アイズwithスターダスト 〜神聖力(エーテル)に愛された神の継承者〜

優陽 yûhi

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第4最終章

95 この星の終わり

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 〝ゴォォォォォォ~~~~グァタガタガタガタガタ!!!!!〝
 〝〝キャ~~!!〝〝 〝〝う……うわ~~!!〝〝
「な、何?地震?ちょ……ユッフ……」
 舌を噛みそうで、言葉に出来ない。
「……フィ……ねえ……」

 凄まじい揺れ!超巨大地震だ!それはこの地だけで起きているのではなかった。
 全世界で、地殻に異常が起きている様だ。
 立っている事はおろか、座っている事すら出来ない。座っていても、右に左に身体が投げ出される。
 頑丈なはずな城も10秒と持たず崩れていく。もちろん民家などは、ひとたまりもない。
 世界中、隅から隅まで大混乱に陥っている。
 しかしそこに、頼みのアルティスは居ない……悪魔の領域に行ったままだ。

 10分もしないうち……追い討ちを掛ける様に、
 1000mはあろうかという巨大津波が、全てを飲み込んでしまう。
 まさにこの星の終わりが来ている。

 〝アルティスよ!戻るのじゃ!地上がとんでもない事になっておる!〝
 〝まさか?魔神の気配を感じられないと思っていたけど、地上に?〝
「すまん!皆んな!地上で大異変が起きている様だ、俺は戻る!
 カイン!あとは頼む!」


 地上に戻ったアルティスは言葉を失った……
「これが…… ハルステイン?……嘘だろ……」
 平地はおろか、かなりの標高の山間までドス黒い海水で、埋もれている。

 かろうじて、王城が有ったであろう一部の残骸を見つけた
 キョロキョロ辺りを見渡すアルティス。血の気の失せたその顔は蒼白。

 フィオナの……その気配を感じる事が出来ない……ユフィリナが……分からない……
 リヴァルドも、エリザベスも……
 ソフィアは?……ハーゲン……ハート……全て……何も……
 雲ひとつない空の上……立ちつくすアルティス……


 地上に降りたアルティスは、体に力が入らず、座り込む……
 その顔は、まるで感情を何処かに置き忘れたかの様に無表情……
 怒り……悲しみ……何も感じる事ができない……ただ人形の様に王城の有った辺りをぼんやり眺めていた。

 〝ブゥ~ンブゥ~ンブブブブブブッ!〝
 生気を感じないアルティスの周りに無数の魔法陣が浮かび上がる。
 〝ドドドド!ド~ン!ドガガガガガガガガガガン!〝
 火、氷、風、視界を覆う数えきれない攻撃がアルティスに降りかかった。
 無抵抗のアルティス…… 立ち込める煙。

(アルティスとて、流石にエーテルなくして、これを防ぎ切ることは出来まい)
 次第に煙の中から、人影が揺らぐ。
(そ、そんな馬鹿な……)
ゆるいな?くすぐったいよ……」
 この攻撃がアルティスの感情を、少しだけ戻しつつあった……
「な、何故だ?何故無傷でいられる?お、お前?……それ?エ……エーテルが……」
 すぐ後ろまで迫る魔神。アルティスは、分かっていながら、振り向きもしない。

「エーテルが冬眠に入る?それは大昔から存在していたエーテル……
 俺の中でエーテルは増え続けている。
 ここ10年や20年で生まれたエーテルが、冬眠になんて入る訳がないだろ?」
「増え続けている?集まり続けた……のではないと?」
「お前……地上に生きる全てを消し去る?そんな事をしたかったのか?違うだろ?
 エーテルの影響が無くなった地上に、神々を誘き寄せたかったんじゃないのか?
 なんの罪のない人々を苦しめ、殺して……俺はお前を絶対に許さない……」
「ほう?知っていたのか?しかしそれはもう……お前のお陰で我が軍は壊滅……
 我の計画はついえた。
 せめて、お前の愛する全てを奪い、お前の絶望する姿を……そして最後には、お前も……」
「神を名乗るくせになんて稚拙ちせつな……」

 後ろに迫った魔神に向かって、軽く握った拳を後ろに投げつけた。
 〝ドッガガガガガアアアアアアアアアアン!!!!!!!!〝
 あっさりと……あっけなく、魔神は跡形も無く消えた。
 〝アルよ、それで良かったのか?〝
 創造神の問いかけにアルティスは何も答えなかった。


 〝クッ……クッ……クッ…………グワァァァァ~~アアアアア~~~~!!!!〝
 拳を握り、全身に力を漲らせるアルティス。その周りには稲妻が駆け巡った!
 次第にアルティスが銀色に輝きだす。目の中の光るサファイア色だけを残し、
 眩い光がアルティスを飲み込む。
 シンクロする様にアルティスのネックレスも光出す。
 ギラギラと……その光が渦巻く!何者も目を開けていられない程の光……

 〝オオオオオオオオウオオオオオオオオウ!!!!!!〝
 光の渦が巨大な竜巻の様になり、更に大きく広がり……ついには、星全体を包み込む。

 〝シイィィィィィィィィン…………………………〝
 地上から音が消えた。そして地上全ての動きが止まる。
 ゆっくりゆっくりと……今度は反対に動きだす……星の自転が逆回転している。
 見える景色も、映画を逆再生して見る様に……ゆっくりゆっくりと……
 そして時間が逆転し、時が戻った。目の前には見慣れた王城が有る。
 フィオナの……ユフィリナの……家族の心地よい気配を感じる。

(アルティスなんて事を……歴史を変えてはいかんとあれ程……)
「歴史は変えてない……これが正しい歴史……間違った歴史を元に戻しただけだよ?じいちゃん」
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