アイズwithスターダスト 〜神聖力(エーテル)に愛された神の継承者〜

優陽 yûhi

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第1章

21 火魔法?フィナにも出来るよ?

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「あ、あの~~姫様?折角ですし~?英雄君の魔法を見てみたいんですが~」
 意地の悪そうな顔で、ニヤニヤしながら、そう言うのは、
 先程、詠唱しながら、火魔法を放っていた少年だ。

「アルティスのは、普通の魔法と少し違うし……そもそも時間が……」
「時間は気にしなくても、宜しいのですよ……」
 振り返ると、そこに学園長が立っていた。
「あっ!学園長!宜しいのですか?」
「ええ。私も彼の魔法を、見てみたいです」
「ですから、アルティスの魔法はちょっと……規格外ですし……」
 アルティスが、何か、やらかしそうで、フィオナは心配だった。

「うん?普通の魔法も使えるよ? 何をやったら良い?」
 少し悪意を感じる少年の言葉を、アルティスは、まるで意に介していない様だ。
「英雄君。さっき僕の火魔法を見て、驚いていた様だけど。
 君も、やってみてよ。出来るんでしょ?」
(うん、確かに驚いたよ?)
「火魔法?こう言うの?」
 無詠唱で、指先にスッと蝋燭程の火を出す。

「ぷぷっっ!何だい?その小っさな火は~」
 無詠唱だった事にも気付かず、
 火の大きさだけに目が行き、生徒達の失笑が漏れる。

 そんな失笑を、気にもしないアルティスは、その火を指先でピンッと弾く。
 目では追えない程のスピードで、的に届くと……
 〝ド、ドッカ~~~~ン!!!〝
 小さな家なら、吹き飛ぶんじゃないかと言う程の爆発が起きる。
 的が有った場所には、10m程のクレーターが出来ていた。
 驚きの余り、くちをアングリ開け、言葉を失う生徒達。

「き、貴様、何か不正をしただろ!」
「貴様って貴方。アルティスは、白爵本人なのよ?
 爵位を継いてもいない、唯の貴族子息が、不敬ではなくて?少し口を慎みなさい」
「ぐっ……しかしこんなこと有り得ない……」

「アル、何?今のは?無詠唱だし……」
「ん?詠唱なんて必要ないよ?そんな事よりイメージと、マナのコントロール。
 そして素早く魔法を撃つ事が大事。
 フィナだって、魔族と戦ってた時、
 端折って〝ヒール〝としか言ってなかったじゃない?」
「……そうだったっけ?頭、真っ白になってたから、よく覚えてない……」
「イメージさえちゃんと出来れば、詠唱なんて必要無い。時間の無駄……
 それにさっきの魔法だけど……あれ普通の魔法だよ?
 皆んなと同じマナを使った火魔法」

「嘘だ!あんな威力……あんな小さな火で出せる訳ないだろ!インチキだ!」
「ん?これ? これは~」
 指先に小さな炎を出す。それが次の瞬間1m程の火になる。
 そして又、少しずつ縮み、小さな炎に戻った。

「これは、お前達の言う所の土魔法?の要領で……
 さっきの火を、周りの空気と混ぜて……
 火が燃えるには、空気が必要だって知ってるよね?
 それらを混ぜて、小さく凝縮した物だよ。
 これを風魔法?で勢いよく的にぶつけると~」
 〝ド、ドッカ~~~~ン!!!〝 
 またしても大きな爆発が起きる。

「も少し大きな火だと~」
 空中に小さな家程の炎を出し、2~3cm程に凝縮して空高く飛ばした。

 〝ドドドド!ドッカ~~~~~~ン!!!〝
 凄まじい威力の爆発が起こり、爆風で皆んなが、吹き飛ばされる。
 予測出来ていたフィオナだけが、アルティスにしがみつき、何とか無事の様だ。

「そんで~更に大きな……」
「ちょ……待って待って待って~」
 フィオナが叫ぶ。
「この辺一帯が、吹き飛ぶでしょ~!」
「いや……空高~く飛ばせば……」
「無理無理無理!止めて~!」
「え~ 皆んなを、驚かせ様と思ったのに……」
「いやもう十分に驚いてるから…… 皆んな腰抜かしてるでしょ……」
「だって最初の位なら、誰でも出来る物だし……」
「出来る訳無いでしょ!」
「えっ?フィナにだって出来るよ?」
「いやいや、そもそも私、火魔法使えないから」
「ん?なんか皆んな勘違いしてるけど……
 そもそも属性とか分かりやすい様に、人が分類しただけで、皆んなこだわり過ぎだよ?
 あの俺の魔法も、えて言うとすれば火、そして土、風……
 それを複合させて、イメージしてるんだけど?」

「フィナ、人差し指を出して…… 
 それで俺の手の上の火を良~く見て~ 頭に焼き付けて……
 体のマナを指先に集めて……いくよ?ハイ!!!」
 〝ポッ〝と小さな炎が、フィオナの指先に灯る。

「キャッ!出来た。何故なぜ何で?」
「目の前で見て、詳細なイメージが、出来たからだよ。詠唱も要らなかったでしょ?」
「でもイメージしたより小っさい……」
「マナがそれ程集まってないからだな…… マナのコントロール難しい?」
「う~ん何となく、マナ?魔力の存在は分かるんだけど……」
「目に見えないから、マナのコントロールも出来ないか……
 そんじゃあ、可視化して見える様にしてあげるよ」

 アルティスは、フィオナの両手を、自分の両手でそっと掴む。
 するとキラキラ光るオーラーの様な物が見えてきた。
「見える?」 
 コクコクと頷くフィオナ。
「それがマナ。右回りに体中にゆっくりと移動させてみて?
 そうそう、そしたら、それを指先に集めて」
 フィオナの指先に、30cm程の炎が現れる。

「大きな爆発には、空気が必要だから……
 周りの空気と一緒にマナで包む……そうそんな感じ」
 炎を囲む様にフィオナのマナが1m程の球を描く。
「ギュ~って圧縮するイメージ…… そう、上手い上手い」
「こ、これ以上は無理……かも?」
 力が入りすぎて、顔を真っ赤にしているフィオナ。
「うん。最初はこれくらいで十分。さあ今度は空気中に漂うマナを見える様にするよ」
 そう言って、そっと上を向くアルティス。漂うマナがフィオナにも少し見えて来る。

「フィナは、あれをコントロール出来るはずだよ。
 あれを使って風を起こす。それに乗せて炎を的にぶつける。 ハイッ!!!」
 アルティスは〝パンッ︎!!!〝
 手拍子を打ち、同時に大きな声で合図する。
 かなりのスピードで炎が飛び、的に当たった。
 〝ドッカ~~ン!!!〝
 アルティス程では無いが、見事な爆発が起きる。
「キャ~キャ~キャ~」
 ピョンピョン飛び跳ね、喜ぶフィオナ。唖然とする生徒達。
「私が火魔法を使えるって……産まれてすぐに受ける、
 魔力の特性の判定って、意味あるのかしら?」
「向き不向きを、確認するには良いかもだけど、
 その子の可能性を潰しかねないから、どうなんだろうな?」

「あっ……ねえフィナ~ この人、泡吹いて倒れてるぞ~~」
「あっ、学園長!大丈夫ですか~?」
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