アイズwithスターダスト 〜神聖力(エーテル)に愛された神の継承者〜

優陽 yûhi

文字の大きさ
上 下
62 / 97
第2章

62 世界樹の実

しおりを挟む
「世界樹の森に行くんだって~?私もついていこうかな?」
「良いけどあんまり長くは滞在しないよ?」
「そうなの?何しに行くの?」
「世界樹の実をもらいにね」
「え、何その、凄く貴重そうな物?お、美味しいの?」
「俺だって食べた事ないぞ?まあ、美味しいかと聞かれれば……当然、美味しいんじゃないか?」
「私、食べてみたい」
「だ~め」
「何でよ?意地悪~ 貰ってくるんでしょ?」
「フィナがさっき言ってた様に、世界樹の実ってすんごく貴重なんだぞ?
 万病に効くって言われていて、12年に1回しか身をつけないんだってさ。
 今年がちょうど、その12年目。だけど今回は、世界樹が弱ってただろ?だから3個しか出来てないらしい。
 それを1個譲ってもらう約束を、エルフのミシェルさんとしたんだ」
「だったら愛するフィオナさんに少し食べさせてくれても良いじゃ無い?」
「行き先決まってるからダメだよ。俺が食べる訳じゃ無いんだから」
「誰にあげるの?」
「バートの奥さんのアイリスさんだよ」
「もしかして、ご病気なの?」


「バート。何浮かない顔してんの?」
「おおアルか……実はうちの嫁がさ~ 前から心臓が悪くてな?先週位から寝たきりなんだよ」
「俺が行って治そうか?」
「有難いけど無理なんだ。特異体質でな?ヒールとかの魔力が効かないんだよ?
 稀に人族にもいるらしけど、特に魔族にはそこそこ多いいらしい」
「じゃあ、早く帰れよ?こんな所で油売ってる場合じゃないだろ」
「何かさ。そばにいると辛くてさ……そんな顔をあいつに見せるわけにもいかず……な?」
「そうなんか……あ、あれ?特異体質とか?その話どこかで聞いたな?う~ん?どこだっけ」
「世界樹の実の事じゃないか?八方手を尽くしたが手に入らんのだよ」
「そうそれだ~」

「あれはな?12年に一回しか実をつけない貴重な物なんだよ。
 今年がその年だから、この12年は、どこにも存在していなかったのさ。
 だから探しても手に入らなかったんだ。
 で、今年はどうだ?世界樹が弱っていたから、ほぼ身をつける可能性はないそうだ」
「いや、驚いたことに3個実が付いてるって言ってたな?
 特異体質の人にって話もそこで聞いたんだよ。譲って貰えないか聞いてみるよ」
「ほ、本当か?いやしかしたったの3個か?もう行き先決まってるんじゃないか?」
「さあ?どうかな?流石に無理矢理って訳にはいかないからな?」

「ミシェルさん……そう言う訳で、もし大丈夫なら譲って貰えないかな?」
「おお神よ。構いませんよ?お譲りいたしましょう」
「俺、神じゃね~し。いやいや、それはどうでも良いんだけど……
 ま、マジ?そんな貴重な物、譲って貰って良いんですか?」
「神のお願いであれば……そもそも、貴方様が救って下さらなかったら、
 1つの実すら付けなかったのですから」
「誰かに迷惑掛けて無いですか?行き先決まってたのに……とか無いですか?」
「はい、そもそも誰も実を付けるとは思っていなかったんですよ?
 貴方様には救って頂いた……と言う話の流れで実を付けた事を、お話ししましたが、
 これ迄は、実が付いた事は、外に漏らしておりませんでしたから。
 ただでさえ世界樹の実は、争いの元になりますので」


「って訳。フィオナは我慢してね?」
「事情も知らないで無理言ってごめんなさい」
「い~の、い~の。貰いに行って、そのまま一緒にバートのとこ行こ?」
「うん。魔国って初めて! アル最近フィオナって呼ぶこと増えたわね?」
「ん?そうかな?」


「これが世界樹の実?とても綺麗な実ね~ ん~ん、フルーティーで良い香り~」
「お~い!フィオナ~戻って来~い。気を確かに~ 目がトロントロンだぞ~」
「そう言う貴方は、よだれダ~ラダラ~じゃない?」
「これは危険だ!次元に仕舞おう!」

「ちょっとお待ちいただいても?」
「え、どうしたんです?」
「そ、それが……それを譲って欲しいと言う方が……
 もう決まっておりますと申し上げたのですが……どうしても交渉だけでもさせて欲しいと」
「いや、もう先方には伝えてありますし、今更……交渉とか出来ないのですが?」
「ですよね?ですがそちらも神、龍神様でして……」
「龍神?どの?」
「赤龍の神です」
「赤龍のじいちゃん?」
「お知り合いですか?間も無く見えると思いますが」
「じいちゃんが何故?どうしたんだろう?」

「あっ、お見えの様ですよ」
「お~い!じいちゃ~ん!」
「アルティスではないか?何故ここに?」
「じいちゃん世界樹の実が欲しいんだって?」
「そうなんじゃよ。わしの連れが病での?
 3000年近くも長く生きておるから、寿命かと思ったんだが、心の臓の病だと言われてな?
 わしとてヒールぐらい使えるんじゃからと、やってみたんじゃが、効かんのじゃ。
 どうやら珍しい体質で、治す方法はただ一つ。世界樹の実を食す他ない様でな」
「そうだったのか。種族が違うと言うのに……
 よりによって俺の大事な友人2人の嫁が、同じ病の同じ体質とは……」
「何じゃと?世界樹の実の先約は、アルティスだっただと?誰が病にかかっておるのじゃ?」
「俺の家族同様の友人。カスタマイン魔国の魔王バートランドの奥さんなんだ」
「そうだったか?わしの連れはもう十分生きたと言えなくもない。
 バートランドとやらの嫁さんは、まだまだこれからの人生じゃろうて。
 すまんの無理を言った。その嫁さんに使ってやってくれ」
「悪いなじいちゃん。俺にはどちらも選べないよ?
 先に約束しているバートに……本当にごめん」
い、気にするでない。無理を言ったのはわしの方じゃ」
「なあ、じいちゃん。俺のヒールは神聖力を使う物なんだ。普通のヒールとは少し違う。
 もしかしてだけど、後で行くからヒール、試させてくれよ?」
「そうか?お願いしても良いか?」
「勿論喜んで。一両日には行くから待っててな」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

転生したら脳筋魔法使い男爵の子供だった。見渡す限り荒野の領地でスローライフを目指します。

克全
ファンタジー
「第3回次世代ファンタジーカップ」参加作。面白いと感じましたらお気に入り登録と感想をくださると作者の励みになります! 辺境も辺境、水一滴手に入れるのも大変なマクネイア男爵家生まれた待望の男子には、誰にも言えない秘密があった。それは前世の記憶がある事だった。姉四人に続いてようやく生まれた嫡男フェルディナンドは、この世界の常識だった『魔法の才能は遺伝しない』を覆す存在だった。だが、五〇年戦争で大活躍したマクネイア男爵インマヌエルは、敵対していた旧教徒から怨敵扱いされ、味方だった新教徒達からも畏れられ、炎竜が砂漠にしてしまったと言う伝説がある地に押し込められたいた。そんな父親達を救うべく、前世の知識と魔法を駆使するのだった。

異世界で快適な生活するのに自重なんかしてられないだろ?

お子様
ファンタジー
机の引き出しから過去未来ではなく異世界へ。 飛ばされた世界で日本のような快適な生活を過ごすにはどうしたらいい? 自重して目立たないようにする? 無理無理。快適な生活を送るにはお金が必要なんだよ! お金を稼ぎ目立っても、問題無く暮らす方法は? 主人公の考えた手段は、ドン引きされるような内容だった。 (実践出来るかどうかは別だけど)

巻き込まれ召喚されたおっさん、無能だと追放され冒険者として無双する

高鉢 健太
ファンタジー
とある県立高校の最寄り駅で勇者召喚に巻き込まれたおっさん。 手違い鑑定でスキルを間違われて無能と追放されたが冒険者ギルドで間違いに気付いて無双を始める。

能力値カンストで異世界転生したので…のんびり生きちゃダメですか?

火産霊神
ファンタジー
私の異世界転生、思ってたのとちょっと違う…? 24歳OLの立花由芽は、ある日異世界転生し「ユメ」という名前の16歳の魔女として生きることに。その世界は魔王の脅威に怯え…ているわけでもなく、レベルアップは…能力値がカンストしているのでする必要もなく、能力を持て余した彼女はスローライフをおくることに。そう決めた矢先から何やらイベントが発生し…!?

天才女薬学者 聖徳晴子の異世界転生

西洋司
ファンタジー
妙齢の薬学者 聖徳晴子(せいとく・はるこ)は、絶世の美貌の持ち主だ。 彼女は思考の並列化作業を得意とする、いわゆる天才。 精力的にフィールドワークをこなし、ついにエリクサーの開発間際というところで、放火で殺されてしまった。 晴子は、権力者達から、その地位を脅かす存在、「敵」と見做されてしまったのだ。 死後、晴子は天界で女神様からこう提案された。 「あなたは生前7人分の活躍をしましたので、異世界行きのチケットが7枚もあるんですよ。もしよろしければ、一度に使い切ってみては如何ですか?」 晴子はその提案を受け容れ、異世界へと旅立った。

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

勇者召喚に巻き込まれ、異世界転移・貰えたスキルも鑑定だけ・・・・だけど、何かあるはず!

よっしぃ
ファンタジー
9月11日、12日、ファンタジー部門2位達成中です! 僕はもうすぐ25歳になる常山 順平 24歳。 つねやま  じゅんぺいと読む。 何処にでもいる普通のサラリーマン。 仕事帰りの電車で、吊革に捕まりうつらうつらしていると・・・・ 突然気分が悪くなり、倒れそうになる。 周りを見ると、周りの人々もどんどん倒れている。明らかな異常事態。 何が起こったか分からないまま、気を失う。 気が付けば電車ではなく、どこかの建物。 周りにも人が倒れている。 僕と同じようなリーマンから、数人の女子高生や男子学生、仕事帰りの若い女性や、定年近いおっさんとか。 気が付けば誰かがしゃべってる。 どうやらよくある勇者召喚とやらが行われ、たまたま僕は異世界転移に巻き込まれたようだ。 そして・・・・帰るには、魔王を倒してもらう必要がある・・・・と。 想定外の人数がやって来たらしく、渡すギフト・・・・スキルらしいけど、それも数が限られていて、勇者として召喚した人以外、つまり巻き込まれて転移したその他大勢は、1人1つのギフト?スキルを。あとは支度金と装備一式を渡されるらしい。 どうしても無理な人は、戻ってきたら面倒を見ると。 一方的だが、日本に戻るには、勇者が魔王を倒すしかなく、それを待つのもよし、自ら勇者に協力するもよし・・・・ ですが、ここで問題が。 スキルやギフトにはそれぞれランク、格、強さがバラバラで・・・・ より良いスキルは早い者勝ち。 我も我もと群がる人々。 そんな中突き飛ばされて倒れる1人の女性が。 僕はその女性を助け・・・同じように突き飛ばされ、またもや気を失う。 気が付けば2人だけになっていて・・・・ スキルも2つしか残っていない。 一つは鑑定。 もう一つは家事全般。 両方とも微妙だ・・・・ 彼女の名は才村 友郁 さいむら ゆか。 23歳。 今年社会人になりたて。 取り残された2人が、すったもんだで生き残り、最終的には成り上がるお話。

神様に与えられたのは≪ゴミ≫スキル。家の恥だと勘当されたけど、ゴミなら何でも再生出来て自由に使えて……ゴミ扱いされてた古代兵器に懐かれました

向原 行人
ファンタジー
 僕、カーティスは由緒正しき賢者の家系に生まれたんだけど、十六歳のスキル授与の儀で授かったスキルは、まさかのゴミスキルだった。  実の父から家の恥だと言われて勘当され、行く当ても無く、着いた先はゴミだらけの古代遺跡。  そこで打ち捨てられていたゴミが話し掛けてきて、自分は古代兵器で、助けて欲しいと言ってきた。  なるほど。僕が得たのはゴミと意思疎通が出来るスキルなんだ……って、嬉しくないっ!  そんな事を思いながらも、話し込んでしまったし、連れて行ってあげる事に。  だけど、僕はただゴミに協力しているだけなのに、どこかの国の騎士に襲われたり、変な魔法使いに絡まれたり、僕を家から追い出した父や弟が現れたり。  どうして皆、ゴミが欲しいの!? ……って、あれ? いつの間にかゴミスキルが成長して、ゴミの修理が出来る様になっていた。  一先ず、いつも一緒に居るゴミを修理してあげたら、見知らぬ銀髪美少女が居て……って、どういう事!? え、こっちが本当の姿なの!? ……とりあえず服を着てっ!  僕を命の恩人だって言うのはさておき、ご奉仕するっていうのはどういう事……え!? ちょっと待って! それくらい自分で出来るからっ!  それから、銀髪美少女の元仲間だという古代兵器と呼ばれる美少女たちに狙われ、返り討ちにして、可哀想だから修理してあげたら……僕についてくるって!?  待って! 僕に奉仕する順番でケンカするとか、訳が分かんないよっ! ※第○話:主人公視点  挿話○:タイトルに書かれたキャラの視点  となります。

処理中です...