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第1章
29 俺の詠唱とポーズ……カッコ良かった?
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「ちょっ、ちょっ……グワ~~~気持ち悪!何なんだこの感触!
辞めてくれ~~痛くも痒くもないが……き、気持ち悪~!」
「ちょっと我慢しろよ~ 騒ぎすぎ……と、ほら取れた」
「ふへ~~助かった~~! ん?何だ~その禍々しい球は?」
「これがお前に宿る、エーテルの動きを止めていた物だよ。触ってるだけなのに、俺も気持ち悪いよ」
アルティスは、渋い顔で、それを手で握りつぶす。黒紫の煙のような物が出て、禍々しい気配は消えた。
「後でエーテルと仲良くする方法を教えるよ。驚くぞ~自分の魔力量の多さにさ~」
「うん。楽しみだな……そうか……そうか……お前は俺の仲間か……」
「うん。もうダチだな」
「ダチか?うん悪く無いな」
「ぐわ~~~アルティス助けてくれ」
「ん?なんかされたか?」
「いや、酷い事はされて無い……但、根掘り葉掘りしつこいんだよ、あのハゲ!」
「あ~~ハーゲンさんか?そりゃ大変そうで。 でももう終わりにしてもらうよ」
「ああ、助かる。そうしてくれよ。そろそろ行こうぜ?俺達の魔の国。
あんまり時間が経ちすぎると、バカ魔王に疑われるからな。
地下迷宮か何かに、飛ばされて、
やっと出てこられて、通信出来るようになった……とかなんとか言うつもりだよ」
バートランドが、ノルマンに念話を返すと、直ちにシャトレの魔王城に来るように言われる。
アルティスの転移魔法を繰り返し使えば、直ぐに行けるのだが、
それをしてしまうと、根掘り葉掘り疑われるのは間違いない。
魔族は空を飛べるので、飛んでみたり、魔導船を使ったり、
シャトレに着くまで一週間も掛かってしまう。
それでもギリギリ呼び出しの日には間に合った。
「うわ~~バカでっかい城!ハルステインの王城の何倍あるんだこれ?」
「無駄にでかいって言うんだよ、こう言うの。ここ10年でこんなにしたんだぜ。
バカだろ?国民の為に、金使えってんだよ。
ここの門から会議場まで30分も掛かるんだぜ?あ~アホくさ」
「お前、ここの魔王、大嫌いな」
「あったりまえだろ?俺たちの国から詐取した金もこの城に使われてんだぜ。ほんとムカつく」
「まあまあバートランド陛下。俺がこれからボッコボコにしてやりやすから」
従者のふりを楽しむアルティス。だがあまり上手くはない。
何せ、話し方が、滅茶苦茶でありやすから……あ、あれっ?
「あいつ自身も、最近何故か、物凄く力を付けている様だぞ?大丈夫か?アルティス?油断するなよ」
「なんのなんの、泥舟に乗ったつもりで、ご安心下され、お代官様」
ツノを生やした越後屋アルティスが、悪い顔で口角を上げている。
「何かとても不安になってきた……」
「バートランド!貴様遅いじゃないか?」
シャトレの魔王、ノルマンが、えらそうに睨む。
「…………」
もう既に、7人の魔王が、席に着いていた。
「何だ?そのガキは?」
「私の従者です。生き残った唯一の者で、一部始終を見ておりましたので、
詳しく説明させようと、連れて参りました」
「はぁ~?そんなガキの説明なんて要らねえんだよ。
大体の事はこの2人から聞いたしな。
お前が、人族共を、地下に幽閉させたんだってな?
俺は皆殺しにしろと……そう言ったつもりだったんだがなぁ?
大体、ハルステインの王女が、来ていたんだろ?
その娘を、見せしめに、慰み者にでもしてだな、人族最大の国、ハルステインを……」
ノルマンの本能が何かを感じ、話を途中で止めた。
アルティスの放つ気配が、背筋が凍る程に冷たく変わったからだ。
「あっ……」
バートランドが、声を漏らす。
(こいつ、言ってはいけない事を言っちまった……アルティスにとってフィオナ姫は全て……
絶対、その様な言葉で触れてはいけない……怒らせてはいけない者を、怒らせた……)
禍々しい圧を、アルティスから感じ、自然と冷汗が流れるバートランド。
(アルティス……こいつ、普段は、あんななのに……)
「な,何だ貴様!」
空気が震える程の殺気が、ダダ漏れている。
だが、その顔は無表情……感情の無い人形の様でかえって恐ろしい。
瞳のサファイア色も暗く濁った様に見える。
そのまま無言で、一歩一歩ノルマンに詰め寄るアルティス。
周りを囲む警備の兵も、得体の知れない恐怖に震え、指一本、動かせずにいる。
一歩一歩、近づく度に、その殺気で城が揺れる。
残り数歩まで来ると、大地までもが、地震かの様に揺れだす。
圧倒的な力の差を理解したノルマンは、争う事を放棄し、震えるばかりだ。
目の前まで来たアルティスは、座っているノルマンの顔の位置まで、斜めに身体を折り、感情のない顔で覗き込む。
ノルマンには、最早恐怖しかない。
「………………」
只々静かにノルマンの顔を見つめるアルティス。
首をちょっとだけ傾け言ったのが……
「……あ?……」
「………………」
「……立て……」
「………………」
「足が震えて立てないか? 大体分かったから、もういいや……」
感情が戻ったかの様なアルティス。両肩を掴み、ヒョイっとノルマンを立たせる。
「神より授かりし聖なる力よ、我が手に集い、邪悪なるエナジーの主を顕現させよ」
腰を少し落とし、斜に構え拝む様に二本指を眉間に添える。
指が眩く光出すと、その手で〝ハッ!〝
気合いと共に、ノルマンの胸に光を放つ。
〝ドオン!〝と言う音と共に、ノルマンの身体の背後から、黒紫の禍々しい……霧なのか?煙が湧き出てきた。
うねうねと動きながら、1つに纏まろうとするそれ。
「バート、バート……」
小声でバートランドに、声をかけるアルティス。
「……ん?」
耳を傾けるバートランド。
「ね,ね、どうだった?」
「な、何が?」
「だから俺の詠唱とポーズ……カッコ良かった?」
「いや、え?……あ?……」
「アンナンしなくても良いんだけどさ~ 前から考えてて~ で、で?」
「お、お前な~~」
サファイア色の瞳の銀河も、綺麗な輝きが戻っていた。
辞めてくれ~~痛くも痒くもないが……き、気持ち悪~!」
「ちょっと我慢しろよ~ 騒ぎすぎ……と、ほら取れた」
「ふへ~~助かった~~! ん?何だ~その禍々しい球は?」
「これがお前に宿る、エーテルの動きを止めていた物だよ。触ってるだけなのに、俺も気持ち悪いよ」
アルティスは、渋い顔で、それを手で握りつぶす。黒紫の煙のような物が出て、禍々しい気配は消えた。
「後でエーテルと仲良くする方法を教えるよ。驚くぞ~自分の魔力量の多さにさ~」
「うん。楽しみだな……そうか……そうか……お前は俺の仲間か……」
「うん。もうダチだな」
「ダチか?うん悪く無いな」
「ぐわ~~~アルティス助けてくれ」
「ん?なんかされたか?」
「いや、酷い事はされて無い……但、根掘り葉掘りしつこいんだよ、あのハゲ!」
「あ~~ハーゲンさんか?そりゃ大変そうで。 でももう終わりにしてもらうよ」
「ああ、助かる。そうしてくれよ。そろそろ行こうぜ?俺達の魔の国。
あんまり時間が経ちすぎると、バカ魔王に疑われるからな。
地下迷宮か何かに、飛ばされて、
やっと出てこられて、通信出来るようになった……とかなんとか言うつもりだよ」
バートランドが、ノルマンに念話を返すと、直ちにシャトレの魔王城に来るように言われる。
アルティスの転移魔法を繰り返し使えば、直ぐに行けるのだが、
それをしてしまうと、根掘り葉掘り疑われるのは間違いない。
魔族は空を飛べるので、飛んでみたり、魔導船を使ったり、
シャトレに着くまで一週間も掛かってしまう。
それでもギリギリ呼び出しの日には間に合った。
「うわ~~バカでっかい城!ハルステインの王城の何倍あるんだこれ?」
「無駄にでかいって言うんだよ、こう言うの。ここ10年でこんなにしたんだぜ。
バカだろ?国民の為に、金使えってんだよ。
ここの門から会議場まで30分も掛かるんだぜ?あ~アホくさ」
「お前、ここの魔王、大嫌いな」
「あったりまえだろ?俺たちの国から詐取した金もこの城に使われてんだぜ。ほんとムカつく」
「まあまあバートランド陛下。俺がこれからボッコボコにしてやりやすから」
従者のふりを楽しむアルティス。だがあまり上手くはない。
何せ、話し方が、滅茶苦茶でありやすから……あ、あれっ?
「あいつ自身も、最近何故か、物凄く力を付けている様だぞ?大丈夫か?アルティス?油断するなよ」
「なんのなんの、泥舟に乗ったつもりで、ご安心下され、お代官様」
ツノを生やした越後屋アルティスが、悪い顔で口角を上げている。
「何かとても不安になってきた……」
「バートランド!貴様遅いじゃないか?」
シャトレの魔王、ノルマンが、えらそうに睨む。
「…………」
もう既に、7人の魔王が、席に着いていた。
「何だ?そのガキは?」
「私の従者です。生き残った唯一の者で、一部始終を見ておりましたので、
詳しく説明させようと、連れて参りました」
「はぁ~?そんなガキの説明なんて要らねえんだよ。
大体の事はこの2人から聞いたしな。
お前が、人族共を、地下に幽閉させたんだってな?
俺は皆殺しにしろと……そう言ったつもりだったんだがなぁ?
大体、ハルステインの王女が、来ていたんだろ?
その娘を、見せしめに、慰み者にでもしてだな、人族最大の国、ハルステインを……」
ノルマンの本能が何かを感じ、話を途中で止めた。
アルティスの放つ気配が、背筋が凍る程に冷たく変わったからだ。
「あっ……」
バートランドが、声を漏らす。
(こいつ、言ってはいけない事を言っちまった……アルティスにとってフィオナ姫は全て……
絶対、その様な言葉で触れてはいけない……怒らせてはいけない者を、怒らせた……)
禍々しい圧を、アルティスから感じ、自然と冷汗が流れるバートランド。
(アルティス……こいつ、普段は、あんななのに……)
「な,何だ貴様!」
空気が震える程の殺気が、ダダ漏れている。
だが、その顔は無表情……感情の無い人形の様でかえって恐ろしい。
瞳のサファイア色も暗く濁った様に見える。
そのまま無言で、一歩一歩ノルマンに詰め寄るアルティス。
周りを囲む警備の兵も、得体の知れない恐怖に震え、指一本、動かせずにいる。
一歩一歩、近づく度に、その殺気で城が揺れる。
残り数歩まで来ると、大地までもが、地震かの様に揺れだす。
圧倒的な力の差を理解したノルマンは、争う事を放棄し、震えるばかりだ。
目の前まで来たアルティスは、座っているノルマンの顔の位置まで、斜めに身体を折り、感情のない顔で覗き込む。
ノルマンには、最早恐怖しかない。
「………………」
只々静かにノルマンの顔を見つめるアルティス。
首をちょっとだけ傾け言ったのが……
「……あ?……」
「………………」
「……立て……」
「………………」
「足が震えて立てないか? 大体分かったから、もういいや……」
感情が戻ったかの様なアルティス。両肩を掴み、ヒョイっとノルマンを立たせる。
「神より授かりし聖なる力よ、我が手に集い、邪悪なるエナジーの主を顕現させよ」
腰を少し落とし、斜に構え拝む様に二本指を眉間に添える。
指が眩く光出すと、その手で〝ハッ!〝
気合いと共に、ノルマンの胸に光を放つ。
〝ドオン!〝と言う音と共に、ノルマンの身体の背後から、黒紫の禍々しい……霧なのか?煙が湧き出てきた。
うねうねと動きながら、1つに纏まろうとするそれ。
「バート、バート……」
小声でバートランドに、声をかけるアルティス。
「……ん?」
耳を傾けるバートランド。
「ね,ね、どうだった?」
「な、何が?」
「だから俺の詠唱とポーズ……カッコ良かった?」
「いや、え?……あ?……」
「アンナンしなくても良いんだけどさ~ 前から考えてて~ で、で?」
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