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第1章
24 あのお金ならもう無いよ
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先だって、ハーゲンの元に、叔父ラグナルがやって来て、
白爵位をアルティスに継く事を、伝えたと聞く。
伝え終わると、こそこそ逃げる様に帰ったそうだ。
3ヶ月後にアルティスの叙勲式が行われる事が決定した。
アルティスが、爵位を継ぐ事になるはずであった。爵位を継ぐだけなのに、叙勲式とは?
実はアルティスは、陞爵を言い渡されていたのだ。
「ヤダヤダ!父さんの愛した領民を守る為に、伯爵になろうとしただけで、
その上の上の公爵なんて絶対無理無理無理~~」
侯爵を飛ばしての陞爵。領地も3倍近くになるとか。
「だがアルよ」
リヴァルド王は、アルティスの事を、アルと呼ぶ様になっていた。
元々フィオナを、誰にも嫁にやりたく無いという我侭で、
アルティスに、厳しい態度を取っていただけで、
アルティスを嫌っていた訳でも、その力を認めていなかった訳でもない。
エリザベスやユフィリナを、助けてもらったのを機に、
フィオナの事は諦めがつき、そうなると、
あの王を王とも思わない、アルティスの態度、そしてアルティスとの会話が楽しくなった。
息子が欲しかったリヴァルド王は、
アルティスの事が、実の我が子の様に思えてきたのだ。
「アルはフィオナが欲しいのであろう?だったら伯爵ではちと釣り合わないのだ」
「え~だって、父さんが伯爵の時に、婚約結んだんでしょ?今更~」
「あの頃は、わしに、まだまだ沢山、子供が出来ると思っておってな……
つまりフィオナを伯爵家に、嫁にやるつもりだった訳だ。
しかし今は事情が変わった。
長女であるフィナの婿は、将来この国の王になるのだぞ」
「ちょっと待て?王?王配とかってのじゃないの?あれれ?
いやいやいや、それダメなやつでしょ? 俺、政治、分からないし、
そっちはフィナに任せて、色々自由にさせてもらおうと思ってたのに~
やらなきゃいけない事、それと、やりたい事も沢山あるんだけど、俺~」
思った事が、口から出てしまっているアルティス。
誰もが認める英雄が、王に相応しく、
他国に対しても、牽制が効く。
故にアルティスを王にすえるのが、一番良いと言う事になったと言う。
(うっ、考えてもいなかった!ど~する俺~)
フィオナを欲しいのならと言われ、公爵の件は受け入れるしかなかった。
異例中の異例では有るが、花嫁の親で有るにもかかわらず、
親族のいない花婿……アルティスの為、後見人となったリヴァルドとエリザベス。
いずれ婿になるアルティスを養子には出来ないので、後見人という形をとったのだ。
これにより、正式にアルティスは、王族の一員となった。
侯爵を飛ばしての公爵への陞爵も、スムーズに行える。
「ねえアル?貴方、何時も同じ服着てるけど、偶には別の服、買ったら?」
「これじいちゃんが作ってくれた、すごく丈夫で、
色んな効果が付与された、国宝級の服なんだぞ」
「貴方に付与された服とか必要ない気が……」
「超速で動くと摩擦で、直ぐぼろぼろになっちゃうんだよ」
「ああそうなのね」
「下着とかはもちろん有るけど、後、シャツとか何かは何枚か持ってるよ?
なんか、服とかどうでもいいから……気にしたなかったな?
あ、そうそう、白いロングコート、ハートさんが買ってくれて、俺が色々付与したやつも有るよ」
「白いロングコートか~ 数年前、白いコート流行ったんだよ?光と影の英雄が着てたから。
他の服も有るのは分かったけど、沢山のお金が有るんだから、少しは使わないと……」
「ああ、あのお金ならもう無いよ」
「う……嘘よね?」
「まじ。あれ全部、ハートさんにお願いして、フェイト領の食料配給とか、
上下水道、道路なんかのインフラ?とかに使って貰もらってる。
急ぎ学校も直してるところ」
「それじゃ、全部無くなるわね……ってか、それだとむしろ足りなくない?
お父様に相談してみたら?」
「もちろん全然足りないけど、我が一族の、やらかした事だからね。俺が何とかしなくちゃいけない。
それに大丈夫。フェイト領は元々、鉱山採掘が盛んで、栄えてたんだけど、
険しい山が多く、そこをちゃんと道路とか開発しなかったから、ジリ貧なだけで、
まだまだ魔石とか鉱物が、沢山有るんだ。何とミスリルまで出てきたんだよ」
ハートとフェイト領の役人が見守る中、空からアルティスが降りてくる。
「ハートさん!凄いよ!ここいらの山々。宝の宝庫」
「左様でございますか。何とか財政を立て直せれば良いのですが」
「これ見てよ~」
アルティスが左手を挙げると、空中に穴が空き、
亜空間から、色とりどりの魔石が、ゴロゴロ流れ落ちて来た。
足元が埋まる程の量だ。
「こ、これは全部、魔石でございますか?
何とこれだけで、白金貨、数千枚の価値が有るのでは……」
「後ね、これ」
亜空間の穴に手を入れると、3M有ろうかという、銀色に輝く隕石の様なものを取り出す。
「こ、これは、まさか……ミスリル鉱石?」
「だと思うよ」
「こんな大きな塊が?」
「ちゃうちゃう、鉱石を集めて、高熱で燃やして、不純物を蒸発させたらこうなったの。
一度屋敷に戻ったら、また採ってくるから。一度ハートさんに見てもらおうと思って。
それに普通の鉱石は置いてきちゃったしね」
「お待ちくださいアルティス様。まだまだ有ると?」
「まだまだ沢山有るよ。感知出来てる」
「アルティス様。一度に余り沢山の量を、市場に出してしまうと、市場価値が急降下してしまいます。
少しずつの方が宜しいかと。
それにこれだけでも当面、領地立て直し資金を心配しなくて済む程助かりますぞ」
「そなの?」
「廃れてしまい、減ったとは言え、炭坑夫も、まだまだおりますので、
その生活も考えて、彼らにやらせましょう」
「空の上から見たけど、山道、酷い荒れようだよ?出来るの?いっそトンネル作っちゃう?」
「いえ、トンネルと言われましても……20km近く有りますから、何年掛かるやら分かりませんぞ」
「え、直ぐ出来るよ?」
右手の肘に左手を添えて前に出すと。青い光が伸びて山肌に当たる。
直径10m程に広がり、〝ズウウウン……〝と鈍い音を響かせその光は山に吸い込まれた。
白爵位をアルティスに継く事を、伝えたと聞く。
伝え終わると、こそこそ逃げる様に帰ったそうだ。
3ヶ月後にアルティスの叙勲式が行われる事が決定した。
アルティスが、爵位を継ぐ事になるはずであった。爵位を継ぐだけなのに、叙勲式とは?
実はアルティスは、陞爵を言い渡されていたのだ。
「ヤダヤダ!父さんの愛した領民を守る為に、伯爵になろうとしただけで、
その上の上の公爵なんて絶対無理無理無理~~」
侯爵を飛ばしての陞爵。領地も3倍近くになるとか。
「だがアルよ」
リヴァルド王は、アルティスの事を、アルと呼ぶ様になっていた。
元々フィオナを、誰にも嫁にやりたく無いという我侭で、
アルティスに、厳しい態度を取っていただけで、
アルティスを嫌っていた訳でも、その力を認めていなかった訳でもない。
エリザベスやユフィリナを、助けてもらったのを機に、
フィオナの事は諦めがつき、そうなると、
あの王を王とも思わない、アルティスの態度、そしてアルティスとの会話が楽しくなった。
息子が欲しかったリヴァルド王は、
アルティスの事が、実の我が子の様に思えてきたのだ。
「アルはフィオナが欲しいのであろう?だったら伯爵ではちと釣り合わないのだ」
「え~だって、父さんが伯爵の時に、婚約結んだんでしょ?今更~」
「あの頃は、わしに、まだまだ沢山、子供が出来ると思っておってな……
つまりフィオナを伯爵家に、嫁にやるつもりだった訳だ。
しかし今は事情が変わった。
長女であるフィナの婿は、将来この国の王になるのだぞ」
「ちょっと待て?王?王配とかってのじゃないの?あれれ?
いやいやいや、それダメなやつでしょ? 俺、政治、分からないし、
そっちはフィナに任せて、色々自由にさせてもらおうと思ってたのに~
やらなきゃいけない事、それと、やりたい事も沢山あるんだけど、俺~」
思った事が、口から出てしまっているアルティス。
誰もが認める英雄が、王に相応しく、
他国に対しても、牽制が効く。
故にアルティスを王にすえるのが、一番良いと言う事になったと言う。
(うっ、考えてもいなかった!ど~する俺~)
フィオナを欲しいのならと言われ、公爵の件は受け入れるしかなかった。
異例中の異例では有るが、花嫁の親で有るにもかかわらず、
親族のいない花婿……アルティスの為、後見人となったリヴァルドとエリザベス。
いずれ婿になるアルティスを養子には出来ないので、後見人という形をとったのだ。
これにより、正式にアルティスは、王族の一員となった。
侯爵を飛ばしての公爵への陞爵も、スムーズに行える。
「ねえアル?貴方、何時も同じ服着てるけど、偶には別の服、買ったら?」
「これじいちゃんが作ってくれた、すごく丈夫で、
色んな効果が付与された、国宝級の服なんだぞ」
「貴方に付与された服とか必要ない気が……」
「超速で動くと摩擦で、直ぐぼろぼろになっちゃうんだよ」
「ああそうなのね」
「下着とかはもちろん有るけど、後、シャツとか何かは何枚か持ってるよ?
なんか、服とかどうでもいいから……気にしたなかったな?
あ、そうそう、白いロングコート、ハートさんが買ってくれて、俺が色々付与したやつも有るよ」
「白いロングコートか~ 数年前、白いコート流行ったんだよ?光と影の英雄が着てたから。
他の服も有るのは分かったけど、沢山のお金が有るんだから、少しは使わないと……」
「ああ、あのお金ならもう無いよ」
「う……嘘よね?」
「まじ。あれ全部、ハートさんにお願いして、フェイト領の食料配給とか、
上下水道、道路なんかのインフラ?とかに使って貰もらってる。
急ぎ学校も直してるところ」
「それじゃ、全部無くなるわね……ってか、それだとむしろ足りなくない?
お父様に相談してみたら?」
「もちろん全然足りないけど、我が一族の、やらかした事だからね。俺が何とかしなくちゃいけない。
それに大丈夫。フェイト領は元々、鉱山採掘が盛んで、栄えてたんだけど、
険しい山が多く、そこをちゃんと道路とか開発しなかったから、ジリ貧なだけで、
まだまだ魔石とか鉱物が、沢山有るんだ。何とミスリルまで出てきたんだよ」
ハートとフェイト領の役人が見守る中、空からアルティスが降りてくる。
「ハートさん!凄いよ!ここいらの山々。宝の宝庫」
「左様でございますか。何とか財政を立て直せれば良いのですが」
「これ見てよ~」
アルティスが左手を挙げると、空中に穴が空き、
亜空間から、色とりどりの魔石が、ゴロゴロ流れ落ちて来た。
足元が埋まる程の量だ。
「こ、これは全部、魔石でございますか?
何とこれだけで、白金貨、数千枚の価値が有るのでは……」
「後ね、これ」
亜空間の穴に手を入れると、3M有ろうかという、銀色に輝く隕石の様なものを取り出す。
「こ、これは、まさか……ミスリル鉱石?」
「だと思うよ」
「こんな大きな塊が?」
「ちゃうちゃう、鉱石を集めて、高熱で燃やして、不純物を蒸発させたらこうなったの。
一度屋敷に戻ったら、また採ってくるから。一度ハートさんに見てもらおうと思って。
それに普通の鉱石は置いてきちゃったしね」
「お待ちくださいアルティス様。まだまだ有ると?」
「まだまだ沢山有るよ。感知出来てる」
「アルティス様。一度に余り沢山の量を、市場に出してしまうと、市場価値が急降下してしまいます。
少しずつの方が宜しいかと。
それにこれだけでも当面、領地立て直し資金を心配しなくて済む程助かりますぞ」
「そなの?」
「廃れてしまい、減ったとは言え、炭坑夫も、まだまだおりますので、
その生活も考えて、彼らにやらせましょう」
「空の上から見たけど、山道、酷い荒れようだよ?出来るの?いっそトンネル作っちゃう?」
「いえ、トンネルと言われましても……20km近く有りますから、何年掛かるやら分かりませんぞ」
「え、直ぐ出来るよ?」
右手の肘に左手を添えて前に出すと。青い光が伸びて山肌に当たる。
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