アイズwithスターダスト 〜神聖力(エーテル)に愛された神の継承者〜

優陽 yûhi

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第2章

61 剣心の加護

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 家族と言う存在が増えたアルティス。王家がかつて使っていたという王城に程近い屋敷をリヴァルドより下賜かしされていた。
 部屋は20室も有り、アルティスの放つ神聖力で新築同様になっている。

「助かるな~この屋敷。最近人が増えたから、どうしようかとハートさんと相談してたんだよな~」
「アルティス様。我が君、神よ!庭の掃除は終わりました~」
「あ……あのさ~ ま、取り敢えず有難う。我が君とか神とか止めてくんない?」
「何をおっしゃる?貴方様こそ神そのもの!以前の私が恥ずかしい」
「だからさ~タキ?恥ずかしいからアルって呼んでよ」
 各地を回ったタキは現実を知りアルティスを神の様に崇めるのだった。
 名を授けて欲しいと懇願され、眷属にする訳ではないからとなだめるのに苦労する程だった。
「恐れ多い……私が貴方様を呼び捨てなど……」
「お前も、もう俺の家族なんだから、変でしょそれ? じゃ、せめて慣れるまでアルティス君とか?」
「カイン殿も〝我が君〝と、そう呼んでいるではないですか」
「あいつはそれがキャラだから……もう慣れたし」
「それでは先ず〝アルティス様〝から」
「ま、良いか?」

「アル兄、焼けたよ~」
「お~~!」
「タキも一緒に食べようぜ!」

「アル~何処よ?」
「ん?フィナか? 中庭だぞ~!」
 鉄板焼きが、香ばしい香りを漂わせている。
 パンパンにほっぺを膨らませ、幸せそうに肉を頬張るアルティス。
 ピーマンだけが端に置かれてる。〝苦いからヤダ〝だそう。
 舌は未だお子様の様だ。家族に囲まれ本当に楽しそう。

「あ~~ユッフィーまたここに来てる。先生が探していたわよ?もう、アルにベッタリなんだから……」
「だって~アル兄に、ご飯誘われたんだもん」
「ガラスのドームで、安全に来れると言っても、勝手に行ったらダメよ?
 行く時は、ちゃんと誰かに言うのよ?」
「ハ~イ♡」

「何?フィナ?フィオナも一緒に食べる?」
「良い匂い!めっちゃ食べたいんだけどね?騎士団長さんが王城に貴方を尋ねていらしてるのよ。
 直ぐ戻って。ユッフィーもね」
「ん?騎士団長?マイルさんだっけ?」
「ううん。辺境の騎士団長のライル辺境伯よ」
「俺知らないな?何の用だろ?」
「貴方と手合わせしたいらしいわよ?」
「あいにくアル君は留守でして。お会い出来ず残念です」
「ダメよ?ライル辺境伯はもう良い歳なんだけど、未だ現役で、
 今まで王国の為に、命を捧げて守ってくれた人なのよ?
 若い時は一人で1000人の騎士団を、秒で壊滅させられると言われてたんだって。
 貴方の亡くなられたお父様も、きっとお世話になった事があるはずよ?」
「へ~ちょっと興味湧いてきた」


「お~貴方がアルティス・フェイト公爵殿か?叙勲式には出れず申し訳なかったですぞ。
 何ででしょう?あの頃やたら魔物の襲撃が多くて、手がはせませんでした」
「地脈がおかしくなっていた時期ですね。お疲れ様でした。お会い出来て光栄です」

「貴方は、お母様によく似ておられますな」
「母を?」
「ご両親共、懇意にさせて頂いておりましたぞ」
「そうでしたか。尚更お会い出来て嬉しいです」
「私も、もういい歳で、本当でしたら、とうの昔に騎士団を引退していなければならなかったのですが……
 後任が不安で、どうにも決心が出来ずにおったのです。
 ところが最近になって、アルティス殿のご活躍の話を聞き、騎士団の力も爆上がりしている事を知り、
 最後に一度、貴方と手合わせ頂き、尻を押して頂ければと、無理をお願いに上がりました」
「私で良ければ、喜んで……ん?…………あの、その前に、少しお時間を頂けますか?」
「もちろんですが……」
「失礼」
 フッと消えるアルティス。


「え~と……剣神の叔父さんは? あ、いたいた。叔父さ~ん!」
「おお、アル。久しいの?何か用か?」
「辺境の騎士団長のライル辺境伯って知ってる?」
「おお、ライルか?知っておるぞ」
「だよね。叔父さんの加護が見えたから」
「そうじゃよ。あやつは真面目で、男気があり才能もあったからな」
「そろそろ引退だって。最後に俺と手合わせしたいってやって来てるんだ。
 あの人にとって、神の加護が有るって言われても、半信半疑だったと思うよ?
 見えるものじゃないからさ。それでも生涯必死に努力を続けていたのはよく分かるんだ。
 最後にその努力は間違いじゃ無かったって、叔父さんの顔を見せてあげて欲しいんだけど?ダメ?」
「そうか?その努力に報いてやらねばいけないな……お前の頼みでも有るからな。良いぞ」
「有難う。叔父さん!後で呼ぶから」

「これアルティス。たまには顔を見せに来んかい?」
「あ、じいちゃん!はいこれ、バートの所で採れた果物で作った果実酒。
 それに俺の領で流行らせたスイーツ、ナンノコッタ!」
「パンナコッタじゃろ?何でワシの方が詳しいんじゃ?」
「ハハハ。ミリア姉にもあげてね。後が怖いから。バイバ~イ!」
「忙しいやっちゃの~ そろそろフィオナを一度連れてくるんじゃぞ~」
「オッケ~!」


「お待たせしました」
「何してたの?急に?」
「ライル辺境伯にプレゼント」
「何でしょう?」
「後でのお楽しみ♡じゃあ早速やりますか~」
「いつでも構いませんぞ」
「あ、その前に……エクストラヒール」
「おお~~身体が軽い」
「若くは出来ないけど、積年の傷みは治ったでしょ?」
「ありがたい。これで思いっきり……では、まいる~!」


「参りました!これ程とは……」
「もう良いの?避けて避けて、受けて受けた……まだそれしかしてないけど……」
「充分アルティス殿の実力は分かりましたぞ。もう思い残す事はありません。
 安心して貴方方、若い者に託せましょう」
「ライル辺境伯は、今まで見た中で1番の剣捌きでしたよ?これ迄の努力が十分伝わり勉強になりました」
「恐れ多い……」

「ではライル辺境伯……これ迄のご尽力に敬意を示して……俺からのプレゼントです。後ろをご覧下さい」
「ん?どなたです?」
「教会の神の像をご覧になった事はありませんか?」
「ま、まさか……このお方は……うっうっうっうっ……剣神様……」
「今迄良く頑張ったの……ライルよ……我の加護は役に立ったかな?」
「剣神様……あ、あ、有難うございます有難うございます……」
「加護を有用に使ってくれた事。我からも礼を言う」
「恐れ多い……」
「我は地上に長く居ることは許されておらない……短い時間で申し訳無いがこれにて失礼しよう。
 さらばライル……我が子よ」

「おおおおお……アルティス殿、貴方は何と言う……」
 ライルはアルティスの手を握り、涙が止まらなかった。
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