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結露した世界の結末4
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体温よりほんの少しだけあたたかい、そんな環境。揺蕩うこの身に、心地の良い雑音は規則正しい鼓動なのだろう。
『あー』
声を出そうとすれば、ぷくぷくと泡が舞う。ひたすら安心感と惰眠を貪る空間。
『うー』
目の前にのびる紐のようなものに手を絡める。途端、少しだけ満たされた空間の比重が変わり。またぷくぷくぷくぷく、泡が目の前を横切った。
『あぁ』
微睡んでしまいそう。眠りと覚醒の境界がなんとも気持ちいいんだろうか。
脳みそがトロトロと蕩けるような感覚。それでいて、満ち足りた感情は俺を極限まで甘やかす。
――イトモリ約束しよう。
やめてくれよ、と俺は思う。
忌々しい名。そして叶えられなかった希望と約束。
結局、お兄ちゃんは帰って来なかった。
――絶対に帰ってくる。もっと強くなって、お前を殴ったあの男を返り討ちにしてやるよ。
とんだ嘘つき、ペテン師だった。
俺は結局あの寒い夜に凍死したし、その最期は恐怖と寒さに歯をガチガチ言わせながら消えた兄を恨んで死んだ。
でも…………本当はほんの少しだけホッとしたんだ。
天使様につれていかれた兄ちゃんが、俺みたいに空腹と寒さで死ななかったこと。
だって兄ちゃん、いつも俺の事守ってくれたんだもんな。
ママの彼氏だっていう男の財布から金くすねて、俺にご飯買ってきてくれた。それで後でボコボコにされるのは兄ちゃんなのに。
――イトモリ、大好きだよ。
いつか二人でしたゲーム。それは天使様を召喚するだって、兄ちゃんが聞いてきた。
二人で必死に必要なもの集めて、魔法陣書いて。半泣きで呼び出した、天使様。
『弟を守れるくらい最強の男になりたい』
って、天使様にお願いした兄ちゃん。
俺は……なんてお願いしたんだっけ?
――イトモリ、かならず兄ちゃん最強になってくるからな。
そうだ、そう言って俺の頭を撫でた。でも一晩中、冬のベランダの外で待っていても帰ってこなかったじゃないか。
俺はずっと待っていたのに。寒くてひもじくて、不安で悲しかったのに。
いつしか全身の感覚が無くなった時、死ぬんだなって理解した。
理解したくなかったのに。とにかく悲しかったよ。
――異世界転移して、最強になるから。
『タロ……太郎兄ちゃん……』
待ち人の名を、出来て間もない口の中で転がす。
『ああ』
遠くで歌が聞こえる。子守唄だろうか。優しい声と緩やかな旋律に、凍った心が解けるようだ。
これが新しい世界。
俺は転生した。異世界転生だ――。
※※※
「め、メイト」
戸惑った声に、俺はハッと我に返る。
「え」
全身が生暖かい。そして生臭い、鉄の味と香りはむせ返るほど。
「俺は…………なにをしたんだ」
目の前が赤い。そう認識した瞬間、一気にすべての感覚がクリアになる。
「!」
引き裂いた、その腕も首も足の関節すらも。ブチブチという音を聞きながら、無感動に無感情にただひたすら裂いた。八つ裂きにしたんだ。
俺が、俺が、彼女を、ああ、この女を、俺の大切な人を奪った魔女を――。
「メイトっ、落ち着いてよ!! お願いだから!」
溢れてくる情報に溺れかける俺の背中を強く抱きしめる者がいた。
浴びた血で冷えきった俺より、ずっと暖かいそれに引き戻される精神。きごちなく振り返ると。
「メイト。大丈夫、大丈夫だから」
涙と鼻水でぐしゃぐしゃな少女と目があった。
なんだ、そっちもよほどやばいじゃねえかと揶揄おうとしたのに。
「ベル……俺……俺……あいつが、スチルを……だから……俺……」
同じ言葉をバカみたいに繰り返して、それでいて涙が止まらないんだ。
一瞬でも惹かれた女に、一番大切なモノを壊された怒りと絶望感というのだろうか。
あと悔しさもあった。
俺はいつだって守れないし、守られず死んでいくんだ。
「メイト。よく聞いて、ね? メイト」
健康的な色をした少女の腕が、俺を後ろから抱く。そこでようやく脳みそが事態を把握し始めた。
「これ」
両手は血まみれ。空気に触れてどんどん黒く濁っていく鮮血だった液体が、そこらかしこを汚している。
手だけじゃない、床も壁も。俺自身もだろうな。だってこんなにも鼻が曲がるくらいに生臭いのだから。
顔をしかめる俺になにを勘違いしたのか、ベルが腕の力を強めた。
「落ち着いて、メイト」
「俺……俺……俺……」
引き裂いたんだ、俺が。この忌々しくも小賢しい魔女を。
ふつふつと湧き上がる感情を上手く処理出来ない。というか言語化できないんだ。
ただ、静かに狂う感覚に身震いした。
「大丈夫だよ、大丈夫だから。あたし達は絶対に味方だよ」
やめてくれ。まるで幼子をなだめるような口調は。
彼はいつも対等だった。クソ生意気だし、無茶ぶりもいとわないワガママなお子様だったのに。
「スチル……」
握っていた『肉の塊』を眺める。
多分、人間かそれに似た形をしていたモノ。今は何が何だか分からないぐちゃぐちゃの塊。
ああ、汚い。
「スチル、スチル、スチル」
ずっと一緒にいたんだ。それがなぜだろう。
俺は手の中にあった肉の塊を放り投げた。
べちゃり、と汚らしい音を立てて床をまた汚すそれ。原型なんてとうに留めてないんだろう。
仕方ないだろ、やらかしたのは悪魔だ。俺じゃない。俺は悪魔と契約をしたのだから。
「そう、それでいいよ。メイトは悪くないからね」
誰が悪いって?
ああ違う、この娘は庇ってくれてるのか。
でもなんかおかしいな、だって俺は自分自身何一つ悪いことしている意識ないんだから。
「大丈夫だから」
震えている。俺じゃなくて、彼女が。
もしかして怯えているのか。こんな人の道を外れた男を。だからこんな力いっぱい抱きしめて声も震わせて、泣いているのかもしれない。
……ああ、悲しいな。
そっと目を閉じた。そっと心の中の悪魔に語りかけたかったんだ。
すべてなかったことにしてくれないか。お前悪魔だろう? 今度は身体のどこを持っていくのか知らないが。
どうせこんな汚れた身。どこを切り取っても同じだろう。
「――えらく派手にやらかしたじゃないか」
「!」
呆れたような、でも笑いながらの声に弾かれたように顔を上げる。
「えっ」
ベルも同じ反応だったらしい。彼女の身体が離れてすぐ。
「スチル君!?」
「どーも。ベルおねえちゃん、と馬鹿メイト君」
嫌味っぽい口調だが、たしかにあいつだ。
でも俺は振り向けなかった。
「幻、じゃねえのか」
悪魔が見せた嫌がせのげんちょうじゃないかって思っちまったんだよ。
もし後ろに何もなくて、それどころかベルもいなかったら…………俺は壊れるしかないだろ。
それがたまらなく怖い。
「やれやれ」
今度は少し困ったようにあいつは笑って気配が動く。
「まずは幻聴じゃない」
「!!」
目の前に回り込んだのは、紛れもないスチルだった。黒いローブはすすけてかなりボロっちくなってるが。
「ほ、本当なのか」
恐る恐るその白い顔に触れてみる。少し冷たいが、ちゃんとガキ特有の弾力があって。薄い唇にも触れる事ができる。
出会った時よりのびたサラサラの黒髪も――。
「ストップ、もうお触り禁止。変態趣味にでも目覚めたか。気色悪い」
嫌そうに手を叩かれた。
その反応に心の底から安堵したと同時に、目頭が熱くなる。
「うわ、今度は泣き出したぞ。おい、ベルどうにかしろ。このオッサン」
「っ……お、オッサンじゃ、ねえし……てか、スチル、本物なんだ……よな? なあ」
「人の顔撫で回しておいてまだ信用しないとか、脳みそ入ってるのかよ。ボケじじい」
ついにジジイ呼ばわりか。でも、これでようやく目の前の光景を信用できた。
「スチル!」
「あーもうっ、反応が遅いっての。まったく、僕がいないとあんたはダメだな」
大袈裟にため息つかれても、俺はやつを抱きしめる腕をゆるめられない。
「おいおい、いい加減にあんたからもなんか言ってくれ!」
そうスチルが声をあげた時。
「麗しき家族愛ですから」
と優しく言った人がいる。
そこに視線をむける。
「ラヴィッツ!? 無事だったのか!」
これには慌てて、抱きしめていた手を離す。
ざっと見た限りでは怪我している感じもない。
「ラヴィッツちゃん、良かった」
ベルもそうとう嬉しいのか涙ぐんで彼女に抱きついている。
「でもどうして」
カリアが偽物として成りすましていたのは覚えているけど、その前に何があったのか。
俺が疑問を口に出すより先に、彼女がうなずく。
「メイトさんの考えておられること、分かります。しかしそれより先に私は、皆さんを導かなければいけません」
そうして何故か、哀しげに微笑んだ。
『あー』
声を出そうとすれば、ぷくぷくと泡が舞う。ひたすら安心感と惰眠を貪る空間。
『うー』
目の前にのびる紐のようなものに手を絡める。途端、少しだけ満たされた空間の比重が変わり。またぷくぷくぷくぷく、泡が目の前を横切った。
『あぁ』
微睡んでしまいそう。眠りと覚醒の境界がなんとも気持ちいいんだろうか。
脳みそがトロトロと蕩けるような感覚。それでいて、満ち足りた感情は俺を極限まで甘やかす。
――イトモリ約束しよう。
やめてくれよ、と俺は思う。
忌々しい名。そして叶えられなかった希望と約束。
結局、お兄ちゃんは帰って来なかった。
――絶対に帰ってくる。もっと強くなって、お前を殴ったあの男を返り討ちにしてやるよ。
とんだ嘘つき、ペテン師だった。
俺は結局あの寒い夜に凍死したし、その最期は恐怖と寒さに歯をガチガチ言わせながら消えた兄を恨んで死んだ。
でも…………本当はほんの少しだけホッとしたんだ。
天使様につれていかれた兄ちゃんが、俺みたいに空腹と寒さで死ななかったこと。
だって兄ちゃん、いつも俺の事守ってくれたんだもんな。
ママの彼氏だっていう男の財布から金くすねて、俺にご飯買ってきてくれた。それで後でボコボコにされるのは兄ちゃんなのに。
――イトモリ、大好きだよ。
いつか二人でしたゲーム。それは天使様を召喚するだって、兄ちゃんが聞いてきた。
二人で必死に必要なもの集めて、魔法陣書いて。半泣きで呼び出した、天使様。
『弟を守れるくらい最強の男になりたい』
って、天使様にお願いした兄ちゃん。
俺は……なんてお願いしたんだっけ?
――イトモリ、かならず兄ちゃん最強になってくるからな。
そうだ、そう言って俺の頭を撫でた。でも一晩中、冬のベランダの外で待っていても帰ってこなかったじゃないか。
俺はずっと待っていたのに。寒くてひもじくて、不安で悲しかったのに。
いつしか全身の感覚が無くなった時、死ぬんだなって理解した。
理解したくなかったのに。とにかく悲しかったよ。
――異世界転移して、最強になるから。
『タロ……太郎兄ちゃん……』
待ち人の名を、出来て間もない口の中で転がす。
『ああ』
遠くで歌が聞こえる。子守唄だろうか。優しい声と緩やかな旋律に、凍った心が解けるようだ。
これが新しい世界。
俺は転生した。異世界転生だ――。
※※※
「め、メイト」
戸惑った声に、俺はハッと我に返る。
「え」
全身が生暖かい。そして生臭い、鉄の味と香りはむせ返るほど。
「俺は…………なにをしたんだ」
目の前が赤い。そう認識した瞬間、一気にすべての感覚がクリアになる。
「!」
引き裂いた、その腕も首も足の関節すらも。ブチブチという音を聞きながら、無感動に無感情にただひたすら裂いた。八つ裂きにしたんだ。
俺が、俺が、彼女を、ああ、この女を、俺の大切な人を奪った魔女を――。
「メイトっ、落ち着いてよ!! お願いだから!」
溢れてくる情報に溺れかける俺の背中を強く抱きしめる者がいた。
浴びた血で冷えきった俺より、ずっと暖かいそれに引き戻される精神。きごちなく振り返ると。
「メイト。大丈夫、大丈夫だから」
涙と鼻水でぐしゃぐしゃな少女と目があった。
なんだ、そっちもよほどやばいじゃねえかと揶揄おうとしたのに。
「ベル……俺……俺……あいつが、スチルを……だから……俺……」
同じ言葉をバカみたいに繰り返して、それでいて涙が止まらないんだ。
一瞬でも惹かれた女に、一番大切なモノを壊された怒りと絶望感というのだろうか。
あと悔しさもあった。
俺はいつだって守れないし、守られず死んでいくんだ。
「メイト。よく聞いて、ね? メイト」
健康的な色をした少女の腕が、俺を後ろから抱く。そこでようやく脳みそが事態を把握し始めた。
「これ」
両手は血まみれ。空気に触れてどんどん黒く濁っていく鮮血だった液体が、そこらかしこを汚している。
手だけじゃない、床も壁も。俺自身もだろうな。だってこんなにも鼻が曲がるくらいに生臭いのだから。
顔をしかめる俺になにを勘違いしたのか、ベルが腕の力を強めた。
「落ち着いて、メイト」
「俺……俺……俺……」
引き裂いたんだ、俺が。この忌々しくも小賢しい魔女を。
ふつふつと湧き上がる感情を上手く処理出来ない。というか言語化できないんだ。
ただ、静かに狂う感覚に身震いした。
「大丈夫だよ、大丈夫だから。あたし達は絶対に味方だよ」
やめてくれ。まるで幼子をなだめるような口調は。
彼はいつも対等だった。クソ生意気だし、無茶ぶりもいとわないワガママなお子様だったのに。
「スチル……」
握っていた『肉の塊』を眺める。
多分、人間かそれに似た形をしていたモノ。今は何が何だか分からないぐちゃぐちゃの塊。
ああ、汚い。
「スチル、スチル、スチル」
ずっと一緒にいたんだ。それがなぜだろう。
俺は手の中にあった肉の塊を放り投げた。
べちゃり、と汚らしい音を立てて床をまた汚すそれ。原型なんてとうに留めてないんだろう。
仕方ないだろ、やらかしたのは悪魔だ。俺じゃない。俺は悪魔と契約をしたのだから。
「そう、それでいいよ。メイトは悪くないからね」
誰が悪いって?
ああ違う、この娘は庇ってくれてるのか。
でもなんかおかしいな、だって俺は自分自身何一つ悪いことしている意識ないんだから。
「大丈夫だから」
震えている。俺じゃなくて、彼女が。
もしかして怯えているのか。こんな人の道を外れた男を。だからこんな力いっぱい抱きしめて声も震わせて、泣いているのかもしれない。
……ああ、悲しいな。
そっと目を閉じた。そっと心の中の悪魔に語りかけたかったんだ。
すべてなかったことにしてくれないか。お前悪魔だろう? 今度は身体のどこを持っていくのか知らないが。
どうせこんな汚れた身。どこを切り取っても同じだろう。
「――えらく派手にやらかしたじゃないか」
「!」
呆れたような、でも笑いながらの声に弾かれたように顔を上げる。
「えっ」
ベルも同じ反応だったらしい。彼女の身体が離れてすぐ。
「スチル君!?」
「どーも。ベルおねえちゃん、と馬鹿メイト君」
嫌味っぽい口調だが、たしかにあいつだ。
でも俺は振り向けなかった。
「幻、じゃねえのか」
悪魔が見せた嫌がせのげんちょうじゃないかって思っちまったんだよ。
もし後ろに何もなくて、それどころかベルもいなかったら…………俺は壊れるしかないだろ。
それがたまらなく怖い。
「やれやれ」
今度は少し困ったようにあいつは笑って気配が動く。
「まずは幻聴じゃない」
「!!」
目の前に回り込んだのは、紛れもないスチルだった。黒いローブはすすけてかなりボロっちくなってるが。
「ほ、本当なのか」
恐る恐るその白い顔に触れてみる。少し冷たいが、ちゃんとガキ特有の弾力があって。薄い唇にも触れる事ができる。
出会った時よりのびたサラサラの黒髪も――。
「ストップ、もうお触り禁止。変態趣味にでも目覚めたか。気色悪い」
嫌そうに手を叩かれた。
その反応に心の底から安堵したと同時に、目頭が熱くなる。
「うわ、今度は泣き出したぞ。おい、ベルどうにかしろ。このオッサン」
「っ……お、オッサンじゃ、ねえし……てか、スチル、本物なんだ……よな? なあ」
「人の顔撫で回しておいてまだ信用しないとか、脳みそ入ってるのかよ。ボケじじい」
ついにジジイ呼ばわりか。でも、これでようやく目の前の光景を信用できた。
「スチル!」
「あーもうっ、反応が遅いっての。まったく、僕がいないとあんたはダメだな」
大袈裟にため息つかれても、俺はやつを抱きしめる腕をゆるめられない。
「おいおい、いい加減にあんたからもなんか言ってくれ!」
そうスチルが声をあげた時。
「麗しき家族愛ですから」
と優しく言った人がいる。
そこに視線をむける。
「ラヴィッツ!? 無事だったのか!」
これには慌てて、抱きしめていた手を離す。
ざっと見た限りでは怪我している感じもない。
「ラヴィッツちゃん、良かった」
ベルもそうとう嬉しいのか涙ぐんで彼女に抱きついている。
「でもどうして」
カリアが偽物として成りすましていたのは覚えているけど、その前に何があったのか。
俺が疑問を口に出すより先に、彼女がうなずく。
「メイトさんの考えておられること、分かります。しかしそれより先に私は、皆さんを導かなければいけません」
そうして何故か、哀しげに微笑んだ。
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