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PJならぬ、PDのひとりエッチ♡

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 スマホが震えるたびに、なんとも言えない気分になる。
 
「なにソワソワしてんの」
「は? 別に」

 突然、幼なじみの女に家に呼び出されて数分。
 よくある展開なら、とっくにイイカンジになってるだろうな。
 オレだって男だし。
 あ、でも。相手がコイツだもんなァ。

「てか、なんなんだよ」

 オレ忙しいんだけど……と言う前に、彼女がわざとらしい咳払いをした。
 こいつがイスで、僕がなぜかカーペット敷きの床なのかがなんかムカつく。

「あのさ。パパ活のことだけど」

 パパ活――、思わず舌打ちした。

「なによ。その反応」
「罰ゲームだろ。ちゃんとしてきた。それでいいだろ」

 思えば、なんであんなことしたんだろうな。
 たかがテストの点数くらいでムキになったオレたちは、これまた妙な罰ゲーム思いついちまったんだ。
 結果、ギリギリで負けたオレはパパ活アプリに女装して登録させられた。
 テレビのドッキリみたいなノリで、内心けっこうワクワクしながらのイタズラだったんだ。
 めんどくさいやり取りも、適当に流せるくらいには。
 んでもって、ホント適当に決めたオッサンがすごく変な奴で。

「どんな人が来たのよ?」
「あー……」

 事前に写真交換してなかった。だから知らなかったんだ。
 
「ハゲたキモいオッサンだった」

 ウソだ。
 めちゃくちゃイケメンで、ガチムチのマッチョで。足も長くて。それで――。

「それで、エッチしたの?」
「ブフォッ!!!」

 飲んでたペットボトルのジュースを吹き出した。
 
「ちょっとぉ、汚いじゃん」
「だ、ダレのせいだと思ってんだ」

 いきなり変なコト言うからだろ。
 心底迷惑そうな顔をしながらも、タオルを投げて寄こしてくれるアイツの口の端はヒクヒクしてる。
 つまり、からかわれたってことだ。

「濃厚なホモセックスしたんでしょ?」
「す、するワケないだろ!」

 これもウソ。実はガッツリしちまった。
 
『ひぁぁんっ♡♡ も、もうらめっ、オマンコこわれちゃ゙ぅぅぅっ♡♡♡』

 ……自分の喘ぎ声が、黒歴史になるとは思わなかった。
 アタマおかしいんじゃねぇのってくらいの。はずかしい言葉をわめきながら、ラブホで何回もイかされた。
 まるで食い尽くすみたいな表情も、またあの美形だと様になるに――。

「……」

 やべ。思い出したら、少しドキドキしてきた。
 突然黙り込んだオレを不信におもったのか、幼なじみは首をかしげている。

「咲夜、なんか顔赤くない?」
「べべべっ、別にっ、赤くねぇしっ!!」

 なんならチンコも勃ちかけてるけど。慌てて下を向いて、手にしたペットボトルを見つめる。
 緑色のメロンソーダ。
 この色がなんだか似ていて、つい買っちまった。
 翠色の……アイツの……嘉親よしちかの……瞳の色。
 ううん、違うな。もっと澄んでていて、キレイだ。
 あの目でジッと見つめられると、なんだか落ち着かなくなって――。

「ちょっと。大丈夫? カゼでもひいたんじゃないの」
「そんなこと……ある、かも」

 心配そうな声にも、顔を上げられなかった。

「あ」

 にぎりしめたスマホがまた震える。
 LINEじゃない。
 
「もう、帰る」
「咲夜?」

 パパ活で使ってた、出会い系のアプリの通知だった。
 



※※※


 普通なら、LINE交換くらいしとくものかもしれない。
 でもオレはしなかったし、アイツも言ってこなかった。
 だから、相変わらず出会い系アプリのメッセージでのやりとり。
 別になんとも思ってないさ。だって、パパ活だもの。
 だけど少しだけ……いや、悲しいとか。そういうんじゃないけどさ。

『風邪など引かぬように』

「ハァ? なんだよ、それ」

 まるで親父みたい。あ、パパなんだっけ。
 自室のベッドで、ぼーっとスマホを眺める。

 ――嘉親からのメッセージは、いつも短文だ。素っ気ないけど、すごくたくさん送ってくる。
 これ確か。女は無料だけど、男は課金しなきゃダメだったような。
 パパ活調べた時に一緒に知ったけど、こういう出会い系ってだいたい男が金使うシステムなんだってな。
 婚活でもそう。男の方が高いんだって、婚活真っ最中の姉貴が言ってた。
 なんか不公平だよなァ。男女平等って言っても、しょせんはそれかって思っちまうオレはガキなんだろうか。

『愛している』
『毎晩、君のことを夢にみるほどに』
『許されるなら、今すぐにでも触れたい』
『私の、可愛い人よ』

「こういうのなァ……」

 毎日毎日、よくもまぁ飽きずに。
 から一ヶ月。ずっとアプリでのやりとりだけ。
 嘉親はこうやって好きだの愛してるだの、歯の浮くような言葉をイヤというほど送ってくる。
 おはようからおやすみまで。オレはそれに、なかなか返すことが出来ずにいた。
 キザな奴、と思えばそれまで。でも、きっとあのイケメン面で言ってもさまになるんだろうな。
 なんかムカつくけど。

「クソッ」

 ついにスマホをベッドに放り投げた。
 なんかモヤモヤする。イライラするような気もする。
 でもそれがなんなのか、正体がよく分かんない。
 いや、分かりたくない。直視したくないだけかもしんない。

「嘉親のバーカ」

 メッセージなんだもの。

「ふぅ……」

 愛してる、なんて。こっちの気持ちも知らないでさ。
 アイツの事を考えちゃうと、変な気分になる。
 今日みたいに――。

「っ、ふ……ぁ」

 身体が熱くなって、思わず手を下にのばした。
 すでに勃ってたチンコを、ゆるくしごく。もう先走りが出て、ぬるぬるしてるのがたまらなく恥ずかしい。

(もうこんなに濡らしてる)

「あぁ……っあ」
 
 頭ん中にひびくのは、あの男の声。記憶の中だけにある、オレの妄想。

「ひぁっ、あ、んんっ……」

(可愛い声を、もっと聞かせておくれ)

「んんっ、あっ♡ あぁっ♡」

 想像するだけで、もっと身体が熱くなる。
 でも。

(君のも、ヒクヒクしてるな)

「んぁっ……い、いわない、でぇ……♡」

 そう。もう今までとはちがう。
 前だけじゃ、満足できない。

(ほら。ゆっくり解してごらん)

「やだ……や、だ……ぁ♡」

 自分でやってるクセに。でも止まらない。
 頭の中では、アイツにいやらしく犯されるんだから。
 震える手でズボンを下着ごと脱ぎ捨てた。
 隠してたローションを手に取る。

「っふぅ、ぅ……」

 こんなモノを使うなんて、変態みたいだ。
 でももう止まれない。
 尻の穴にローションでベタベタにした指を、そっと這わせた。

「んぅ♡」
 
(そのまま、ゆっくり入れるぞ)

「はぁっ♡ あ……ぁあっ、はいって、くるぅぅ♡」

 指を入れるだけで、ゾクゾクとした気持ちよさがたまらない。
 こんなトコロで感じちゃうなんて、ホントに変態みたい。

「んぁぁ♡ あっ♡ お、おまんこ、きもち、いいっ♡」

 あっという間に指を三本。
 ズポズポして、もうどこもかしこもとろけちゃう。
 
(ここも好きだろう?)

「んひぃっ♡ 」

 服をまくり上げて乳首をつまめば、電気が走ったみたいにビクビクッて♡♡
 両方されたら、コワイくらい感じちゃつてヤバい。

「あんっ♡ あっ♡ あぁっ♡」

 もう、おちんちん触んなくてもイけるくらい。オレの身体は変えられちゃったんだ。
 
「よ、よしち、かぁ♡」

 でも足りない。
 あの大きくて太くて。かたいアレが、足りない。
 オレのおまんこを、少し乱暴にかき回してくれるアレが。
 
(咲夜――愛してる)

「あっ♡ あっ♡ あぁっ♡」

 ……あのぬくもりが、欲しい。
 


 

 
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