アイズwithスターダスト 〜神聖力(エーテル)に愛された神の継承者〜

優陽 yûhi

文字の大きさ
上 下
97 / 97
第4最終章

97 ボクはアルティス、人間ニャン♡

しおりを挟む
「なんか変だぞ?地上にも魔神の気配がない……どうなってんだ?」
「私も、全く気配を感じませんね」
「アルっ!!良かった無事だったのね?」
 フィオナのこの言葉は、消えたアルティスへの言葉。
 アルティスは、この言葉を悪魔との戦いの事だと思った。
「あっ、フィオナただいま。無事だよ。とりあえず俺たちの完勝。犠牲者ゼロ。
 思ってた以上の結果だよ」
「さっき貴方から聞いたじゃない……その〝とりあえず〝ってどう言う事?」
「さっき俺から聞いた?何それ?変な事言うな?俺は今戻ったばかりだぞ?
 とりあえずってのは、魔神が、魔界にも、この地上にも、どこにも見当たらないんだよ?
 もう、悪魔の軍隊は、やつしか残っていないから、何も出来ないとは思うけど……
 じいちゃんとの約束もあって、どうしても見つけなきゃならない」
「そうなんだ?肝心の魔神が、どうしているのか分からないのは、少し不安よね。
 だから貴方は、消えた後、魔神を探しに行ってたの?」
「消えた後?誰が消えたって言うんだ?なんかさっきから、話が噛み合わないな?」
「貴方、薄くなって消えたじゃない?あ、あれ?ほんとだ……この会話、なんか変よね?」


 〝アルティスよ。話の最中にすまんが……少し話したい事が有る。
 お前達の今の会話にも関係がある。じゃからフィオナと一緒に神界こっちに来てくれんか?〝
 〝あれ?じいちゃん?俺も報告に行かなきゃって思ってたところだから……
 フィオナも一緒?〝
 〝うむ、直ぐ来てくれ〝

 神界では、創造神が出迎えてくれていた。後ろに隠れる様に、バツの悪そうな顔をしてシャルがいた。
「どわ~シャルおじさん?何でここに?あれれ?邪気が……どうなってる?」
「ごめんよアル……随分迷惑かけた様だね……」
「じいちゃんが、シャルおじさんを?」
「いや、そうではない。これから話す事をよく聞くのじゃ………………」


「………………そんな事になってたのか……」
「私達地上のほぼ全員……ほんとだったら死んでたって事ですか?
 それをアルが?……あの時消えたのが、そのアルティス?だからあんな寂しげな顔を?……」
「うむ……そう言う事じゃな……あの時のアルは、
 2度とフィオナに会えない様な……死んでいく様な感覚になったんじゃろう……」
「確かに、自分が消えるって事は、死んでいくのと変わらない気持ちになるかもな……」
「で、じゃ。このままだと、心がモヤモヤしてスッキリせんじゃろ?
 だから消えたアルティスの記憶を、お前に同期させ様と思うんじゃが?」
「そんな事出来るの?」
「うむ。こうなるじゃろうと思ってな、記憶を抜き出して保管しておいたのじゃ」
「あ、そうすれば、消えた俺も、俺と一つになって生き返る……てのも変だけど……
 モヤモヤ感は、消えるよね?出来るならやって」
 かくしてアルティスに、もうひとつの記憶が蘇り、
 魔神が消えた事や、フィオナとの記憶の食い違い等の疑問が解消された。

「じいちゃん。俺、間違った歴史を元に戻しただけだよ?」
「はいはい。それはもう良いと言っておるじゃろ?
 わしとて、あのままじゃったら、こうはしては、おれんかったじゃろうからな……」
「だよね?人生やり直しが出来たとしても、
 100回やり直しても、100回同じ事をしたと思うよ。誰にダメだと言われてもね」
「ねえ、アル?1つ聞きたいんだけど?」
「何?」
「貴方何で、そんな事したの?」
「……そんな事って……こうしなかったらフィオナや皆んな死んでたんだよ?」
「ううん。私の聞きたい事は、時間を戻したって事じゃなくて……」
「ん?何?」
「貴方、自由に時間を移動出来るのだから……ちょちょいと戻って、簡単に阻止出来たんじゃない?」
「「……あ……………………」」
「創造神様も、気付かなかったのですか?」
「フィオナ、それだけ貴方がアルティスから愛されてるって事よ?」
「ミリア姉様、それは?……」
「我を忘れる程、気が動転してた……それ程、愛されてるって事。
 あの時のアルティスは、感情を何処かに置き忘れた様に無表情で、
 私でさえ、背筋が凍りつく程、怖かったわよ?アルのあんな顔初めて見たわ」
「…………アル…………」
 アルティスの胸に顔を埋めて、涙を隠したフィオナだった。

「アルよ、それでなんじゃが……此度の戦いは、異次元の神々にも、ある程度伝わっておる様じゃ。
 時間を操作したお前を、危険視する神もおる様じゃから……
 面倒な事にならんと良いのじゃがな……何が起きるやもしれん。念の為、用心しておくのじゃぞ」
「うん、そうなの?分かった」


 戦いが終わり、落ち着きを取り戻した1ヶ月後……
「なにか用?こんな所に呼び出して……異次元の神々ってこんなにいたんだね?
 はなから、そんな怖い顔して、多勢で……
 威圧しているつもり?凄く感じ悪いよ?」
 100神以上の神々に囲まれ、凄まれるアルティス。やれやれという感じで笑顔を見せている。
 時間を操作して1つの星を蘇らせる。そんな事を許すと秩序が保たれない……
 異次元の神々の中には、そう考える神が半数近くいた。
 どこにでもいる様な若い青年に見えるアルティスに、凄みながら1歩1歩、ゆっくりと詰め寄る神々。

 ズーン ズーン ズウォーン ズウォーン……
 地響きの様な、低く威圧感のある音が響き渡る。
「な、何だこの音は…… それに、この圧倒される神聖力……
 我らの力を遥かに超越しておる……これ以上は近寄る事も出来ん……」
 怯え、指1本動かす事も出来なくなる、異次元の神々。
「?何狼狽うろたえてるの?これは俺の心の臓の鼓動だよ……
 あんた達?こんなのに怯える程、脆弱なの?はなから威圧してくるとか……それでも神?
 それとも俺の力がそこまで強大になってしまったのかな?……」
「何なのだ、その呆れるまでに強大なこの力は?いったいお前は何者なのだ?」
「何?あんた達が誕生する遥か昔……原初の創造神……
 その神聖力……エーテルを受け継ぐ者……この俺のことを知らないのか?…」
「………」「………」「………」「………」「………」「………」

「ボクはアルティス、人間ニャン♡」
 ~end~
しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

転生したら脳筋魔法使い男爵の子供だった。見渡す限り荒野の領地でスローライフを目指します。

克全
ファンタジー
「第3回次世代ファンタジーカップ」参加作。面白いと感じましたらお気に入り登録と感想をくださると作者の励みになります! 辺境も辺境、水一滴手に入れるのも大変なマクネイア男爵家生まれた待望の男子には、誰にも言えない秘密があった。それは前世の記憶がある事だった。姉四人に続いてようやく生まれた嫡男フェルディナンドは、この世界の常識だった『魔法の才能は遺伝しない』を覆す存在だった。だが、五〇年戦争で大活躍したマクネイア男爵インマヌエルは、敵対していた旧教徒から怨敵扱いされ、味方だった新教徒達からも畏れられ、炎竜が砂漠にしてしまったと言う伝説がある地に押し込められたいた。そんな父親達を救うべく、前世の知識と魔法を駆使するのだった。

異世界で快適な生活するのに自重なんかしてられないだろ?

お子様
ファンタジー
机の引き出しから過去未来ではなく異世界へ。 飛ばされた世界で日本のような快適な生活を過ごすにはどうしたらいい? 自重して目立たないようにする? 無理無理。快適な生活を送るにはお金が必要なんだよ! お金を稼ぎ目立っても、問題無く暮らす方法は? 主人公の考えた手段は、ドン引きされるような内容だった。 (実践出来るかどうかは別だけど)

巻き込まれ召喚されたおっさん、無能だと追放され冒険者として無双する

高鉢 健太
ファンタジー
とある県立高校の最寄り駅で勇者召喚に巻き込まれたおっさん。 手違い鑑定でスキルを間違われて無能と追放されたが冒険者ギルドで間違いに気付いて無双を始める。

能力値カンストで異世界転生したので…のんびり生きちゃダメですか?

火産霊神
ファンタジー
私の異世界転生、思ってたのとちょっと違う…? 24歳OLの立花由芽は、ある日異世界転生し「ユメ」という名前の16歳の魔女として生きることに。その世界は魔王の脅威に怯え…ているわけでもなく、レベルアップは…能力値がカンストしているのでする必要もなく、能力を持て余した彼女はスローライフをおくることに。そう決めた矢先から何やらイベントが発生し…!?

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

勇者召喚に巻き込まれ、異世界転移・貰えたスキルも鑑定だけ・・・・だけど、何かあるはず!

よっしぃ
ファンタジー
9月11日、12日、ファンタジー部門2位達成中です! 僕はもうすぐ25歳になる常山 順平 24歳。 つねやま  じゅんぺいと読む。 何処にでもいる普通のサラリーマン。 仕事帰りの電車で、吊革に捕まりうつらうつらしていると・・・・ 突然気分が悪くなり、倒れそうになる。 周りを見ると、周りの人々もどんどん倒れている。明らかな異常事態。 何が起こったか分からないまま、気を失う。 気が付けば電車ではなく、どこかの建物。 周りにも人が倒れている。 僕と同じようなリーマンから、数人の女子高生や男子学生、仕事帰りの若い女性や、定年近いおっさんとか。 気が付けば誰かがしゃべってる。 どうやらよくある勇者召喚とやらが行われ、たまたま僕は異世界転移に巻き込まれたようだ。 そして・・・・帰るには、魔王を倒してもらう必要がある・・・・と。 想定外の人数がやって来たらしく、渡すギフト・・・・スキルらしいけど、それも数が限られていて、勇者として召喚した人以外、つまり巻き込まれて転移したその他大勢は、1人1つのギフト?スキルを。あとは支度金と装備一式を渡されるらしい。 どうしても無理な人は、戻ってきたら面倒を見ると。 一方的だが、日本に戻るには、勇者が魔王を倒すしかなく、それを待つのもよし、自ら勇者に協力するもよし・・・・ ですが、ここで問題が。 スキルやギフトにはそれぞれランク、格、強さがバラバラで・・・・ より良いスキルは早い者勝ち。 我も我もと群がる人々。 そんな中突き飛ばされて倒れる1人の女性が。 僕はその女性を助け・・・同じように突き飛ばされ、またもや気を失う。 気が付けば2人だけになっていて・・・・ スキルも2つしか残っていない。 一つは鑑定。 もう一つは家事全般。 両方とも微妙だ・・・・ 彼女の名は才村 友郁 さいむら ゆか。 23歳。 今年社会人になりたて。 取り残された2人が、すったもんだで生き残り、最終的には成り上がるお話。

神様に与えられたのは≪ゴミ≫スキル。家の恥だと勘当されたけど、ゴミなら何でも再生出来て自由に使えて……ゴミ扱いされてた古代兵器に懐かれました

向原 行人
ファンタジー
 僕、カーティスは由緒正しき賢者の家系に生まれたんだけど、十六歳のスキル授与の儀で授かったスキルは、まさかのゴミスキルだった。  実の父から家の恥だと言われて勘当され、行く当ても無く、着いた先はゴミだらけの古代遺跡。  そこで打ち捨てられていたゴミが話し掛けてきて、自分は古代兵器で、助けて欲しいと言ってきた。  なるほど。僕が得たのはゴミと意思疎通が出来るスキルなんだ……って、嬉しくないっ!  そんな事を思いながらも、話し込んでしまったし、連れて行ってあげる事に。  だけど、僕はただゴミに協力しているだけなのに、どこかの国の騎士に襲われたり、変な魔法使いに絡まれたり、僕を家から追い出した父や弟が現れたり。  どうして皆、ゴミが欲しいの!? ……って、あれ? いつの間にかゴミスキルが成長して、ゴミの修理が出来る様になっていた。  一先ず、いつも一緒に居るゴミを修理してあげたら、見知らぬ銀髪美少女が居て……って、どういう事!? え、こっちが本当の姿なの!? ……とりあえず服を着てっ!  僕を命の恩人だって言うのはさておき、ご奉仕するっていうのはどういう事……え!? ちょっと待って! それくらい自分で出来るからっ!  それから、銀髪美少女の元仲間だという古代兵器と呼ばれる美少女たちに狙われ、返り討ちにして、可哀想だから修理してあげたら……僕についてくるって!?  待って! 僕に奉仕する順番でケンカするとか、訳が分かんないよっ! ※第○話:主人公視点  挿話○:タイトルに書かれたキャラの視点  となります。

異世界召喚に条件を付けたのに、女神様に呼ばれた

りゅう
ファンタジー
 異世界召喚。サラリーマンだって、そんな空想をする。  いや、さすがに大人なので空想する内容も大人だ。少年の心が残っていても、現実社会でもまれた人間はまた別の空想をするのだ。  その日の神岡龍二も、日々の生活から離れ異世界を想像して遊んでいるだけのハズだった。そこには何の問題もないハズだった。だが、そんなお気楽な日々は、この日が最後となってしまった。

処理中です...