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15.おしまいはいつもこう
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「陸斗ぉ~?」
「……」
「本当にゴメンって!」
「……」
「無視せんといてよぉぉぉ」
「チッ……」
「舌打ちはもっとヤダ~」
今朝の俺たちは一段と注目を浴びてるだろう。
相変わらず、可愛い女の子……とは対局にいるアホ男どもと歩く通学路。
「ちゃんと女達の誤解解くからぁ」
「『達』ぃ!?」
なんだ複数いるのかよ、この嘘つきが。
―――結局、このチャラ男のせいで俺はイヤガラセを受けてたってことだ。
しかもそれを他人のせいにしてたんだから、本当に何度ぶん殴っても気がすまない。
「ナァナァナァ! これを機にオレ達付き合おう? なっ、そーしよ?」
「なに言って……」
「調子に乗らないでください。嘘つきヤリチン野郎」
グイッと横から乗り出して口を出したのは、吾郎だ。
そうだコイツもいたんだった。辛うじて笑顔……いや、目が笑ってないのが怖い。
拳をブンブンッ、と素振りして銀児のことを見ている。
「お、お前には関係ねーだろーがッ!」
「大ありですよ、銀児先輩。伍代さんは僕のクラスメイトですよ?」
「それは悪いって言ってんだろ! ってゆーか、お前はその女と付き合えばいいだろ」
「あ? なぁに言っちゃってんですかぁ? この脳みそチ●コ野郎。精子でも詰まってんのか? あ?」
「ひっ……ちょ、陸斗ぉ。ゴリラが苛めるぅ!」
銀児が、情けない顔して俺に抱きついてくる。
「あっ、なに触ってんですか。陸斗君は僕のだって言ってるでしょうが。あんた本当に脳みそ精子詰まってんのか」
「ぬぁにぃぃっ、先輩に向かってなんつーことを!」
「その後輩にディスられることをしてるんですよ」
「うるせーよッ。お前だって陸斗のこと、好きなんだろ!?」
「好きに決まってるでしょうっ。大好きですよ。愛してますよっ、十年以上前からね!!」
「古参アピールか。クソうぜーなっ」
「うるさいッ、にわか」
……またやってやがる。
いつもの光景だが、眺めていると疲れてくる。
しかも周りの視線が本当にイタイ。
俺はそっと二人を置いて走り出す。
「あっ、陸斗君」
「おいっ、陸斗!」
二人同時に気づかれた。
そして追ってきた!!
「なに逃げてんだよッ」
「置いてかないでよぉ」
片方は必死の形相。もう片方は追いつく自信があるのか、満面の笑み。
「うるさいッ、ついてくるなぁぁぁ!!!!」
俺は叫んで、振り返ることも出来ず走る。
あぁでも、多分いつか追いつかれる。
その時は選ばなきゃダメなのだろうか。
原始人かチャラ男か……吾郎か、銀児か。
「いやっ、おかしいだろ!?」
なんで二者択一なんだ。
俺にはもう女の子と付き合う道は残されてないのか?
「陸斗ぉぉ、好きだぁぁぁッ」
「ちょ、銀児!」
バカ野郎、そんな事叫びながら走るなよ。
「じゃ僕も。陸斗くーんっ、大好きーッ!」
「うるさいっ、吾郎!!」
愛を叫びながら追いかけてくる男たちと、追われる俺と。
あぁ……俺はホモになるしか道はないんだろうか?
―――そろそろ切れる息を隠しながら、俺はそんな未来に絶望してない自分に愕然としていた。
「……」
「本当にゴメンって!」
「……」
「無視せんといてよぉぉぉ」
「チッ……」
「舌打ちはもっとヤダ~」
今朝の俺たちは一段と注目を浴びてるだろう。
相変わらず、可愛い女の子……とは対局にいるアホ男どもと歩く通学路。
「ちゃんと女達の誤解解くからぁ」
「『達』ぃ!?」
なんだ複数いるのかよ、この嘘つきが。
―――結局、このチャラ男のせいで俺はイヤガラセを受けてたってことだ。
しかもそれを他人のせいにしてたんだから、本当に何度ぶん殴っても気がすまない。
「ナァナァナァ! これを機にオレ達付き合おう? なっ、そーしよ?」
「なに言って……」
「調子に乗らないでください。嘘つきヤリチン野郎」
グイッと横から乗り出して口を出したのは、吾郎だ。
そうだコイツもいたんだった。辛うじて笑顔……いや、目が笑ってないのが怖い。
拳をブンブンッ、と素振りして銀児のことを見ている。
「お、お前には関係ねーだろーがッ!」
「大ありですよ、銀児先輩。伍代さんは僕のクラスメイトですよ?」
「それは悪いって言ってんだろ! ってゆーか、お前はその女と付き合えばいいだろ」
「あ? なぁに言っちゃってんですかぁ? この脳みそチ●コ野郎。精子でも詰まってんのか? あ?」
「ひっ……ちょ、陸斗ぉ。ゴリラが苛めるぅ!」
銀児が、情けない顔して俺に抱きついてくる。
「あっ、なに触ってんですか。陸斗君は僕のだって言ってるでしょうが。あんた本当に脳みそ精子詰まってんのか」
「ぬぁにぃぃっ、先輩に向かってなんつーことを!」
「その後輩にディスられることをしてるんですよ」
「うるせーよッ。お前だって陸斗のこと、好きなんだろ!?」
「好きに決まってるでしょうっ。大好きですよ。愛してますよっ、十年以上前からね!!」
「古参アピールか。クソうぜーなっ」
「うるさいッ、にわか」
……またやってやがる。
いつもの光景だが、眺めていると疲れてくる。
しかも周りの視線が本当にイタイ。
俺はそっと二人を置いて走り出す。
「あっ、陸斗君」
「おいっ、陸斗!」
二人同時に気づかれた。
そして追ってきた!!
「なに逃げてんだよッ」
「置いてかないでよぉ」
片方は必死の形相。もう片方は追いつく自信があるのか、満面の笑み。
「うるさいッ、ついてくるなぁぁぁ!!!!」
俺は叫んで、振り返ることも出来ず走る。
あぁでも、多分いつか追いつかれる。
その時は選ばなきゃダメなのだろうか。
原始人かチャラ男か……吾郎か、銀児か。
「いやっ、おかしいだろ!?」
なんで二者択一なんだ。
俺にはもう女の子と付き合う道は残されてないのか?
「陸斗ぉぉ、好きだぁぁぁッ」
「ちょ、銀児!」
バカ野郎、そんな事叫びながら走るなよ。
「じゃ僕も。陸斗くーんっ、大好きーッ!」
「うるさいっ、吾郎!!」
愛を叫びながら追いかけてくる男たちと、追われる俺と。
あぁ……俺はホモになるしか道はないんだろうか?
―――そろそろ切れる息を隠しながら、俺はそんな未来に絶望してない自分に愕然としていた。
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