アイズwithスターダスト 〜神聖力(エーテル)に愛された神の継承者〜

優陽 yûhi

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第1章

10 叔父一家の来訪

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 神界に助け出されたアルティスは、
 この数日後に、両親に降り掛かった不幸を、知る事となる。
 執務さえも放棄して、アルティスを探しに出た両親は、
 叔父の雇った闇ギルドの暗殺者の手によって殺害、遺棄いきされる。
 悔しさやら何やらで、涙が止まらなかった。
 でも今のアルティスには、大好きな両親を守る手立てが何も無かった。
「アルティスよ、悲しむ必要は無い。人はいつかは死を迎える。
 じゃが、肉体は朽ちても、その魂は別の世界で生きておる」

 魂は、創造神の構築したシステムで、死んだ後、自動的にみ分けられる。
 そして生命神ミリアに頼めば、いつでも会えると聞かされた。

 後にアルティスは、何度も両親に会いに行く事となる。
 魂は生前の姿のままだった。そして皆若い。
「じいちゃんも女神様の様に、若く綺麗な姿でいれば良いのに」
 〝綺麗な〝のところに反応してミリアが嬉しそうに、アルティスの顔を抱きしめる。
 ミリアの豊満な胸が、アルティスの顔を包み込む。
「くっ、苦しいよ~ 女神様~」
「アルティス?私の事は、姉だと思って、ミリア姉様と呼びなさい♡」
 母では無くて姉か~?賢いアルティスは、そこには突っ込まなかったが、
 巨乳を苦手になったのは、この時からなのかも知れない。
「わしの事は、お兄様で良いぞ」
 と、創造神。
 ミリアの生暖かい視線を感じ
「じいちゃんと呼ぶが良い……」
 あっ、早っ!直ぐ訂正した。
「この年老いた姿は、まあ創造神としての、イメージ作りじゃな。
 若すぎると威厳が無いじゃろ?
 そもそも〝何々じゃ〝とか、年配でもそんな喋り方する者周りにおるか?まず、おらんじゃろ?」
 確かに。こ~じゃなきゃ神様っぽくないかも?

 両親の魂の住む処は、とても居心地が良い。そして美しい所だった。
 そして2人とも幸せそうで安心した。
(叔父達は死後、どんな場所に行くのだろう?心配に……   いや……ま、どうでも良いか?)
 両親に会うたび、叔父一家への憎しみは、段々と薄すれていった。
 だが、いざ彼らを目の前にすると、自分を殺されかけた怒りと、両親を殺された憎しみが蘇る。
(私欲の為、血を分けた兄弟を平気で殺め、その地位も財産も自分のものにして贅を尽くす。
 これでも自分と同じ人間なのか?)

 アルティスは冷たい冷気をまとう。
「俺に何か用か?」
 背筋が凍る様な、低く冷たい声で言い放つ。
 フィオナ達は、いつもと全く違う、アルティスの気配に、言葉を無くしている。
「な、何だ!貴様!それが伯父に対する言葉遣いか!」
 顔を真っ赤にして怒鳴りつけ、詰め寄る叔父ラグナル。
 ラグナルは焦っていた。
 アルティスの帰還と、早々の活躍を噂で聞き、アルティスがどこまで知っているのか?
 自分の悪事を暴露されないかと。
 いても立っても居られなくなり、アルティスが、何をするつもりなのかを探りに来たのだった。
 あの犯行を計画したのは、全て叔母であるメディシスだった。
 身の丈に合わないぜいをつくし、借金だらけで首が回らなくなっての蛮行ばんこうだ。
わめくな、姫の前だと言う事を忘れたのか?
 なあ叔父さん?後ろめたくて怒鳴るんだろ?色々考えると怖くて仕方ないんだろ?小さい男だな?」
「き、貴様~!」
 忠告を聞かず、ラグナルが又怒鳴る。
 その横で〝キィ~~〝メディシスも何だかヒステリックに叫んでる。
「フィオナ姫さま~」
 従兄弟のブタはそんな事どうでも良さそうだ。
(何だか、ばかばかしくなってきた。こいつら住んでる世界が、違いすぎるな?)
 両親が魂の里でいつも言っていた事を思い出す。
「あの人達をうらむのはやめなさい……アルにプラスになる事は、何も無いのよ」
 そう優しく母のシャルロットが言う。
「憎むなんて時間の無駄だよ、父さん達は、ここで幸せに暮らしているんだから……」
 父のライアルドが優しくさとす。
(こいつらをまともに相手するのも馬鹿馬鹿しい……)
 そう思えてきた。

「お前達に2つの選択肢をやるよ」
 静かに、しかし冷たい声でアルティスが言う。
「1つ、爵位。そして財産……ああ?それはもうほとんど残っていない様だけど……
 両親から奪った全てを俺に返す。
 1つ、悪事全てを告発されて、死罪を受ける。
 さあ?どっちを選ぶ?」
「あ……あ~~悪事とは何だ~~!何か証拠でも有るのか!?」
「こう言うのだけど?」

 左手を、かざすと、そこの空間に何やら立体映像が浮かび上がる。
 アルティスの魔法だ。
「魔道船よ魔道船、そこであの澄ましたガキ、アルティスを突き落とすのよ」
「良いかお前ら、死体は絶対残すなよ!燃やした上で、更に深く埋めるんだぞ!」
 次から次へと、見ても聞いてもいられなくなる様な、醜い出来事が、
 あたかもそこで起きている事の様な立体映像になって流れる。
「でっち上げだ!そんな物お前の作り物!証拠にもならん!」
「あんた達の今迄の評判が、これを肯定するんじゃないか?
 さあ、どうする?選べ……」
「父、リヴァルド王も私も、他にも大勢が、既に、この映像を見せて貰ってます。
 貴方方に、未来は無いと思いますよ?」
「………………」

「ねえ?アル?奪ったもの全て返したらそれで許すのですか?
 罰を与えない?貴方はそれで良いのですか?」
「父さんと母さんの想いでもあるから……」
「父さんと母さんって、どう言う事?亡くなってらっしゃるのでしょ?」
「まあ、後で説明するよ。いつかヒナも俺の両親に合わせたいな……
 お嫁にもらう時には、じいちゃん達にも会ってもらわなきゃな!」
「よ、嫁にもらう~~?」
 ブタが狼狽うろたえている。こいつやっぱり、生理的に無理だよなヒナ?うん分かる。
 フィオナは顔を赤らめて、モジモジしてる。
(そろそろイケるんじゃネ?オヨメサン?)
「アル、貴方、器が大きいのね……」
 うるんだ目でアルティスを見つめる。
 (やっぱいけそうじゃネ?)
 叔父一家は震えながら、力なく帰って行った。さあどうするのだろう?
(死にたくはないんだろうな~  死んだ後、とんでも無い処に飛ばされるよ?お前達。
 まあそんな事、教えるつもりないけど……行ってから精々悔やむがいいんだ)
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