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天の川へ願いを-鍵を守護する者④-

歓迎会をしよう

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「はぁ?」
四季からの第一声はまるで正気か?  と訊かれているかのようなものだった。
「だめ?」
彼の言葉に怯まず、美都は上目遣いで見つめる。その仕種にグッと喉を詰まらせながら四季は呆れたように溜め息を吐いた。
「いいけどどこでやるつもりだ?」
「弥生ちゃんの家」
「待て」
どうせ何も考えていないとでも思ったのか、四季の質問にさっと回答するとそれを上回る速さで制止の言葉が返ってくる。
「弥生ちゃんにはもう話したよ。『いいんじゃない?』って」
実は四季に伝える前に、既に弥生には相談してある。四季の言う通り場所をどうしようかと考えた際、これから隣で暮らすのであれば弥生たちも紹介しておいた方が水唯にとっても安心材料となって良いのではないかという発想に至った。
「さっき弥生さんとこ行ってたのはそれか……」
「うん。あ、肉じゃがおすそ分けしてもらったよ」
ちょうど弥生の家から帰ってきたところだったので、彼女から分けてもらった惣菜が入ったタッパーを四季に手渡す。頭を抱えながら四季は渋々と美都の手からそれを受け取りキッチンへ回った。
「──いつ?」
「決めてないけど、水唯の予定を聞いてからかな。金曜の夜とか?」
「あぁ、まあそれくらいがいいかもな」
手際良く皿に移し替えながら四季が納得したように呟いた。その皿をカウンターに置き、向かいにいた美都がそれをテーブルへスライドさせる。彼の言動から判断するに異論はないようだ。
「ちょうど俺も瑛久さんに訊きたいことあったし」
「そうなんだ?  じゃあ明日にでも水唯に訊いてみるね」
言いながら炊飯器からご飯をよそうと、四季が二人分の茶碗を手に持ってテーブルへ歩いてきた。一方を美都の前に置き、自身のものは手にしたまま向かいの席へ座る。彼が着席したのを確かめて、二人揃って合掌した。
「いただきます」
箸を手にして目の前の料理に手を付け始める。四季が食事当番だっただけにいつもより品数が多い。加えて弥生からもらった肉じゃがもある。食卓が華やかだなと感じていると目の前に座る四季がおもむろに口を開いた。
「水唯と何の話してんだ?」
「ん?  うーん、好きなものとか得意な科目とか」
「それで会話が続くのか?」
「うん。ほらいつもどんな本読んでるかーとか、あとは勉強の仕方とかね」
ふーんと適当な相槌を打ちながら互いに食を進めていく。水唯に関してはまだ謎な部分が多い。あまり自分の領域に他人を入れたがらないのか、彼が誰かと話している姿を目にしたのはほんのわずかだった。だからこそ歓迎会──のようなもの──をしようと考えたのだが。
すると突然四季が少し難しい顔をして目の前の皿に箸を伸ばした。
「あいつ──……『良くないもの』とかじゃないよな?」
「水唯が?  まさか。だって水唯は普通の──」
そこまで言ってハッとする。そう、至って彼は普通の人間だ。だから何も気にしていなかった。美都が気づいたのは初音のことだ。いまだに初音の正体は不明のまま。考えられるのは、第一中学の生徒ということのみだ。3年生かと問うたときには彼女は何も応えなかった。だからその可能性は捨てきれていない。
もう一つ。初音には宿り魔が憑いているはずなのだ。だが彼女はその気配をどうやらコントロールしている。だからこそ今まで正体が判明出来ていないのだ。
「ねぇ……もしかして宿り魔の刻印って、ずっと出てるわけじゃないのかな……?」
気配に加え、刻印さえ隠すことが出来るなら学校では他の生徒に紛れて生活するのに支障はないはずだ。特に初音が見せた刻印の場所は耳の後ろ、首筋に近い部分であった。髪を結ったり風が吹いたりすれば体育の授業にでも誰かに見つかるだろう。
「可能性はあるな。これだけ見つからないとなると」
「やっぱりそうだよね……」
自分たちの近くに初音がいる。だが何の理由も無しに他人を疑うことは出来ないししたくはない。水唯にしてもそうだ。ただ自分の夢が原因で、彼に何かがあるとは今は到底思えない。考えるため箸を止めていたところ四季がふっと苦笑いを浮かべ息を吐いた。
「まぁまだ何も起こってないしな。あんまり穿ちすぎも良くない」
「うん……そうだね」
「用心するに越したことはないけど。特にお前は」
そう四季に言われて思わず首を傾げる。美都の反応を見て本当に解っていなさそうだなと判断したのか彼が言葉を続けた。
「そろそろ自分の性格を自覚しろ」
「?  何が?」
「向こう見ずで危なっかしいところ。あと鈍感」
「そ……!」
自分の性格を冷静に指摘され、反射的に言葉を返そうとした瞬間思い留まった。確かに以前より危なっかしい、向こう見ずだと言われていたことを思い出す。果たして本当に当てはまらないかと言われればひとえに反論が出来なくなってしまった。だがもちろん納得はしていない。特に鈍感の部分に対しては。
「そんなこと……ないもん」
それでもやはり反論しないと気が済まない。ぐぬぬという表情を浮かべ、美都は四季を見た。やれやれと肩を竦めながら彼は食事を進めている。そんなに鈍感ではないはずだ、と思いながらも自分の気持ちにも彼の気持ちにも気付けなかったためここは大人しく認めるべきか。
付き合い始めてから四季は殊更に過保護度が増したなと感じる。もちろん自分を想ってくれてのことだ。窮屈ではないが逆に気を揉ませていないか心配になる。改めて気を付けようと思うと美都は再び目の前の料理に口を付け始めた。





半ば強引に美都が水唯との予定を取り付け、歓迎会は目論見通り金曜の夜に決まった。歓迎会と大袈裟に言うものの中身はただの食事会だ。
部活から帰ったあと二人は制服から私服に着替え、水唯を連れて櫻家に向かった。
「本当にいいのか……?」
「もちろん。たまに一緒に食事してるんだよ。だから遠慮しないで」
水唯が不安げにそう言うのは、一人部外者だという意識があるからなのかもしれない。彼を食事へ誘う際に、弥生たちとも親戚であることは伝えてある。こういう時に親戚設定が役に立つのだなと思った。
インターフォンを押すと軽快な足音が扉越しに響いてきた。間も無く扉が開いて弥生が顔を覗かせる。
「いらっしゃい。さ、中に入って」
そう言って美都と四季を見た後、弥生は二人の後ろに佇む人影に気付いて視線を動かす。
「あなたが水唯くんね。櫻弥生です。よろしくね」
「あ──……ほ、星名水唯です。よろしくお願いします……」
弥生の微笑みに少し気後れしながら互いに自己紹介を済ませる。順に中に入るとリビングから更に小さな足音がパタパタとこちらに近づいてくるのが聞こえた。
「みとちゃん!」
「こんばんは、なっちゃん。お邪魔するね」
「いらっしゃいませ!  しきくんも!」
勢いよく足元に抱きついてくる那茅に応じるよう、美都は身を屈めた。ニコニコと嬉しそうな笑みを浮かべ美都と四季に声をかける。そしてすぐに後ろにいた水唯に視線を移した。
「こんばんは!」
「こ……こんばんは」
「さくらなちです!  4さいです!  あなたのおなまえはなんですか⁉︎」
「あ、えっと……水唯、です」
「すいくん!  よろしくおねがいします!」
少女の怒涛の勢いに気圧され、水唯が戸惑いながら幼子と言葉を交わす。おどおどと明らかに慣れていない姿に思わずクスクスと笑った。
「水唯、もしかして子ども苦手?」
「苦手というか……今まで正面から接してきたことがないからどうすればいいのかわからない……」
彼は渋い表情を浮かべ美都の質問に答えた。確かに年の離れた兄弟でもいなければ未就学児と接する機会などないだろう。美都自身も一人っ子であるため、この年頃の子どもと時間を有することは今までなかった。だが那茅は人見知りせず誰に対しても真っ直ぐにぶつかってくる子だ。
「大丈夫大丈夫。すぐ慣れるって。ね、四季?」
「そうだな。那茅のコミュ力はすごいぞ」
彼のいう通りだ。那茅の特権は大人に囲まれているということ。その中で唯一の子どもというだけあって彼女は自分のポジションをしっかりと確立している。この年齢で他人に気遣いが出来る子なのだ。
「瑛久さんはまだ仕事ですか?」
「えぇ。もう少しで帰ってくるはずよ。あ、四季くん手伝ってくれる?」
「はい」
四季と弥生の会話を聞きながら、水唯がきょとんと言った表情を見せる。すぐさま美都が瑛久との関係性を説明し、彼も納得したようだった。
キッチンに立つ四季を目の当たりにして、水唯が感嘆の息を漏らした。
「四季は料理が出来るのか……」
「びっくりでしょ。ああ見えてわたしよりも何倍も上手いんだよ。レパートリーも多いし」
「……すごいな」
弥生の横に並んで四季は手際良く調理の手を進めている。さすがに弥生の采配だなと感じる。ここで自分ではなく四季を調理人として選ぶところが。
カウンターに置かれていく皿を手に取り、ダイニングテーブルへと移動させる。見様見真似で水唯も彼女に倣うように手を動かした。
「水唯はいつもご飯どうしてるの?」
「基本何か買ってきてるな」
「自分で作らないの?」
「……作れないんだ」
そう言って水唯は苦い顔になる。
なるほど、と合点がいった。四季のことを尊敬の眼差しで見ていたのはそういうことか。彼の気持ちはよくわかる。自分もどちらかといえば得意な方ではない。食事当番だから仕方なしという感じで日々作っているが、これが一人だったらおそらく水唯と同じような生活になるだろう。そう考えると四季がいてくれてよかったなと感じるところだ。
「人には得手不得手があるもんね。仕方ないよね」
「お前最近それで済まそうとしてないか?」
うんうんと水唯への言葉を自分にも言い聞かせていると、配膳をしていた四季が眉間にしわを寄せた。
「ど……努力は、してるよ?」
「美都ちゃん、夏休みに特訓しましょうか。お料理の」
「うぅ……弥生ちゃんまでぇ……!」
弥生はあくまでも善意での申し出だ。双方からのツッコミに美都が焦っているとその様を見た水唯が口元に手を当ててふっと顔を綻ばせた。初めて見る表情に美都も嬉しくなって笑みを零す。
ちょうど配膳が一段落したときに、玄関から鍵が開く音がした。誰よりも早く、那茅が小さい身体を動かし一目散に駆けていく。
「おとーさん!  おかえりなさい!」
「おー、ただいま」
瑛久が帰ってきたのだ。玄関先で愛娘と会話する声が聞こえる。キャッキャと弾むような少女の声から父の帰宅を待ちわびていた雰囲気が感じられた。間も無く廊下を歩いてきた瑛久がリビングへ顔を覗かせる。口々に出迎えの言葉を伝えると彼は一同を見遣った。
「こんだけいると壮観だな」
そう言った後、近くにいた水唯と対面する。互いに軽く会釈をし瑛久が先に名乗ると、水唯は本日3回目の自己紹介を始めた。
「はじめまして。星名水唯です。よろしくお願いします」
「星名?」
彼の名前を聞いて、瑛久がきょとんと目を見開く。そのすぐ後、瑛久は改めて水唯の顔をじっと見つめた。その様を不思議に思って美都が首を傾げる。
「どうかしたんですか?」
瑛久はしばらく視線を上に置いて熟考した後、再び水唯に向き直った。
「いや。珍しい名字だなと思って。『すい』はどう書くの?」
「『水』に、唯一の『唯』です」
「なるほど、それで『水唯』か。いい名前だね」
さすがに喋り慣れているなと感じるのはやはり彼の職業所以だろうか。瑛久は研修医として最近は外来の診察も行っているそうだ。そこで培われた技術だろう。彼が主治医なら患者も安心して受診できそうだなと感じる。
弥生が瑛久を促してかっちりとしたスーツからラフな私服に着替えさせると、一同がダイニングテーブルに集結する。座り順としては誕生日席に那茅が座りその両隣りに弥生と瑛久、同性の隣に美都と四季が座り那茅の向かいの席に水唯といった感じである。
那茅が元気よく「いただきます!」というと大人たちもそれに倣って合掌した後、各々箸を伸ばし始めた。
「そういえば、美都ちゃんと四季くんはそろそろ部活も大詰めなんじゃない?」
最初に口火を切ったのは弥生だった。目の前には夏休みが迫っている。明日から始まる休日は彼女の言う通り部活漬けだ。
「うん。来週にはもう最後の大会なの。頑張らないと!」
「那茅と応援に行ってもいい?  ラクロスって生で観たことなくって」
「ほんと?  来てくれたらすごく嬉しい!」
弥生の提案にパァと表情を明るくする。知り合いに観られるのは緊張するがやはり嬉しくもある。それにラクロスという競技を知ってもらう良い機会だ。中学生活最後の大会というだけでも気合いが入る。より一層頑張らなければと美都は顔を綻ばせた。
「水唯は部活入らないんだって?  運動はできるのか?」
「あぁ。まぁ、程々には……。でも球技は苦手かもしれない」
女子同士で盛り上がっていると、不意に四季が水唯に問いかけた。3年生の部活引退まで期間が間もないため、水唯は部活には入らないのだそうだ。わざわざ球技が苦手だと言う程なので得意な競技もあるはずだ。そう思って美都が何が得意なのか訊ねる。すると少しだけ気恥ずかしそうにしながらポツリと答えた。
「剣道をちょっとだけ……」
「あ、俺も俺も」
同意の声は四季の隣から上がったものだった。初めて耳にする情報に四季も美都も目を瞬かせる。
「瑛久さん剣道やってたんですか?」
「そ。一応段位も持ってるよ。まあもうさすがに現役のときみたいには動けないけど」
「あ!  じゃあ今度……!」
そこまで言ってはたと思い至った。「今度構えを教えて欲しい」と言ったら水唯に「何の為に?」と不思議に思われそうだ。しかし途中まで口に出してしまった手前何か言わざるを得ない。苦し紛れの言い訳を探し咄嗟に、
「こ、今度……応援の作法教えて欲しいな」
と口にした。友人が合気道をやっているからと言う理由を伝えて。これならばまだまともに聞こえるはずだ。
危なかった。普通の人間は日常で剣は振るわない。守護者の務めはもちろん非日常だ。巴の武器である剣は、自分も守護者になるまで触れたことのないものだった。見様見真似で振り回しているが、やはり少なからず剣術の構えは身につけておいた方が有効な気がするのだ。
「そっか。でも納得しちゃった。水唯ってすごく姿勢いいもんね」
「そう……か?  それはあまり気にしてなかったな……」
「うん。座ってても背筋綺麗だし。佇まいが目を惹くのかも」
自然と水唯に目が引き寄せられるのはそう言う理由だったんだなと美都は思わず納得した。そう真っ向から言われた本人は照れて目を逸らしている。すわりが悪そうに水唯は小声で四季に訊ねた。
「美都はいつもこうなのか……?」
「あぁ。今に慣れる」
小慣れた感じで水唯の問いに答えながら四季は汁物に手をつける。あくまで二者間での会話だった為美都の耳には届かず何事だろうかと首を傾げた。
「あれ?  弥生ちゃんは何部だったの?」
「内緒」
即座に回答が来て一同目を瞬かせる。にっこりと微笑む弥生に対して瑛久は苦い顔をしていた。
「別に隠す必要ないだろうが……」
「いいでしょ別に。まぁ追い追いね。それよりも水唯くんのこと聞きましょ?」
何だかこれ以上は訊いてはいけない雰囲気だ。追い追い、と言うのだからいつかは話してくれるのだろう。内緒にされる程気にはなるが。
弥生がせっかく水唯に焦点を当ててくれたので、美都は更に質問を重ねた。
「学校から帰ったら何してるの?  勉強?」
「勉強だったりパソコン触ったり……色々」
「パソコンも得意なんだ?」
「得意という程でもない。割と普通だと思う」
そう水唯は美都からの問いに謙遜して答えた。先ほどから質疑応答を繰り返していて気付いたのだが、水唯は言葉を濁す傾向があるように思える。断定した言い方をしないのは何か理由があってのことなのかそれとも癖なのかが気になるところだ。
その後も彼への質問は続いた。得意な科目は数学と理科という典型的理系であることが判明したり、ヘアケアの仕方──これは弥生からの質問だ──を訊いたり、現状で困っていることはないか確認したりと生活のことが中心だった。
「あ、音楽は好き?  来月合唱コンクールだけど」
美都は音楽委員として、少なからずクラスをまとめなければいけない立場だった。伴奏者と指揮者が決まった時点で仕切りについては願い出る算段ではあるが。水唯は難しい顔をする。
「合唱は触れてきてないな」
「?  何か楽器やってたとか?  あ、もしかしてピアノ⁉︎」
そうであったら良いなという願望もあった。水唯がピアノを弾けるのであれば、高階との類似点がようやく見つかる。それに彼がピアノに向かう姿は様になるなと感じるところだ。
しかし水唯はピアノという単語を耳にすると一瞬硬直した。何かを思い出すかのようにその金色の瞳を揺らして、どこか遠くを見つめている。少しの間ののち、彼はゆっくりと口を開いた。
「──やってたのは俺じゃなくて、……身内が」
「……そう、なんだ」
眉を下げながら無理やり笑みを作る水唯の顔を見て、これ以上は追及してはいけないのだと思い美都は口を噤む。これは彼の内側の部分だからだ。わざわざ「身内」という言い方をするくらいだ。そこにはきっと触れてはいけない何かが隠されているのだろうと瞬時に察した。
その雰囲気は美都だけではなく那茅以外の3人とも察知したようだった。考えてみれば互いのパーソナルな面に関しては今まであまり触れてこなかったところだ。だからこそ皆何も言わないのだろう。
美都は白々しく話題を変える。せっかくの食事会だ。この流れは良くないと考え学校での話を始めた。
かく言う自分もそうだ。この生活を始めて3ヶ月になるが話していないことはまだある。おそらく四季にもあるだろう。互いに干渉を避けてきた結果だ。いつか話さなければならない日が来るはずだ。それでも今は、忘れられるのなら忘れていたい。だから無理には聞き出さない。水唯にも何か事情があるのだろう。この時期に転校してきて、挙句広い部屋に一人暮らしだ。気にはなるが干渉すべきではない。だが彼の助けにはなりたいと思う。おせっかいと言われようと、それが自分にできることだ。水唯に拒絶されない限りは彼の手助けをする。それはやはり彼がなんとなく放っておけない雰囲気があるからだろうな、と美都は一人思ったのだった。

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