんな入り口近くに、この人の牢があるんだか。

しかもやたらと豪華。

レモニー様は完全無視してたけど、マロマロ卿の奴が、変に体をくねりだして、ライオネルが喧嘩をして重犯罪者用の地下牢に入れられたと、レモニー様に言っているのが聞こえた。

ええ!?

こんなところで喧嘩したら、そりゃ罪が重くなるよ。

私は面会手続きの係官にそれとなく、話を聞いた。

そしたら、マロマロ卿が逃げ出そうと、囚人にお金を渡して喧嘩を起こし、その隙を突こうとしたら、ライオネルが止めたんだって。

慌てて、レモニー様に伝えたよ。

レモニー様はここの所長のキリに、直談判に行った。

このキリ、て人顔が無茶苦茶怖いんだよね。

レモニー様も最初はびびってたけど、今日という今日は食い下がってた。

・・・気のせいかなあ。
キリ所長、顔が赤いわ。

そりゃ、レモニー様も綺麗な人だもんね。

なんとかライオネルに会えることになって、面会室で待ってたら、ライオネルが飛び込んできて、危険だから逃げろと叫んだ。

そしたら私はいきなり3人の囚人に捕まえられて、レモニー様がマロマロ卿に連れ去られちゃった!

待てこらぁ!!!

そう思ってたら、ライオネルがいきなり面会室の窓を椅子でかち割ったの。

こ、こわ・・・。
強化ガラスよ?
分厚いやつよ?

なんで割れるのよ・・・。

おまけに、片目が怖いくらいギラギラしてんの。

あっという間に、私を捕まえた囚人たちをのしちゃった。

すごい!!

そこから2人でいっぱい倒したよ。

レモニー様を乗せた船が動きだしたから、もちろん飛び乗った。

絶対助けるんだから!

船員も全部倒して、船室に入ってマロマロ卿に捕まったレモニー様を見つけた。

いや、何このキモオヤジ!
レモニー様の手足縛って、肩を抱き寄せてんの!

おまけにナイフまで喉に突きつけてる!

・・・どうするか・・・飛び蹴りか?

そう思ってたら、ライオネルが殺気を剥き出しにして、ズカズカ近づいていくの。

やっちゃえ!

と、思ってたら嵐が来てレモニー様が、割れた窓から海に投げ出されちゃった。

ライオネルが急いで飛び込んで、レモニー様を追いかける。

私はすぐ救命艇を降ろして彼を追いかけようとしたら、後ろからマロマロ卿にしがみつかれた。

「怖いでおじゃるー!!」

知るか!!!

私は肘鉄を喰らわすと、浮き輪で拘束して、救命艇に飛び乗った。

ライオネルとレモニー様を救命艇にあげて、しばらく海の上を漂った。

レモニー様、大丈夫かな。
目を覚まさないの。

見知らぬ港について、レモニー様を見たら、顔が真っ青なの。
やばい!
海に落ちてるから冷えるのが早いんだ!!

必死にさするけど、間に合わない。

「レモニー様!!」

ライオネルが素早くレモニー様を抱えて、ついてこいというから、ついていったら、宿屋みたいなお屋敷があって、すぐに部屋に通された。

「隣の部屋に行って着替えろ!
済んだら、医者を呼んできてくれ!!」

と、ライオネルに言われて、隣の部屋に入ったよ。

そしたら、暖炉付きのいい部屋で、クローゼットに服がそろってた。

引き出しを開けると肌着とタオルが入ってたから、さっと拭いて、服を着替える。

え、えっと、医者を?

どこに行けば?

私はライオネルたちが入った部屋を開けて、医者の場所を聞こうとして、ものすごく驚いた。

ええ!?
なんでライオネルとレモニー様ベットに入ってんの!?

「俺の体温で温めてる間に、早く医者を呼んでくれ!
ここから突き当たりの角を曲がって左にでると、病院がある。
俺の名前を出せばすぐに来てくれる!!」

と、ライオネルが必死に言ったので、迫力に押されるようにそこへ走った。

・・・いいのかな・・・あれ。

と、思ったけど、とにかく医者を連れて行く。

口の堅そうな、真面目なお医者様だった。

ちゃんと診察してくれて、大丈夫だって言ったから、ほっとしたよ。

でも、ライオネルさ、全然レモニー様を離さないの。

助けたいのはわかるけど、なーんか引っかかるのよね。

レモニー様が悲鳴を上げたら、すぐに駆けつけよう。

どれくらい経ったかなー。

ライオネルがレモニー様が目を覚ましたと言って、部屋に呼びにきたの。

すぐに行って、レモニー様に白湯を飲ませて、状況を説明する。

レモニー様ずっと顔が赤い。
見た感じ変なことされてないみたい。
よかった。

服を着せて、ライオネルも呼んであげる。

2人で色々話してるけど、なに、この空気感。

そう思ってたら、部屋に訪問者があった。

わわ!
ケルフェネス王子!

わあー、今日も素敵だこの人。

なんと、ケルフェネス王子はライオネルの弟で、ライオネルはこのシャトラ国の元王子なんだって!!

おまけに今度はレモニー様に魔女の嫌疑までかけられたと、ケルフェネス王子は教えてくれた。

魔女なんて・・・やっと悪女の汚名返上したかと思ったら今度はこれ?

そう思ってたら、レモニー様気を失ってさ。
ライオネルの服の袖を握り込んで離さないものだから、またライオネルが添い寝してた。

「何度も言うけど、そこまでしなくていいよ、ライオネル。服なんか上着脱いじゃえばいいんだからさ。」

と、ケルフェネス王子が帰ったあと、私はライオネルに言ったんだ。

「いいよ。
もうついでにここで寝る。
何かあったら呼ぶよ。」

と、ライオネルは言うもんだから、

「ねぇ、ライオネル。
確認していい?
レモニー様のこと好き?」

と、聞いた。

はっきりしときたいんだよね。
叶わぬ恋はティモシー王子で経験済み。
失恋ばかりではレモニー様が可哀想だし、ダメなら無理にでも連れて帰りたい。

「・・・。」

「ここまでしてくれて、遊びとは思わないんだけど、ティモシー王子の時みたいに、泣かされるの嫌なんだよ。
正直に言ってライオネル。
変に優しくすると、レモニー様は期待しちゃうよ。」

「・・・俺は・・・。
彼女から離れたくない・・・。」

「てことは、好き、てこと?」

「わからない。
今まで、そうなるように決められてきたから・・・。」

「は?」

「いや、ごめん。
変なことはしないよ。
さっきも何もしなかったろ?」

「はっきりしないなあ!
そうやってくっついてたら、何か起きるのは時間の問題なの。
レモニー様の心と体を気まぐれにもてあそばないで!」

「それはない。」

ライオネルは、低い声で断言してきた。

「え・・・。」

「俺自身よりも大切な人だ。
それは約束する。」

「・・・わかったよ。」

そう言うしかないじゃない。
この声は本気の声だ。
とりあえず部屋に戻って眠ったよ。
多分何も起きない、多分・・・。



~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~

読んでくださってありがとうございました。
お気に召したら、お気に入り登録してくださるとうれしいです♫ とても励みになります。

※この物語はフィクションです。表現や人物、団体、学説などは作者の創作によるものです。



しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?

すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。 翔馬「俺、チャーハン。」 宏斗「俺もー。」 航平「俺、から揚げつけてー。」 優弥「俺はスープ付き。」 みんなガタイがよく、男前。 ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」 慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。 終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。 ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」 保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。 私は子供と一緒に・・・暮らしてる。 ーーーーーーーーーーーーーーーー 翔馬「おいおい嘘だろ?」 宏斗「子供・・・いたんだ・・。」 航平「いくつん時の子だよ・・・・。」 優弥「マジか・・・。」 消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。 太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。 「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」 「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」 ※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。 ※感想やコメントは受け付けることができません。 メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。 楽しんでいただけたら嬉しく思います。

悪役令嬢予定でしたが、無言でいたら、ヒロインがいつの間にか居なくなっていました

toyjoy11
恋愛
題名通りの内容。 一応、TSですが、主人公は元から性的思考がありませんので、問題無いと思います。 主人公、リース・マグノイア公爵令嬢は前世から寡黙な人物だった。その為、初っぱなの王子との喧嘩イベントをスルー。たった、それだけしか彼女はしていないのだが、自他共に関連する乙女ゲームや18禁ゲームのフラグがボキボキ折れまくった話。 完結済。ハッピーエンドです。 8/2からは閑話を書けたときに追加します。 ランクインさせて頂き、本当にありがとうございます(*- -)(*_ _)ペコリ お読み頂き本当にありがとうございます(*- -)(*_ _)ペコリ 応援、アドバイス、感想、お気に入り、しおり登録等とても有り難いです。 12/9の9時の投稿で一応完結と致します。 更新、お待たせして申し訳ありません。後は、落ち着いたら投稿します。 ありがとうございました!

公爵閣下に嫁いだら、「お前を愛することはない。その代わり好きにしろ」と言われたので好き勝手にさせていただきます

柴野
恋愛
伯爵令嬢エメリィ・フォンストは、親に売られるようにして公爵閣下に嫁いだ。 社交界では悪女と名高かったものの、それは全て妹の仕業で実はいわゆるドアマットヒロインなエメリィ。これでようやく幸せになると思っていたのに、彼女は夫となる人に「お前を愛することはない。代わりに好きにしろ」と言われたので、言われた通り好き勝手にすることにした――。 ※本編&後日談ともに完結済み。ハッピーエンドです。 ※主人公がめちゃくちゃ腹黒になりますので要注意! ※小説家になろう、カクヨムにも重複投稿しています。

王子好きすぎ拗らせ転生悪役令嬢は、王子の溺愛に気づかない

エヌ
恋愛
私の前世の記憶によると、どうやら私は悪役令嬢ポジションにいるらしい 最後はもしかしたら全財産を失ってどこかに飛ばされるかもしれない。 でも大好きな王子には、幸せになってほしいと思う。

立派な王太子妃~妃の幸せは誰が考えるのか~

矢野りと
恋愛
ある日王太子妃は夫である王太子の不貞の現場を目撃してしまう。愛している夫の裏切りに傷つきながらも、やり直したいと周りに助言を求めるが‥‥。 隠れて不貞を続ける夫を見続けていくうちに壊れていく妻。 周りが気づいた時は何もかも手遅れだった…。 ※設定はゆるいです。

目が覚めたら夫と子供がいました

青井陸
恋愛
とある公爵家の若い公爵夫人、シャルロットが毒の入ったのお茶を飲んで倒れた。 1週間寝たきりのシャルロットが目を覚ましたとき、幼い可愛い男の子がいた。 「…お母様?よかった…誰か!お母様が!!!!」 「…あなた誰?」 16歳で政略結婚によって公爵家に嫁いだ、元伯爵令嬢のシャルロット。 シャルロットは一目惚れであったが、夫のハロルドは結婚前からシャルロットには冷たい。 そんな関係の二人が、シャルロットが毒によって記憶をなくしたことにより少しずつ変わっていく。 なろう様でも同時掲載しています。

ただいま冷徹上司を調・教・中!

伊吹美香
恋愛
同期から男を寝取られ棄てられた崖っぷちOL 久瀬千尋(くぜちひろ)28歳    × 容姿端麗で仕事もでき一目置かれる恋愛下手課長 平嶋凱莉(ひらしまかいり)35歳 二人はひょんなことから(仮)恋人になることに。 今まで知らなかった素顔を知るたびに、二人の関係は近くなる。 意地と恥から始まった(仮)恋人は(本)恋人になれるのか?

未亡人クローディアが夫を亡くした理由

臣桜
キャラ文芸
老齢の辺境伯、バフェット伯が亡くなった。 しかしその若き未亡人クローディアは、夫が亡くなったばかりだというのに、喪服とは色ばかりの艶やかな姿をして、毎晩舞踏会でダンスに興じる。 うら若き未亡人はなぜ老齢の辺境伯に嫁いだのか。なぜ彼女は夫が亡くなったばかりだというのに、楽しげに振る舞っているのか。 クローディアには、夫が亡くなった理由を知らなければならない理由があった――。 ※ 表紙はニジジャーニーで生成しました

処理中です...