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第1章
37 ね〜なになに?見せて〜
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「数々の功績を讃え、アルティス・フェイトに、公爵位を授ける事とする」
「謹んでお受け致します。身を粉にして、この国に尽くす事を誓います」
玉座の間には、数十人もの貴族が並んでいた。
割れんばかりの拍手に包まれるアルティス。
神々しいまでのアルティスの姿に、素のアルティスを知らない貴族の面々は、眼を潤わせ息を呑んだ。
叙勲式の夜、盛大に舞踏会が開かれた。
神の子だの英雄だのの噂が広まった今、この強大な力を持つアルティスを、
どこの国も喉から手が出る程欲しがる。
今の内に、英雄アルティスは、ハルステイン王国のもので、
フィオナ王女との関係も公に知らしめる……
その為の、王国始まって以来1番盛大と言える舞踏会を、各国の元首を招待し開いたのだ。
「あいつさ~10年も行方知らずだったんだろ?まともな教育受けてないのに、舞踏会って、まともに踊れんの?」
突然現れた英雄に、嫉妬する若者は少なく無かった。
華やかに始まる舞踏会の中、フィオナは彼らに囲まれていた。
ダンスの誘いを受け、困っているフィオナ。
「いえ……ちょっと今晩は……」
「そうでしたね。今晩は先ず、婚約が決まりそうだと噂の、
アルティス様との踊りを、ご披露頂くのが先ですかね~?」
下心の有りそうな、にやけた顔が気持ち悪い。
(失念していたな~ アルがダンス出来る訳ないよね……それを分かっていてこの男達は……)
「アルっ!アルってば~ ご馳走ばかりガン見してないで……」
涎を垂らさんばかりに、豪華なご馳走を楽しんでいる周りの人々を、見つめるアルティス。
「だって、食べちゃダメってハートさんが……」
「私たちの分は、後でたくさん用意されてるから……」
耳元でボソボソと、何かを告げるフィオナ。
「ん?踊れるけど?」
「まじ?」
「まじ!何時かきっと必要になるはずだからって、姉さん女神から特訓受けてる。
教養も色々、人族が知らないような事まで完璧ニャン」
「だけど貴方、政治とか全然分からないとか言ってたでしょ?」
「そう言っとかないと面倒だったから~ テヘペロッ」
「ユフィは知ってましたよ?姉さま?」
まじらしい……
「それでは1曲。お相手頂けますか?我が婚約者殿」
そう言って、フィオナの手を取り歩き出す。
紳士然とした完璧な立ち振る舞い。
見目も良いこの2人に、観衆の注目が集まった。
曲が始まる。アルティスの体は流れる様に自然に動く。
髪の動きや、衣装のたなびく動きまでもが美しく、
観衆の目が釘付けになる。あちこちから感嘆の溜息と声が漏れてくる。
フィオナはアルティスとのダンスが、只々気持ち良く楽しかった。
割れんばかりの拍手と喝采の中、演奏が終わった。
「チッ、あいつ踊れんのかよ」
「何言ってんだよ?あれは踊れるとか言うレベルじゃないだろ。
誰だよ、踊れる訳ないって言ってたの?」
馬鹿にしてやろうと言う目論見が外れ、悔しそうに顔を歪める若者数名。
性懲りも無く、又近づいてきた。
「ダンスお見事でした。アルティス公爵。是非この辺で、一言ご挨拶でも頂けないかと……」
(誰だコイツ?フィオナが、さっき言ってた奴か?
ダンスでダメなら挨拶で恥をかかせようって?)
「フィオナ姫、この方々は?って、
あっ、思い出した!あんた10年前のお披露目会で、小便漏らしてた奴じゃん?」
5歳のアルティスの殺気に当てられ、漏らしたバンジャラス伯爵の嫡男コーリンだった。
「き、貴様っ!」
「そういえば貴方10年前、とんでも無いことをしでかした上に、
アルティス・フェイト公爵に大恥をかかされた、バンジャラス伯爵家の嫡男コーリン様でしたね。
私あの時私、テラスの上から全部見てましたのよ?それにしても貴方今、貴様とか仰って?
貴方は爵位も未だ持たぬ、唯の伯爵家嫡男。アルティス・フェイト公爵への不敬なのではありませんか?」
コーリンは何も答えず、顔を真っ赤にしてスゴスゴ消えていった。
一方アルティスは、壇上で挨拶をしなければならなくなった様だ。
「本日は、お忙しい中ご主席頂き誠に有難うございます。この度公爵を賜りましたアルティス・フェイトと申します。」
文句のつけようの無い、理路整然、完璧にて簡潔な挨拶……が続く。
誰だこのクールなイケメンは?
舞踏会は、アルティスとフィオナの婚約の発表で、大喝采の中、終演を迎えた。
「疲れたわね?」
「こう言うの慣れて無いからね……」
着替えを終え、記念すべきこの日の為に、
王城の最上階のバルコニーに用意されたディナー。
今は、フィオナの肩をそっと抱き、宝石を鏤めた様な満天の星空を見上げるアルティス。
「貴方が戻って来てくれて、本当に良かった……」
「随分心配させてしまったみたいでごめんね……それにしても今夜のフィオナは少し大人っぽいな」
珍しく胸元の開いた、真っ赤なドレスで身を飾ったフィオナ。
「今夜の為に、少し背伸びして用意したのよ?どう?」
「何時もの可愛いフィナも好きだけど、今夜のフィオナも良いね。
俺思うんだよ?幸せ者だなって。神界では家族になってくれた神々が居て。
地上に戻ったら、王家に父と母が出来。ハートさんという祖父まで出来た気分。
それで妹まで戻り、フィナが何時も側に居てくれる。
これが何時迄も続くと良いな」
そう言いフィオナをそっと抱き寄せる。
「私も、とっても幸せよ。アル大好き」
アルティスの胸に顔を埋めフィオナが呟いた。
自然に顔と顔が近づき唇が重なる。優しくゆっくりと時が流れた。
「アルの奴、あんなに尻尾を振りおって~」
「貴方、アル君には、尻尾は有りませんよ?」
「ね~なになに?見せて~」
「ユッフィーにはまだ早いです」
「え~~~~ずる~い!」
「フィオナ!やったね!」
「これこれ、のぞきはダメじゃぞ!ソフィア」
「自分だってじゃない!お父様」
「え~の~~若いものは」
「何、のぞいているのです?創造神様」
「いや、お前もじゃろ?」
アルティスとフィオナの、この姿は、皆んなの心を幸せにした様だ。
アルティスは、沢山の気配を、この夜だけは感じる事が出来なかったらしい……
(それどころじゃね~し!)
「謹んでお受け致します。身を粉にして、この国に尽くす事を誓います」
玉座の間には、数十人もの貴族が並んでいた。
割れんばかりの拍手に包まれるアルティス。
神々しいまでのアルティスの姿に、素のアルティスを知らない貴族の面々は、眼を潤わせ息を呑んだ。
叙勲式の夜、盛大に舞踏会が開かれた。
神の子だの英雄だのの噂が広まった今、この強大な力を持つアルティスを、
どこの国も喉から手が出る程欲しがる。
今の内に、英雄アルティスは、ハルステイン王国のもので、
フィオナ王女との関係も公に知らしめる……
その為の、王国始まって以来1番盛大と言える舞踏会を、各国の元首を招待し開いたのだ。
「あいつさ~10年も行方知らずだったんだろ?まともな教育受けてないのに、舞踏会って、まともに踊れんの?」
突然現れた英雄に、嫉妬する若者は少なく無かった。
華やかに始まる舞踏会の中、フィオナは彼らに囲まれていた。
ダンスの誘いを受け、困っているフィオナ。
「いえ……ちょっと今晩は……」
「そうでしたね。今晩は先ず、婚約が決まりそうだと噂の、
アルティス様との踊りを、ご披露頂くのが先ですかね~?」
下心の有りそうな、にやけた顔が気持ち悪い。
(失念していたな~ アルがダンス出来る訳ないよね……それを分かっていてこの男達は……)
「アルっ!アルってば~ ご馳走ばかりガン見してないで……」
涎を垂らさんばかりに、豪華なご馳走を楽しんでいる周りの人々を、見つめるアルティス。
「だって、食べちゃダメってハートさんが……」
「私たちの分は、後でたくさん用意されてるから……」
耳元でボソボソと、何かを告げるフィオナ。
「ん?踊れるけど?」
「まじ?」
「まじ!何時かきっと必要になるはずだからって、姉さん女神から特訓受けてる。
教養も色々、人族が知らないような事まで完璧ニャン」
「だけど貴方、政治とか全然分からないとか言ってたでしょ?」
「そう言っとかないと面倒だったから~ テヘペロッ」
「ユフィは知ってましたよ?姉さま?」
まじらしい……
「それでは1曲。お相手頂けますか?我が婚約者殿」
そう言って、フィオナの手を取り歩き出す。
紳士然とした完璧な立ち振る舞い。
見目も良いこの2人に、観衆の注目が集まった。
曲が始まる。アルティスの体は流れる様に自然に動く。
髪の動きや、衣装のたなびく動きまでもが美しく、
観衆の目が釘付けになる。あちこちから感嘆の溜息と声が漏れてくる。
フィオナはアルティスとのダンスが、只々気持ち良く楽しかった。
割れんばかりの拍手と喝采の中、演奏が終わった。
「チッ、あいつ踊れんのかよ」
「何言ってんだよ?あれは踊れるとか言うレベルじゃないだろ。
誰だよ、踊れる訳ないって言ってたの?」
馬鹿にしてやろうと言う目論見が外れ、悔しそうに顔を歪める若者数名。
性懲りも無く、又近づいてきた。
「ダンスお見事でした。アルティス公爵。是非この辺で、一言ご挨拶でも頂けないかと……」
(誰だコイツ?フィオナが、さっき言ってた奴か?
ダンスでダメなら挨拶で恥をかかせようって?)
「フィオナ姫、この方々は?って、
あっ、思い出した!あんた10年前のお披露目会で、小便漏らしてた奴じゃん?」
5歳のアルティスの殺気に当てられ、漏らしたバンジャラス伯爵の嫡男コーリンだった。
「き、貴様っ!」
「そういえば貴方10年前、とんでも無いことをしでかした上に、
アルティス・フェイト公爵に大恥をかかされた、バンジャラス伯爵家の嫡男コーリン様でしたね。
私あの時私、テラスの上から全部見てましたのよ?それにしても貴方今、貴様とか仰って?
貴方は爵位も未だ持たぬ、唯の伯爵家嫡男。アルティス・フェイト公爵への不敬なのではありませんか?」
コーリンは何も答えず、顔を真っ赤にしてスゴスゴ消えていった。
一方アルティスは、壇上で挨拶をしなければならなくなった様だ。
「本日は、お忙しい中ご主席頂き誠に有難うございます。この度公爵を賜りましたアルティス・フェイトと申します。」
文句のつけようの無い、理路整然、完璧にて簡潔な挨拶……が続く。
誰だこのクールなイケメンは?
舞踏会は、アルティスとフィオナの婚約の発表で、大喝采の中、終演を迎えた。
「疲れたわね?」
「こう言うの慣れて無いからね……」
着替えを終え、記念すべきこの日の為に、
王城の最上階のバルコニーに用意されたディナー。
今は、フィオナの肩をそっと抱き、宝石を鏤めた様な満天の星空を見上げるアルティス。
「貴方が戻って来てくれて、本当に良かった……」
「随分心配させてしまったみたいでごめんね……それにしても今夜のフィオナは少し大人っぽいな」
珍しく胸元の開いた、真っ赤なドレスで身を飾ったフィオナ。
「今夜の為に、少し背伸びして用意したのよ?どう?」
「何時もの可愛いフィナも好きだけど、今夜のフィオナも良いね。
俺思うんだよ?幸せ者だなって。神界では家族になってくれた神々が居て。
地上に戻ったら、王家に父と母が出来。ハートさんという祖父まで出来た気分。
それで妹まで戻り、フィナが何時も側に居てくれる。
これが何時迄も続くと良いな」
そう言いフィオナをそっと抱き寄せる。
「私も、とっても幸せよ。アル大好き」
アルティスの胸に顔を埋めフィオナが呟いた。
自然に顔と顔が近づき唇が重なる。優しくゆっくりと時が流れた。
「アルの奴、あんなに尻尾を振りおって~」
「貴方、アル君には、尻尾は有りませんよ?」
「ね~なになに?見せて~」
「ユッフィーにはまだ早いです」
「え~~~~ずる~い!」
「フィオナ!やったね!」
「これこれ、のぞきはダメじゃぞ!ソフィア」
「自分だってじゃない!お父様」
「え~の~~若いものは」
「何、のぞいているのです?創造神様」
「いや、お前もじゃろ?」
アルティスとフィオナの、この姿は、皆んなの心を幸せにした様だ。
アルティスは、沢山の気配を、この夜だけは感じる事が出来なかったらしい……
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