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告白
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何とか両腕を、彼の腕から抜け出させる。
腕輪の鎖がカチャンと鳴って、少し冷静になる。
「人狼の18歳は成人年齢。
人間の20~23歳に相当するの。
私だって、何が先かは知ってる!」
精一杯言うと、カミュンが一瞬キョトンとして、ふっと優しく笑う。
「ごめん。
リタが正しい。」
と言うので、言葉が聞けるのかと思っていると、カミュンは目を閉じるや否や軽く唇を重ねてきた。
「ん!?
え・・・!」
驚いていると、そのままどんどん口付けが深くなる。
わわっ、待って!
押し戻そうにも離れてくれない。
初めての感覚に、やがて力が抜けて目を閉じてしまった・・・。
・・・苦しい。
息が続かない。
カミュンの服を掴んで、息苦しさに身を捩ると、名残を惜しむように唇がゆっくり離れていく。
「はぁ、はぁ。」
やっと呼吸が出来て目を開くと、カミュンの視線と重なって瞬きもできなくなった。
・・・わ、私何をされたの?
思わず自分の唇に触って、さらに顔が赤くなる。
私の焦りなどお構いもなく、カミュンは再び額を合わせてきて、
「リタ、愛してる。
ずっとこうしたかった。」
と、優しい目で私を見つめながら言った。
いきなり言われて、思考が停止しそうになる。
口付けの後告白なんて・・・。
こんなの反則だ・・・。
おまけに、は、初めての口付けが、こんな簡単に奪われるなんて!!
「も、も、もう・・・順番が逆!」
恥ずかしさを隠すように彼の肩を押し上げようとするけど、かえって強くのしかかってくる。
え、え、待って。
さっきから、少しも腕の力は緩まない。
「返事を聞くまで逃がさない。
次はリタ。
あ、告白は口づけしてからな。」
「な、何でそうなるの?
それに告白、て・・・。
ま、まだ、私の気持ち知らないでしょ!?」
知らない間に顔が緩んでるのかな、と、不安になる。
「リタが怯えたのは最初だけ。
この反応は、嫌われてないとからだと思う。
気持ちがないなら、ティルにも嫉妬なんかしないし、爪書簡の魔法が薬指にかかるはずないんだ。」
カミュンのその言葉に、爪書簡の魔法についてクロスノスやレティシアが、塗られた指と色には意味があると言っていたのを思い出した。
「爪書簡・・・どんな意味があるの?」
「リタ、その先を聞く覚悟は?
教えてもいいけど、どんどんやることが濃厚になるからな。」
・・・また、それ?
答えを聞こうとすると、こう返される。
また、何かしてくるの?
「ず、ずるいよ、こんなの!」
「自覚がないみたいだけど、墓穴を掘ってるのはリタの方だ。
さっきから、俺はちゃんと予告してるぞ。」
カミュンはそう言って、また、額を合わせたまま目を閉じる。
な、な、なんで?
お互い気持ちを言葉に出すだけのはずよ?
それがどうしてこうなるの?
頭の中は大混乱。
でも、カミュンは待ってくれてる。
私は彼を見上げて、その端正な顔をじっと見つめた。
来てくれた・・・私のところへ来てくれたんだ。
彼に言われたことが、心にじんわりと沁みてきて、胸が温かくなる。
嬉しくて、幸せで、愛おしくて、言葉にならない。
夢なら醒めないでほしい。
でも、唇に残る感触や今感じている体温は、これが夢ではないと教えてくれる。
さっきまで、ティルリッチに嫉妬していたことが、嘘みたいだ。
もう、周りのことが全然気にならない。
世界に二人だけしかいないみたいに、思えてくる。
黒竜に変わる時、必死になれたのもこの人を失いたくなかったから。
大切・・・そう、大切な人。
自分自身よりも大切だと思えたのは、この人が初めて。
「わ、私の気持ちは・・・。」
緊張で乾いた唇を、一度軽く内側に巻き込んで、湿らせる。
「ん・・・。」
カミュンがまた目を開き、私は覚悟を決める。
目を閉じて、頭を少し浮かせ、カミュンにそっと口付ける。
彼のやり方を真似ようとしたけど、初心者には無理。
少しだけ啄むように動かして、すぐに離れる。
次は、い、言わなきゃ・・・。
言葉を待つ彼に、一生懸命伝える。
「私も、す、好き・・・ずっと大好き・・・。」
言い終わると、恥ずかしくて顔を覆う。
つ、ついに、言っちゃった。
うぅ、どんな顔して彼を見ればいいの?
みんなこういう時、どうしてるの?
・・・。
・・・あれ?
そっと覆った手を開いてカミュンを見ると、顔が真っ赤になって俯きながら震えていた。
あ、これ、覚えてる。
確か初めて服をもらって、お礼を言った時も、こんなふうに震えてた。
「リタ・・・煽ってるのか?
なんでこんなに甘いんだ・・・?
もっと欲しくなるだろ?」
と、カミュンは、震えながら呟く。
煽る?
甘い?
え?応えただけなのに。
「・・・?
だってあなたが・・・。」
「反則だろ。
なんでそんなに可愛いんだよ。
なんで毎回俺を簡単に壊すんだよ。
こっちは必死に余裕作ってるのに、最後にリタは俺をいつも負かしてしまう。
・・・でも。」
と、言うと、私の顔を自分の胸に押し付けるように、抱き締めてきた。
「わ!痛い!
苦しい!」
「ごめん!やっぱり今は嫌だよな。
でも俺は・・・く・・・鎮めねぇとまずい!!
リタ、動くな、喋るな、何にもするな!」
と、カミュンが耳元で叫ぶ。
な、何それ、今まで余裕だったのに。
彼の呼吸が荒くて、心配になってきた。
苦しそう・・・。
でも、私も苦しい!
こ、呼吸がうまく出来ないよ。
「ふっ・・・はぁ、はぁ。」
何とか顔だけ上に向けて、息をする。
それに気づいたカミュンが、足を絡めて私を抱き締めたまま体を反転させてきた。
「く・・・ごめん。」
呼吸は楽になったけど、仰向けの彼の上に、うつ伏せで乗るような体勢になって、流石に慌てしまう。
「き、今日は俺が負けてやる!
頼むから動かないでくれ。
リ、リタの刻が満ちるまで待つから・・・さぁ!
でないと、このまま・・・!!」
と、懇願されて、素早く毛布をかけられた。
彼の胸に耳をあてているので、カミュンの心臓がバクバクしているのがわかる。
だ、大丈夫かな・・・。
カミュンは深呼吸して、落ち着こうとしている。
何故か彼が焦れば焦るほど、私は段々冷静になってきた。
・・・なんだか、可愛い。
腰に回された彼の腕の片方が、私の頭を撫でてくる。
カミュンの腕の中・・・温かい。
ふ、と笑うと力を抜いて、身を任せた。
やがて、
「こ、この世の成り立ちは、三柱の神から始まりました。」
カミュンがいきなり講義をし始めた。
ど、どうしたの?急に。
彼は目を閉じて、ぶつぶつと言い続けている。
「根源たる混沌、法則を与える秩序、最初の『0』となる無、三柱の神々は力を顕現するために原初の精霊を生み出しました。
原初の精霊は、単体で時の精霊を生み出し、この二体の精霊は協力して古代精霊である、光と闇の精霊を生み出し、やがて、光と闇は六大精霊を生み出し、六大精霊もまた、それぞれの眷属を生み出し、精霊たちは増えていきました・・・。」
有名な話なのね。
あまり私も詳しくないから、勉強になるわ。
カミュンの呼吸で上下する胸の上で、次第に眠気がやってくる。
「リタ、眠れるか・・・?
俺は・・・。」
そんなカミュンの声を聞きながら、いつの間にか私は眠ってしまっていた。
腕輪の鎖がカチャンと鳴って、少し冷静になる。
「人狼の18歳は成人年齢。
人間の20~23歳に相当するの。
私だって、何が先かは知ってる!」
精一杯言うと、カミュンが一瞬キョトンとして、ふっと優しく笑う。
「ごめん。
リタが正しい。」
と言うので、言葉が聞けるのかと思っていると、カミュンは目を閉じるや否や軽く唇を重ねてきた。
「ん!?
え・・・!」
驚いていると、そのままどんどん口付けが深くなる。
わわっ、待って!
押し戻そうにも離れてくれない。
初めての感覚に、やがて力が抜けて目を閉じてしまった・・・。
・・・苦しい。
息が続かない。
カミュンの服を掴んで、息苦しさに身を捩ると、名残を惜しむように唇がゆっくり離れていく。
「はぁ、はぁ。」
やっと呼吸が出来て目を開くと、カミュンの視線と重なって瞬きもできなくなった。
・・・わ、私何をされたの?
思わず自分の唇に触って、さらに顔が赤くなる。
私の焦りなどお構いもなく、カミュンは再び額を合わせてきて、
「リタ、愛してる。
ずっとこうしたかった。」
と、優しい目で私を見つめながら言った。
いきなり言われて、思考が停止しそうになる。
口付けの後告白なんて・・・。
こんなの反則だ・・・。
おまけに、は、初めての口付けが、こんな簡単に奪われるなんて!!
「も、も、もう・・・順番が逆!」
恥ずかしさを隠すように彼の肩を押し上げようとするけど、かえって強くのしかかってくる。
え、え、待って。
さっきから、少しも腕の力は緩まない。
「返事を聞くまで逃がさない。
次はリタ。
あ、告白は口づけしてからな。」
「な、何でそうなるの?
それに告白、て・・・。
ま、まだ、私の気持ち知らないでしょ!?」
知らない間に顔が緩んでるのかな、と、不安になる。
「リタが怯えたのは最初だけ。
この反応は、嫌われてないとからだと思う。
気持ちがないなら、ティルにも嫉妬なんかしないし、爪書簡の魔法が薬指にかかるはずないんだ。」
カミュンのその言葉に、爪書簡の魔法についてクロスノスやレティシアが、塗られた指と色には意味があると言っていたのを思い出した。
「爪書簡・・・どんな意味があるの?」
「リタ、その先を聞く覚悟は?
教えてもいいけど、どんどんやることが濃厚になるからな。」
・・・また、それ?
答えを聞こうとすると、こう返される。
また、何かしてくるの?
「ず、ずるいよ、こんなの!」
「自覚がないみたいだけど、墓穴を掘ってるのはリタの方だ。
さっきから、俺はちゃんと予告してるぞ。」
カミュンはそう言って、また、額を合わせたまま目を閉じる。
な、な、なんで?
お互い気持ちを言葉に出すだけのはずよ?
それがどうしてこうなるの?
頭の中は大混乱。
でも、カミュンは待ってくれてる。
私は彼を見上げて、その端正な顔をじっと見つめた。
来てくれた・・・私のところへ来てくれたんだ。
彼に言われたことが、心にじんわりと沁みてきて、胸が温かくなる。
嬉しくて、幸せで、愛おしくて、言葉にならない。
夢なら醒めないでほしい。
でも、唇に残る感触や今感じている体温は、これが夢ではないと教えてくれる。
さっきまで、ティルリッチに嫉妬していたことが、嘘みたいだ。
もう、周りのことが全然気にならない。
世界に二人だけしかいないみたいに、思えてくる。
黒竜に変わる時、必死になれたのもこの人を失いたくなかったから。
大切・・・そう、大切な人。
自分自身よりも大切だと思えたのは、この人が初めて。
「わ、私の気持ちは・・・。」
緊張で乾いた唇を、一度軽く内側に巻き込んで、湿らせる。
「ん・・・。」
カミュンがまた目を開き、私は覚悟を決める。
目を閉じて、頭を少し浮かせ、カミュンにそっと口付ける。
彼のやり方を真似ようとしたけど、初心者には無理。
少しだけ啄むように動かして、すぐに離れる。
次は、い、言わなきゃ・・・。
言葉を待つ彼に、一生懸命伝える。
「私も、す、好き・・・ずっと大好き・・・。」
言い終わると、恥ずかしくて顔を覆う。
つ、ついに、言っちゃった。
うぅ、どんな顔して彼を見ればいいの?
みんなこういう時、どうしてるの?
・・・。
・・・あれ?
そっと覆った手を開いてカミュンを見ると、顔が真っ赤になって俯きながら震えていた。
あ、これ、覚えてる。
確か初めて服をもらって、お礼を言った時も、こんなふうに震えてた。
「リタ・・・煽ってるのか?
なんでこんなに甘いんだ・・・?
もっと欲しくなるだろ?」
と、カミュンは、震えながら呟く。
煽る?
甘い?
え?応えただけなのに。
「・・・?
だってあなたが・・・。」
「反則だろ。
なんでそんなに可愛いんだよ。
なんで毎回俺を簡単に壊すんだよ。
こっちは必死に余裕作ってるのに、最後にリタは俺をいつも負かしてしまう。
・・・でも。」
と、言うと、私の顔を自分の胸に押し付けるように、抱き締めてきた。
「わ!痛い!
苦しい!」
「ごめん!やっぱり今は嫌だよな。
でも俺は・・・く・・・鎮めねぇとまずい!!
リタ、動くな、喋るな、何にもするな!」
と、カミュンが耳元で叫ぶ。
な、何それ、今まで余裕だったのに。
彼の呼吸が荒くて、心配になってきた。
苦しそう・・・。
でも、私も苦しい!
こ、呼吸がうまく出来ないよ。
「ふっ・・・はぁ、はぁ。」
何とか顔だけ上に向けて、息をする。
それに気づいたカミュンが、足を絡めて私を抱き締めたまま体を反転させてきた。
「く・・・ごめん。」
呼吸は楽になったけど、仰向けの彼の上に、うつ伏せで乗るような体勢になって、流石に慌てしまう。
「き、今日は俺が負けてやる!
頼むから動かないでくれ。
リ、リタの刻が満ちるまで待つから・・・さぁ!
でないと、このまま・・・!!」
と、懇願されて、素早く毛布をかけられた。
彼の胸に耳をあてているので、カミュンの心臓がバクバクしているのがわかる。
だ、大丈夫かな・・・。
カミュンは深呼吸して、落ち着こうとしている。
何故か彼が焦れば焦るほど、私は段々冷静になってきた。
・・・なんだか、可愛い。
腰に回された彼の腕の片方が、私の頭を撫でてくる。
カミュンの腕の中・・・温かい。
ふ、と笑うと力を抜いて、身を任せた。
やがて、
「こ、この世の成り立ちは、三柱の神から始まりました。」
カミュンがいきなり講義をし始めた。
ど、どうしたの?急に。
彼は目を閉じて、ぶつぶつと言い続けている。
「根源たる混沌、法則を与える秩序、最初の『0』となる無、三柱の神々は力を顕現するために原初の精霊を生み出しました。
原初の精霊は、単体で時の精霊を生み出し、この二体の精霊は協力して古代精霊である、光と闇の精霊を生み出し、やがて、光と闇は六大精霊を生み出し、六大精霊もまた、それぞれの眷属を生み出し、精霊たちは増えていきました・・・。」
有名な話なのね。
あまり私も詳しくないから、勉強になるわ。
カミュンの呼吸で上下する胸の上で、次第に眠気がやってくる。
「リタ、眠れるか・・・?
俺は・・・。」
そんなカミュンの声を聞きながら、いつの間にか私は眠ってしまっていた。
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