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怪物の誕生と、ハーティフの狙い
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冥界の賢者、グレパドゥ・マノンは、ことの起こりの日のことを、語り始めた。
「あの日は平生通りだった。
冥界にきた死者の魂を迎え入れ、生前の全てを消し去って、純粋な死魂にし、混沌の神の元へ送り出す。
そんな中、奇妙な魂があると、報告を受けたのだ。」
と、言った。
「奇妙な、とは?」
と、クロスノスが尋ねると、
「魂の浄化を、受け入れぬ魂があったのだ。
たまに、生前の執着が残って死を受け入れぬ魂というのはあるから、珍しいことではなかった。
だが、その魂は恐ろしいことに、黄泉の一族に取り憑くことを目的に暴れ回ったのだ。」
と、答えた。
グレパドゥが話している間、時々、下や天界、魔界から、魂と思われる光りの塊が冥界へと入って行くのが見えた。
「あの、これが死者の魂?」
私が指をさすと、グレパドゥは頷く。
「そう。
こうやって死者は、冥界へと自ら赴く。
意思を持ってというよりは、冥界へと流れる力に乗ってのこと。
そして、魂そのものも決まった力の流れを持っている。」
グレパドゥは、目の前に現れた魂を、淡く光る手で軽く捕まえて、私の前に見せる。
沢山の光の粒が、核のような中心から放射線上に噴水のように吹き出し、また中心に戻る回転しながら、輝いていた。
「このように、魂は決まった流れを見せる。
速さも皆これくらいだ。
この流れが速いほど、強く、浄化の難しい魂となる。
ウロンの魂は、この百倍ほどの速さを見せていた。」
と、言って、グレパドゥは捕まえた魂を解放した。
その魂は、冥界へと流れて行く。
「ウロンは、母親が黄泉の一族の混血者で、双子の兄弟の弟だったそうです。
兄、ノアムは普通の人間、弟、ウロンが混血者としての力があったと聞いてます。」
と、私が言うと、
「双子・・・なるほどな。
双子は魂が繋がりやすい。
しかも黄泉の一族は冥界に耐性がある。
おまけに術のかかった魂。
手強いわけだ。」
と、グレパドゥは言った。
「お爺様は、悪くないわ。」
と、レティシアが言う。
グレパドゥは彼女を見て、
「いや、油断した私が悪い。
暴れるウロンの魂を、『浄化の道』に強引に追いやり、その強力なエネルギーを弱らせるため術をかけようとしたら、奴はそれを待っていたのだ。」
と、言った。
「術者が対象を捕らえ、その術を放つ瞬間にできる、エネルギーの道である『結びの道』を辿られたな。」
冥王がグレパドゥを見て、腕を組みながら言った。
「はい。
それは術者としては避けられません。
『狙い』、『撃つ』。
その術の軌道となる『結びの道』は、逆に辿れば、当然術者の頭部に行き着く。
その僅かな瞬間を、遡れる魂がいるとは思いませんでした。」
グレパドゥは、言いながら目を閉じる。
レティシアは彼の肩に手を置いて、隣に座り込んだ。
「私が次に目を覚ました時は、目の前に怪物の魂が出来ていた。
秘技が盗まれたことはすぐにわかった。」
と、彼が言うので、
「見た目からもう違うのですか?」
と、私が聞くと、目の前にその時の映像を映し出してくれた。
「これを見なさい。
怪物の魂は、複数の異種族の魂を融合させたもの。
この光の粒子の流れが、中心で渦を巻き、右回転と左回転を不規則に繰り返しながら動いている。
融合された魂同士が、互いに食い合いを起こしているのだ。」
「食い合い・・・。」
「融合とはいえ、魂は一つ一つが全く違うものを掛け合わせる。
最後は最も強い魂が核となり、他の魂を支配してその核の周りに輪ができる。
やがてその魂は、空中の塵を集めて己の肉体を形成し、怪物が誕生するのだ。」
グレパドゥは、次の画面を映し出しす。
怪物の魂は、食い合いが収まってきたのか、中心に核が形成され、その周りに輪ができつつあるわ。
「深く融合した魂を分解させるには、混沌の神の力を借りねばならぬ。
冥界は、唯一混沌の神と直接繋がる道を持つから、肉体ができる前にそこへ押し出そうとした。」
映像の中で、グレパドゥを始めとする沢山の、黄泉の一族が、魂を押し流そうと波動を送っている。
でも、怪物の魂は抵抗を見せて、なかなか押せない。
やがて冥王も現れて、力を送ったけどそれでも数センチ動いたくらいだった。
強い・・・。
総力戦でないと、勝てなかった理由がわかる気がする。
しばらくすると、別の場所から光が差してきた。
怪物の魂は、弾かれるようにその光に向かって飛んでいく。
「まさか、これは、ハーティフが?」
私が尋ねると、グレパドゥは頷いた。
「神降しの術が、よりによってこの時冥界に繋がってしまったのだ。
術者の方に、至高の力に対する渇望が強かったようで、それが怪物と波長を合わせる原因になったと思われる。」
彼はそう言って、あの日の神殿を映し出す。
魔法陣の中心に、まだ人間だった頃のハーティフがいる。
黒い何かを抱えて、一心不乱に祈っていた。
やがて、そこに魂が降りてくる。
怪物の魂だわ・・・。
彼女は召喚した魂が、異様なものであることに気づいて、慌てて戻そうとしてるみたい。
でも、怪物の魂は彼女の中に入り込んだ。
彼女は苦しみ続け、次第に体が変形し始める。
顔だけをハーティフとして残したまま、体は尾の生えた異様な怪物へと変わり果てて、やがて咆哮を上げて次元の階段を四足歩行で、駆け上がっていった。
やはり、口に黒い何かを咥えている。
あれ、なんだろ。
「この後、妖精界での戦いがあったのね・・・。」
「驚いたのは、融合した魂の主導権をハーティフが取ったこと。
口に咥えているものは、おそらく漆黒の狼の毛皮と思われる。」
そんなグレパドゥの言葉に固まる。
「それってまさか、先代の漆黒の狼のアムの?」
少し震えながら尋ねると、
「大巫女シェーラによると、神殿にはアムの毛皮があったそうだ。
ハーティフはそれを使っていた。」
と、答える。
「この結びの間へも?」
「いや、ここは飛び越えて真っ直ぐに精霊界へと突っ込んだ。
あの凄まじい精霊界の流れの中を、『星の道』を辿って逆走し、時の精霊に迫ったのだ。」
と、グレパドゥは言うと、私を真っ直ぐ見た。
「今度の怪物は、知性がある。
エネルギーを取り込みたい衝動を抑えて、真っ直ぐ時の精霊を襲いに行っている。
狙いは、おそらく『精霊の産み直し』だろう。」
私は聞き慣れない言葉に、驚いていた。
「あの日は平生通りだった。
冥界にきた死者の魂を迎え入れ、生前の全てを消し去って、純粋な死魂にし、混沌の神の元へ送り出す。
そんな中、奇妙な魂があると、報告を受けたのだ。」
と、言った。
「奇妙な、とは?」
と、クロスノスが尋ねると、
「魂の浄化を、受け入れぬ魂があったのだ。
たまに、生前の執着が残って死を受け入れぬ魂というのはあるから、珍しいことではなかった。
だが、その魂は恐ろしいことに、黄泉の一族に取り憑くことを目的に暴れ回ったのだ。」
と、答えた。
グレパドゥが話している間、時々、下や天界、魔界から、魂と思われる光りの塊が冥界へと入って行くのが見えた。
「あの、これが死者の魂?」
私が指をさすと、グレパドゥは頷く。
「そう。
こうやって死者は、冥界へと自ら赴く。
意思を持ってというよりは、冥界へと流れる力に乗ってのこと。
そして、魂そのものも決まった力の流れを持っている。」
グレパドゥは、目の前に現れた魂を、淡く光る手で軽く捕まえて、私の前に見せる。
沢山の光の粒が、核のような中心から放射線上に噴水のように吹き出し、また中心に戻る回転しながら、輝いていた。
「このように、魂は決まった流れを見せる。
速さも皆これくらいだ。
この流れが速いほど、強く、浄化の難しい魂となる。
ウロンの魂は、この百倍ほどの速さを見せていた。」
と、言って、グレパドゥは捕まえた魂を解放した。
その魂は、冥界へと流れて行く。
「ウロンは、母親が黄泉の一族の混血者で、双子の兄弟の弟だったそうです。
兄、ノアムは普通の人間、弟、ウロンが混血者としての力があったと聞いてます。」
と、私が言うと、
「双子・・・なるほどな。
双子は魂が繋がりやすい。
しかも黄泉の一族は冥界に耐性がある。
おまけに術のかかった魂。
手強いわけだ。」
と、グレパドゥは言った。
「お爺様は、悪くないわ。」
と、レティシアが言う。
グレパドゥは彼女を見て、
「いや、油断した私が悪い。
暴れるウロンの魂を、『浄化の道』に強引に追いやり、その強力なエネルギーを弱らせるため術をかけようとしたら、奴はそれを待っていたのだ。」
と、言った。
「術者が対象を捕らえ、その術を放つ瞬間にできる、エネルギーの道である『結びの道』を辿られたな。」
冥王がグレパドゥを見て、腕を組みながら言った。
「はい。
それは術者としては避けられません。
『狙い』、『撃つ』。
その術の軌道となる『結びの道』は、逆に辿れば、当然術者の頭部に行き着く。
その僅かな瞬間を、遡れる魂がいるとは思いませんでした。」
グレパドゥは、言いながら目を閉じる。
レティシアは彼の肩に手を置いて、隣に座り込んだ。
「私が次に目を覚ました時は、目の前に怪物の魂が出来ていた。
秘技が盗まれたことはすぐにわかった。」
と、彼が言うので、
「見た目からもう違うのですか?」
と、私が聞くと、目の前にその時の映像を映し出してくれた。
「これを見なさい。
怪物の魂は、複数の異種族の魂を融合させたもの。
この光の粒子の流れが、中心で渦を巻き、右回転と左回転を不規則に繰り返しながら動いている。
融合された魂同士が、互いに食い合いを起こしているのだ。」
「食い合い・・・。」
「融合とはいえ、魂は一つ一つが全く違うものを掛け合わせる。
最後は最も強い魂が核となり、他の魂を支配してその核の周りに輪ができる。
やがてその魂は、空中の塵を集めて己の肉体を形成し、怪物が誕生するのだ。」
グレパドゥは、次の画面を映し出しす。
怪物の魂は、食い合いが収まってきたのか、中心に核が形成され、その周りに輪ができつつあるわ。
「深く融合した魂を分解させるには、混沌の神の力を借りねばならぬ。
冥界は、唯一混沌の神と直接繋がる道を持つから、肉体ができる前にそこへ押し出そうとした。」
映像の中で、グレパドゥを始めとする沢山の、黄泉の一族が、魂を押し流そうと波動を送っている。
でも、怪物の魂は抵抗を見せて、なかなか押せない。
やがて冥王も現れて、力を送ったけどそれでも数センチ動いたくらいだった。
強い・・・。
総力戦でないと、勝てなかった理由がわかる気がする。
しばらくすると、別の場所から光が差してきた。
怪物の魂は、弾かれるようにその光に向かって飛んでいく。
「まさか、これは、ハーティフが?」
私が尋ねると、グレパドゥは頷いた。
「神降しの術が、よりによってこの時冥界に繋がってしまったのだ。
術者の方に、至高の力に対する渇望が強かったようで、それが怪物と波長を合わせる原因になったと思われる。」
彼はそう言って、あの日の神殿を映し出す。
魔法陣の中心に、まだ人間だった頃のハーティフがいる。
黒い何かを抱えて、一心不乱に祈っていた。
やがて、そこに魂が降りてくる。
怪物の魂だわ・・・。
彼女は召喚した魂が、異様なものであることに気づいて、慌てて戻そうとしてるみたい。
でも、怪物の魂は彼女の中に入り込んだ。
彼女は苦しみ続け、次第に体が変形し始める。
顔だけをハーティフとして残したまま、体は尾の生えた異様な怪物へと変わり果てて、やがて咆哮を上げて次元の階段を四足歩行で、駆け上がっていった。
やはり、口に黒い何かを咥えている。
あれ、なんだろ。
「この後、妖精界での戦いがあったのね・・・。」
「驚いたのは、融合した魂の主導権をハーティフが取ったこと。
口に咥えているものは、おそらく漆黒の狼の毛皮と思われる。」
そんなグレパドゥの言葉に固まる。
「それってまさか、先代の漆黒の狼のアムの?」
少し震えながら尋ねると、
「大巫女シェーラによると、神殿にはアムの毛皮があったそうだ。
ハーティフはそれを使っていた。」
と、答える。
「この結びの間へも?」
「いや、ここは飛び越えて真っ直ぐに精霊界へと突っ込んだ。
あの凄まじい精霊界の流れの中を、『星の道』を辿って逆走し、時の精霊に迫ったのだ。」
と、グレパドゥは言うと、私を真っ直ぐ見た。
「今度の怪物は、知性がある。
エネルギーを取り込みたい衝動を抑えて、真っ直ぐ時の精霊を襲いに行っている。
狙いは、おそらく『精霊の産み直し』だろう。」
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