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戦闘妖精クオ・リンゴブ
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翌日、私たちは再び精霊の神殿へと向かった。
体も慣れてきたのか、昨日ほど苦しくない。
祭壇の前に立ち、アシェリエルが次元の階段へと続く扉を開けようとした時、外から大きな足音が聞こえて来た。
「クオ・リンゴブだー!!!
助けて!!」
妖精たちの騒ぐ声が聞こえる。
「こんな明るいうちに、来たことはなかったのに!」
トムジェルは、慌てて神殿の外へと向かった。
私は心配になってくる。
「大丈夫でしょうか。
様子を・・・、。」
私が行こうとすると、ガルンティスが肩を掴んでくる。
「馬鹿を言うな!
モタモタしている暇はないんだよ!
さっさと上がって・・・。」
「ぎゃー!!!」
ガルンティスがいい終わらないうちに、トムジェルの叫び声が、響いた。
大変!!
私はトムジェルを心配して、ガルンティスを振り払うと、声のする方へと向かった。
神殿の入り口が薄暗くなってる。
何か大きなものが、入り口の光を遮ってるんだ!
身を屈めながら、神殿の入り口にある柱の陰から覗くと、大きな生き物の姿が見えた。
蛇のような胴体に、タコの吸盤のような足が百足のように生えていて、一つ一つが車輪のように回転しながら動いているのが見えた。
背中は鋭い棘で覆われていて、顔は人面で大きな目が一つ。
頭には角が一本のものと、二本のものがいた。
顔の鼻から下は長い髭で覆われているけど、その下から顔の大きさの2倍はある大きな口が開いている。
これがクオ・リンゴブ。
怖い・・・。
それに、大きい!!
まるで山が動いてるみたい。
「聞けー!!」
5体いるクオ・リンゴブのうちの一匹が、トムジェルを捕まえたまま、大きな声で吠えた。
「妖精花の蜜が足りないぞぉぉぉ!!
姫が怪我をしていると、言っただろうがぁぁぁ!」
と、言っている。
昨日からよく聞くけど、姫とは誰のことだろう。
こんな怖い人たちのお姫様、て想像しただけでも、怖いな・・・。
それより、トムジェルが!!
「おい、リタ!
勝手に行くな!
怪我でもされたら、困るのだ!」
と、後ろからやってきたアシェリエルに私は、怒られたの。
「すみません。
でも、トムジェルが捕まってます。
助けないと!!」
私がそう言った時だ。
「なんだー?
お前らよそ者かぁぁぁぁ!?」
クオ・リンゴブの一匹が、その巨体で神殿の入り口に顔を突っ込むようにして覗き込んできた。
見つかった!!
私たちは思わず後ろに下がる。
こんな大きな一つ目に睨まれるの、初めて!
「なんだ、人狼か・・・。
ん?
お前、変わった奴だなぁぁぁぁ。」
と、そのクオ・リンゴブが、顔の横から大きな腕を生やして私をつまみ上げた。
「わわ!」
「リター!!」
レティシアが、思わず叫ぶ。
あ、足がつかない!!
高い!!
それを見たトムジェルが、すぐに自分を捕まえるクオ・リンゴブの腕を叩いて、
「待て待て!
この人たちは異界の客人なのだ!
乱暴な真似はしないでください!」
と、言っている。
「うるさいぃ!
これは漆黒の狼ではないかぁぁ!!
素晴らしいぃぃ!
姫の怪我を治す、妙薬になるかもしれぇぇぇん。」
クオ・リンゴブはそう言うと、トムジェルを放り投げた。
「ひゃあ!」
「トムジェルさん!」
思わず私も叫んだけど、トムジェルは下で待機していたレティシアが受け止める。
「その人狼は、大切な至宝だ!!
奪わせるわけにはいかん!!」
「そうだ!返してもらおう!」
ガルンティスとアシェリエルが、武器を取り出して、素早く私をつまみ上げるその大きな腕を斬りつけた。
「ぎゃぁぁぁぁぁー!」
悲鳴が響き渡り、手が離れて私は下に落下する。
でも、素早くくるりと回って着地した。
・・・ほ。
身が軽くてよかった・・・。
目の前で痛みに苦しむクオ・リンゴブの血が、ポタポタと滴り落ちていく。
・・・!!
信じられない。
地面に落ちたその血の雫から、新たなクオ・リンゴブが生まれて、たちまち巨大化していく。
「血を流させてはいけません!!」
と、トムジェルが叫んだ。
「彼らは、魔法だろうが、斬撃だろうが、その血が落ちたところから、仲間を増やします!
これ以上数が増えたら・・・!!」
そのトムジェルの言葉に、クオ・リンゴブは笑い始めた。
「ははは!
何も知らんよそ者がぁぁぁー!」
そう言いながら、また私を捕まえようと手を伸ばしてくる。
レティシアが素早く私の手を引いて後ろに庇うと、
「金の精霊よ!
その強き鋼の力で我が盾となり給え!
タフメル・シールド!!」
と唱えた。
地面がカッと光って、目の前に大きくて堅固な鋼の盾が現れると、クオ・リンゴブの手を阻んだ。
レティシアも、すごい!
こんな、あっという間に。
流石のクオ・リンゴブも手を弾かれて、悔しそうにレティシアを見る。
それを見ていたガルンティスは武器をしまうと、
「生意気な戦闘妖精どもぉ!
煉獄の炎で焼き尽くしてくれる!
火の精霊よ、我の呼び声に応え煉獄の炎で我が敵を焼き尽くせ!
ファイ・ヘル・ゲルド!」
と、叫んで口から大きな炎を吐き出した。
次々とクオ・リンゴブは燃え上がるけど、燃え尽きる前に、その体の中から、新たなクオ・リンゴブが生まれてきて、巨大化する。
「無駄無駄。
血だけではないぃ!
体液が落ちたところから、分身が生まれるからなぁぁぁ。」
そう言って、先程より数が増えた仲間を振り返り、
「さあ、打つ手なしだろぅぅ?
高慢な高次元の純血どもぉぉ。
その黒い狼をよこせぇぇぇ!」
と、吠える。
私たちは、どうしたものかと顔を見合わせた時だった。
「だから、あなたは脳筋だというんですよ、ガルンティス。」
と、聞きなれた声がして、何かコロコロと丸いものがクオ・リンゴブの足元に転がってきた。
「なんだぁ?」
と、ガルンティスが覗き込んだ途端、中からものすごい勢いで煙が湧き出した。
「ぎゃぁぁぁぁぁー!!
ブロブロ草の臭いーーー!!!」
クオ・リンゴブたちが一斉に苦しみ出して、巨体を揺らしながら、その場を駆け去って行く。
私もこの臭いは苦手。
鼻の奥まで刺激して、涙まで出てくるわ。
思わずよろめいて、レティシアの後ろから転がり出てしまった。
そんな私を見つけたのか、逃げ去るクオ・リンゴブたちの一番後ろを走る個体が、すれ違いざま、私を捕まえようと大きな手を開いてきたんだけど、
「触るな。」
と、声がした。
人影が躍り出て、その巨大な手を蹴り上げる。
思わず手を引いた最後尾のクオ・リンゴブも、悪態をつきながら、腕を顔の側面に引っ込めて仲間の後を追って、去っていった。
神殿の前が静かになり、やがて煙の中に、見慣れた人影が見え始める。
「騒がしいと思ったら、なーにしてんだか。」
「クオ・リンゴブ相手に無策のまま、真正面から斬り結ぼうだなんて、呆れて物が言えません。」
と、話すのはカミュンとクロスノスだった。
体も慣れてきたのか、昨日ほど苦しくない。
祭壇の前に立ち、アシェリエルが次元の階段へと続く扉を開けようとした時、外から大きな足音が聞こえて来た。
「クオ・リンゴブだー!!!
助けて!!」
妖精たちの騒ぐ声が聞こえる。
「こんな明るいうちに、来たことはなかったのに!」
トムジェルは、慌てて神殿の外へと向かった。
私は心配になってくる。
「大丈夫でしょうか。
様子を・・・、。」
私が行こうとすると、ガルンティスが肩を掴んでくる。
「馬鹿を言うな!
モタモタしている暇はないんだよ!
さっさと上がって・・・。」
「ぎゃー!!!」
ガルンティスがいい終わらないうちに、トムジェルの叫び声が、響いた。
大変!!
私はトムジェルを心配して、ガルンティスを振り払うと、声のする方へと向かった。
神殿の入り口が薄暗くなってる。
何か大きなものが、入り口の光を遮ってるんだ!
身を屈めながら、神殿の入り口にある柱の陰から覗くと、大きな生き物の姿が見えた。
蛇のような胴体に、タコの吸盤のような足が百足のように生えていて、一つ一つが車輪のように回転しながら動いているのが見えた。
背中は鋭い棘で覆われていて、顔は人面で大きな目が一つ。
頭には角が一本のものと、二本のものがいた。
顔の鼻から下は長い髭で覆われているけど、その下から顔の大きさの2倍はある大きな口が開いている。
これがクオ・リンゴブ。
怖い・・・。
それに、大きい!!
まるで山が動いてるみたい。
「聞けー!!」
5体いるクオ・リンゴブのうちの一匹が、トムジェルを捕まえたまま、大きな声で吠えた。
「妖精花の蜜が足りないぞぉぉぉ!!
姫が怪我をしていると、言っただろうがぁぁぁ!」
と、言っている。
昨日からよく聞くけど、姫とは誰のことだろう。
こんな怖い人たちのお姫様、て想像しただけでも、怖いな・・・。
それより、トムジェルが!!
「おい、リタ!
勝手に行くな!
怪我でもされたら、困るのだ!」
と、後ろからやってきたアシェリエルに私は、怒られたの。
「すみません。
でも、トムジェルが捕まってます。
助けないと!!」
私がそう言った時だ。
「なんだー?
お前らよそ者かぁぁぁぁ!?」
クオ・リンゴブの一匹が、その巨体で神殿の入り口に顔を突っ込むようにして覗き込んできた。
見つかった!!
私たちは思わず後ろに下がる。
こんな大きな一つ目に睨まれるの、初めて!
「なんだ、人狼か・・・。
ん?
お前、変わった奴だなぁぁぁぁ。」
と、そのクオ・リンゴブが、顔の横から大きな腕を生やして私をつまみ上げた。
「わわ!」
「リター!!」
レティシアが、思わず叫ぶ。
あ、足がつかない!!
高い!!
それを見たトムジェルが、すぐに自分を捕まえるクオ・リンゴブの腕を叩いて、
「待て待て!
この人たちは異界の客人なのだ!
乱暴な真似はしないでください!」
と、言っている。
「うるさいぃ!
これは漆黒の狼ではないかぁぁ!!
素晴らしいぃぃ!
姫の怪我を治す、妙薬になるかもしれぇぇぇん。」
クオ・リンゴブはそう言うと、トムジェルを放り投げた。
「ひゃあ!」
「トムジェルさん!」
思わず私も叫んだけど、トムジェルは下で待機していたレティシアが受け止める。
「その人狼は、大切な至宝だ!!
奪わせるわけにはいかん!!」
「そうだ!返してもらおう!」
ガルンティスとアシェリエルが、武器を取り出して、素早く私をつまみ上げるその大きな腕を斬りつけた。
「ぎゃぁぁぁぁぁー!」
悲鳴が響き渡り、手が離れて私は下に落下する。
でも、素早くくるりと回って着地した。
・・・ほ。
身が軽くてよかった・・・。
目の前で痛みに苦しむクオ・リンゴブの血が、ポタポタと滴り落ちていく。
・・・!!
信じられない。
地面に落ちたその血の雫から、新たなクオ・リンゴブが生まれて、たちまち巨大化していく。
「血を流させてはいけません!!」
と、トムジェルが叫んだ。
「彼らは、魔法だろうが、斬撃だろうが、その血が落ちたところから、仲間を増やします!
これ以上数が増えたら・・・!!」
そのトムジェルの言葉に、クオ・リンゴブは笑い始めた。
「ははは!
何も知らんよそ者がぁぁぁー!」
そう言いながら、また私を捕まえようと手を伸ばしてくる。
レティシアが素早く私の手を引いて後ろに庇うと、
「金の精霊よ!
その強き鋼の力で我が盾となり給え!
タフメル・シールド!!」
と唱えた。
地面がカッと光って、目の前に大きくて堅固な鋼の盾が現れると、クオ・リンゴブの手を阻んだ。
レティシアも、すごい!
こんな、あっという間に。
流石のクオ・リンゴブも手を弾かれて、悔しそうにレティシアを見る。
それを見ていたガルンティスは武器をしまうと、
「生意気な戦闘妖精どもぉ!
煉獄の炎で焼き尽くしてくれる!
火の精霊よ、我の呼び声に応え煉獄の炎で我が敵を焼き尽くせ!
ファイ・ヘル・ゲルド!」
と、叫んで口から大きな炎を吐き出した。
次々とクオ・リンゴブは燃え上がるけど、燃え尽きる前に、その体の中から、新たなクオ・リンゴブが生まれてきて、巨大化する。
「無駄無駄。
血だけではないぃ!
体液が落ちたところから、分身が生まれるからなぁぁぁ。」
そう言って、先程より数が増えた仲間を振り返り、
「さあ、打つ手なしだろぅぅ?
高慢な高次元の純血どもぉぉ。
その黒い狼をよこせぇぇぇ!」
と、吠える。
私たちは、どうしたものかと顔を見合わせた時だった。
「だから、あなたは脳筋だというんですよ、ガルンティス。」
と、聞きなれた声がして、何かコロコロと丸いものがクオ・リンゴブの足元に転がってきた。
「なんだぁ?」
と、ガルンティスが覗き込んだ途端、中からものすごい勢いで煙が湧き出した。
「ぎゃぁぁぁぁぁー!!
ブロブロ草の臭いーーー!!!」
クオ・リンゴブたちが一斉に苦しみ出して、巨体を揺らしながら、その場を駆け去って行く。
私もこの臭いは苦手。
鼻の奥まで刺激して、涙まで出てくるわ。
思わずよろめいて、レティシアの後ろから転がり出てしまった。
そんな私を見つけたのか、逃げ去るクオ・リンゴブたちの一番後ろを走る個体が、すれ違いざま、私を捕まえようと大きな手を開いてきたんだけど、
「触るな。」
と、声がした。
人影が躍り出て、その巨大な手を蹴り上げる。
思わず手を引いた最後尾のクオ・リンゴブも、悪態をつきながら、腕を顔の側面に引っ込めて仲間の後を追って、去っていった。
神殿の前が静かになり、やがて煙の中に、見慣れた人影が見え始める。
「騒がしいと思ったら、なーにしてんだか。」
「クオ・リンゴブ相手に無策のまま、真正面から斬り結ぼうだなんて、呆れて物が言えません。」
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