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1章

プロローグ

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この世界には、数百年に一度、必ず魔族の長たる魔王が生まれる。

神々が創造し、豊かに広がる世界を手に入れるため。

その度に、神々は勇者を一人、世界に降臨させ、魔王を滅ぼしてきた。

勇者は天が選ぶ。

その魂は転生を繰り返し、苦しみを乗り越え、鍛え抜かれて行き。

そして、約束された強さと神器を持つ資格を持ち、ずば抜けた天運を味方にして生まれてくる。

天地創造以来、数多くの勇者が魔王と戦い、伝説を残し、世界の平和が守られてきた。

勇者たちは英雄と呼ばれ、人々から愛される。

『天が選んだ英雄は絶対』

誰もがそう信じ、英雄を讃え、その素質を疑うものはない。

そんな時代に。

ある勇者に随伴する無名の若者が一人、絶体絶命のピンチを迎えていた。

彼はこの危機に、神々すら予想していなかった力を手に入れる。

そう、まさにこの時。
この瞬間に。

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