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第1章
35 アルティスが世に認められた瞬間
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叙勲式を控えた、ある日の夜。
公爵に陞爵すると、アルティスとフィオナの婚約が、正式に結び直される事になる。
その叙勲式が執り行われる、その日の夜、各国からも来賓を迎え、盛大に舞踏会を開く事が決まった。
その際に婚約を発表する運びとなっている。
だが結婚……いや婚約前には、フィオナに言っておかなければならない大事な事があった。
これ迄、避けてきた話をフィオナとしなければならない。
アルティスは、城のバルコニーで、王都の夜景を憂鬱そうに眺めていた。
「お待たせ~ごめんなさい。ちょっと遅くなっちゃたね」
フィオナがやって来た。風呂上がりなのか、いい匂いが優しく鼻をくすぐる。
「何なの話って?」
「フィナ、君が大好き……一生そばに居て欲しい」
「えっ? は……はい……私も……貴方の……隣に……ずっといたい……です……」
(今までも、お嫁に~~とかって、ずっと言われてたけど……
こんな風に真剣に言われるのは初めて……これ正式なプロポーズなの?)
突然の予期していなかったアルティスの言葉に、ほんのり顔を赤らめるフィオナ。
「だけど、その‘’一生‘’ってのが問題……」
「…………?」
生まれてから暫く、アルティスには、魔力が無いと思われていた。
ハルステインでは、子供が産まれると早々に、神から授けられる加護と、
その子の魔力特性の判定を、教会の司教から受ける事が、世の慣例となっていた。
そして、それぞれの適正に合った教育がされるのだった。
魔力測定器である水晶に、触れさせられたアルティスには、水晶が光らなかった。
光の強さや色で、魔力量や魔力の属性を見極める。
ほぼ全ての人間に、大なり小なり魔力は有った。光らないはずはないのだ。
しかしアルティスのその身に秘めた力は、
神聖力……即ち一粒一粒、意思を持ったエーテルの力である。
そもそも魔力……マナはエーテルが作り出すもの。
それを体内に取り込み、貯めたものが、その者の持つ魔力だ。
エーテルが、常に大量のマナを作り出しているアルティスは、
幼少時の魔王バートランド同様、作り出すマナと集めて溜め込むマナが混乱し、
それを、産まれたばかりのアルティスは、本能のなすまま、押さえ込んでいた。
その為、アルティスには水晶が反応しなかったのだ。
両親は、魔力の無いアルティスの将来を思うと、心配でならなかった。
しかし、産まれて数ヶ月もすると、エーテルと心を通わせていたアルティスは、
エーテルの真似をする事で、既に魔法を使う事が出来ていた。
その魔力量も無尽蔵だ。
両親は、心配している事を、アルティスに悟られない様、気遣ったが、
アルティスは、幼いながら、その不安な感情をを感じとるのだった。
3歳になったある日、自ら望み、再度水晶に触れてた。
今度は水晶が、眩しい程に光り輝く。
アルティスが、エーテルから生み出されるマナを、水晶に注ぎ込んだからだ。
水晶は虹色に光り、やがて渦を成して7色が混ざり、
目を開けていられない程の銀色に輝きだす。
〝ガシャ~ン!〝という音と共に、水晶は跡形もなく砕けて消えてしまった。
強力な魔力の持ち主、アルティスが世に認められた瞬間だ。
虹色に輝くと言う事は、過去に例が無かった。
それはたぶん、全ての属性を持っていると言う事に他ならない。
そしてあの激しい輝きと、水晶を破壊してしまう程の、計り知れない魔力量。
そもそも、この水晶が壊れる筈はなかった。
大昔の大賢者が造ったと言われ、数千年の昔から存在し、何をしても傷一つ付かなかった水晶だ。
「あっ、壊しちゃった……」
そう言うと、アルティスは、水晶に触れていた手に、更なる魔力を込めた。
光出した両手の中から、破壊されたはずの水晶がゆらゆらと、幻の様に現れる。
アルティスがあの水晶を、復元させたのだ。
この事が更に、教会の人々を驚かせる事になる。
神の子か?はたまた神が使わせた神童か?周りの神官達が、驚きで言葉を失っていた。
このアルティスの神聖力の波動は、神界にまで届いていた。
「創造神様これは……?」
「うん……ペンダントでは収まりきれなくなっとるの~これは……
あの子の中で、エーテルが増え続けておる」
遥かなる昔、創造神は、自分の持つ神聖力の半分を使い12柱の神を誕生させた。
愛の女神 生命神 魔法神 大地神 武神 剣神 技能神 商業神 学問の神 豊穣の女神 芸術の神 娯楽の神
其々に専門を任せ数万年。
そろそろ頃合い。地上の事は地上に任せ、干渉するのを止める時期が来たと考えた。
数万年の間に増え、かなり戻った創造神の神聖力だったが、
その半分以上の神聖力であるエーテルを宇宙に放出したのだ。
これにより元々漂っていたエーテルの量が、2倍に膨れ上がった。
その力が植物、動物、海や大地……それらに宿り、
神の加護無くして、自力で繁栄して欲しいとの願いからだった。
しかしその輝く力、エーテルの大半はいつまでも、ただ世界を漂い続け、どこにも宿ることは無かった。
「創造神様、どう言う事でしょう?」
「ありとあり得る所に宿ってくれるものと思っておったが、少しばかり誤算じゃったな。
あの1粒1粒には魂と言うか、意思があるのじゃよ。
こうなったら、わしにもただ見ている事しか出来ないのじゃ……」
公爵に陞爵すると、アルティスとフィオナの婚約が、正式に結び直される事になる。
その叙勲式が執り行われる、その日の夜、各国からも来賓を迎え、盛大に舞踏会を開く事が決まった。
その際に婚約を発表する運びとなっている。
だが結婚……いや婚約前には、フィオナに言っておかなければならない大事な事があった。
これ迄、避けてきた話をフィオナとしなければならない。
アルティスは、城のバルコニーで、王都の夜景を憂鬱そうに眺めていた。
「お待たせ~ごめんなさい。ちょっと遅くなっちゃたね」
フィオナがやって来た。風呂上がりなのか、いい匂いが優しく鼻をくすぐる。
「何なの話って?」
「フィナ、君が大好き……一生そばに居て欲しい」
「えっ? は……はい……私も……貴方の……隣に……ずっといたい……です……」
(今までも、お嫁に~~とかって、ずっと言われてたけど……
こんな風に真剣に言われるのは初めて……これ正式なプロポーズなの?)
突然の予期していなかったアルティスの言葉に、ほんのり顔を赤らめるフィオナ。
「だけど、その‘’一生‘’ってのが問題……」
「…………?」
生まれてから暫く、アルティスには、魔力が無いと思われていた。
ハルステインでは、子供が産まれると早々に、神から授けられる加護と、
その子の魔力特性の判定を、教会の司教から受ける事が、世の慣例となっていた。
そして、それぞれの適正に合った教育がされるのだった。
魔力測定器である水晶に、触れさせられたアルティスには、水晶が光らなかった。
光の強さや色で、魔力量や魔力の属性を見極める。
ほぼ全ての人間に、大なり小なり魔力は有った。光らないはずはないのだ。
しかしアルティスのその身に秘めた力は、
神聖力……即ち一粒一粒、意思を持ったエーテルの力である。
そもそも魔力……マナはエーテルが作り出すもの。
それを体内に取り込み、貯めたものが、その者の持つ魔力だ。
エーテルが、常に大量のマナを作り出しているアルティスは、
幼少時の魔王バートランド同様、作り出すマナと集めて溜め込むマナが混乱し、
それを、産まれたばかりのアルティスは、本能のなすまま、押さえ込んでいた。
その為、アルティスには水晶が反応しなかったのだ。
両親は、魔力の無いアルティスの将来を思うと、心配でならなかった。
しかし、産まれて数ヶ月もすると、エーテルと心を通わせていたアルティスは、
エーテルの真似をする事で、既に魔法を使う事が出来ていた。
その魔力量も無尽蔵だ。
両親は、心配している事を、アルティスに悟られない様、気遣ったが、
アルティスは、幼いながら、その不安な感情をを感じとるのだった。
3歳になったある日、自ら望み、再度水晶に触れてた。
今度は水晶が、眩しい程に光り輝く。
アルティスが、エーテルから生み出されるマナを、水晶に注ぎ込んだからだ。
水晶は虹色に光り、やがて渦を成して7色が混ざり、
目を開けていられない程の銀色に輝きだす。
〝ガシャ~ン!〝という音と共に、水晶は跡形もなく砕けて消えてしまった。
強力な魔力の持ち主、アルティスが世に認められた瞬間だ。
虹色に輝くと言う事は、過去に例が無かった。
それはたぶん、全ての属性を持っていると言う事に他ならない。
そしてあの激しい輝きと、水晶を破壊してしまう程の、計り知れない魔力量。
そもそも、この水晶が壊れる筈はなかった。
大昔の大賢者が造ったと言われ、数千年の昔から存在し、何をしても傷一つ付かなかった水晶だ。
「あっ、壊しちゃった……」
そう言うと、アルティスは、水晶に触れていた手に、更なる魔力を込めた。
光出した両手の中から、破壊されたはずの水晶がゆらゆらと、幻の様に現れる。
アルティスがあの水晶を、復元させたのだ。
この事が更に、教会の人々を驚かせる事になる。
神の子か?はたまた神が使わせた神童か?周りの神官達が、驚きで言葉を失っていた。
このアルティスの神聖力の波動は、神界にまで届いていた。
「創造神様これは……?」
「うん……ペンダントでは収まりきれなくなっとるの~これは……
あの子の中で、エーテルが増え続けておる」
遥かなる昔、創造神は、自分の持つ神聖力の半分を使い12柱の神を誕生させた。
愛の女神 生命神 魔法神 大地神 武神 剣神 技能神 商業神 学問の神 豊穣の女神 芸術の神 娯楽の神
其々に専門を任せ数万年。
そろそろ頃合い。地上の事は地上に任せ、干渉するのを止める時期が来たと考えた。
数万年の間に増え、かなり戻った創造神の神聖力だったが、
その半分以上の神聖力であるエーテルを宇宙に放出したのだ。
これにより元々漂っていたエーテルの量が、2倍に膨れ上がった。
その力が植物、動物、海や大地……それらに宿り、
神の加護無くして、自力で繁栄して欲しいとの願いからだった。
しかしその輝く力、エーテルの大半はいつまでも、ただ世界を漂い続け、どこにも宿ることは無かった。
「創造神様、どう言う事でしょう?」
「ありとあり得る所に宿ってくれるものと思っておったが、少しばかり誤算じゃったな。
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こうなったら、わしにもただ見ている事しか出来ないのじゃ……」
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