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始まりの終わり

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少女が力を得た。
毎度のことながら、これが喜ばしいことなのか解らない。それでも指輪が少女を選び、少女が力を望んだのだ。自分は天命に従う他ない。
菫は美都が去った礼拝堂の中央で一人無言で佇んでいた。
鍵を守護する者が揃った。つまり鍵は近くに必ずある。
今までとは、何かが違う。それを言い表すのは殊に難しいがそうであると言わざるを得ない。
顔をあげ、正面の十字架を見た。
歯車は動き出した。動き出してしまった。自分には天命を如何とすることも出来ない。
願うことと祈ること。自分に出来るのはただそれだけだ。
鍵を持つ者も。
鍵を求める者も。
鍵を守護る者も。
ただ平等に幸せを願う。
どうか最悪の事態にならぬよう。
どうか各々の幸せを掴めるよう。
「主よ……」
菫は小さな声で呟く。それでもこの礼拝堂には十分に響く。
時を経て巡ってきた思惑が今、交錯し始めようとしている。


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