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第4最終章
90 開戦の準備
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「う~ん……大丈夫そうだね?これで完成かな?カイン」
「ええ、やっと完成した様ですね?」
「マイル、この剣、ちょっと振ってみてくんない?」
「あ……ああ……」
「どうした?」
「こ、この人、悪魔って言った?……」
「人の話はよく聞こうな?カーマイルクン。元悪魔、今はただの超イケメン!」
「イケメンは分かるんだけど……」
「俺の眷属にして、右腕のカインさんだ」
「あ……ああ、分かった。……うん……じゃ、振ってみる」
〝ビュンビュン、ザシュ!〝
「うん、問題ない。とても振りやすい、良い剣だ。
しかし〝やっと完成した〝って言ってたけど、他の剣と、どこが違うんだ」
「ほらこうやると……」
アルティスが剣に手をかざすと、精密でなんとも美しい紋様、光の付与魔法が浮かび上がる。
「この前、上級魔族と対峙したんだけどさ~」
「え?今さら魔族と対峙?魔族はもう、同じ地上の仲間なんじゃないのか?」
「違う違う、過去に行った時の話。5年程前の過去……そこでだよ」
「ああ、過去に行くって言ってたな……本当に行けたんだ?」
「そこに、ユッフィーを襲った上級魔族がいたんだけどさ……
何者かの命を受けてやってるんだろう……そう思っていたんだ。
でも、実際は悪魔に取り憑かれた魔族だったんだ。悪魔がユッフィーを襲ってたってわけ。
対峙したら直ぐ、悪魔が取り憑いているって分かったんだけどさ。
それでそいつの負のエネルギーを、俺の正のエネルギーで相殺したんだよ。
その時の爆発で奴も、取り憑いていた悪魔も吹き飛んだ……
そう思っていたんだけどさ……カインが言うには……」
「はい、悪魔は物理攻撃……つまりその爆発で死ぬ事はございません。
剣で切れたとしても、直ぐ再生しますでしょ?」
「て、事は、あの時、俺の放った正のエネルギーに、
何か悪魔を倒す効果が有ったんじゃないかと、
カインの協力で、正と負のエネルギーを研究してたって訳」
「それがこの剣の付与?じゃあこれは正のエネルギー、光魔法の付与って事か?」
「正解。これならば、悪魔でも切ることが出来るし、再生も防げる」
「正のエネルギーってのが、光魔法みたいなものってのは分かるけど、
その負のエネルギーってのは何んなんだ?」
「人間、魔族、その他色々なものから漏れ出た負の感情。
怒り、悲しみ、恨み、妬み…………
人が内に秘める、良くないものの総称でございます」
「人が内に秘める、その良くないものが、集まって力を持ち、悪魔が誕生したんだと」
「これが有れば、今迄、祈る事位しか出来なかった悪魔退治が、剣で戦う事が出来る様になると?」
「未だ、試みてるってところだけどな。他の武器でも試さなくてはならないし、
魔法騎士達も戦える様な、術式も作らないと……奴らと戦えないだろ?」
「貴方のフェイト商会、更に大きくなってるみたいだけど、
その利益を全部、対悪魔の軍隊に使ってるんだって?
物凄くお金が掛かってるんじゃない?大丈夫なの?フェイト商会は?
貴方の軍隊って、今どれ位の数になってるの?」
「十万を超えたところ。やっと数だけは悪魔に追いついたかな?」
「え?悪魔ってそんなに居るんだっけ?」
「最下位の悪魔、ガーゴイルってのが滅茶苦茶たくさん居るらしいんだ。
その最下位の悪魔、ガーゴイルですら、超強くって、
魔剣でなんとか切ることが出来たとしても直ぐ再生するわで、
今迄のやり方だと、俺たち軍隊では太刀打ち出来ないらしい」
「え?ちょっと待って?それじゃあどうやって戦うつもりなの?」
「対策は考えてるよ?悪魔にも有効な新しい武器の研究や、魔法式の研究。それは、ほぼ完成。
ただ、十万の軍隊を維持するには、凄くお金が掛かるんだ。
うちの商会でもいっぱいいっぱだね」
「各国はお金を出さないの?アル任せって、ちょっと無責任よね?」
「ああ、各国共、その辺は分かっては居るみたいだよ?でも今は迅速に事を進めなきゃじゃない。
だからうちの商会が、お金出してるんだよ」
「なあアルティス……それなんだけどよ。色んな国からこの際、お前の元に一つの国にしてはと、
そんな話が出てきてるみたいだぞ?俺の所にも話が来てるぞ?」
「俺は聞いた事ないけど?俺の元って俺が王になって、この世界を一つにまとめるってことか?
そんな面倒な事やだぞ」
「アルティスよ、実を言うと、わしの所にもその話は来ておるぞ?連合国だの、共和国だのと、言っておるよ」
「へ~そうなんですか?リヴァルド陛下、ハルステイン帝国で良いじゃないですか。
アルティス・フェイト・ハルステインそれが今のアルティスの正式な名前でしょ?
アルティス帝王、カッコいいじゃないか」
「辞めてくれ。バート!やめて?お願いだから、ね?俺から家族団欒の時間を奪わないで?バートランドさん?」
「アルティス、お前、顔が怖い…… 権力には興味ないってか?世界中の人々の願いでもか?」
「アルティスよ、前にも言ったが、こう言う流れになるのは必然じゃよ。
この世界を1つに纏める……戦いで得るのではなく、人々を助ける事でこれを成す。
誰も考えすらせんかったろう。
一つになって悪魔と戦うにはそれが必要かもしれんぞ?
皆がそれを望んでおる事を忘れるでないぞ」
「リヴァルド父さん。今迄ちゃんと言ってなかったけど、
奴らは来るのは、もう間もなくだよ?後1年無い。
国を作ることに費やす時間は無いんだ。
大丈夫、それをしなくても、今皆んなは一つに纏まりつつあるから」
「1年無い……それは誠か?」
「魔神……奴がそう言ってた訳じゃ無いけど……多分ね?」
「どうしてそう思うのだ?それだと〝1200年厄災〝と被る……まさかそれが目的か?」
「〝1200年厄災〝……言い伝えでは無く、やはり来るんですかね?リヴァルド陛下」
「バートランド殿。我にも分からんよ?アルティスは何か聞いておらんか?」
〝1200年厄災〝それは1200年毎にやって来ると言い伝えられている厄災。
1200年に一度、一ヶ月にも渡って天変地異が続くと言われている。
「人族にも魔族にも言い伝えられているんだから、今迄は間違いなく有ったんじゃない?
そして、次も又来る……そう考えるのが、自然じゃないかな?」
「確かに、天変地異が続けば地上は混乱するだろうが、
悪魔にとって、そこを狙う意味が、それほど有るのか?」
「天変地異とは直接関係は無いかな。その原因がね……今言えるのはこれだけ、
まあどうなるか見てみようよ?準備だけは万全にしてだけどね」
「ええ、やっと完成した様ですね?」
「マイル、この剣、ちょっと振ってみてくんない?」
「あ……ああ……」
「どうした?」
「こ、この人、悪魔って言った?……」
「人の話はよく聞こうな?カーマイルクン。元悪魔、今はただの超イケメン!」
「イケメンは分かるんだけど……」
「俺の眷属にして、右腕のカインさんだ」
「あ……ああ、分かった。……うん……じゃ、振ってみる」
〝ビュンビュン、ザシュ!〝
「うん、問題ない。とても振りやすい、良い剣だ。
しかし〝やっと完成した〝って言ってたけど、他の剣と、どこが違うんだ」
「ほらこうやると……」
アルティスが剣に手をかざすと、精密でなんとも美しい紋様、光の付与魔法が浮かび上がる。
「この前、上級魔族と対峙したんだけどさ~」
「え?今さら魔族と対峙?魔族はもう、同じ地上の仲間なんじゃないのか?」
「違う違う、過去に行った時の話。5年程前の過去……そこでだよ」
「ああ、過去に行くって言ってたな……本当に行けたんだ?」
「そこに、ユッフィーを襲った上級魔族がいたんだけどさ……
何者かの命を受けてやってるんだろう……そう思っていたんだ。
でも、実際は悪魔に取り憑かれた魔族だったんだ。悪魔がユッフィーを襲ってたってわけ。
対峙したら直ぐ、悪魔が取り憑いているって分かったんだけどさ。
それでそいつの負のエネルギーを、俺の正のエネルギーで相殺したんだよ。
その時の爆発で奴も、取り憑いていた悪魔も吹き飛んだ……
そう思っていたんだけどさ……カインが言うには……」
「はい、悪魔は物理攻撃……つまりその爆発で死ぬ事はございません。
剣で切れたとしても、直ぐ再生しますでしょ?」
「て、事は、あの時、俺の放った正のエネルギーに、
何か悪魔を倒す効果が有ったんじゃないかと、
カインの協力で、正と負のエネルギーを研究してたって訳」
「それがこの剣の付与?じゃあこれは正のエネルギー、光魔法の付与って事か?」
「正解。これならば、悪魔でも切ることが出来るし、再生も防げる」
「正のエネルギーってのが、光魔法みたいなものってのは分かるけど、
その負のエネルギーってのは何んなんだ?」
「人間、魔族、その他色々なものから漏れ出た負の感情。
怒り、悲しみ、恨み、妬み…………
人が内に秘める、良くないものの総称でございます」
「人が内に秘める、その良くないものが、集まって力を持ち、悪魔が誕生したんだと」
「これが有れば、今迄、祈る事位しか出来なかった悪魔退治が、剣で戦う事が出来る様になると?」
「未だ、試みてるってところだけどな。他の武器でも試さなくてはならないし、
魔法騎士達も戦える様な、術式も作らないと……奴らと戦えないだろ?」
「貴方のフェイト商会、更に大きくなってるみたいだけど、
その利益を全部、対悪魔の軍隊に使ってるんだって?
物凄くお金が掛かってるんじゃない?大丈夫なの?フェイト商会は?
貴方の軍隊って、今どれ位の数になってるの?」
「十万を超えたところ。やっと数だけは悪魔に追いついたかな?」
「え?悪魔ってそんなに居るんだっけ?」
「最下位の悪魔、ガーゴイルってのが滅茶苦茶たくさん居るらしいんだ。
その最下位の悪魔、ガーゴイルですら、超強くって、
魔剣でなんとか切ることが出来たとしても直ぐ再生するわで、
今迄のやり方だと、俺たち軍隊では太刀打ち出来ないらしい」
「え?ちょっと待って?それじゃあどうやって戦うつもりなの?」
「対策は考えてるよ?悪魔にも有効な新しい武器の研究や、魔法式の研究。それは、ほぼ完成。
ただ、十万の軍隊を維持するには、凄くお金が掛かるんだ。
うちの商会でもいっぱいいっぱだね」
「各国はお金を出さないの?アル任せって、ちょっと無責任よね?」
「ああ、各国共、その辺は分かっては居るみたいだよ?でも今は迅速に事を進めなきゃじゃない。
だからうちの商会が、お金出してるんだよ」
「なあアルティス……それなんだけどよ。色んな国からこの際、お前の元に一つの国にしてはと、
そんな話が出てきてるみたいだぞ?俺の所にも話が来てるぞ?」
「俺は聞いた事ないけど?俺の元って俺が王になって、この世界を一つにまとめるってことか?
そんな面倒な事やだぞ」
「アルティスよ、実を言うと、わしの所にもその話は来ておるぞ?連合国だの、共和国だのと、言っておるよ」
「へ~そうなんですか?リヴァルド陛下、ハルステイン帝国で良いじゃないですか。
アルティス・フェイト・ハルステインそれが今のアルティスの正式な名前でしょ?
アルティス帝王、カッコいいじゃないか」
「辞めてくれ。バート!やめて?お願いだから、ね?俺から家族団欒の時間を奪わないで?バートランドさん?」
「アルティス、お前、顔が怖い…… 権力には興味ないってか?世界中の人々の願いでもか?」
「アルティスよ、前にも言ったが、こう言う流れになるのは必然じゃよ。
この世界を1つに纏める……戦いで得るのではなく、人々を助ける事でこれを成す。
誰も考えすらせんかったろう。
一つになって悪魔と戦うにはそれが必要かもしれんぞ?
皆がそれを望んでおる事を忘れるでないぞ」
「リヴァルド父さん。今迄ちゃんと言ってなかったけど、
奴らは来るのは、もう間もなくだよ?後1年無い。
国を作ることに費やす時間は無いんだ。
大丈夫、それをしなくても、今皆んなは一つに纏まりつつあるから」
「1年無い……それは誠か?」
「魔神……奴がそう言ってた訳じゃ無いけど……多分ね?」
「どうしてそう思うのだ?それだと〝1200年厄災〝と被る……まさかそれが目的か?」
「〝1200年厄災〝……言い伝えでは無く、やはり来るんですかね?リヴァルド陛下」
「バートランド殿。我にも分からんよ?アルティスは何か聞いておらんか?」
〝1200年厄災〝それは1200年毎にやって来ると言い伝えられている厄災。
1200年に一度、一ヶ月にも渡って天変地異が続くと言われている。
「人族にも魔族にも言い伝えられているんだから、今迄は間違いなく有ったんじゃない?
そして、次も又来る……そう考えるのが、自然じゃないかな?」
「確かに、天変地異が続けば地上は混乱するだろうが、
悪魔にとって、そこを狙う意味が、それほど有るのか?」
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