4 / 7
制裁1
しおりを挟む
起きた時。一番最初に感じたのは、腕の痛みと違和感。
「ひっ……!?」
「おう。起きたか」
ギシリときしんだ音。同時にきた、熱いような痛みに声をあげた。
「な、なに」
「手が痛いか。でもまだ、外してやることはできん」
手の位置がおかしい。
バンザイするように上に上げさせられて。そんでもって、この痛みと音の正体は。
「逃げるからな」
「伊織っ……お前……!?」
縄で手首をまとめて縛られて。どうやっているのか、頭の上で固定されていた。
しかも横になった状態で。
「お仕置を始めようか」
そんなオレを見下ろしているのは、さっきまで一緒に酒を飲んでいた男。
形のいい目元を細めて、まるで笑っているようだ。
「お、おしお、き?」
まるでヘタな演出の、AVみたいなこと言いやがって。
からかっているのかと引き攣る顔で訊ねても。
「そうだといいだろうな。少なくで、お前にとっては」
と表情の読めない顔をする。
オレは、いよいよ怖いのとムカつくのとで。いまだ上手く回らない頭を必死に動かし、手首の縄を外そうと躍起になった。
「なんのつもりだ、伊織!」
「だから言っただろう」
「いいから離せよっ、頭おかしいんじゃねぇの!?」
曲がりなりにもこっちは、友達としてやってきたヤツの乱暴な行動にワケが分からなくなる。
一体なにが、コイツを怒らせちまったんだ? というか、直前のことがよく思い出せない。
確か一緒に酒を飲んでいて。いつもの、チェーンの居酒屋だ。そんでもって、どうでもいいような話をしていた記憶しかない。
オレがアレコレ考えている間に、伊織は唇だけひん曲げて笑う。
「おかしいのかもしれねぇな。俺も、お前も」
「ほんと意味わかんねぇよっ。いいから離せって! いまなら、ゆるしてやるから」
「ゆるしてやる、か。それは、ちと違うな」
「えっ、うわッ!?」
ヤツがオレの服に手をかけた。
糸がちぎれて、布が裂ける嫌な音が響く。
「ちょっ……おい!」
「服なんていらないだろう。お前みたいなクズに」
「な、なんで」
服を破かれた。
そんな弱い布地でもないハズなのに。
オレはあまりのことに、なにも言うことが出来ない。
唇が、顎が震えて言葉にならないんだ。
そんな涙目のオレに。アイツは笑った表情のまま、覆いかぶさってくる。
「ひっ……!」
「お前の恋愛観は歪み過ぎてる」
ああ、さっき聞いた。まるで、足し算をガキに教えるように、ゆっくりと優しく。
それがなおさらオレを怯えさせるのに。
「なんで、なに、を……やめ……」
すごく怖い。目の前のコイツが、知らない男みたいな。
舌なめずりして、オレの破かれた服の下――裸の上半身をじっとり眺めているのだから。
自由なはずの足すら、動かすことができない。
殺されるんじゃないかって。いや、それよりヒドイことされる。
まさかコイツは。
「お前を、女にしてやるよ」
「っ!!」
そう囁かれて、ようやく思い知った。
今から、オレはこの男にレイプされるんだって。
「ひっ……!?」
「おう。起きたか」
ギシリときしんだ音。同時にきた、熱いような痛みに声をあげた。
「な、なに」
「手が痛いか。でもまだ、外してやることはできん」
手の位置がおかしい。
バンザイするように上に上げさせられて。そんでもって、この痛みと音の正体は。
「逃げるからな」
「伊織っ……お前……!?」
縄で手首をまとめて縛られて。どうやっているのか、頭の上で固定されていた。
しかも横になった状態で。
「お仕置を始めようか」
そんなオレを見下ろしているのは、さっきまで一緒に酒を飲んでいた男。
形のいい目元を細めて、まるで笑っているようだ。
「お、おしお、き?」
まるでヘタな演出の、AVみたいなこと言いやがって。
からかっているのかと引き攣る顔で訊ねても。
「そうだといいだろうな。少なくで、お前にとっては」
と表情の読めない顔をする。
オレは、いよいよ怖いのとムカつくのとで。いまだ上手く回らない頭を必死に動かし、手首の縄を外そうと躍起になった。
「なんのつもりだ、伊織!」
「だから言っただろう」
「いいから離せよっ、頭おかしいんじゃねぇの!?」
曲がりなりにもこっちは、友達としてやってきたヤツの乱暴な行動にワケが分からなくなる。
一体なにが、コイツを怒らせちまったんだ? というか、直前のことがよく思い出せない。
確か一緒に酒を飲んでいて。いつもの、チェーンの居酒屋だ。そんでもって、どうでもいいような話をしていた記憶しかない。
オレがアレコレ考えている間に、伊織は唇だけひん曲げて笑う。
「おかしいのかもしれねぇな。俺も、お前も」
「ほんと意味わかんねぇよっ。いいから離せって! いまなら、ゆるしてやるから」
「ゆるしてやる、か。それは、ちと違うな」
「えっ、うわッ!?」
ヤツがオレの服に手をかけた。
糸がちぎれて、布が裂ける嫌な音が響く。
「ちょっ……おい!」
「服なんていらないだろう。お前みたいなクズに」
「な、なんで」
服を破かれた。
そんな弱い布地でもないハズなのに。
オレはあまりのことに、なにも言うことが出来ない。
唇が、顎が震えて言葉にならないんだ。
そんな涙目のオレに。アイツは笑った表情のまま、覆いかぶさってくる。
「ひっ……!」
「お前の恋愛観は歪み過ぎてる」
ああ、さっき聞いた。まるで、足し算をガキに教えるように、ゆっくりと優しく。
それがなおさらオレを怯えさせるのに。
「なんで、なに、を……やめ……」
すごく怖い。目の前のコイツが、知らない男みたいな。
舌なめずりして、オレの破かれた服の下――裸の上半身をじっとり眺めているのだから。
自由なはずの足すら、動かすことができない。
殺されるんじゃないかって。いや、それよりヒドイことされる。
まさかコイツは。
「お前を、女にしてやるよ」
「っ!!」
そう囁かれて、ようやく思い知った。
今から、オレはこの男にレイプされるんだって。
0
お気に入りに追加
74
あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

普通の男の子がヤンデレや変態に愛されるだけの短編集、はじめました。
山田ハメ太郎
BL
タイトル通りです。
お話ごとに章分けしており、ひとつの章が大体1万文字以下のショート詰め合わせです。
サクッと読めますので、お好きなお話からどうぞ。

久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…
しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。
高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。
数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。
そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…

ヤンデレだらけの短編集
八
BL
ヤンデレだらけの1話(+おまけ)読切短編集です。
全8話。1日1話更新(20時)。
□ホオズキ:寡黙執着年上とノンケ平凡
□ゲッケイジュ:真面目サイコパスとただ可哀想な同級生
□アジサイ:不良の頭と臆病泣き虫
□ラベンダー:希死念慮不良とおバカ
□デルフィニウム:執着傲慢幼馴染と地味ぼっち
ムーンライトノベル様に別名義で投稿しています。
かなり昔に書いたもので芸風(?)が違うのですが、楽しんでいただければ嬉しいです!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる