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アムとリタ
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「よ、よせー!!
も、もうこれ以上は・・・。
体が・・・もた・・・な。」
ハーティフの怯えが伝わってくる。
私も時々浮遊能力が落ちてきて、上がったり、下がったりしながら進んだ。
原初の精霊を横に見ながら、さらにその先へと進む。
次は神々がいるところ。
うわっ・・・!!
それまでに、感じたことのない圧倒的な力を感じる。
こ、これが三柱の・・・?
はっきりした形を持たない、波のようなものが漂っている。
波は不規則な間隔で揺らぎ続け、時折、大きな揺らぎがくると、規則的で安定した間隔で揺らぐ。
これが神・・・。
精霊たちの力の流れと違い、ここは不安定。
『循環』という言葉を思い出す。
流れ出すエネルギーと、流れ込むエネルギーが、せめぎ合うところ。
ど、どれが混沌の神なの?
よく見ると、一つだけ外からくる光の粒を飲み込んでいるものがある。
私が普段感じる力に近い。
きっとこれだわ。
「よせ・・・よせ、リタ。
嫌だ・・・呑まれれば分解されてしまう・・・。」
ハーティフが、怯えて震えているのがわかる。
確かに恐ろしいほど大きな力。
でも、とても冷たい力。
冷酷、という言葉すらあてはまらないほど無機的に感じる力。
必要とあれば、雌雄の黒竜を降臨させて世界を滅ぼすと聞いた時は、なんで無慈悲なのかと思ったけれど、この神を目の前にすると納得だわ。
三界の王たちが、恐れるのもわかる。
いつ、この神が『必要』と思うかは、本当にわからないもの。
この中に入ったら・・・私は出て来れるかな。
私も、一緒に分解されちゃうかもしれない。
みんな・・・みんなには帰ると約束した。
また、みんなで食卓を囲みたいな。
今度こそ、あの隠れ家に帰るの。
温かいみんながいる、あの場所へ・・・今度こそ・・・。
そのためには!
「リタ!
やめろぉー!!」
同化したはずのハーティフが、本能的な危険を感じて離れ始めた。
逃がさないんだから!
同時に頭がはっきりしてきて、私の尾の先から抜け出たハーティフを素早く口に咥えると、目の前の混沌の神の中に、叫ぶハーティフと一緒に飛び込んだ。
わぁぁ!!
中は真っ暗。
自分がどこにいるかもわからず、全身が分解されそうになる。
苦痛はないけど、全身の細胞が一つ一つなくなっていくかのような感覚が、私を襲った。
外からは次々と、エネルギーが流れ込んできて、混沌の神の中に溶けていくのがわかる。
そして、見えない何かの力によって、溶けたエネルギーが引き出されていく。
恐ろしいと感じるのは、とても静かなこと。
もっともみくちゃにされるとか、痛みを感じるとかなら、抗うこともできる。
ただ無音、ただ何も見えない漆黒の暗闇、寒いも暑いもない。
五感も第六感も、一切役に立たなくなりそうな程何もない。
生きていることすら自信がなくなりそう。
ハーティフも、もう何も言わない。
必死に咥えたハーティフを離して、その体が深いところへ沈んで、魂まで霧散していくのをカオスの眼を通して見届ける。
凄い力だわ・・・あんな強固なハーティフをこんな一瞬で分解しちゃうんだもの。
混沌の神の恐ろしさを、全身で感じてしまう。
・・・終わったんだ・・・戻らなきゃ。
でも、力を拡散しすぎて、戻る力がない・・・。
早く力を戻さなきゃ・・・このままじゃ、私も・・・。
「ちゃんと、教えたろ?
リタ。」
聞き慣れたアムの声がした。
「アム?」
周りを見回すけど、もちろん見えない。
「俺たちは、直接ここから生まれたんだぜ?」
またアムの明るい声がする。
『どこなの?
あなたはここにいるの?』
頭の中で語りかけてみると、アムの声が聞こえてきた。
「リタの活躍でたくさんのエネルギーが押し流されて、ここへ送り込まれてきた。
俺たちの力は使うたびに、この世の全てのエネルギーも巻き込んで押し流すからな。
ハーティフも、無事に分解できたじゃないか。
やったな、リタ。」
『アムのおかげ。
ありがとう。
でも、そんな凄い流れが起きたの?
私にはわからなかった。』
「それは仕方ない。
神に還るエネルギーは、ここに来ないと、見えない、感じない、わからないものだ。
使う力との差だな。」
『そうなんだね。
私、役に立ったんだ。
時の精霊の核も返したし、ハーティフも倒せた。』
「覚醒して間もない黒竜が、力を放出しながら神々の世界にまで逆走してくるのも、凄いことなんだぞ。
生きたまま、こうしてここに来ることもない。
君は本当に、歴代の黒竜たちの中でも、稀に見る強い竜だ。」
『みんなが助けてくれたから。
アム・・・あなたが色々教えてくれたから。
あなたには、助かって欲しかった。』
すると、またアムの声が聞こえてきた。
「俺はちゃんと寿命を全うしたよ。
リタも戻って、その時が来たら、今度こそここに還るんだ。
俺たちは二体で一対の『アムリタ』。
永遠の命を互いに渡し合う事で、千年ごとに転生する混沌の分身。」
体が何かに押し上げられていく。
「寿命を全うした?
あなたは・・・狩られたのでは・・・?
それに、『アムリタ』・・・?
どうして・・・私たちの名前・・・。」
そのまま外に弾き出された。
「アムー!!」
「リタ、君は偉業を成し遂げたんだ。
それを誇っていいんだぞ。
俺たちは滞りを取り除き、神に多くのエネルギーを還すための『循環』の道具だけど、でも・・・意思や愛情も本物なんだ。
またな、リタ。」
その声を最後に、私は下界に落ちていった。
ありがとう、アム。
真っ白・・・。
落ちていく間、今度は真っ白な世界に入り込んだ。
真っ黒な世界から真っ白な世界・・・。
帰るところを思い浮かべないと・・・。
えっと・・・カミュンになんて約束したっけ。
・・・そうだ!
あの場所へ。
最初に出会ったあの場所へ!!
私はその場所を思い浮かべて、力を振り絞った。
も、もうこれ以上は・・・。
体が・・・もた・・・な。」
ハーティフの怯えが伝わってくる。
私も時々浮遊能力が落ちてきて、上がったり、下がったりしながら進んだ。
原初の精霊を横に見ながら、さらにその先へと進む。
次は神々がいるところ。
うわっ・・・!!
それまでに、感じたことのない圧倒的な力を感じる。
こ、これが三柱の・・・?
はっきりした形を持たない、波のようなものが漂っている。
波は不規則な間隔で揺らぎ続け、時折、大きな揺らぎがくると、規則的で安定した間隔で揺らぐ。
これが神・・・。
精霊たちの力の流れと違い、ここは不安定。
『循環』という言葉を思い出す。
流れ出すエネルギーと、流れ込むエネルギーが、せめぎ合うところ。
ど、どれが混沌の神なの?
よく見ると、一つだけ外からくる光の粒を飲み込んでいるものがある。
私が普段感じる力に近い。
きっとこれだわ。
「よせ・・・よせ、リタ。
嫌だ・・・呑まれれば分解されてしまう・・・。」
ハーティフが、怯えて震えているのがわかる。
確かに恐ろしいほど大きな力。
でも、とても冷たい力。
冷酷、という言葉すらあてはまらないほど無機的に感じる力。
必要とあれば、雌雄の黒竜を降臨させて世界を滅ぼすと聞いた時は、なんで無慈悲なのかと思ったけれど、この神を目の前にすると納得だわ。
三界の王たちが、恐れるのもわかる。
いつ、この神が『必要』と思うかは、本当にわからないもの。
この中に入ったら・・・私は出て来れるかな。
私も、一緒に分解されちゃうかもしれない。
みんな・・・みんなには帰ると約束した。
また、みんなで食卓を囲みたいな。
今度こそ、あの隠れ家に帰るの。
温かいみんながいる、あの場所へ・・・今度こそ・・・。
そのためには!
「リタ!
やめろぉー!!」
同化したはずのハーティフが、本能的な危険を感じて離れ始めた。
逃がさないんだから!
同時に頭がはっきりしてきて、私の尾の先から抜け出たハーティフを素早く口に咥えると、目の前の混沌の神の中に、叫ぶハーティフと一緒に飛び込んだ。
わぁぁ!!
中は真っ暗。
自分がどこにいるかもわからず、全身が分解されそうになる。
苦痛はないけど、全身の細胞が一つ一つなくなっていくかのような感覚が、私を襲った。
外からは次々と、エネルギーが流れ込んできて、混沌の神の中に溶けていくのがわかる。
そして、見えない何かの力によって、溶けたエネルギーが引き出されていく。
恐ろしいと感じるのは、とても静かなこと。
もっともみくちゃにされるとか、痛みを感じるとかなら、抗うこともできる。
ただ無音、ただ何も見えない漆黒の暗闇、寒いも暑いもない。
五感も第六感も、一切役に立たなくなりそうな程何もない。
生きていることすら自信がなくなりそう。
ハーティフも、もう何も言わない。
必死に咥えたハーティフを離して、その体が深いところへ沈んで、魂まで霧散していくのをカオスの眼を通して見届ける。
凄い力だわ・・・あんな強固なハーティフをこんな一瞬で分解しちゃうんだもの。
混沌の神の恐ろしさを、全身で感じてしまう。
・・・終わったんだ・・・戻らなきゃ。
でも、力を拡散しすぎて、戻る力がない・・・。
早く力を戻さなきゃ・・・このままじゃ、私も・・・。
「ちゃんと、教えたろ?
リタ。」
聞き慣れたアムの声がした。
「アム?」
周りを見回すけど、もちろん見えない。
「俺たちは、直接ここから生まれたんだぜ?」
またアムの明るい声がする。
『どこなの?
あなたはここにいるの?』
頭の中で語りかけてみると、アムの声が聞こえてきた。
「リタの活躍でたくさんのエネルギーが押し流されて、ここへ送り込まれてきた。
俺たちの力は使うたびに、この世の全てのエネルギーも巻き込んで押し流すからな。
ハーティフも、無事に分解できたじゃないか。
やったな、リタ。」
『アムのおかげ。
ありがとう。
でも、そんな凄い流れが起きたの?
私にはわからなかった。』
「それは仕方ない。
神に還るエネルギーは、ここに来ないと、見えない、感じない、わからないものだ。
使う力との差だな。」
『そうなんだね。
私、役に立ったんだ。
時の精霊の核も返したし、ハーティフも倒せた。』
「覚醒して間もない黒竜が、力を放出しながら神々の世界にまで逆走してくるのも、凄いことなんだぞ。
生きたまま、こうしてここに来ることもない。
君は本当に、歴代の黒竜たちの中でも、稀に見る強い竜だ。」
『みんなが助けてくれたから。
アム・・・あなたが色々教えてくれたから。
あなたには、助かって欲しかった。』
すると、またアムの声が聞こえてきた。
「俺はちゃんと寿命を全うしたよ。
リタも戻って、その時が来たら、今度こそここに還るんだ。
俺たちは二体で一対の『アムリタ』。
永遠の命を互いに渡し合う事で、千年ごとに転生する混沌の分身。」
体が何かに押し上げられていく。
「寿命を全うした?
あなたは・・・狩られたのでは・・・?
それに、『アムリタ』・・・?
どうして・・・私たちの名前・・・。」
そのまま外に弾き出された。
「アムー!!」
「リタ、君は偉業を成し遂げたんだ。
それを誇っていいんだぞ。
俺たちは滞りを取り除き、神に多くのエネルギーを還すための『循環』の道具だけど、でも・・・意思や愛情も本物なんだ。
またな、リタ。」
その声を最後に、私は下界に落ちていった。
ありがとう、アム。
真っ白・・・。
落ちていく間、今度は真っ白な世界に入り込んだ。
真っ黒な世界から真っ白な世界・・・。
帰るところを思い浮かべないと・・・。
えっと・・・カミュンになんて約束したっけ。
・・・そうだ!
あの場所へ。
最初に出会ったあの場所へ!!
私はその場所を思い浮かべて、力を振り絞った。
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