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みんなで帰ろう
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妖精界の牢屋の中で、クロスノスに囁かれたのは、全てが終わった後、私は死んだことにして、追手に追われないようにしようという話だ
った。
あの場所で、変装して待ち構えていたカミュンが私を隠し、クロスノスが、私の髪の毛で作った偽の毛皮を、神殿の巫女様たちに渡したの。
「巫女様たち、大丈夫かな。」
私は馬に揺られながら、カミュンを見上げる。
「あぁ見えて、彼女たちは強い。
下手に襲えば大怪我するのは、奴らの方なのさ。
それより、リタが無事でよかった。」
カミュンは、そう言って、強く抱き締めてくる。
「リタ、体は大丈夫ですか?
なるべく急いであそこから戻ったのですが、間に合ってよかった。」
クロスノスが、安心したような顔で言った。
私は包まった白い布を掴んで、
「アムが、アムが助けてくれたの。」
と、私が言うと、二人が驚いて顔を見合わせた。
「ハーティフがあれから目覚めて、私に同化してきたの。
でも、彼女は混沌の神を前に分離して逃げ出そうとしたから、咥えてそのまま突っ込んだのよ。
私も危なかったんだけど、アムが押し出してくれた。」
私の言葉に、二人は驚き、
「信じられません。
あれだけエネルギーを吸い取られて、まだそんなことができるとは・・・!!」
「リタ、それでもリタはやり遂げたんだから、凄いよ。」
と、言った。
本当、ハーティフは恐ろしい人だった。
私はそれから二人に、三柱の神々のことと、アムに言われたことを話した。
「なるほど。
神は波のように不定形な形で、存在していた、と。
それから、『アムリタ』ですか。
アムリタは、永遠を意味する言葉だと、聞いたことがあります。」
と、クロスノスが言った。
永遠・・・私は何度もアムと交代で生まれてるのかしら。
前世のことは覚えてないわ。
「リタはリタだ。
ここにいるリタが今は全てだよ。」
カミュンが私を抱き締めたまま、頭を撫でてくれる。
そう、そうだよね。
みんなと一緒・・・あ。
・・・そうだ!
「レティシアは?」
と、聞くと、
「俺たちの怪我とリタの心配してたけど、無事だよ。
いつか、こっそり会いにきてくれる、てさ。」
と、カミュンが答えるので、私は慌ててカミュンの首と胸を見る。
「怪我!!
そう、傷は?
痛いところは!?」
「危ない!
急に動くな。
平気だっての。
ほら、レティシアの光の御手は見事だぜ。」
カミュンが、ちゃんと首の辺りを見せてくれる
「いやいや、怪物とまともに斬り結ぼうなんて、カミュンくらいのものでしょ。
正直、もう死んだと思いました。」
クロスノスが爽やかに笑って言う。
笑うところじゃないでしょ・・・。
「言ったろ?
俺は強いの。
頑丈にできてんだよ。」
「心配したのよ?
もう!!」
私は頬を膨らませて、カミュンに抱きついた。
「おおっと。
ごめんごめん。
でも、心配はお互い様。
あとでリタも怪我がないか診てやるよ。」
「え?
私は平気よ?」
「はいはい、お二人さん、惚気はそこまで。
ほら、懐かしの我が家です。」
クロスノスが、何もない草原で馬を止めた。
「・・・異常なし。
さ、入りましょう。」
みんなで結界を抜けると、隠れ家が見えてきた。
見た瞬間、目が潤んでくる。
ここに帰りたかった。
みんなで一緒に。
「おかえりなさーーーい!!」
プルッポムリンが中から、飛んでくる。
真っ直ぐ飛んできて、クロスノスの顔に飛びついた。
「ただいま、プルッポムリン。
何もありませんでしたか?」
クロスノスも、優しく彼女に手を添える。
「ないよ!
淀みもねぇ、ここには入れなかったの。
さすが私の伴侶!」
「いえいえ、どういたしまして。」
二人のやりとりは、本当に幸せそうに見える。
こんなふうに、私もなりたいな。
プルッポムリンが、私たちを見た。
「おかえりなさい!
リタ!
カミュン!」
満面の笑みに、私たちも笑顔になる。
「ただいま、プルッポムリン。」
私が言うと、プルッポムリンが顔に抱きついてくる。
「リタ・・・、もう会えないかと思った。
よかったわ。
あなたがいなくなって、寂しかったのよ。」
その言葉に、私も嬉しくなった。
「私もまた会えて嬉しい。
ここに帰りたくて頑張ったの。
また、またみんなでご飯食べたくて。」
と、言うと、クロスノスは馬を降りて、カミュンも私を抱えたまま、馬を降りた。
そして、みんなで私を取り囲んで、互いの肩を抱き寄せ合う。
「おかえりなさい、みんな。」
「ただいま、みんな。」
誰か一人が言うと、みんな同じように言った。
温かな、そんな言葉を交わし合う、この中にいれることがとても幸せだ。
「ご飯ならできてるわよー。
リタ、服を着るといいわ。」
プルッポムリンに言われ、カミュンの部屋を借りて服を着て出てくると、美味しそうな夕食が並んでいた。
「すごーい!
プルッポムリン!」
私が言うと、彼女は嬉しそうにはしゃぐ。
みんなで楽しく食卓を囲んだ。
これも願っていた光景。
その日の夕食は、とても美味しくて、忘れられない味だった。
やがて夜も更けて、カミュンの寝巻きを借りた私は、湯上がりの熱を彼の部屋の窓から入ってくる風で冷やしていた。
「湯冷めするぞ。」
カミュンが部屋の扉を開けて、そばにやってくる。
「ありがとう、平気よ。」
私は星空を見上げる。
魔法研究所を抜け出して、カミュンたちに出会って、遠くまで旅をして、自分の正体も知って・・・目まぐるしい日々だった。
「リタ、あのさ。」
カミュンが、私の肩に手を置いて話しかけてくる。
「何?」
「実は、別の隠れ家を作ろうと思ってるんだ。
近いうちに移ろう。」
私は突然の申し出に驚いた。
「ごめんなさい。
私のせいね。」
「いや、リタも増えたし、広いところに住みたいだけ。」
カミュンは、優しく笑って腰を抱き寄せてくる。
カミュンは私を見つめ、
「ここだけの話、アムも闇の商人の手にかかってなかったと思うんだ。
周りの仲間が一芝居打って、毛皮を髪の毛で偽装し守ったと思うよ。」
と、言った。
そういえば、アムはちゃんと寿命を全うしたと言ってた・・・。
じゃ、あの毛皮は・・・私みたいに、髪の毛を切ったりして作り出したもの?
じゃ、私にも出来るかな。
私もカミュンを見つめて、クロスノスにもらった私の中の黒竜を眠らせる薬を取り出す。
「私も、普通の人狼に戻るね。
あなたと、離れたくないの。
この髪を隠して生きるのだって、構わない。」
「リタ・・・。」
私はカミュンの目の前で、薬を飲み込んだ。
・・・違いはよくわからないけれど、少し感じる力が弱くなった気がする。
ここに来たばかりの頃に、近いかも。
カミュンが強く抱き締めてきて、私も応えるように彼の背中に手を回す。
これでいい。
これでいいの。
った。
あの場所で、変装して待ち構えていたカミュンが私を隠し、クロスノスが、私の髪の毛で作った偽の毛皮を、神殿の巫女様たちに渡したの。
「巫女様たち、大丈夫かな。」
私は馬に揺られながら、カミュンを見上げる。
「あぁ見えて、彼女たちは強い。
下手に襲えば大怪我するのは、奴らの方なのさ。
それより、リタが無事でよかった。」
カミュンは、そう言って、強く抱き締めてくる。
「リタ、体は大丈夫ですか?
なるべく急いであそこから戻ったのですが、間に合ってよかった。」
クロスノスが、安心したような顔で言った。
私は包まった白い布を掴んで、
「アムが、アムが助けてくれたの。」
と、私が言うと、二人が驚いて顔を見合わせた。
「ハーティフがあれから目覚めて、私に同化してきたの。
でも、彼女は混沌の神を前に分離して逃げ出そうとしたから、咥えてそのまま突っ込んだのよ。
私も危なかったんだけど、アムが押し出してくれた。」
私の言葉に、二人は驚き、
「信じられません。
あれだけエネルギーを吸い取られて、まだそんなことができるとは・・・!!」
「リタ、それでもリタはやり遂げたんだから、凄いよ。」
と、言った。
本当、ハーティフは恐ろしい人だった。
私はそれから二人に、三柱の神々のことと、アムに言われたことを話した。
「なるほど。
神は波のように不定形な形で、存在していた、と。
それから、『アムリタ』ですか。
アムリタは、永遠を意味する言葉だと、聞いたことがあります。」
と、クロスノスが言った。
永遠・・・私は何度もアムと交代で生まれてるのかしら。
前世のことは覚えてないわ。
「リタはリタだ。
ここにいるリタが今は全てだよ。」
カミュンが私を抱き締めたまま、頭を撫でてくれる。
そう、そうだよね。
みんなと一緒・・・あ。
・・・そうだ!
「レティシアは?」
と、聞くと、
「俺たちの怪我とリタの心配してたけど、無事だよ。
いつか、こっそり会いにきてくれる、てさ。」
と、カミュンが答えるので、私は慌ててカミュンの首と胸を見る。
「怪我!!
そう、傷は?
痛いところは!?」
「危ない!
急に動くな。
平気だっての。
ほら、レティシアの光の御手は見事だぜ。」
カミュンが、ちゃんと首の辺りを見せてくれる
「いやいや、怪物とまともに斬り結ぼうなんて、カミュンくらいのものでしょ。
正直、もう死んだと思いました。」
クロスノスが爽やかに笑って言う。
笑うところじゃないでしょ・・・。
「言ったろ?
俺は強いの。
頑丈にできてんだよ。」
「心配したのよ?
もう!!」
私は頬を膨らませて、カミュンに抱きついた。
「おおっと。
ごめんごめん。
でも、心配はお互い様。
あとでリタも怪我がないか診てやるよ。」
「え?
私は平気よ?」
「はいはい、お二人さん、惚気はそこまで。
ほら、懐かしの我が家です。」
クロスノスが、何もない草原で馬を止めた。
「・・・異常なし。
さ、入りましょう。」
みんなで結界を抜けると、隠れ家が見えてきた。
見た瞬間、目が潤んでくる。
ここに帰りたかった。
みんなで一緒に。
「おかえりなさーーーい!!」
プルッポムリンが中から、飛んでくる。
真っ直ぐ飛んできて、クロスノスの顔に飛びついた。
「ただいま、プルッポムリン。
何もありませんでしたか?」
クロスノスも、優しく彼女に手を添える。
「ないよ!
淀みもねぇ、ここには入れなかったの。
さすが私の伴侶!」
「いえいえ、どういたしまして。」
二人のやりとりは、本当に幸せそうに見える。
こんなふうに、私もなりたいな。
プルッポムリンが、私たちを見た。
「おかえりなさい!
リタ!
カミュン!」
満面の笑みに、私たちも笑顔になる。
「ただいま、プルッポムリン。」
私が言うと、プルッポムリンが顔に抱きついてくる。
「リタ・・・、もう会えないかと思った。
よかったわ。
あなたがいなくなって、寂しかったのよ。」
その言葉に、私も嬉しくなった。
「私もまた会えて嬉しい。
ここに帰りたくて頑張ったの。
また、またみんなでご飯食べたくて。」
と、言うと、クロスノスは馬を降りて、カミュンも私を抱えたまま、馬を降りた。
そして、みんなで私を取り囲んで、互いの肩を抱き寄せ合う。
「おかえりなさい、みんな。」
「ただいま、みんな。」
誰か一人が言うと、みんな同じように言った。
温かな、そんな言葉を交わし合う、この中にいれることがとても幸せだ。
「ご飯ならできてるわよー。
リタ、服を着るといいわ。」
プルッポムリンに言われ、カミュンの部屋を借りて服を着て出てくると、美味しそうな夕食が並んでいた。
「すごーい!
プルッポムリン!」
私が言うと、彼女は嬉しそうにはしゃぐ。
みんなで楽しく食卓を囲んだ。
これも願っていた光景。
その日の夕食は、とても美味しくて、忘れられない味だった。
やがて夜も更けて、カミュンの寝巻きを借りた私は、湯上がりの熱を彼の部屋の窓から入ってくる風で冷やしていた。
「湯冷めするぞ。」
カミュンが部屋の扉を開けて、そばにやってくる。
「ありがとう、平気よ。」
私は星空を見上げる。
魔法研究所を抜け出して、カミュンたちに出会って、遠くまで旅をして、自分の正体も知って・・・目まぐるしい日々だった。
「リタ、あのさ。」
カミュンが、私の肩に手を置いて話しかけてくる。
「何?」
「実は、別の隠れ家を作ろうと思ってるんだ。
近いうちに移ろう。」
私は突然の申し出に驚いた。
「ごめんなさい。
私のせいね。」
「いや、リタも増えたし、広いところに住みたいだけ。」
カミュンは、優しく笑って腰を抱き寄せてくる。
カミュンは私を見つめ、
「ここだけの話、アムも闇の商人の手にかかってなかったと思うんだ。
周りの仲間が一芝居打って、毛皮を髪の毛で偽装し守ったと思うよ。」
と、言った。
そういえば、アムはちゃんと寿命を全うしたと言ってた・・・。
じゃ、あの毛皮は・・・私みたいに、髪の毛を切ったりして作り出したもの?
じゃ、私にも出来るかな。
私もカミュンを見つめて、クロスノスにもらった私の中の黒竜を眠らせる薬を取り出す。
「私も、普通の人狼に戻るね。
あなたと、離れたくないの。
この髪を隠して生きるのだって、構わない。」
「リタ・・・。」
私はカミュンの目の前で、薬を飲み込んだ。
・・・違いはよくわからないけれど、少し感じる力が弱くなった気がする。
ここに来たばかりの頃に、近いかも。
カミュンが強く抱き締めてきて、私も応えるように彼の背中に手を回す。
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