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第1章

28 何、魔王で遊んでるのよ

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「シャトレの魔王が、何かに支配されたとか?なんかきな臭くなってきたな?
 今なら、正直に話すから、何でも聞いて良いよ。な、バートランド魔王?」
「くっ……話したくなくとも、勝手に言葉が出てしまう……」
「違~う! 言葉が出てしまうにゃん、だろ?」
「……出てしまうにゃん……」
「プ~プププ~ こいつもう俺の仲間♡」
「アル、何、魔王で遊んでるのよ」
「こいつもう、俺の言いなり。
 いや~今まで試したくても試せなかったからさ~この術だけは。
 ハハハ……でも、こいつ、多分そんな悪い奴じゃないよ。
 だから魔族だからって、酷い事はしちゃダメだよ」
「悪い奴じゃないって、魔王なんでしょ?大丈夫なの?」
「何で?魔族も人族も何も変わんないよ。愛する家族が居て、信頼出来る友が居て……
 見た目が、ほんのちょっと違うだけだよ」
「貴方、前もそんなこと言ってたわよね?
 だけどどうしても、魔族って言うだけで、良いイメージないのよね?
 だいたい……最初に戦った、魔族のリーダーとか、残忍で、ほんとやな奴だったわよ?」
「そんな奴もいるさ。人族にだって、俺の叔父一家みたいな、
 残忍で、やな奴だって居るじゃん?」
「まあ、そうかもだけど……まあ貴方が、言うんだから、そうなのかな?」


「うむ……魔族領最大の国の魔王が、急に変わってしまったと?
 大昔に居られた大賢者様の、結界が有ったとは言え、
 数千年も人族と魔族の間で、大きな争い事は無かったのに、
 近年、突如として、色々面倒事が起きたのも、そう考えれば辻褄つじつまが合うの。
 何者かが裏におるのだろうか? アルはどう思う?」
「う~ん。ユッフィーを襲った奴……それを操っていた者と同じかもね」
「あのバカ魔王、我等には神が付いているから、全て上手くいく……とか言ってたな」
「神?そんなことする神、心当たり無いぞ」
「心当たりって、神に心当たりある奴なんて、どこにもいないだろ」
「あのね?魔王さん。アルは創造神様と12神様方が、家族同様なのよ」
「な……お前……じゃなくて貴方様は、神なので?」
「な訳ないじゃない。見ての通り、唯の猫よ」
「唯の猫じゃないぞ。キュートなキュートなネコにゃ♡
 ところで、なあバートランド。
 俺を、そのバカ魔王に会わせてくれないか?」
「いやいや、勘弁してくれ。俺は良いが、我が国や国民を、危険にさらす訳にはいかない……
 俺にしても、今の状況を、何とかしたいのは、やまやまなんだがな……」
「いやそこは、俺が必ず守ると約束するよ。俺を信じてくれ」
「ねえ魔王さん、このままじゃ、いずれ貴方の大切な国民を、大きな争い事に巻き込むんじゃなくて?
 こんな猫なんだけど、アルティスは、信じるに足る猫よ」
「……さっきから、今回の事を説明しに来いと、バカ魔王から煩く、念話が入って来ているんだ。
 そうだお前、俺の従者に化けられるか? ん?イヤイヤイヤそれは猫だろ?
 あ~そんな感じ……そんな感じ!」
 アルティスの頭から角……と思いきや猫耳……と、さらにそれを伸ばして……うん、角だね?上手い上手い。

「なかなか良いんじゃないか?それじゃあ一緒に行くか?バカ魔王の所へ」
「ああ。でもその前に……お前、前をはだけて胸を出してみろ」
「お、お前、男色なのか?男の胸が好きなのか?」
「うん~ん……筋肉隆々で、ス・テ・キ……って、
 な訳あるかい!俺の好きなのは、フィナの胸だけだ!だが言っとく、まだ見せてもらって無い」
 〝パコ~ン〝
 顔を真っ赤にした、フィオナに後頭部を殴られた。

「いや……冗談冗談……  なあバートランド。お前、神聖力……エーテルを宿しているだろ?」
「そんなわけあるか。俺は魔族だぞ?」
「魔族も、創造神が造ったものだぞ?エーテルを宿している奴がいても、何の不思議もない」
「いや無い無い無い……俺はガキの頃、まともに魔法も使えなかった。
 ましてや神聖力なんて……
 昔な、 ある時、神の使いとか言う、爺さんがやって来て、
 俺に施術を掛けてくれて、それ以来、どうにか人並みに、魔法を使える様になったんだ。
 そんな俺だぞ?まさかな……」
「それだよそれ。お前の体の中に、何か気持ちの悪い異物が入っている。
 最初お前に近付いた時、急に俺の神聖力である、エーテルの動きが、乱れたんだよ。
 何かの魔道具かと疑ったんだが、違ったな。お前の身体に入っている、それだよ」
「俺の身体の中に?そんな事が、分かるのか?」
「ああ、それで、お前が、ガキの頃上手く魔法が使えなかったのは、
 エーテルの理解が、出来ていなかったからだよ。
 エーテルが、魔力であるマナを作り出す。普通の人は浮遊しているマナを溜め、魔法を使う。
 作り出すマナと、集めて溜め込むマナが混乱して、上手くいかなかったじゃ無いかな?
 お前が神聖力を宿すと、都合の悪い奴が、それをお前に埋め込んだ。多分そんな事だと思う」
「まさか……」
「その気持ち悪い物を、とってしまえば、お前の魔力量はとんでもなく跳ね上がるはず。
 俺が取ってやるよ」
「胸をはだけろとか言ってたが、取るってどうやるんだ……ま、まさか」
「そう、そのまさか。手を突っ込んで取り出す。俺は身体を透過出来るから、痛くも痒くも無いぞ」
「いやしかし、敵である俺を、強くするとか信じられん……」
「お前は敵じゃ無いって。仲間だって言っただろ?信じろ」
「いや、そうだったな……俺に拒否……てのは無理そうだし……分かったやってくれ」
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