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第2章
60 え?サタン?誰?
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光り輝き、目にも見えない程のスピードで、アルティスに迫り切り掛かる人狼。
〝シュンシュンシュン!ザッツザッツザン!〝
切先がまるで見えない。かなりの腕だ。しかしアルティスには、傷一つ付けられていない。
「お、お前……切っても切っても、何故、血の一滴すら流れない。もしや切れてないのか?」
「そう、切ってないからだよ?高速で避けて元の位置に戻る……
ギリギリで交わしているから切った様に思うでしょ?」
「う、嘘だ!何のトリックだ!卑怯だぞ」
「トリック?お前まさか格闘技の世界チャンピオンか?天下一武道会出た事ある?」
「へ?天下一……」
「ハハハ……確かにお前強いけどさ~先ずは光るの止めなよ。そして戦う事に集中しな。
お前のは光ながら攻撃しているだけでしょ?どうやって光ってるの?」
「ただの光魔法に決まってるだろ?お前は違うと?」
「見たこと無くて聞いただけだと、そうなっちゃう?そもそも何で俺の真似してるんだよ?
空を飛んでる時の俺は、薄く貼った結界が空気と擦れて高温になって光るんだよ?
戦ってる時に光るのは、纏ったマナ量が多くて輝いてるの。
自分の意思で光ってるんじゃないから。
ただ光魔法で光っても意味ないじゃん。それするにも神経使うだろ?
昼間に光らせるには、結構な魔力量もいるし……
もっと戦う事に集中しろよ。
この前見た俺の真似した演劇団の人かと思ったよ?」
「こうすれば防御力が上がるんじゃないのか?勇者様一行の誰かが言ってた様な?」
「そいつが光りながら戦う様に言ったの?俺が暴れてる様に見せたかったんじゃないの?それ言った奴。騙されてないか?サタン」
「そんな訳あるか!クッソ~ え?サタン?誰?」
「さあ?知らね……ちょっと見てろよ?」
アルティスは、ふわりと空に浮かび上がり、見る見る加速していく。
“ドンッ、ドンッ、ドドドンッ!“ 加速する度、空気とぶつかり、その衝撃によりアルティスの飛んだ跡には、丸い波紋が幾重にも連なる。
アルティスの身体に青白い炎が纏う。更にスピードが増し、その炎が白銀の輝く光になる。
「どうだ?分かったか?」
「いや……早すぎて何も見えなかった……」
「……え?」
「もう良い、こうなったら奥の手だ!見てろよ。俺は獣化できるんだ……
獣化した俺は、未だ誰にも負けた事がない。
ちょっと制御出来なくなるから、手加減できんぞ?覚悟しろ!
獣の様に走り獣の様に襲う。そうなったらもう、お前に勝ち目は無い」
「獣化か?面白い……良いよ?待っててやるからやってみ?サタン」
(無理ですね) (無理でしょう) (無理だな)
だってアルティス、あいつは獣の前にバが付く〝化け物〝なのだから。
皆んなが、そう思い、ため息をついたその一瞬で決着がついた。
一回転しながら、手のひらで軽くみぞうちに当てた打撃。
だがそれには気が込められている。
その1発で、足が震えて立てなくなる人狼の少年。
「つ、つえ~!何だ?お前?そ、その強さは……獣化してもまるで歯が立たない」
「俺はな、生まれた時に神聖力が宿り、訳あって5歳の時から10年、神界で暮らしたんだ。創造神から孫の様に、他の神々から子同然に育ててもらった。ただそれだけ。
別に神を名乗る訳じゃないぞ?」
「ただ神聖力を貰っただけで何の努力もせず強くなったのか?
俺がこれまでどれ程の努力を重ねたと思ってるんだ?
お前なんて、ただのラッキー小僧?ずるみたいなもんだろ」
「何言ってんのお前?アルが闘神、剣神、魔法神達から、どれだけキツい修行をつけられたと思ってんの?
それも5歳の幼き頃からだぞ?ただ育てて貰っただけのはずないだろ?」
不快感を露わにバートランドが言う。
「ん?キツくなかったぞ?楽しかったな……叔父さん達との修行は」
「あの修行を楽しいと言えるのはお前だけだよ?神界での話を、お前から聞いた時は背筋が凍って、冷や汗が止まらなかったぞ」
「そうかな? ああそれと、老人に一つだけ言っておく。お前達獣人と、人族も、魔族も、そして悪魔……
カイン……こいつはもう悪魔とは違うがな?姿かたちは違えども、皆んなそれほど変わらない。
こいつら皆んな俺の家族なんだ。お前少し井の中の蛙だぞ。
村に帰る前に色々、世界を回ってみると良い。それが分かったらまた俺の所に来いよ。
お前単純だけど悪い奴じゃない。正義感が有り、力も有る。その時はお前も俺の家族になれ」
「………………狼人じゃね~し……人狼だつ~の…………」
「ハートさん、こいつに少し路銀あげてくれる?しばらく旅が出来る位で良いから。
じゃあな! あっそうだ、聞いてなかったな?
……君の名は?」
「……タキ……」
村の名はイトモリ?空に彗星が流れている。落ちないよな?彗星……
〝シュンシュンシュン!ザッツザッツザン!〝
切先がまるで見えない。かなりの腕だ。しかしアルティスには、傷一つ付けられていない。
「お、お前……切っても切っても、何故、血の一滴すら流れない。もしや切れてないのか?」
「そう、切ってないからだよ?高速で避けて元の位置に戻る……
ギリギリで交わしているから切った様に思うでしょ?」
「う、嘘だ!何のトリックだ!卑怯だぞ」
「トリック?お前まさか格闘技の世界チャンピオンか?天下一武道会出た事ある?」
「へ?天下一……」
「ハハハ……確かにお前強いけどさ~先ずは光るの止めなよ。そして戦う事に集中しな。
お前のは光ながら攻撃しているだけでしょ?どうやって光ってるの?」
「ただの光魔法に決まってるだろ?お前は違うと?」
「見たこと無くて聞いただけだと、そうなっちゃう?そもそも何で俺の真似してるんだよ?
空を飛んでる時の俺は、薄く貼った結界が空気と擦れて高温になって光るんだよ?
戦ってる時に光るのは、纏ったマナ量が多くて輝いてるの。
自分の意思で光ってるんじゃないから。
ただ光魔法で光っても意味ないじゃん。それするにも神経使うだろ?
昼間に光らせるには、結構な魔力量もいるし……
もっと戦う事に集中しろよ。
この前見た俺の真似した演劇団の人かと思ったよ?」
「こうすれば防御力が上がるんじゃないのか?勇者様一行の誰かが言ってた様な?」
「そいつが光りながら戦う様に言ったの?俺が暴れてる様に見せたかったんじゃないの?それ言った奴。騙されてないか?サタン」
「そんな訳あるか!クッソ~ え?サタン?誰?」
「さあ?知らね……ちょっと見てろよ?」
アルティスは、ふわりと空に浮かび上がり、見る見る加速していく。
“ドンッ、ドンッ、ドドドンッ!“ 加速する度、空気とぶつかり、その衝撃によりアルティスの飛んだ跡には、丸い波紋が幾重にも連なる。
アルティスの身体に青白い炎が纏う。更にスピードが増し、その炎が白銀の輝く光になる。
「どうだ?分かったか?」
「いや……早すぎて何も見えなかった……」
「……え?」
「もう良い、こうなったら奥の手だ!見てろよ。俺は獣化できるんだ……
獣化した俺は、未だ誰にも負けた事がない。
ちょっと制御出来なくなるから、手加減できんぞ?覚悟しろ!
獣の様に走り獣の様に襲う。そうなったらもう、お前に勝ち目は無い」
「獣化か?面白い……良いよ?待っててやるからやってみ?サタン」
(無理ですね) (無理でしょう) (無理だな)
だってアルティス、あいつは獣の前にバが付く〝化け物〝なのだから。
皆んなが、そう思い、ため息をついたその一瞬で決着がついた。
一回転しながら、手のひらで軽くみぞうちに当てた打撃。
だがそれには気が込められている。
その1発で、足が震えて立てなくなる人狼の少年。
「つ、つえ~!何だ?お前?そ、その強さは……獣化してもまるで歯が立たない」
「俺はな、生まれた時に神聖力が宿り、訳あって5歳の時から10年、神界で暮らしたんだ。創造神から孫の様に、他の神々から子同然に育ててもらった。ただそれだけ。
別に神を名乗る訳じゃないぞ?」
「ただ神聖力を貰っただけで何の努力もせず強くなったのか?
俺がこれまでどれ程の努力を重ねたと思ってるんだ?
お前なんて、ただのラッキー小僧?ずるみたいなもんだろ」
「何言ってんのお前?アルが闘神、剣神、魔法神達から、どれだけキツい修行をつけられたと思ってんの?
それも5歳の幼き頃からだぞ?ただ育てて貰っただけのはずないだろ?」
不快感を露わにバートランドが言う。
「ん?キツくなかったぞ?楽しかったな……叔父さん達との修行は」
「あの修行を楽しいと言えるのはお前だけだよ?神界での話を、お前から聞いた時は背筋が凍って、冷や汗が止まらなかったぞ」
「そうかな? ああそれと、老人に一つだけ言っておく。お前達獣人と、人族も、魔族も、そして悪魔……
カイン……こいつはもう悪魔とは違うがな?姿かたちは違えども、皆んなそれほど変わらない。
こいつら皆んな俺の家族なんだ。お前少し井の中の蛙だぞ。
村に帰る前に色々、世界を回ってみると良い。それが分かったらまた俺の所に来いよ。
お前単純だけど悪い奴じゃない。正義感が有り、力も有る。その時はお前も俺の家族になれ」
「………………狼人じゃね~し……人狼だつ~の…………」
「ハートさん、こいつに少し路銀あげてくれる?しばらく旅が出来る位で良いから。
じゃあな! あっそうだ、聞いてなかったな?
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