ヘッポコ転生魔道士♂は魔王への生贄!?

田中 乃那加

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22.修羅場はこうして作られた

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 時間を少しさかのぼってみよう。

 ……テトラはハチミツ色の髪を乱すように、廊下を走る。
 すれ違う者達は、怪訝けげんそうに振り返るくらいの必死の形相だった。

「っ、は……ぁ」

 息を切らせて、ある部屋の前に仁王立ちする。
 そして一瞬の躊躇ちゅうちょもなく、ドアを拳で連打した。

 ―――ドンドンドンドンドンドンッ……ガンガンガンガンッ!!

 蹴りも入れる。何度も何度も、それこそドアが破壊されるような音が廊下に響く。

「お、おいッ。なにしやが……って、テトラ!? 」

 薄くドアが開かれ、中の人物が驚きの声を上げた。

「エト。ルベルいる?」

 いつもの愛らしい青年はどこへやら、必死こいた顔した彼にエトは言葉を継げずに無言で頷く。

「ルベルに会いたい」

 真っ直ぐな目は真剣そのもの。
 というか。いつもと雰囲気が違いすぎる。柔らかく笑みを作るはずの口元は、固く引き締められていた。
 さながら、これから戦闘に行きますって顔だ。

「お、おぅ」

 ドアを開けた彼に目で会釈して、ルベルは部屋に入る。

「おいおいおい、なんだったんだよ。また執事か? だいたい君が……って、テトラ!?」

 この部屋は、つまり彼らの寝室。本来なら、夜に訪問する場所ではないのだが。

「な、なんだ。こんな夜に!」

 ベッドに寝そべっていた彼は、服を着ていない。慌ててシーツを裸体に巻いている。
 まさに『お楽しみの最中』だったらしい。
 部屋の入口で肩をすくめているエトも、見ればバスローブ姿だ。

「エッチの最中に、ごめんね」
「え、エッチ……って……」

 確かにそうだったのだが他人に、それも彼に言われるとルベルも動揺が止まらない。
 
「でもこっちも緊急事態だから」
「あ、あぁ」

 ベッドの上を迫るように乗り上げてくる。
 日中。部屋にやってきた時は憔悴しょうすいしたような、か弱い状態だったのに、今はなぜか目力がすごい。
 切羽詰せっぱつまった、とも言えなくはないが。
 とにかく何かを決意したような顔で、彼は口を開いた。

「僕のアザを治して」
「で、でも無理しないほうが……」
「治して欲しいんだ。今すぐ」

 アザは時間か経てば自然と消える。ほんの数週間もすれば、元の綺麗な肌に戻るだろう。
 しかしテトラには時間が無い。
 今夜中に、文字通り綺麗な身体になって彼の元に行きたかったのだ。

(全てが綺麗に無かったことにはならないけど
……)

 それでも、この象徴的なアザを消したかった。
 そうしたら胸を張ってではないにしろ、別れの挨拶くらいはできるんじゃないかと。

「お願い」
「あぁ、分かった。そこに寝ろよ。でも」

 ルベルの『無理だけはするな』という言葉に、小さく微笑んで頷いた。



「あの」

 ベッドを腰かける。
 暴れたら容赦なく拘束して、と申し出ると、ルベルは笑って首を横に振った。

「僕をなんだと思ってんだ。君の抵抗なんて、片手てねじ伏せられる」
「……ンなこたぁねーだろ。ふだん俺にねじ伏せられてるクセに」
「うるさいっ、この変態め!」

 彼の代わりに、のんびりと口を挟むエトは究極に空気が読めないのだろう。
 しかし、むしろそれがテトラの張り詰めた緊張をほどいてくれた。

「エトは、外に出てろよな」
「えーっ!? 俺、今この格好かっこうだぜ」

 確かにバスローブ、1枚というこの姿で廊下に立たされるのは嫌だろう。
 しかしそんな彼の申し立ても、この鬼嫁にはお構い無し。
 いいから出ていけ、と強引に蹴り出した。

「よし、変態がいなくなった所で」

 ルベルの言葉にうなずき、彼もベッドに座った。

「脱げるか?」
「う、うん……」

 ボタンに恐る恐る、触れた。一番上から、指先に力を入れていく。
 ボタンホールから、ボタンを抜こうと四苦八苦する。
 4歳児でもこなせるこの動作が、なかなかこなせない。まるで指がかじかんでしまったようだ。
 でもこれだけはしなければならないし、そうでなければ後悔する。
 
 彼がアザにこだわるのは、やはりそれが象徴的なモノだからだろう。
 これを消すことで、綺麗にはならなくても前を向けるとどこか信じているのだ。

「無理そうか?」
「ん゙……だ、大丈夫……」
「手伝ってやりたいが」

 恐らく他人に手を出されては、またトラウマスイッチ発動である。
 それでは意味が無い。
 テトラは小さく首を振って、ようやく一つ外した。

 一つ外せば、一つだけ許された気分になる。
 誰にどんな許しを乞うのか。その必要性はまったくない。
 しかし彼はそこにこだわる。
 不器用で生きるのが下手な、彼らしいとも言えた。

「はぁ」
 
 記憶が苛む。
 多くの手に汚されたと責めるのだ。人は時に自罰的になる。

「おい。無理はしない方が……」
「大丈夫。ほら、もう外せたよ。お願い」
「あ、あぁ」

 ルベルは理解しかねる、といった風情だ。わざわざ夜中に人の部屋を突撃訪問して、大汗かいて服を脱ぐなど。
 アザなんて日にちを重ねれば消えるのに、と。
 この二人、性質たちが違うので仕方がない。

「じゃあ、少し横になってくれ」
「うん」
「目、つぶってた方がいいんじゃないか」
「そうかも」

 目を閉じた。
 途端真っ暗になる。
 しかし灯りを煌々こうこうと付けてくれたからか、まぶたの裏に薄い色がうつる。

「ちょっと乗るけど、嫌なら……」
「大丈夫」
「でも」
 
 馬乗りになられた彼の顔色は最悪だ。
 シーツを掴む指を、テトラはそっと左手で包み込むように触れた。
 
「手、いくら力入れてもいいから」
「……ごめん」

 言わば恋人繋ぎ、ってやつだろうか。
 エトが目にしたらまた『浮気だ』なんだと騒ぎまくるだろう。
 しかし今、この部屋には二人きり。
 
 スプリングが軋み、互いの身動ぎを感じて二人は顔を赤らめる。
 まるで初めて褥を共にする者達のような、なんとも面映おもはゆい空気。

「さ、さっさと終わらせるからな」
「う……ん」

 右手をかざし、白い肌を汚す痕跡こんせきを消していく。
 骨折を直す方より楽だ、と言う彼の言葉を聞く余裕はあまり無かった。
 ただ叫び出したい気分とうらはらに、すがりつきたいほどの温かさに繋いだ手に力を入れる。

「いい子だ」

 ほんの少し掠れたルベルの声が、むしろ耳に心地よい。
 心まで温められる気がして、彼は薄らと目を開けた。

「ほとんど消えたよ。あとは……ん?」

 優しげな笑みの後に、いぶかしげに寄せられた眉。
 その視線は首の辺りに注がれているようだ。

「どうしたの?」
「いや、この痕……」

 もっとよく見ようとしてか、そこに顔をうずめるように近づいてくる。

「くすぐったいよ」

 小さく笑うテトラに、彼は存外真面目な声で『あー、少し待って』と声をかけた。  
 しかしその吐息がまた、耳にかかってこそばゆい。
 
「っふふ、ちょ、何?」
「んー。これは……」

 ―――そこで部屋の外が、急に騒がしくなる。
 ルベルが顔を上げるより先。
 ドアが破壊音スレスレの爆音を立てて、開かれた。



■□▪▫■□▫▪■□▪▫■□▫▪


 敢えて言おう。
 修羅場である、と―――。

「……許さん」
「それはこっちのセリフだぜ、兄貴」

 怒りのオーラを撒き散らすレガリアに。応戦する構えのエト。
 
「テトラを手篭てごめするなど……許さん」
「あ゙? うちの嫁がそんな事するわけねーだろ。てか、うちの妖精ちゃんを突き飛ばしやがって」
「妖精? それはテトラの方だ。彼ほど可愛くて美しい存在は、他には居ない」
「ルベルの方が、100倍可愛いっつーの。兄貴ってばぁ。もうボケ始まってんじゃあねーのぉ?」
「彼を侮辱するか。クソ弟が」
「ハッ、えらくよく喋るよなぁ。このコミュ障兄貴が」

 互いにあおり合いである。

 状況を要約すると『部屋に踏み込んだら、好きな子が犯されてる!』なレガリアと。
『一足遅く踏み込んだら、嫁が妙な誤解でクソ兄貴に突き飛ばされてた』なエトと。

 それがいつしか『ウチのが一番可愛い』論議に発展している。
 しかも本気な殺し合いの空気で。

「おい。エトやめろよ」
「ルベル、俺の後ろ隠れてろよ。この暴力野郎、お前に怪我させたんだぜ」

 止めようとした嫁に、エトはえる。

「レガリアさん、あの僕」
「テトラ、大丈夫だ。俺……私が守ってやる。おおよそルベルを使って油断させ、3P狙っていたんだろう」

 レガリアの方は自らの妄想を展開させる、むっつりの本領発揮である。
 好きな子の話すら、聞いちゃいない。タチの悪い、妄想暴走機関車だ。
  
「3Pなんてしねーっての」
「見苦しい言い逃れをするな。この変態め」
「変態は認めるけど、そっちの趣味はねーから!」

 そこは認めるのか……とその場にいた一同が内心ツッコミ入れた。

「……とにかく許さん」
「おーおー、やってみろよ。このむっつりスケベが」

 エトは呪文を唱えながら、左手をかざす。その掌からは、紅い火炎が渦を巻いて飛び出した。
 轟々ごうごう、とまるでそれは火竜のごとき彷徨ほうこうを上げる。
 そしてまっすぐ兄であるレガリアに向かって行ったのだ。

「ン」

 対する彼は表情ひとつ動かさない。
 拳を固めて、宙をくよう振った。
 空気を切る音と風。
 途端、噛みつかんばかりの火竜が吹き飛ぶように消滅。

 まさに暴風に煽られた灯火だ。

「くそっ」
「杖を使わずとは……腕を上げた」
「うっせーよ! スカした顔しやがって」

 地団駄を踏んで悔しがるエトを、大きなため息をついて見守っているのはルベルだ。
 一方テトラは、内心気が気じゃなかった。
 
(あの瞳、あの赤)

 オーガ達をトマトソースのように、ぐちゃぐちゃにした時の彼である。
 すなわち暴走状態。エトの方も、かなり頭にキてるようだし。ここで予想されるのは兄弟の、血と血を洗う壮絶な戦いだ。

「エト、殺されたいみたいだな」
「兄貴こそ大怪我しても、文句言うなよ」
 
 またしても弟が魔法を放ち、兄が拳で粉砕する。その応酬おうしゅうが続く。
 火花や氷の粒が舞い、部屋の壁に穴を空けた。
 
「!」
 
 兄が一気に間合いを詰める。
 彼のかざした手を捕え、その腹に拳を叩き込んた。
 数秒のことだ。

「っぐァ……ッ」

 エトが口から血反吐を吐き、崩れ落ちる。
 
「エト!」

 思わずテトラはベッドから降りて駆け寄ろうとするが、テトラがそれを止めた。

「やめとけ。君まで、怪我人に逆戻りだぜ」
「でも、エトが……」

 床にうずくまり、手負いの獣のようなうめき声を上げている。
 口からは血が糸を引いているし、かなりのダメージだっただろう。

「あー……大丈夫だよ、あれくらい」
「大丈夫? そんなわけないじゃないか!死んじゃうよ!?」

 何をのんびりしているのだろう。夫が瀕死ひんしの大ダメージを、負っているというのに。
 やきもきするテトラをよそに、ルベルは自身の爪なんぞ見ながら一言。

「死なないよ、あのアホは。死にたくても、死なない。僕がいる限りはね」

 そして『手間のかかるやつ』と、わずかに笑みを浮かべてベッドからおりた。
 裸足で、ぺたぺたとエトのそばに歩み寄る。
 そして、やおらに床に沈みこんだ彼の髪を引っ掴む。

「おい、こっち向け。バカ男」
「っゔ……る、ルベル……あぶな、い」
「危ないのそっちだ。勝てない喧嘩をするなっていつも言ってんだろ」
「い、痛゙……も゙っと、やさ、しく」
「優しくぅ? 治してやるだけ、ありがたいと思えッ、バーカ!」

 そう怒鳴りつけると、エトの血まみれの唇に自身のそれを押し付けたのだ。
 突然の事態に、度肝を抜かれて唖然としたのはテトラだけでは無い。
 レガリアもまた目を見開き、いきなり始まった熱烈なディープキスを凝視ぎょうししていた。

 少し苦しげな呼吸だけでなく、ぴちゃぴちゃと互いの舌を絡ませあう水音まで響く。
 最初はルベルから口付けに関わらず、すぐに主導権はエト移ったらしい。
 まるで性交中のように、角度をかえ何度もキスを深めていく。

「……」
「ええっと……」

 完全に二人の世界。
 しかし外野達はたまったもんじゃない。
 気まずそうに、視線を外してしまった。
 でもルベルは時折チラリと、レガリアを盗み見する。やはり顔を赤らめ、怒ったように眉間に深いしわを寄せていた。

(恥ずかしい、のかな。やっぱり)

「!」
「!!」

 ……一瞬、目が合う。
 すぐさま逸らすと、今度はジッと見られているのが分かった。
 その視線に耐えかねてレガリアの方を見ると、今度は彼の方が逸らしてくる。
 そのやり取りを数回。
 まるで小中学生カップルのようなやり取りだ。

(これ、どうすればいいんだろ)

 アホ夫婦のキスは終わらないし。それどころか、なんかヒソヒソ囁き合って、イチャイチャし始めた。
 その二人を挟んで彼らは、視線を外したり合わせたりとムズムズするような事をしている。
 
「あ、あの。レガリア」
「ンンン!?」

 おずおずとテトラが声を掛ければ、大袈裟な程に彼が肩を震わせた。
 そこでようやく躊躇ためらいながらも、二人が数秒見つめ合う。

「こ、こっち。来て、くれる?」
「!?!?!?」

 こっち、とは彼が座るベッドの上。
 レガリアが茹でダコ状態で、固まるのは当たり前である。
 
「ン」
「レガリア……来て?」
「ン゙ッ!?」

 テトラとしては、精一杯の言葉だった。
『こっちに来て話したいことがある』という、覚悟の言葉。
 けっしてサキュパスよろしく、ベッドに男を誘い込むアレではないのだ。
 健全な、そして大真面目なつもり。

「レガリア?」

 だから予想もしなかった。
 ―――この一秒後、レガリアが鼻血を吹き出してぶっ倒れる……なんて。


 

 
 

 



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