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11.悪い夢はなかったことに
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沈む―――。
まるで柔らかい泥の中に引きずり込まれるよう。
そこはきっと深くて暗くて、怖い。
あぁ、これは夢だ。
現実世界なハズがない。
僕がこんな、酷い目に遭うワケが、ないんだ。
『悪い夢は忘れてしまえ』と、どこかで誰かがささやく―――。
※※※
「陸斗君……っ!」
ひときわ大きく名前を呼ばれ、俺は反射的に目を開けた。
「うぉっ」
まぶし過ぎる。
再び目をつぶって、数秒かけて恐る恐る視界を広げた。
「陸斗君」
「う、ぅああぁぁぁぁッ!!!」
……眼前にゴリラ。
イケメンゴリラが、眼前数センチのところでウホウホしてた。
叫ばないワケがないだろ。
「えっ、ちょ、大丈夫?」
「大丈夫なもんかっ、この変態! 変態ゴリラめッ……な、なんでお前が……ってここドコ!?」
俺、学校行ってたよな?
確かちゃんと午後も授業受けて、んで……アレ?
あと。ここはどこだろう。
眼前ゴリラが退いたから、ゆっくり起き上がる。
この部屋は。
「も、もしかして覚えてないのかな」
おずおずと言った様子のゴリラに、俺は返す言葉に困った。
覚えてないってなんのことだ? というか、覚えないといけない事ってあったっけ。
「あのね。陸斗君」
ゴリラが小さく息をついた。
なんだ。まるですごく大変な事を忘れちまったみたいな、深刻そうな間は。
変な緊張感で、怖くなるじゃないか。
「あの……」
「な、なんだよ。もったいぶるな、ゴリラのクセに」
「えーっと……」
「さっさと言えよな。アホゴリラ!」
「痛っ」
目の前のイケメン顔に腹立ち紛れにデコピンかます。
「なにすんの陸斗君。ヒドいなぁ」
「進化前の類人猿の分際で、人間様を焦らすんじゃないぜ、まったく」
「焦らすかぁ……なんかエッチだね」
「うるさいうるさいうるさーいッ、セクハラゴリラめ、保健所に通報するぞ!!」
「あはは、やっぱりヒドい」
今度は小さく笑うと、うなずいた。
「僕と銀児先輩が陸斗君を取り合ってたら、知らず知らずのうちに締め上げちゃってたみたいで……」
「失神、したのか」
「めんぼくない」
するとなにか。俺はアホどもに気絶させられて、家に運びこまれたってワケか。
「ていうか、なんでお前の家なんだよ」
銀児もいないみたいだし、確かコイツの両親は忙しい共働き。すると……。
「!!」
俺は、慌ててベッドから飛び降りた。
「さ、さ、最低だなっ、お前!」
「えぇぇぇっ、なんで!?」
大声で糾弾すれば、マンガみたいにビクゥッと肩を震わせた。
もしや、もしかして。
「俺のこと……殺ろうと?」
「なんでそうなるの!」
最悪な想定を口にすれば、ゴリラが盛大にずっこける。
どうでもいいが、素晴らしいコケ方だな。まるで吉●新喜劇みたいだったぜ。
「証拠隠滅?」
「しないよ」
「じゃあ、ヘンな儀式の生贄?」
「陸斗君は僕をなんだと思ってんのさ」
「ゴリラ……みたいな密林の原住民」
「えぇぇ」
呆れたようにため息ついた。
そのクセ、顔は笑顔だ。やっぱりワケわかんない。
「銀児先輩は、用事があるんだって。それにちゃんと家には連絡してあるからね。もう少し休んで行きなよ」
それならいい、かな。
正直まだ少し疲れてる気がする。変な夢も見たような……内容まったく覚えてないけどさ。
「なんか飲み物持ってくるよ」
彼がそう言うとベッドをぽん、と叩いた。
「待ってて」
「おい……俺は犬かよ」
「ははっ」
なんかすごくむず痒いような、妙な気分だ。
心の奥がザワザワする。なんだろ、分からない。
「陸斗君はね」
とりあえずまたベッドに戻り腰掛けると、逆に立ち上がった彼と視線があう。
「犬なんかより、ずっとずっと可愛いよ」
目元くしゃ、とさせた笑み。
イケメンがやると破壊力はバツグンだな。その証拠に、一瞬だけ心臓が跳ね上がった。
やめてくれ俺はホモじゃない。イケメンの笑顔は、まるで人を石に変えちまう怪物ゴーゴンの睨み付けより効果的、かも。
そっと頬まで触ってきたアイツの顔をバカみたいに見上げてるしかできない。
「陸斗君?」
「っ、き、気色悪ぃコト言うなっ、このっ、モンキーが!」
「はは、猿なの? ゴリラなの? どっち」
「うるさいっ、このバーカバーカ!」
恥ずかしくて悔しくて仕方なかった。
この俺が、一瞬でもゴリラに見惚れるなんて。
今度脳外科にでも行ったらいいのか?
「ちょっと待っててね」
アイツはまた甘ったるい表情を向けてから、出ていった。
つま先で階段を降りる音を聞きながら、大きくため息をつく。
……ここのところ、色々ありすぎた。
幼なじみだった美少女がゴリラになってるし、後輩女子には誤解されて嫌われるし。
オマケに変なイヤガラセ受けて。
っていうか、華子ちゃんに話聞かないと。
やっぱり俺は彼女の仕業には思えないんだよなぁ。
「んー……」
ベッドの上で、背伸びする。
なんか身体の節々が痛い。アイツら、相当ムチャしたのか。
不思議なのは、その事を俺が全く覚えてないってことだ。
若いのに、もうボケちまったんじゃないだろうなぁ。
「?」
ふと視界に入った。
それは本棚。
ホコリひとつかぶってない。
なんか几帳面に並んだ背表紙が、ただの本とか雑誌とかそういうものじゃない気がする。
……エロ本でも隠してないかな。
そう思うと少し楽しくなってきた。
人の秘密を盗み見って思えば罪悪感も湧くだろうが、サッと見てしまえばバレない。
普段ならそこまで、好奇心むき出しじゃないタイプのはずなんだけど。
あのゴリラに関してはどうも……うーん、上手く表現出来ない。
―――立ち上がり、本棚に歩み寄る。
少し目線を下げて背表紙を指でなぞっていく。
なんだこれ、筋トレとかボディメイクとか栄養科学ってのもある。
要するにマッチョどもの教科書。
なんていうか……ここまでズラリとその手の本が並ぶと軽く引くよな。
本気度が凄い。やっぱりあの身体は努力して作られたってことか。
「ふぅん」
よくもまぁ、こんなに頑張れるもんだ。
そう言えば部屋にはダンベルがインテリアっぽく配置されているけど、隠しきれないガチ感を醸してるのがなんとも。
気まぐれに、並んでる本の一冊を引き抜いてみる。
なんか絵で説明してあって、漫画みたいな絵に惹かれたんだ。
表表紙を眺めたあと、パラパラめくる。
書いている内容も、何故か女性向き? かビギナー向きらしくて、わかりやすいのは良いけどこれだけ雰囲気が違う。
他のはガチガチの専門書なのに、そこにエッセイが混じってるみたいな。
「あ」
すぐに飽きて本棚に戻そうと、持ち直した時だった。
足元に落ちた、1枚の……写真?
「これって」
拾いあげれば、映ってる風景や人物に目がいく。
三人の子どもの笑顔が目に飛び込んできた。
……女の子の両脇に、男の子が2人?
いや違う。
真ん中は『アイちゃん』か。見覚えのある服だから。
水色のワンピース、多分夏の頃だろう。
するとどちらか片方が俺で、もう片方が。
「陸斗君、なにしてるの」
固い声だった。
その冷たさに、小さく身震いして振り返る。
部屋の入口にペットボトルを二本持ったアイツが立っていた。
「なにしてるの」
もう一度。
さっきよりは穏やかだけど、やっぱり怒ってるみたいな声だ。
見ちゃいけないものを見て叱られたガキみたいな気分になって、唇を噛む。
「陸斗君」
近づいてくる。
毛足の短い絨毯を踏む足音が、あっという間に俺の目の前へ。
「ダメだよ、これ」
そっ、と持ってた写真が取り上げられる。
「僕の宝物だからね」
そして大切そうに写真を胸に抱くアイツに、今度は意味不明な腹立ちを覚えた。
「くだらない」
「え?」
「いつまでも過去に縛られてさァ」
自分でも何言ってんだって考えが過ぎる。
でも口から出た言葉を戻すことなんて出来ない。
「今、目の前にいるのは誰だ」
「!!」
両手を伸ばして、そのイケメン顔を思い切り挟んでやった。
ざまぁみろ、頬がむにゅっと寄ってなんてマヌケ面だ……って、あー……ほっぺた、案外やわらかい。
「ちょ、なに、す、んの」
モゴモゴとくぐもった声で叱られても怖くなんかないな。むしろ少し可愛い……ん? 可愛い?
「こっち見ろ、バーカ」
まだ写真を抱きしめてる、このマヌケゴリラがムカついて悔しくて。だから思い切り背伸びして、さらに挟んだ顔を引き寄せる。
「痛ッ!」
ゴツン、と額同士をぶつけてやった。
多分痛かっただろう。俺も痛い。
「り、陸斗、君!?」
「過去なんてクソくらえだ」
そう啖呵をきる。
んでもってヤツが余計な口を叩く前に、慌てて手を離し逃げることにした。
「ど、どこ行くの!」
「帰る」
「えぇぇっ」
振り向かず……というか振り向けない。
だって顔が熱くて熱くて。まるで火を吹きそうで仕方なかったから。
だいたい自分の行動が意味不明過ぎて、辛かった。
まるで柔らかい泥の中に引きずり込まれるよう。
そこはきっと深くて暗くて、怖い。
あぁ、これは夢だ。
現実世界なハズがない。
僕がこんな、酷い目に遭うワケが、ないんだ。
『悪い夢は忘れてしまえ』と、どこかで誰かがささやく―――。
※※※
「陸斗君……っ!」
ひときわ大きく名前を呼ばれ、俺は反射的に目を開けた。
「うぉっ」
まぶし過ぎる。
再び目をつぶって、数秒かけて恐る恐る視界を広げた。
「陸斗君」
「う、ぅああぁぁぁぁッ!!!」
……眼前にゴリラ。
イケメンゴリラが、眼前数センチのところでウホウホしてた。
叫ばないワケがないだろ。
「えっ、ちょ、大丈夫?」
「大丈夫なもんかっ、この変態! 変態ゴリラめッ……な、なんでお前が……ってここドコ!?」
俺、学校行ってたよな?
確かちゃんと午後も授業受けて、んで……アレ?
あと。ここはどこだろう。
眼前ゴリラが退いたから、ゆっくり起き上がる。
この部屋は。
「も、もしかして覚えてないのかな」
おずおずと言った様子のゴリラに、俺は返す言葉に困った。
覚えてないってなんのことだ? というか、覚えないといけない事ってあったっけ。
「あのね。陸斗君」
ゴリラが小さく息をついた。
なんだ。まるですごく大変な事を忘れちまったみたいな、深刻そうな間は。
変な緊張感で、怖くなるじゃないか。
「あの……」
「な、なんだよ。もったいぶるな、ゴリラのクセに」
「えーっと……」
「さっさと言えよな。アホゴリラ!」
「痛っ」
目の前のイケメン顔に腹立ち紛れにデコピンかます。
「なにすんの陸斗君。ヒドいなぁ」
「進化前の類人猿の分際で、人間様を焦らすんじゃないぜ、まったく」
「焦らすかぁ……なんかエッチだね」
「うるさいうるさいうるさーいッ、セクハラゴリラめ、保健所に通報するぞ!!」
「あはは、やっぱりヒドい」
今度は小さく笑うと、うなずいた。
「僕と銀児先輩が陸斗君を取り合ってたら、知らず知らずのうちに締め上げちゃってたみたいで……」
「失神、したのか」
「めんぼくない」
するとなにか。俺はアホどもに気絶させられて、家に運びこまれたってワケか。
「ていうか、なんでお前の家なんだよ」
銀児もいないみたいだし、確かコイツの両親は忙しい共働き。すると……。
「!!」
俺は、慌ててベッドから飛び降りた。
「さ、さ、最低だなっ、お前!」
「えぇぇぇっ、なんで!?」
大声で糾弾すれば、マンガみたいにビクゥッと肩を震わせた。
もしや、もしかして。
「俺のこと……殺ろうと?」
「なんでそうなるの!」
最悪な想定を口にすれば、ゴリラが盛大にずっこける。
どうでもいいが、素晴らしいコケ方だな。まるで吉●新喜劇みたいだったぜ。
「証拠隠滅?」
「しないよ」
「じゃあ、ヘンな儀式の生贄?」
「陸斗君は僕をなんだと思ってんのさ」
「ゴリラ……みたいな密林の原住民」
「えぇぇ」
呆れたようにため息ついた。
そのクセ、顔は笑顔だ。やっぱりワケわかんない。
「銀児先輩は、用事があるんだって。それにちゃんと家には連絡してあるからね。もう少し休んで行きなよ」
それならいい、かな。
正直まだ少し疲れてる気がする。変な夢も見たような……内容まったく覚えてないけどさ。
「なんか飲み物持ってくるよ」
彼がそう言うとベッドをぽん、と叩いた。
「待ってて」
「おい……俺は犬かよ」
「ははっ」
なんかすごくむず痒いような、妙な気分だ。
心の奥がザワザワする。なんだろ、分からない。
「陸斗君はね」
とりあえずまたベッドに戻り腰掛けると、逆に立ち上がった彼と視線があう。
「犬なんかより、ずっとずっと可愛いよ」
目元くしゃ、とさせた笑み。
イケメンがやると破壊力はバツグンだな。その証拠に、一瞬だけ心臓が跳ね上がった。
やめてくれ俺はホモじゃない。イケメンの笑顔は、まるで人を石に変えちまう怪物ゴーゴンの睨み付けより効果的、かも。
そっと頬まで触ってきたアイツの顔をバカみたいに見上げてるしかできない。
「陸斗君?」
「っ、き、気色悪ぃコト言うなっ、このっ、モンキーが!」
「はは、猿なの? ゴリラなの? どっち」
「うるさいっ、このバーカバーカ!」
恥ずかしくて悔しくて仕方なかった。
この俺が、一瞬でもゴリラに見惚れるなんて。
今度脳外科にでも行ったらいいのか?
「ちょっと待っててね」
アイツはまた甘ったるい表情を向けてから、出ていった。
つま先で階段を降りる音を聞きながら、大きくため息をつく。
……ここのところ、色々ありすぎた。
幼なじみだった美少女がゴリラになってるし、後輩女子には誤解されて嫌われるし。
オマケに変なイヤガラセ受けて。
っていうか、華子ちゃんに話聞かないと。
やっぱり俺は彼女の仕業には思えないんだよなぁ。
「んー……」
ベッドの上で、背伸びする。
なんか身体の節々が痛い。アイツら、相当ムチャしたのか。
不思議なのは、その事を俺が全く覚えてないってことだ。
若いのに、もうボケちまったんじゃないだろうなぁ。
「?」
ふと視界に入った。
それは本棚。
ホコリひとつかぶってない。
なんか几帳面に並んだ背表紙が、ただの本とか雑誌とかそういうものじゃない気がする。
……エロ本でも隠してないかな。
そう思うと少し楽しくなってきた。
人の秘密を盗み見って思えば罪悪感も湧くだろうが、サッと見てしまえばバレない。
普段ならそこまで、好奇心むき出しじゃないタイプのはずなんだけど。
あのゴリラに関してはどうも……うーん、上手く表現出来ない。
―――立ち上がり、本棚に歩み寄る。
少し目線を下げて背表紙を指でなぞっていく。
なんだこれ、筋トレとかボディメイクとか栄養科学ってのもある。
要するにマッチョどもの教科書。
なんていうか……ここまでズラリとその手の本が並ぶと軽く引くよな。
本気度が凄い。やっぱりあの身体は努力して作られたってことか。
「ふぅん」
よくもまぁ、こんなに頑張れるもんだ。
そう言えば部屋にはダンベルがインテリアっぽく配置されているけど、隠しきれないガチ感を醸してるのがなんとも。
気まぐれに、並んでる本の一冊を引き抜いてみる。
なんか絵で説明してあって、漫画みたいな絵に惹かれたんだ。
表表紙を眺めたあと、パラパラめくる。
書いている内容も、何故か女性向き? かビギナー向きらしくて、わかりやすいのは良いけどこれだけ雰囲気が違う。
他のはガチガチの専門書なのに、そこにエッセイが混じってるみたいな。
「あ」
すぐに飽きて本棚に戻そうと、持ち直した時だった。
足元に落ちた、1枚の……写真?
「これって」
拾いあげれば、映ってる風景や人物に目がいく。
三人の子どもの笑顔が目に飛び込んできた。
……女の子の両脇に、男の子が2人?
いや違う。
真ん中は『アイちゃん』か。見覚えのある服だから。
水色のワンピース、多分夏の頃だろう。
するとどちらか片方が俺で、もう片方が。
「陸斗君、なにしてるの」
固い声だった。
その冷たさに、小さく身震いして振り返る。
部屋の入口にペットボトルを二本持ったアイツが立っていた。
「なにしてるの」
もう一度。
さっきよりは穏やかだけど、やっぱり怒ってるみたいな声だ。
見ちゃいけないものを見て叱られたガキみたいな気分になって、唇を噛む。
「陸斗君」
近づいてくる。
毛足の短い絨毯を踏む足音が、あっという間に俺の目の前へ。
「ダメだよ、これ」
そっ、と持ってた写真が取り上げられる。
「僕の宝物だからね」
そして大切そうに写真を胸に抱くアイツに、今度は意味不明な腹立ちを覚えた。
「くだらない」
「え?」
「いつまでも過去に縛られてさァ」
自分でも何言ってんだって考えが過ぎる。
でも口から出た言葉を戻すことなんて出来ない。
「今、目の前にいるのは誰だ」
「!!」
両手を伸ばして、そのイケメン顔を思い切り挟んでやった。
ざまぁみろ、頬がむにゅっと寄ってなんてマヌケ面だ……って、あー……ほっぺた、案外やわらかい。
「ちょ、なに、す、んの」
モゴモゴとくぐもった声で叱られても怖くなんかないな。むしろ少し可愛い……ん? 可愛い?
「こっち見ろ、バーカ」
まだ写真を抱きしめてる、このマヌケゴリラがムカついて悔しくて。だから思い切り背伸びして、さらに挟んだ顔を引き寄せる。
「痛ッ!」
ゴツン、と額同士をぶつけてやった。
多分痛かっただろう。俺も痛い。
「り、陸斗、君!?」
「過去なんてクソくらえだ」
そう啖呵をきる。
んでもってヤツが余計な口を叩く前に、慌てて手を離し逃げることにした。
「ど、どこ行くの!」
「帰る」
「えぇぇっ」
振り向かず……というか振り向けない。
だって顔が熱くて熱くて。まるで火を吹きそうで仕方なかったから。
だいたい自分の行動が意味不明過ぎて、辛かった。
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