17 / 91
危険な遭遇
しおりを挟む
「あ、そうだ。シルヴィア、水浴びでもしてきたら? 汗で気持ちが悪いでしょ」
フェレミスの言葉に、思わず服の匂いを嗅ぐ。
う、汗くさい。
「この通りを少し奥に行くと、森があって湖もあるから、案内するよ」
ランヴァルトが立ち上がる。
「俺が見張っててやるから、安心して浴びてていいよ!」
フェレミスが、ニコニコしてついてこようとした。
ランヴァルトが、慌てて彼の肩を掴む。
「危険人物が何を言うんだ」
「お互い様だろ」
また、二人の火花が散ってる。
まったくもう。
「見張りは、モーガンがするからいいわ。ランヴァルト、その森はあそこでしょ?」
私が歩き出すと、二人ともがっかりしてる。
モーガンは飛べるし、高いところから見下ろせるから、広範囲に目がいくじゃない。
昼間でも、モーガンは大丈夫なフクロウなの。
私はモーガンを連れて、着替えを持つと、森の方に行くことにした。
深い木々の奥まったところに、大きな湖がある。よかった、誰もいない。
吸血鬼は、水が苦手というけど、私は平気。
茂みに目隠し用の布を張ってから、服を脱いで湖に入り、その心地よさを全身で感じる。
パチャパチャと水浴びをして、くつろいでいると、
「ギュル!」
モーガンの警戒音が響いて、周辺の動物たちが静まりかえった。
音がしない……静寂を痛いほど感じる。
私がモーガンを見ると、モーガンは怯えて木の枝に擬態して固まっていた。
私は立ち泳ぎをして、いつでも牙を立てられるように、奥歯を歯茎にあてる。
「小さなシルヴィア」
聞き慣れた声に思わず奥歯を噛み締めて、慌てて血を飲み込んだ。
隠れなきゃ!
あの時と同じように、瞬時に体を透明化させる。
そんな私の目の前に、上着を脱いで湖に入ってきたディミトリがいた。
い、いつの間に!?
こんなに近くに出てきていたの?
もし、遅れていたら捕まっていた。
これが今の私と、ディミトリの力の差なんだ。
こうやって隠れるしか、今はできない。
ディミトリは水を怖がることもなく、湖で泳ぎながら辺りを見回している。
彼も水を恐れないのね。
ん? もう一人誰かいる?
なんだろぅ……嫌な感じの人。
「グフフフ、君は本当にすごい吸血鬼だねぇ、ディミトリ。あらゆる弱点を克服し、真昼の太陽ですら、適応している」
湖のほとりに来て、ディミトリを見ながらそう話すのは、法衣に身を包んだ神官。
誰なの? 身分の高そうな人。
でも、嫌らしい雰囲気がでてるわ。好色、て感じね。
当のディミトリは、うるさそうに彼を見ている。
「そう作ったのはあんたらでしょうに。私は今、探し物の最中だ」
「探し物?」
「あぁ。ずっと探していた私の愛しい獲物。ここにいたはずなのに、幻のように消えた」
「グフフフ、えらくご執心だな」
「愛しているからな。まさか、生きていたとは……。いや、やはり幻なのか……?」
ディミトリは、なかなか湖から出ない。
私は透明化を保ったまま、彼を見つめた。
大きなシルヴィアの仇……!!
今なら湖に引き込むこともできる。
千載一遇の機会!!
ディミトリの首を落とせれば、きっと倒せる。
そこへ、祈りの家にいたヴァンパイアハンターが、二人現れた。
あ、この人たち、まさか!!
神官はさっと木陰に隠れて、ハンターたちは気づかずにディミトリに武器を構える。
「足場の悪い湖の中とはな!」
「おい、見つけたら、ダグラス神官様にまずは報告だろうよ!」
「は! 仲良くみんなで、なんてしていたら、懸賞金まで分け合う羽目になるぜ!!」
「確かにな。覚悟しろ、ディミトリ!!」
ディミトリは、ゆったりと2人を見て、美しい顔でにっこり笑うと、
「やってみろ。勝てるならな。ほら、私は一人だぞ」
と、冷たい声で言った。
ハンターの一人が、大型の銃を撃ってディミトリの首を抉り、もう一人が投げナイフを投げて、皮一枚でつながっていた、彼の首を落とす。
首が落ちた!?
傷口から、灰混じりの煙のような血が噴き出す。
!? あれは……あれは、新種たちと同じ血の噴き出し方。
彼は純血の吸血鬼じゃないの!?
そういえば、フェレミスが言ってた。
彼は自分の主人の牙を、長年薬で抑制しながら定着させたと。
まさか、彼は元“しもべ”の吸血鬼?
そんな……それなら何故首を斬られて生きてるの?
彼の体は一向に倒れない。その代わり、切断された断面を守るように、両手がかざされていることが、気になった。
まるで、太陽の光を入れないようにしてるみたい……。
「やったか!?」
「首はどこだ? 湖の中に落ちたのか?」
ハンターの一人が湖の中を覗き込んだその時、湖面から突然首が飛び出してきた。
「ぐわ! あ、あ、あががが!!」
首だけになったディミトリが、ハンターの首に咬みつき、すごい勢いで吸血している。
「くそ! 首が落ちたのに、死なないだと!?」
もう一人のハンターが、首を引き剥がすために剣を振り下ろそうとして、同じように咬みつかれて餌食になる。
首だけで動いてる!! 弱点は首じゃないんだ!!
血を飲み終えたディミトリの体は、ゆっくり湖を出て首を拾うと、元のようにくっつけた。
こんな、こんな……どうしよう、このままじゃ……。
血を吸われたハンターたちの遺体は、青白く変わり、次に血管が浮き出て土気色に変わり始めている。
吸血鬼化が早い!
普通は半刻ほどかかるのに!!
「シルヴィア!!」
さっきの戦いの気配を察知した、ランヴァルトとフェレミスが、湖の近くまで走ってくる。
いけない!! この二人はこのことを知らない!!
「シルヴィアだと……?」
ディミトリは、面白そうに二人を見る。
「ディミトリ……!!」
フェレミスが、驚愕の眼差しで彼を見て、ハンターの遺体を目線だけで捉える。
「こいつが! こいつが……こいつがあの!?」
ディミトリの名前を聞いた、ランヴァルトの表情が一瞬で変わった。
憎しみと恨みを込めた目でディミトリを睨み、彼の片目が金色に光りだす。
ランヴァルト……だめ!
私は湖を上がって透明化を解くと、服を着替えるために枝にかけていた目隠し用の布を纏って、彼の元へと急ぐ。
その瞬間、ディミトリが私の気配に気づいて、高速移動をしてきた。
「あ!!」
「みーつけた」
ディミトリがあの日と同じように、私に向かって嬉しそうに声をかけてくる。
「ディミトリ!!」
「やっと見つけた。愛する小さなシルヴィア。さぁ、おいで……」
そのまま抱きしめられて、体が恐怖で硬直する。
ディミトリ……!
戦わなきゃ! 倒さなきゃ! こいつは仇なのに!!
体が鉛のように重くて、動かない。
動け……動け!!
「美しくなったな、さぁ、血を飲ませてくれ。そして、その肉体を私と同化させよう。大きなシルヴィアのように……」
ディミトリは、素早く私の首筋に噛みつこうとする。
「ひ!!」
『吸血鬼の襲撃にゆっくりはない』と、フェレミスにも言われていたのに。
でも、何故かディミトリは牙を立てずに寸止めして、匂いを嗅いでいる。
え……? なに?
「ディミトリ!!」
「彼女を放せ!!」
そこへ、フェレミスとランヴァルトが走り込んできた。
頸を噛まれそうになっている私の状況に、二人とも顔を顰めてすぐに殺気立つ。
「ランヴァルト! 彼女を助けることだけ考えようぜ。今倒そうなんて絶対に……」
フェレミスが声をかける間もなく、ランヴァルトは剣を抜いていた。
「ディミトリィィー!!」
「よせ! ランヴァルト!!」
フェレミスの制止も彼は聞かない。
ディミトリは、私を離すと後ろに飛び退いて、ランヴァルトに指先でこっちに来いと合図する。
「ランヴァルト! だめぇ!!」
私の叫び声を無視して、ランヴァルトは俊足でディミトリへと突進していった。
~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~
『続きが気になる』と思ったら、お気に入り登録お願いします♫ とても励みになります。
※この物語はフィクションです。表現や人物、団体、学説などは作者の創作によるものです。
フェレミスの言葉に、思わず服の匂いを嗅ぐ。
う、汗くさい。
「この通りを少し奥に行くと、森があって湖もあるから、案内するよ」
ランヴァルトが立ち上がる。
「俺が見張っててやるから、安心して浴びてていいよ!」
フェレミスが、ニコニコしてついてこようとした。
ランヴァルトが、慌てて彼の肩を掴む。
「危険人物が何を言うんだ」
「お互い様だろ」
また、二人の火花が散ってる。
まったくもう。
「見張りは、モーガンがするからいいわ。ランヴァルト、その森はあそこでしょ?」
私が歩き出すと、二人ともがっかりしてる。
モーガンは飛べるし、高いところから見下ろせるから、広範囲に目がいくじゃない。
昼間でも、モーガンは大丈夫なフクロウなの。
私はモーガンを連れて、着替えを持つと、森の方に行くことにした。
深い木々の奥まったところに、大きな湖がある。よかった、誰もいない。
吸血鬼は、水が苦手というけど、私は平気。
茂みに目隠し用の布を張ってから、服を脱いで湖に入り、その心地よさを全身で感じる。
パチャパチャと水浴びをして、くつろいでいると、
「ギュル!」
モーガンの警戒音が響いて、周辺の動物たちが静まりかえった。
音がしない……静寂を痛いほど感じる。
私がモーガンを見ると、モーガンは怯えて木の枝に擬態して固まっていた。
私は立ち泳ぎをして、いつでも牙を立てられるように、奥歯を歯茎にあてる。
「小さなシルヴィア」
聞き慣れた声に思わず奥歯を噛み締めて、慌てて血を飲み込んだ。
隠れなきゃ!
あの時と同じように、瞬時に体を透明化させる。
そんな私の目の前に、上着を脱いで湖に入ってきたディミトリがいた。
い、いつの間に!?
こんなに近くに出てきていたの?
もし、遅れていたら捕まっていた。
これが今の私と、ディミトリの力の差なんだ。
こうやって隠れるしか、今はできない。
ディミトリは水を怖がることもなく、湖で泳ぎながら辺りを見回している。
彼も水を恐れないのね。
ん? もう一人誰かいる?
なんだろぅ……嫌な感じの人。
「グフフフ、君は本当にすごい吸血鬼だねぇ、ディミトリ。あらゆる弱点を克服し、真昼の太陽ですら、適応している」
湖のほとりに来て、ディミトリを見ながらそう話すのは、法衣に身を包んだ神官。
誰なの? 身分の高そうな人。
でも、嫌らしい雰囲気がでてるわ。好色、て感じね。
当のディミトリは、うるさそうに彼を見ている。
「そう作ったのはあんたらでしょうに。私は今、探し物の最中だ」
「探し物?」
「あぁ。ずっと探していた私の愛しい獲物。ここにいたはずなのに、幻のように消えた」
「グフフフ、えらくご執心だな」
「愛しているからな。まさか、生きていたとは……。いや、やはり幻なのか……?」
ディミトリは、なかなか湖から出ない。
私は透明化を保ったまま、彼を見つめた。
大きなシルヴィアの仇……!!
今なら湖に引き込むこともできる。
千載一遇の機会!!
ディミトリの首を落とせれば、きっと倒せる。
そこへ、祈りの家にいたヴァンパイアハンターが、二人現れた。
あ、この人たち、まさか!!
神官はさっと木陰に隠れて、ハンターたちは気づかずにディミトリに武器を構える。
「足場の悪い湖の中とはな!」
「おい、見つけたら、ダグラス神官様にまずは報告だろうよ!」
「は! 仲良くみんなで、なんてしていたら、懸賞金まで分け合う羽目になるぜ!!」
「確かにな。覚悟しろ、ディミトリ!!」
ディミトリは、ゆったりと2人を見て、美しい顔でにっこり笑うと、
「やってみろ。勝てるならな。ほら、私は一人だぞ」
と、冷たい声で言った。
ハンターの一人が、大型の銃を撃ってディミトリの首を抉り、もう一人が投げナイフを投げて、皮一枚でつながっていた、彼の首を落とす。
首が落ちた!?
傷口から、灰混じりの煙のような血が噴き出す。
!? あれは……あれは、新種たちと同じ血の噴き出し方。
彼は純血の吸血鬼じゃないの!?
そういえば、フェレミスが言ってた。
彼は自分の主人の牙を、長年薬で抑制しながら定着させたと。
まさか、彼は元“しもべ”の吸血鬼?
そんな……それなら何故首を斬られて生きてるの?
彼の体は一向に倒れない。その代わり、切断された断面を守るように、両手がかざされていることが、気になった。
まるで、太陽の光を入れないようにしてるみたい……。
「やったか!?」
「首はどこだ? 湖の中に落ちたのか?」
ハンターの一人が湖の中を覗き込んだその時、湖面から突然首が飛び出してきた。
「ぐわ! あ、あ、あががが!!」
首だけになったディミトリが、ハンターの首に咬みつき、すごい勢いで吸血している。
「くそ! 首が落ちたのに、死なないだと!?」
もう一人のハンターが、首を引き剥がすために剣を振り下ろそうとして、同じように咬みつかれて餌食になる。
首だけで動いてる!! 弱点は首じゃないんだ!!
血を飲み終えたディミトリの体は、ゆっくり湖を出て首を拾うと、元のようにくっつけた。
こんな、こんな……どうしよう、このままじゃ……。
血を吸われたハンターたちの遺体は、青白く変わり、次に血管が浮き出て土気色に変わり始めている。
吸血鬼化が早い!
普通は半刻ほどかかるのに!!
「シルヴィア!!」
さっきの戦いの気配を察知した、ランヴァルトとフェレミスが、湖の近くまで走ってくる。
いけない!! この二人はこのことを知らない!!
「シルヴィアだと……?」
ディミトリは、面白そうに二人を見る。
「ディミトリ……!!」
フェレミスが、驚愕の眼差しで彼を見て、ハンターの遺体を目線だけで捉える。
「こいつが! こいつが……こいつがあの!?」
ディミトリの名前を聞いた、ランヴァルトの表情が一瞬で変わった。
憎しみと恨みを込めた目でディミトリを睨み、彼の片目が金色に光りだす。
ランヴァルト……だめ!
私は湖を上がって透明化を解くと、服を着替えるために枝にかけていた目隠し用の布を纏って、彼の元へと急ぐ。
その瞬間、ディミトリが私の気配に気づいて、高速移動をしてきた。
「あ!!」
「みーつけた」
ディミトリがあの日と同じように、私に向かって嬉しそうに声をかけてくる。
「ディミトリ!!」
「やっと見つけた。愛する小さなシルヴィア。さぁ、おいで……」
そのまま抱きしめられて、体が恐怖で硬直する。
ディミトリ……!
戦わなきゃ! 倒さなきゃ! こいつは仇なのに!!
体が鉛のように重くて、動かない。
動け……動け!!
「美しくなったな、さぁ、血を飲ませてくれ。そして、その肉体を私と同化させよう。大きなシルヴィアのように……」
ディミトリは、素早く私の首筋に噛みつこうとする。
「ひ!!」
『吸血鬼の襲撃にゆっくりはない』と、フェレミスにも言われていたのに。
でも、何故かディミトリは牙を立てずに寸止めして、匂いを嗅いでいる。
え……? なに?
「ディミトリ!!」
「彼女を放せ!!」
そこへ、フェレミスとランヴァルトが走り込んできた。
頸を噛まれそうになっている私の状況に、二人とも顔を顰めてすぐに殺気立つ。
「ランヴァルト! 彼女を助けることだけ考えようぜ。今倒そうなんて絶対に……」
フェレミスが声をかける間もなく、ランヴァルトは剣を抜いていた。
「ディミトリィィー!!」
「よせ! ランヴァルト!!」
フェレミスの制止も彼は聞かない。
ディミトリは、私を離すと後ろに飛び退いて、ランヴァルトに指先でこっちに来いと合図する。
「ランヴァルト! だめぇ!!」
私の叫び声を無視して、ランヴァルトは俊足でディミトリへと突進していった。
~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~
『続きが気になる』と思ったら、お気に入り登録お願いします♫ とても励みになります。
※この物語はフィクションです。表現や人物、団体、学説などは作者の創作によるものです。
0
お気に入りに追加
7
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
対人恐怖症は異世界でも下を向きがち
こう7
ファンタジー
円堂 康太(えんどう こうた)は、小学生時代のトラウマから対人恐怖症に陥っていた。学校にほとんど行かず、最大移動距離は200m先のコンビニ。
そんな彼は、とある事故をきっかけに神様と出会う。
そして、過保護な神様は異世界フィルロードで生きてもらうために多くの力を与える。
人と極力関わりたくない彼を、老若男女のフラグさん達がじわじわと近づいてくる。
容赦なく迫ってくるフラグさん。
康太は回避するのか、それとも受け入れて前へと進むのか。
なるべく間隔を空けず更新しようと思います!
よかったら、読んでください
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
ドマゾネスの掟 ~ドMな褐色少女は僕に責められたがっている~
桂
ファンタジー
探検家の主人公は伝説の部族ドマゾネスを探すために密林の奥へ進むが道に迷ってしまう。
そんな彼をドマゾネスの少女カリナが発見してドマゾネスの村に連れていく。
そして、目覚めた彼はドマゾネスたちから歓迎され、子種を求められるのだった。
断る――――前にもそう言ったはずだ
鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」
結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。
周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。
けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。
他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。
(わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)
そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。
ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。
そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
淫らな蜜に狂わされ
歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。
全体的に性的表現・性行為あり。
他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。
全3話完結済みです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる