アイズwithスターダスト 〜神聖力(エーテル)に愛された神の継承者〜

優陽 yûhi

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第1章

17 未熟な精神の勇者

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 それから5年の後。
 フィオナ12歳ユフィリナ5歳のとある日、王都の中央教会の大聖堂。
 白の漆喰しっくいに、金箔による金彩きんだみ装飾が、あしらわれた内部は、
 明るく華やかでありながら荘厳そうごん
 そこに各地から選ばれ集まって来た15歳~19歳の男女。

 王国では生まれて直ぐに、神から授けられた加護と、魔力の特性の判別を司教より受ける。
 その判別により、それぞれの適正に合った育て方が決まる。
 そして今日集まった男女は、各地の教会により、
 勇者パーティー候補の資格を認定された者達だ。

 大聖堂の最前列で、両の手を合掌させ、静かに上を見つめる枢機卿。
 静まり返る大聖堂。
「只今から、 しゅの啓示が降り、勇者、そしてそのパーティーのメンバーが選定されます。
 皆、神に祈りを捧げながら、1人ずつ前に出るように……」
 大司教の厳かな声がこだまする。
 集まった者は順に枢機卿の前に行きひざまずき首を下げる。枢機卿が右手を彼らの頭にかざす。
 その後、枢機卿より発表される、勇者、聖女、魔法使い、戦士、武闘家の5人。
 大聖堂の外にまで溢れる人々から大歓声が上がった。
 近年、きな臭くなってきた魔族の動向を受け、勇者パーティーが結成された瞬間だ。

 その夜、王城に勇者パーティー選定の報告をと、枢機卿が神より選ばれた5人を連れ訪れた。
 5人を順に紹介する枢機卿。
「そうか。お前達が神の選ばれし勇者達か?
 勇者とは、即ち勇気ある者。
 今後、幾多の困難が待ち受けておるやもしれんが、どの様な困難にも、
 勇気を持って立ち向かえば、いつしか人々から勇者とあがめめられる様な英雄になれるであろう。
 期待しておるぞ」
「あの~王様?ちょっと何言ってるか分からないのですが……」
「これ!不敬であろう!勝手に口を聞くばかりか、その様な話し方!」
「まあ良い。ハーゲン。で、何が分からんのだ、勇者の卵よ?」
「卵?だから何言ってんだか分からないって?
 俺達は、神に選ばれし時別な人間なんですよ?
 今直ぐにでも、魔王討伐して差し上げますけど?
 ね、だから、俺達の聖剣やら武器を早く下さいよ?」
「この、たわけが!!!!魔王討伐だと?誰がその様なことを命じた?
 お前達、魔王が何か分かっておるのか?」
「「「「「……………………」」」」」
「魔族の領域には8つの魔国が有り、8人の魔王と、それぞれに4天王がおるのだぞ?
 今のお前達に、魔王討伐などできると思うのか?
 枢機卿よ?本当にこの様な未熟な精神の者達を、神がお選びになったのか?」
「申し訳ございません陛下。まだまだ子供ゆえ……
 これからしっかりと教育いたしますので、何卒なにとぞお許し下さい」
「子供じゃね~し?聖剣どうすんだよ?」
 〝はあぁぁ~~〝
 おもわず溜息を漏らすリヴァルド王。
「……で、あるか…… 勇者の卵よ。今直ぐ戦えると言うのならば、
 その力、我に見せてみろ。我と対ち合って、見事勝ってみせるがいい」
「は?怪我しても知りませんよ?死なない様にはして差し上げますけど……」
「怪我?誰がだ?心配には及ばんよ?ここにおる我が娘フィオナは、
 12歳にして早くも、天才とうたわれる程の、聖魔法の使い手であるぞ?
 誰が怪我するのか知らんが、問題なかろうよ?聖女もおる様だしな?」

 こうして、立ち合う事になった、リヴァルド王と勇者に選ばれたアレック。
「どうした?見ているだけでは勝てんぞ?」
 リヴァルド王の気迫に圧倒され、身体が動かないアレック。
 リヴァルド王がどんどん大きく見えてきて、腰が抜け尻餅をつくアレック。
「もう良いわ……我とて、だてに王をやってはおらん。
 幼き頃から血反吐を吐く程の修行をしてきたとは思わんかったのか?」
「そこまで!」
「ハーゲン。こ奴らに宝庫から聖なる武器、防具を持ってきてやってくれ」
「良いのですか?私はこの者達に見合う武器防具だとは思えないのですが」
「わしもそう思うよ?だから、それらは貸し与えると言うことにしておこう。
 今後の、この者達の成長を見守るとしようではないか」

「王家の皆様ににお知らせしたい事が……
 皆様への、主の啓示がありましたのです……」
 勇者達を教会に帰し、玉座の間に戻ると、枢機卿が小声でリヴァルド王に告げた。
「うむ、分かった。皆のもの暫し下がるがいい」
 集まっていた王国の重鎮をリヴァルドが下がらせた。

「この城の地下に聖なる泉が、ございましょう?」
「何故それを?王家だけの秘密……
 そして地下3層は王家以外立ち入る事を厳重に禁止しておる場所なのだが……」
「ですから、主の啓示がありましたとお伝えしましたが……
  王家の皆様と共に、そこに私をお連れ下さい」
「先祖代々よりの定め、枢機卿、お主をそこに連れて行くことは出来ないのだ」
「そこでしか話す事が出来ないのです。大事な主の啓示でございます。
 それに私も3代さかのぼれば王家の端くれ……
 全く資格が無いとは言い切れますまい」
「それ程までに大事な話なのか?」
「王家の皆様の、命にも関わる話、そして王国の未来が掛かった話でございます」
「…………」
 暫し考えた末、そこまで言うのであればと、聖なる泉に案内する王家の4人。
 そもそもこの幻想的な地下の泉には、神の力が宿るとされており、
 王家の者が、毎朝祈る事で、王国の平和が保たれると伝えられていた。
 石階段を降り泉の扉を開けると、そこには驚くべき光景が広がっていた。
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