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狼に変身しちゃった
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「遠慮せずにどうぞ。
中身も見てください。
気に入っていただけるといいんですが。」
と、クロスノスが言った。
私は、初めて人に服をただでもらったことに驚いていた。
新しい服なんかもらったことがないから、いつも捨ててあるカーテンや、布切れを見つけてきて、それを持っていた服に縫い付けてきた。
体が大きくなるたびに、探すのが大変で、最後に来ていたあの服も、もうキツくなっていたから。
私はビクビクしながら、クロスノスから紙袋を受け取ると、中身を見た。
「わぁ、可愛い!」
思わず笑顔になって、その場で飛び上がった。
色もデザインも、ずっと欲しかったものだった。
おしゃれなんて、したくてもできなかったから、余計に嬉しかった。
私はときめきを抑えられず、紙袋をぎゅっと抱きしめる。
そんな私をクロスノスは、にこにこと笑顔で見つめていた。
「いやー、可愛らしい。
こんなに素直に喜ばれると、もっと、あげたくなりますねー。
カミュン?」
と、クロスノスがカミュンを見るので、私も彼を見る。
カミュンは後ろを向いて、こちらを見ようともしない。
私は紙袋を抱きしめたまま、彼のそばに行って頭を下げた。
「あの、お手数おかけしてすみません。」
と、言うと、
「・・・別に。」
と、言って彼はさらにそっぽを向いた。
・・・怒ってるのかな。
「ふふ、そういう時は、『ありがとう』で、いいんですよ。
えっと・・・お名前をまだ聞いてませんでしたね。」
「私は、人狼のリタです。
リタ・カトラ・アーキムと言います。」
「リタですか。
いい名前ですね、私はクロスノス・オディン。
魔族と人間の混血です。
そして、彼はカミュン・テイムダル。
天族と人間の混血。」
と、クロスノスは教えてくれた。
また新しい種族の人と知り合えたんだわ。
私は感心しながら頷いた。
「あの、ありがとうございます。
とっても嬉しいです。
大事に着ますね。」
私はカミュンの方を見て、もう一度笑顔で頭を下げた。
カミュンはチラリとこちらを見たが、
「おぅ・・・。」
と言っただけ。
「カミュン、失礼ですよ。
すみません、リタ。
カミュンは、単に照れてるだけなんです。」
「照れ・・・。」
「余計なこと言うなよ、クロスノス!」
「はいはい、すみません。
こちらへどうぞ、リタ。
お風呂場はこちらです。」
と、クロスノスは涼しい顔で言って、私の先を歩いて案内してくれる。
私は部屋を出る前に、カミュンをもう一度見た。
彼は背を向けたまま、片手で口を押さえて震えているようだ。
耳が少し赤い気もするけど。照れてるようには見えない。
男の人、てわからないな。
今着ているこの寝巻きも返さないといけないし、早く洗って返そう。
私は、申し訳なく思いながら、クロスノスについて行った。
「ここです、鍵も内側からかけられますから。
中のものはなんでも使っていいですよ。
ごゆっくり。」
クロスノスは脱衣所の扉を開けて、私を中に入れると扉を閉めた。
こんなに優しくしてもらえたのは、初めて・・・。
本当はまだ少し怖いけど、何かする気なら、もうされてるよね。
鍵を閉めて、お風呂に入る。
わあ、きちんとしたお風呂なんて子供の時以来だ。
浴槽のお湯もちょうどいい温度だし、体を洗ったらしっかり温まろう。
嬉しい、自分の体臭も流石に嫌になってたから。
えっと、髪や身体はどれで・・・。
とってもいい香りのするものばかり。
特に、柑橘系のこの香いいなー。
さっそく泡立てて使ってみる。
わぁ、いい香ー。
男の人が使うものだから、もっと違うものかと思ってたけど、2人ともおしゃれなんだなー。
そう思っていると、鼻がむずむずしてきた。
「は・・・くっしゅん!!」
大きなくしゃみをしてしまった。
その瞬間、両手を真っ黒な毛が覆った。
ええ!?
嗅覚が急に鋭くなる。
こ、この久しぶりの感覚・・・まさか!!
慌てて鏡をみると、そこには泡まみれになった漆黒の狼がいた。
そんな・・・そんなどうして?
満月を見たわけでもないのに。
あ、そうか。
18歳になったら、任意に変身できるんだっけ。
も、戻らないと。
どうやるんだっけ?
あー、久しぶりで思い出せない!
焦っていると、泡で足を滑らせて派手に転んでしまった。
「どうしました?」
クロスノスの声がする。
な、なんでもありません!
そう言いたいのに、
「ウォッ、フォッ。」
と、獣言葉しか言えない。
「リタ?」
「なんだ?どうした?」
「いえ、何やら獣の声がするのです。」
「獣?
リタ?リタ、大丈夫か?」
カミュンまで来てる!
急いで戻らなくちゃ!
あぁぁ、どうやってたかしら?
「鍵がかかっていて、開かねぇ。」
「当たり前ですよ、女性が入浴中なんですから。」
「中で倒れてるんじゃないのか?」
「仕方ありませんね。
リタ、今からプルッポムリンを放ちます。
世話好きの妖精で、あなたに寝巻きを着せてくれた女性の妖精です。
彼女にあなたの様子を見にいかせますので。」
と、クロスノスが言った後、お風呂場に小さな金色の蝶のような妖精が入ってきた。
風呂場のドアをすり抜け、ゆっくり近づいてくる。
私は慌てて立ち上がろうとして、また滑る。
久しぶりだから、体の動かし方の要領が悪い!
「あら、泡だらけの狼さん。
まさか、あなたはリタなの?」
プルッポムリンにそう言われて、頷く。
「こんなところで変身するなんて。
クロスノスー、大丈夫よ。
ちょっと中で変身してるだけだからー。」
彼女の言葉に、また何か言おうとして、落ち込んで俯く。
「初めてまして、よね。
起きている時に出会うのは、そうだもの。
世話好きな妖精、プルッポムリンです。
あなたは今、人の言葉は話せないみたいね。
大丈夫、そのうち出来るようになるわ。」
と、言ったプルッポムリンは、小さな見た目にそぐわず凄い力で、さっとお湯をかけて泡を流してくれた。
「これでよし。
わあー、綺麗な狼ね。
こんなに漆黒の毛艶のいい狼は、初めて見るわ。
さて、どうやって変身したの?
もう一度やれば戻るかもよ?」
私は体をブルブル振ってお湯をとばすと、必死に思い出していた。
確か・・・確かくしゃみをしたんだった。
そう思った途端、
「ブシュン!!」
と、くしゃみをした。
すると、手足の毛がすっと引っ込んでいった。
急いで鏡をみると、元の自分に戻っている。
「も、戻れた。」
ほっとしている私の顔の近くに、プルッポムリンは飛んできた。
「くしゃみなのね。
面白い子。
さ、まだまだ綺麗にしないとね。
手伝ってあげるわ。
体を乾かしたら、髪を整えてあげるね。」
私は彼女に促されて、しっかり洗った後、ポカポカのお湯に浸かって温まった。
プルッポムリンが、頑固な汚れも綺麗に落としてくれて、自分が別人みたいに見える。
「はい、リタ、あがってー。
のぼせるわよー。」
プルッポムリンがにこにこ笑いながら、私を立たせて脱衣所に連れて行った。
体を拭いて、着たかったあの服に袖を通す。
鏡に自分を映して、その姿に嬉しさがこみ上げた。
「へぇー、あなた本当に美人さんね!
これは腕によりをかけて、素敵に仕上げなくちゃ。
楽しみにしてて。」
プルッポムリンはそう言うと、私の顔や髪を整えてくれた。
中身も見てください。
気に入っていただけるといいんですが。」
と、クロスノスが言った。
私は、初めて人に服をただでもらったことに驚いていた。
新しい服なんかもらったことがないから、いつも捨ててあるカーテンや、布切れを見つけてきて、それを持っていた服に縫い付けてきた。
体が大きくなるたびに、探すのが大変で、最後に来ていたあの服も、もうキツくなっていたから。
私はビクビクしながら、クロスノスから紙袋を受け取ると、中身を見た。
「わぁ、可愛い!」
思わず笑顔になって、その場で飛び上がった。
色もデザインも、ずっと欲しかったものだった。
おしゃれなんて、したくてもできなかったから、余計に嬉しかった。
私はときめきを抑えられず、紙袋をぎゅっと抱きしめる。
そんな私をクロスノスは、にこにこと笑顔で見つめていた。
「いやー、可愛らしい。
こんなに素直に喜ばれると、もっと、あげたくなりますねー。
カミュン?」
と、クロスノスがカミュンを見るので、私も彼を見る。
カミュンは後ろを向いて、こちらを見ようともしない。
私は紙袋を抱きしめたまま、彼のそばに行って頭を下げた。
「あの、お手数おかけしてすみません。」
と、言うと、
「・・・別に。」
と、言って彼はさらにそっぽを向いた。
・・・怒ってるのかな。
「ふふ、そういう時は、『ありがとう』で、いいんですよ。
えっと・・・お名前をまだ聞いてませんでしたね。」
「私は、人狼のリタです。
リタ・カトラ・アーキムと言います。」
「リタですか。
いい名前ですね、私はクロスノス・オディン。
魔族と人間の混血です。
そして、彼はカミュン・テイムダル。
天族と人間の混血。」
と、クロスノスは教えてくれた。
また新しい種族の人と知り合えたんだわ。
私は感心しながら頷いた。
「あの、ありがとうございます。
とっても嬉しいです。
大事に着ますね。」
私はカミュンの方を見て、もう一度笑顔で頭を下げた。
カミュンはチラリとこちらを見たが、
「おぅ・・・。」
と言っただけ。
「カミュン、失礼ですよ。
すみません、リタ。
カミュンは、単に照れてるだけなんです。」
「照れ・・・。」
「余計なこと言うなよ、クロスノス!」
「はいはい、すみません。
こちらへどうぞ、リタ。
お風呂場はこちらです。」
と、クロスノスは涼しい顔で言って、私の先を歩いて案内してくれる。
私は部屋を出る前に、カミュンをもう一度見た。
彼は背を向けたまま、片手で口を押さえて震えているようだ。
耳が少し赤い気もするけど。照れてるようには見えない。
男の人、てわからないな。
今着ているこの寝巻きも返さないといけないし、早く洗って返そう。
私は、申し訳なく思いながら、クロスノスについて行った。
「ここです、鍵も内側からかけられますから。
中のものはなんでも使っていいですよ。
ごゆっくり。」
クロスノスは脱衣所の扉を開けて、私を中に入れると扉を閉めた。
こんなに優しくしてもらえたのは、初めて・・・。
本当はまだ少し怖いけど、何かする気なら、もうされてるよね。
鍵を閉めて、お風呂に入る。
わあ、きちんとしたお風呂なんて子供の時以来だ。
浴槽のお湯もちょうどいい温度だし、体を洗ったらしっかり温まろう。
嬉しい、自分の体臭も流石に嫌になってたから。
えっと、髪や身体はどれで・・・。
とってもいい香りのするものばかり。
特に、柑橘系のこの香いいなー。
さっそく泡立てて使ってみる。
わぁ、いい香ー。
男の人が使うものだから、もっと違うものかと思ってたけど、2人ともおしゃれなんだなー。
そう思っていると、鼻がむずむずしてきた。
「は・・・くっしゅん!!」
大きなくしゃみをしてしまった。
その瞬間、両手を真っ黒な毛が覆った。
ええ!?
嗅覚が急に鋭くなる。
こ、この久しぶりの感覚・・・まさか!!
慌てて鏡をみると、そこには泡まみれになった漆黒の狼がいた。
そんな・・・そんなどうして?
満月を見たわけでもないのに。
あ、そうか。
18歳になったら、任意に変身できるんだっけ。
も、戻らないと。
どうやるんだっけ?
あー、久しぶりで思い出せない!
焦っていると、泡で足を滑らせて派手に転んでしまった。
「どうしました?」
クロスノスの声がする。
な、なんでもありません!
そう言いたいのに、
「ウォッ、フォッ。」
と、獣言葉しか言えない。
「リタ?」
「なんだ?どうした?」
「いえ、何やら獣の声がするのです。」
「獣?
リタ?リタ、大丈夫か?」
カミュンまで来てる!
急いで戻らなくちゃ!
あぁぁ、どうやってたかしら?
「鍵がかかっていて、開かねぇ。」
「当たり前ですよ、女性が入浴中なんですから。」
「中で倒れてるんじゃないのか?」
「仕方ありませんね。
リタ、今からプルッポムリンを放ちます。
世話好きの妖精で、あなたに寝巻きを着せてくれた女性の妖精です。
彼女にあなたの様子を見にいかせますので。」
と、クロスノスが言った後、お風呂場に小さな金色の蝶のような妖精が入ってきた。
風呂場のドアをすり抜け、ゆっくり近づいてくる。
私は慌てて立ち上がろうとして、また滑る。
久しぶりだから、体の動かし方の要領が悪い!
「あら、泡だらけの狼さん。
まさか、あなたはリタなの?」
プルッポムリンにそう言われて、頷く。
「こんなところで変身するなんて。
クロスノスー、大丈夫よ。
ちょっと中で変身してるだけだからー。」
彼女の言葉に、また何か言おうとして、落ち込んで俯く。
「初めてまして、よね。
起きている時に出会うのは、そうだもの。
世話好きな妖精、プルッポムリンです。
あなたは今、人の言葉は話せないみたいね。
大丈夫、そのうち出来るようになるわ。」
と、言ったプルッポムリンは、小さな見た目にそぐわず凄い力で、さっとお湯をかけて泡を流してくれた。
「これでよし。
わあー、綺麗な狼ね。
こんなに漆黒の毛艶のいい狼は、初めて見るわ。
さて、どうやって変身したの?
もう一度やれば戻るかもよ?」
私は体をブルブル振ってお湯をとばすと、必死に思い出していた。
確か・・・確かくしゃみをしたんだった。
そう思った途端、
「ブシュン!!」
と、くしゃみをした。
すると、手足の毛がすっと引っ込んでいった。
急いで鏡をみると、元の自分に戻っている。
「も、戻れた。」
ほっとしている私の顔の近くに、プルッポムリンは飛んできた。
「くしゃみなのね。
面白い子。
さ、まだまだ綺麗にしないとね。
手伝ってあげるわ。
体を乾かしたら、髪を整えてあげるね。」
私は彼女に促されて、しっかり洗った後、ポカポカのお湯に浸かって温まった。
プルッポムリンが、頑固な汚れも綺麗に落としてくれて、自分が別人みたいに見える。
「はい、リタ、あがってー。
のぼせるわよー。」
プルッポムリンがにこにこ笑いながら、私を立たせて脱衣所に連れて行った。
体を拭いて、着たかったあの服に袖を通す。
鏡に自分を映して、その姿に嬉しさがこみ上げた。
「へぇー、あなた本当に美人さんね!
これは腕によりをかけて、素敵に仕上げなくちゃ。
楽しみにしてて。」
プルッポムリンはそう言うと、私の顔や髪を整えてくれた。
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