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催眠アプリ(嘘)
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セックスは繋ぐ行為だと思う。
「あ゙ぁっ、あっ♡ も、むりぃ♡♡」
すぐに泣き言ばかりの恋人の、可愛い唇をふさいだ。
「ぁ……♡ 」
嬉々として舌をからめてくる姿は、本当に猫みたいだと思う。
あ、そうだ。今度は猫耳とか付けさせてみようかな。
黒猫、僕だけの可愛い黒猫ちゃんだ。
「太郎、もっとしよ♡」
繋がってる箇所を淫猥に揺らして、舌なめずりする。
もちろん、そんなエロい恋人のお誘いを断るなんて僕には出来ないよ。
「今夜はずっと繋がっていようか」
僕はそう囁くと、彼の首筋に思い切り噛み付いた。
※※※
とある女友達である彼女は、僕のことを卑怯な男だと罵倒する。
「アンタって本当にクズ」
身も蓋もない言い方だけど、それはそれで彼女らしいといえばそうだろう。
「ヤンデレの見本みたいな奴だよ、アンタは」
「まあ否定はしないけど」
でも出来るなら、一途だとか純愛だとか言って欲しかったと言うと。
「あ゙ァ?」
なんて家庭内害虫でも見るような目をされた。
でも僕は怒らない。彼女が開発したアプリのおかげで、僕は好きな人と繋がれたのだから。
「悪用するなと言ったが」
「悪用じゃないよ、僕にとっては」
顔を思い切りしかめる幼なじみは、乱暴な男言葉を使うけど性格はとても優しいことを知っている。だからこそ、僕はその優しさに甘えてしまうのだけれども。
「そういえばあのサプリメントの効果はすごいね」
「サプリメント? ああ、あれか」
視覚効果のスマホアプリに加えて、飲み薬による催眠効果って本当にあるんだと感動した。
いつもなら怪しんだり嫌がったりする彼に、なんとかスマホ画面を見せて事に及んでいたのに。
ろくな抵抗もなく催眠状態になるし、なんなら少し正気を保ったままの半覚醒状態もすごく興奮した。
「ふん、つまらない子供騙しだよ」
思い出すだけで口角があがる僕を、彼女はせせら笑う。
「あれ自体は、本当に単なるサプリメントだ。たしかダイエット効果のあるものだったかな。立花 涼介の姉が定期的に取り寄せている、口コミ上位商品ってやつさ。減量したければあんなものよりもっと、すべきことがあると思うがね」
「えっ? じゃあなんで……」
「本当にアンタはバカだ」
吐き捨てるような口調だが、すぐに肩をすくめて。
「別にどんな飲食物でも良かった。それがスイッチとなって、半催眠状態に入るような指示をあらかじめ出しただけ」
「ああ、なるほど」
サプリメントを飲んだの偶然なのか。
「そんなことより、なんでアンタが知っているの」
「え、ああ。盗聴してるんだよ」
好きな子のことは知っておきたいというのは、なにも悪いことじゃないでしょ。
特に彼と僕の関係は、とてもデリケートで複雑なんだから。
「とはいえ可愛かったなあ、涼介の反応」
思い出すだけで笑みがこぼれる。
恋人に会うためにって、あんな身体で外に出るなんて。
ま、その恋人ってのは僕のことなんだけどね。
元々。女であれ男であれ、恋人と呼べる存在がいなかったはずなのにそこに催眠アプリを使って色々と上書きしていった。
性奴隷設定も、恋人設定も。あとは見ず知らずの他人設定で、無理矢理抱いて見たこともあったっけ。
やめろやめろと泣きながら。でも身体は感じまくって、絶望的な顔をする彼がとても良かった。
……おっと、いけない。興奮してしまうな。
「変態」
「まだなにも言ってないよ」
この女友達には何もかもお見通しなのかな。
でも持つべきものは理系で天才な友人だよね。
「催眠アプリなんて二次元創作レベルの愚物。好奇心で作ったけど、正直後悔しかしていない」
「僕は感謝してるけどなあ。それに少なくとも好奇心を満たせたじゃないか」
「……そういう所がバカなんだよ、アンタは」
「ひどいなあ」
辛辣だけど、まあ言わんとすることは分かる。
彼女の僕に対する気持ちもね。分かってて利用するのだから、本当にどうしようも無いクズなんだよ。僕って男は。
「そろそろ潮時なんじゃあないの」
興味なさそうに視線を逸らす彼女に、僕は首を振った。
「ううん、まだだよ」
この前フラれちゃったしね。
催眠アプリなしで付き合って、って言ったらダメだって。あーあ、って感じ。
まだまだ愛が足りなかったんだろうな。もっともっとより深く愛したら、今度こそ催眠術なんてなくても彼は僕の恋人になってくれると思うんだ。
「次は三ヶ月くらい続けようかな」
身も心も僕から離れなくなるように。いっその事、関係を広く周知して逃げ場をなくしてしまおうか。
そのためには、飛び切りの美談を吹き込まなくちゃ。
少しくらい嘘も良いだろう。
だって、結末はとうの昔に決まっている。
僕と彼は繋がり合う運命なんだから。
「最っ低……」
とうとう目を伏せてしまった彼女の呟きすら、今の僕にはどうでもよかった。
「あ゙ぁっ、あっ♡ も、むりぃ♡♡」
すぐに泣き言ばかりの恋人の、可愛い唇をふさいだ。
「ぁ……♡ 」
嬉々として舌をからめてくる姿は、本当に猫みたいだと思う。
あ、そうだ。今度は猫耳とか付けさせてみようかな。
黒猫、僕だけの可愛い黒猫ちゃんだ。
「太郎、もっとしよ♡」
繋がってる箇所を淫猥に揺らして、舌なめずりする。
もちろん、そんなエロい恋人のお誘いを断るなんて僕には出来ないよ。
「今夜はずっと繋がっていようか」
僕はそう囁くと、彼の首筋に思い切り噛み付いた。
※※※
とある女友達である彼女は、僕のことを卑怯な男だと罵倒する。
「アンタって本当にクズ」
身も蓋もない言い方だけど、それはそれで彼女らしいといえばそうだろう。
「ヤンデレの見本みたいな奴だよ、アンタは」
「まあ否定はしないけど」
でも出来るなら、一途だとか純愛だとか言って欲しかったと言うと。
「あ゙ァ?」
なんて家庭内害虫でも見るような目をされた。
でも僕は怒らない。彼女が開発したアプリのおかげで、僕は好きな人と繋がれたのだから。
「悪用するなと言ったが」
「悪用じゃないよ、僕にとっては」
顔を思い切りしかめる幼なじみは、乱暴な男言葉を使うけど性格はとても優しいことを知っている。だからこそ、僕はその優しさに甘えてしまうのだけれども。
「そういえばあのサプリメントの効果はすごいね」
「サプリメント? ああ、あれか」
視覚効果のスマホアプリに加えて、飲み薬による催眠効果って本当にあるんだと感動した。
いつもなら怪しんだり嫌がったりする彼に、なんとかスマホ画面を見せて事に及んでいたのに。
ろくな抵抗もなく催眠状態になるし、なんなら少し正気を保ったままの半覚醒状態もすごく興奮した。
「ふん、つまらない子供騙しだよ」
思い出すだけで口角があがる僕を、彼女はせせら笑う。
「あれ自体は、本当に単なるサプリメントだ。たしかダイエット効果のあるものだったかな。立花 涼介の姉が定期的に取り寄せている、口コミ上位商品ってやつさ。減量したければあんなものよりもっと、すべきことがあると思うがね」
「えっ? じゃあなんで……」
「本当にアンタはバカだ」
吐き捨てるような口調だが、すぐに肩をすくめて。
「別にどんな飲食物でも良かった。それがスイッチとなって、半催眠状態に入るような指示をあらかじめ出しただけ」
「ああ、なるほど」
サプリメントを飲んだの偶然なのか。
「そんなことより、なんでアンタが知っているの」
「え、ああ。盗聴してるんだよ」
好きな子のことは知っておきたいというのは、なにも悪いことじゃないでしょ。
特に彼と僕の関係は、とてもデリケートで複雑なんだから。
「とはいえ可愛かったなあ、涼介の反応」
思い出すだけで笑みがこぼれる。
恋人に会うためにって、あんな身体で外に出るなんて。
ま、その恋人ってのは僕のことなんだけどね。
元々。女であれ男であれ、恋人と呼べる存在がいなかったはずなのにそこに催眠アプリを使って色々と上書きしていった。
性奴隷設定も、恋人設定も。あとは見ず知らずの他人設定で、無理矢理抱いて見たこともあったっけ。
やめろやめろと泣きながら。でも身体は感じまくって、絶望的な顔をする彼がとても良かった。
……おっと、いけない。興奮してしまうな。
「変態」
「まだなにも言ってないよ」
この女友達には何もかもお見通しなのかな。
でも持つべきものは理系で天才な友人だよね。
「催眠アプリなんて二次元創作レベルの愚物。好奇心で作ったけど、正直後悔しかしていない」
「僕は感謝してるけどなあ。それに少なくとも好奇心を満たせたじゃないか」
「……そういう所がバカなんだよ、アンタは」
「ひどいなあ」
辛辣だけど、まあ言わんとすることは分かる。
彼女の僕に対する気持ちもね。分かってて利用するのだから、本当にどうしようも無いクズなんだよ。僕って男は。
「そろそろ潮時なんじゃあないの」
興味なさそうに視線を逸らす彼女に、僕は首を振った。
「ううん、まだだよ」
この前フラれちゃったしね。
催眠アプリなしで付き合って、って言ったらダメだって。あーあ、って感じ。
まだまだ愛が足りなかったんだろうな。もっともっとより深く愛したら、今度こそ催眠術なんてなくても彼は僕の恋人になってくれると思うんだ。
「次は三ヶ月くらい続けようかな」
身も心も僕から離れなくなるように。いっその事、関係を広く周知して逃げ場をなくしてしまおうか。
そのためには、飛び切りの美談を吹き込まなくちゃ。
少しくらい嘘も良いだろう。
だって、結末はとうの昔に決まっている。
僕と彼は繋がり合う運命なんだから。
「最っ低……」
とうとう目を伏せてしまった彼女の呟きすら、今の僕にはどうでもよかった。
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