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第1章
16 神様からの授かりものユフィリナ
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祭りの翌朝、フィオナやエリザベス達と、
楽し気に朝食をとるアルティスの姿があった。
エリザベスは、まだ痩せ細ってはいるものの、
肌の色は血色良く、すっかり体調を取り戻していた。
エリザベスに呼ばれ、朝食を共にしているアルティス。
アルティスの食べっぷりに、クスッと笑い、競う様にエリザベスも食べる。
この分だと元の美しいエリザベスに戻るのに、そう時間は掛からないだろう。
その朝食が終わると、アルティスの姿が消え、翌朝まで戻って来なかった。
心配するフィオナ。
アルティスがフィオナに何も告げず、一晩部屋を空ける事は、今まで無かった。
翌日フィオナは、毎朝の日課の為、石階段を降りていた。
王城の地下の聖なる泉で、平和の祈りを捧げるという、お勤めだ。
リヴァルドに抱き抱えられて、エリザベスも一緒だ。
ここ地下3層は、王家しか立ち入る事が許されない、王家だけの聖地。
地下であるにもかかわらず、10mは有ろうかという高い天井。
その天井の周りに並べられた、水晶に似た魔鉱石。
それらが薄っすら青白く光って、
幻想的な雰囲気を醸し出している場所だった。
縦横100mは有ろうかという、広いホールの中央には、直径40m程の泉が有り、
その中央には、薄っすらと光る岩の上から、噴水の様に水が湧き出ている。
中心迄の石畳みを渡ると、そこには幼女の姿の水晶の像が、建っていた。
幼き日のフィオナかと、見間違える程、良く似た顔をした、美しい水晶の像。
その横に、昨日から姿が見えなかったアルティスが立っていた。
「何処に行ってたの?心配したわよ……此処は私の家族しか入れない場所……
ま、アルも、もう家族みたいなもんね……良いでしょ?お父様?」
「うむ。アルティスは、もう我が息子も同じ……ご先祖様もお許し下さるだろうよ」
「でもアル?何故この場所を知って……
あ、そっか……水晶の少女ユッフィーって言ってたものね?
貴方には全部、分かっていたのね」
「……フィナ、待たせたね?」
その言葉の意味を理解出来たのは、フィオナだけ。
何が何やら分からない、リヴァルドとエリザベスをよそに、
「本当に?……」
そう呟くフィオナの頬に、一筋の涙が流れた。
幼きアルティスが、行方不明になった、その2年後、
王家では新しい命が誕生していた。
生まれたのはフィオナそっくりな、とても可愛い女の子だった。
皆んなに愛され、すくすく育つ王女、名はユフィリナ。
名付けたのは、フィオナだった。
「この子はユフィリナ!」
そう言って、譲らなかったらしい。
前触れ無く誕生した子供だ。
リヴァルドもエリザベスも、勿論、名前など考えてはいなかった。
「良い名前じゃないか?エリザベス」
「そうね、可愛い名前ね」
その子の名前はユフィリナとなった。
フィオナは片時も離れず、ユフィリナの面倒をみて可愛がった。
それを見て、まるで母親じゃ無いかと、皆んなは笑った。
当時、地上では異変が起きていた。
ハルステイン王国の中央、王都より東200km、スノタールに有る大森林。
そこには王国を見守る様に、そびえる世界樹の大輪。
その葉は枯れつつあり、世界樹からの恵みが途絶えてしまう。
一番影響を受けたのは、農作物だ。
その上、更なる干ばつで大被害を受けたかと思えば、次は大洪水……
地上には〝1200年厄災〝と呼ばれ、人々から恐れられている厄災があった。
それは1200年毎にやって来ると言い伝えられている。
1200年に一度、一ヶ月にも渡って天変地異が続くと言われていた。
しかし、それは未だもう少し先のはず。
何かが、おかしかった。
しかしそれらの異変は、ユフィリナが誕生し、暫くすると収まっていく。
王国では、ユフィリナが、神の祝福をもたらしてくれたと囁かれていた。
確かにユフィリナの誕生は謎めいていたのだ。
エリザベスが朝起きると、おくるみを着た赤ちゃんを、胸に抱いていたと言う。
厳重な王城で、さらに警備の厳しい王妃の間。
誰も、忍び込める余地は無かった。
「だ、誰か~~!」
呼び鈴をけたたましく鳴らすエリザベス。
大事そうに赤ちゃんを抱くエリザベスを見た侍女長が、慌ててリヴァルドを呼びに行く。
「何故?赤ちゃんが……どこから来た?……どこの子だ?」
「何を言ってるの?貴方。この子をよく見て!フィオナの赤ちゃんの時に瓜二つよ!
この子こそ、神様からの授かりもの……私たちの子に決まっているわ」
誰もがエリザベスの、その言葉に納得せざるを得なかった。
「た、確かに……フィオナそっくりだ……目の色も髪の色までも……我らの子としか思えんな?」
その日の内に、王国中に、王女誕生の発表がなされる。
エリザベス懐妊の発表も無く、お腹が大きい等の噂さえ、無かったにも拘らずだ。
楽し気に朝食をとるアルティスの姿があった。
エリザベスは、まだ痩せ細ってはいるものの、
肌の色は血色良く、すっかり体調を取り戻していた。
エリザベスに呼ばれ、朝食を共にしているアルティス。
アルティスの食べっぷりに、クスッと笑い、競う様にエリザベスも食べる。
この分だと元の美しいエリザベスに戻るのに、そう時間は掛からないだろう。
その朝食が終わると、アルティスの姿が消え、翌朝まで戻って来なかった。
心配するフィオナ。
アルティスがフィオナに何も告げず、一晩部屋を空ける事は、今まで無かった。
翌日フィオナは、毎朝の日課の為、石階段を降りていた。
王城の地下の聖なる泉で、平和の祈りを捧げるという、お勤めだ。
リヴァルドに抱き抱えられて、エリザベスも一緒だ。
ここ地下3層は、王家しか立ち入る事が許されない、王家だけの聖地。
地下であるにもかかわらず、10mは有ろうかという高い天井。
その天井の周りに並べられた、水晶に似た魔鉱石。
それらが薄っすら青白く光って、
幻想的な雰囲気を醸し出している場所だった。
縦横100mは有ろうかという、広いホールの中央には、直径40m程の泉が有り、
その中央には、薄っすらと光る岩の上から、噴水の様に水が湧き出ている。
中心迄の石畳みを渡ると、そこには幼女の姿の水晶の像が、建っていた。
幼き日のフィオナかと、見間違える程、良く似た顔をした、美しい水晶の像。
その横に、昨日から姿が見えなかったアルティスが立っていた。
「何処に行ってたの?心配したわよ……此処は私の家族しか入れない場所……
ま、アルも、もう家族みたいなもんね……良いでしょ?お父様?」
「うむ。アルティスは、もう我が息子も同じ……ご先祖様もお許し下さるだろうよ」
「でもアル?何故この場所を知って……
あ、そっか……水晶の少女ユッフィーって言ってたものね?
貴方には全部、分かっていたのね」
「……フィナ、待たせたね?」
その言葉の意味を理解出来たのは、フィオナだけ。
何が何やら分からない、リヴァルドとエリザベスをよそに、
「本当に?……」
そう呟くフィオナの頬に、一筋の涙が流れた。
幼きアルティスが、行方不明になった、その2年後、
王家では新しい命が誕生していた。
生まれたのはフィオナそっくりな、とても可愛い女の子だった。
皆んなに愛され、すくすく育つ王女、名はユフィリナ。
名付けたのは、フィオナだった。
「この子はユフィリナ!」
そう言って、譲らなかったらしい。
前触れ無く誕生した子供だ。
リヴァルドもエリザベスも、勿論、名前など考えてはいなかった。
「良い名前じゃないか?エリザベス」
「そうね、可愛い名前ね」
その子の名前はユフィリナとなった。
フィオナは片時も離れず、ユフィリナの面倒をみて可愛がった。
それを見て、まるで母親じゃ無いかと、皆んなは笑った。
当時、地上では異変が起きていた。
ハルステイン王国の中央、王都より東200km、スノタールに有る大森林。
そこには王国を見守る様に、そびえる世界樹の大輪。
その葉は枯れつつあり、世界樹からの恵みが途絶えてしまう。
一番影響を受けたのは、農作物だ。
その上、更なる干ばつで大被害を受けたかと思えば、次は大洪水……
地上には〝1200年厄災〝と呼ばれ、人々から恐れられている厄災があった。
それは1200年毎にやって来ると言い伝えられている。
1200年に一度、一ヶ月にも渡って天変地異が続くと言われていた。
しかし、それは未だもう少し先のはず。
何かが、おかしかった。
しかしそれらの異変は、ユフィリナが誕生し、暫くすると収まっていく。
王国では、ユフィリナが、神の祝福をもたらしてくれたと囁かれていた。
確かにユフィリナの誕生は謎めいていたのだ。
エリザベスが朝起きると、おくるみを着た赤ちゃんを、胸に抱いていたと言う。
厳重な王城で、さらに警備の厳しい王妃の間。
誰も、忍び込める余地は無かった。
「だ、誰か~~!」
呼び鈴をけたたましく鳴らすエリザベス。
大事そうに赤ちゃんを抱くエリザベスを見た侍女長が、慌ててリヴァルドを呼びに行く。
「何故?赤ちゃんが……どこから来た?……どこの子だ?」
「何を言ってるの?貴方。この子をよく見て!フィオナの赤ちゃんの時に瓜二つよ!
この子こそ、神様からの授かりもの……私たちの子に決まっているわ」
誰もがエリザベスの、その言葉に納得せざるを得なかった。
「た、確かに……フィオナそっくりだ……目の色も髪の色までも……我らの子としか思えんな?」
その日の内に、王国中に、王女誕生の発表がなされる。
エリザベス懐妊の発表も無く、お腹が大きい等の噂さえ、無かったにも拘らずだ。
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