アイズwithスターダスト 〜神聖力(エーテル)に愛された神の継承者〜

優陽 yûhi

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第3章

83 それ、じいちゃんの遺伝でしょ?

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「でね。農民だったけど、その周りに、志の高い優秀な魔族が集まり出して、
 1000人程の規模になって、暴虐の限りを尽くしていた、
 アルティネの魔王軍との激しい戦いの末、
 たった1000人で、魔王軍に勝利したんだって。
 最後には、当時12国有った魔族領全てを手中に収め、君臨していた王なんだって。
 じいちゃん知ってる?」
「ああ、アシュリー・ランドルフの事じゃな。
 とてつもない武力と魔力を兼ね備えた奴じゃった」
「で、じいちゃん達は、そいつをどうしたの?」
「何もせんかった。
 世界に悪い影響を与えるのではと、気にはかけておったのじゃが。
 悪い奴らどころか、なかなかの人物じゃった。英雄と呼ばれておったぞ。
 それに、我らにしても、封印すら難しかったかもしれん。それ程の奴じゃった」
「それ程? で、そいつはどうなったの」
「どうもならん。人族より長生きだとはいえ、魔族とて精々120歳が良いところ。
 寿命で死んだよ。
 だが、転生は出来ないはずじゃがの?
 どこで、どう人が変わるやもしれん。それ程の武力と魔力を兼ね備えた者……少々危険な気がしてな。
 アルの様に、邪心のかけらも無い者は、そうはおらんのだ。
 まあ、スケベ心はある様じゃがな?ふふふ……」
「それ、じいちゃんの遺伝でしょ?」
「アホ……
 奴は、転生できん様にして、魂を隔離しておったはずじゃが?
 自らそばにいたいと願うもの1000人程と、魂の里で暮らしておるはずじゃが」
「そんな事出来るの?」
「何せこの世界を作ったのはわしじゃからの。
 死後のシステムを作ったのもわし」
「でも、生まれ変わって、街を作って暮らしてるって噂だよ?」
「次元の壁ももろくなっておる様じゃし、何か綻びがあったやもしれんの?」
「俺、会ってみたいな。行ってみようかな~」
「悪い奴ではないと思うが、くれぐれも気を付けるんじゃぞ。生半可な奴じゃ無いぞ?」
「平気でしょ?変な野心を持っていたら、とっくに行動を起こしてるはずでしょ?
 皆んなの話聞いてると、結構良い奴な気がする」
「アルティス。何ニヤニヤ嬉しそうなのだ?」
「え?そう?どんな顔?」
「そんな顔」
(そんなにすごいやつなのか~ オラ、ワクワクすっぞ)
 戦闘民族かよアルティス。


 大体の場所を聞いたアルティスは、小さな気配を辿って、
 深い深い森の中に大きな街並みを見つけた。
(お~有った~ここか~ 深い谷、切り立った山々……
 これは、そうそう人が入り込む様な場所じゃないよな?
 こんな場所に、こんなに大きな街?
 1000人どころじゃないな?ま、行ってみるか)

「おい人間。お前そこで何……って……お前この前の?」
「あ~教会に居た、おじさん!」
「ひで~な!俺はまだ20歳だぞ?おじさんはね~だろ」
「うそ、30歳ぐらいかと……俺と、1歳しか違わないの?」
「ちぇっ、ま~良く言われるけどよ?それにしてもこの前は……」
「「ありがとな(ね)」」
「ハハハハ、被ったな。あの物資、皆んな大喜びだったぞ!
 生活が苦しい奴らばかりだからな。本当に助かったよ。ところで?お前、何でこんな所に居るんだ?」
「うん。ここに伝説の魔王の、生まれ変わりが居るって聞いてさ。
 会ってみたくて来たんだ」
「そ~か……じゃ、もう帰んな」
「え~~?何で~~?」
「何でって、もう目的は果たしただろ」
「どゆ事…………あ~~もしや?あんたがその生まれ変わり~~?」
「察しが良くて助かるぜ」
「そっか~そっか~分かった!じゃ、またいつか」
「おいおい、冗談だよ。ちょっと寄ってけよ?飯でもどうだ?アルティス」
「え?何で俺の名を?」
「調べたさ。言ったろ?孤児院に厄介事持ち込めねえって。
 ベルゼ……いや、今はカインだっけ?奴にも聞いたぜ?
 あいつ、お前の眷属になったんだって?
 あの野郎、とんでもなく強くなってやがった。
 5000年前にも手こずったってのに、とんでもねえぜ」
「カインの事、知ってるの?」
「我が君を呼び捨てとは、お仕置きが必要な様ですね?」
「あっ、カイン、ロト、来たの?良いんだよ?呼び捨てで。
 そうじゃないと、何か話しづらいんだよ」
「アルティスって呼んで良いのか?」
「勿論!カインにもそう呼んでって言ってるんだけど……
 まあ、カインの場合、キャラに合ってるから、今のままでも良いかなって……
 カインには、いつもめちゃくちゃ助けて貰ってるんだよ?俺の両腕なんだ」
「両腕?……右腕じゃないのか?」
「両腕!そのぐらい助けて貰ってるの。こんな風に話されてるからあれだけど、
 カインは俺の兄貴みたいって思っちゃって、つい、色々頼っちゃうんだ」
「我が君……」
「アルティス様、私は?……」
「あっ、ごめん。じゃ、カインが右腕、ロトが左手の人差し指!」
「ゆ……指でございますか……」
「うそうそ、左腕!」
「……アルティス様……」
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