アイズwithスターダスト 〜神聖力(エーテル)に愛された神の継承者〜

優陽 yûhi

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第1章

06 おっぱい少女

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「ネエ?おっぱい少女。
 もう障壁張らなくても大丈夫だよ?十分頑張ったから後は俺に任せて」
「えっ? あれ? 貴方は? おっぱい少女?私? あれれれっ?」
 思考が追いつかないソフィヤ。
 ソフィアは驚いた。
 ここにはもう誰もいないはず?

 いつの間にか、横にサファイア色の瞳の少年が、静かに立っていた。
 前方を見ると、魔族の全ての攻撃が、広範囲に光の壁に跳ね返され、防がれている。
 日が暮れて暗くなった夜空が、眩しい程の光の壁。
 信じられない光景が広がっていた。

 50人もの魔導師が張った障壁でも防ぎきれず、多くの犠牲を出してしまっている。
 今はソフィア1人で、ボロボロになりながらも抵抗していた。
 それを……澄ました顔をして、世間話でもしているかの様に、私に話しかけながら?

「それにしても魔族逹多くね?食事冷めちゃわないうちに、いっぺんに片付けて早く帰ろ~~」
 片付ける?何を?この魔族達?
 ソフィアは混乱した。
 アルティスの身体が光り出し、その光る手を此方にかざす。
 その光に包まれるソフィア。
 あっ……とっても暖かい……
 そう思ったら身体中傷だらけだったはずが、痛みが消えている。
 そして何故か魔力まで回復してる様だった。
 手を見てみると、やはり傷は跡形も無く消えている。

 この少年が治してくれた?
 そうとしか思えない……でもどうやって?
 回復魔法だとしても何の詠唱もない。
 何故か自分の魔力さえ回復している。
 こんな聖魔法、聞いた事もない。
 何が起きているのか分からない。
 ソフィアは考える事をやめた。
 今はそれどころでは無い。

 気付くと何故か横が眩しい!
 見ると少年の放つ光が更に増し、身体全体が銀色に眩しく輝いていた。

 そして魔族の長い隊列に向けその手をかざす。
 すると、魔族の足下に大きな魔法陣が、幾重にも浮き上がり、数キロに渡って青く光出す。

 やがて目の前に出来ていた障壁が消え、魔法陣から幾何学模様を纏ったドームが浮かび上がり、魔族を包囲している。
「よし、これで外には漏れないかな?」
 そう言うと、アルティスのサファイアの瞳が、銀河の星々の様に輝く。
 それに呼応する様にドームの中に、明るい光の粒が、小さな飴玉程の大きさで、無数に浮かび上がる。

殲滅アナイアレイション」指をピンと鳴らすのを合図に、無数の光の粒は、ギラギラ光りながら超高速で動き出し、次々と魔族を貫いていく。

 直進して線を描き、静止して光る粒になる、そして又、光の線になり魔族を貫く…それを繰り返す。
 大きな音をたてるでもなく、ドームの中は、無数の線香花火が現れたかの様に煌めく。

 光に貫かれた魔族は、霧の様に光の粒となり、ドームの中は更に煌めきを増す。

 血や肉が飛び散らないとは言え、魔族を殲滅しているのだ。これは残酷な景色なのだろう。
 しかしその光の美しさに目を奪われてしまう。
 夜なのに昼間の様な明るさに、高まる胸を抑え切れない。
 そして目の前は眩い白に染まる。

 10分程経っただろうか?光の輝きは徐々におさまる。
 視界が回復してくると、先程まで埋め尽くされた魔族の姿は一切消え、静寂に包まれていた。

「光は外に漏れて無いよな?うん……」
 キョロキョロ周りを見渡すアルティス。

「おっぱいの子……
 地下の皆んななの所に案内してくれる?」
「おっぱいの子じゃありません……」
 顔を赤らめながら、小さな声で抗議するソフィア。
 あのドームは、光を外に出さない為?魔族以外に被害を出さない為の障壁なのだろうか?
 それにしても何故地下に人がいる事を知っているのだろう?

「あの?可愛い?おっぱいの子?」
「可愛い……を付けられても……じゃなくて、おっぱいから一度離れて…………私はソフィアと申します」

 可愛いと言われ、更に顔が赤くなる。
「ボクはアルティス、人間ニャン♡」
 ……ポカン?とするソフィア。
 ソフィアにも「人間ニャン♡」は効かなかった。
 創造神が腹を抱えて笑っている姿が目に浮かんだ。“ チェッ……”

 地下に案内されると、そこは地獄絵そのものだった。
「酷いな……」
 そう言いながら、ソフィアの後ろを歩くアルティス。
 鼻をつんざく血の……そして皮膚の焦げた匂い。あちこちに落ちている血痕。騎士団の損傷は激しい。

 暗いはずの地下が、神聖力を纏ったアルティスから、滲み出る霧の様な光の粒で、明るく輝きだした。
 暫くすると地下全体が、光で満たされる。
「おっぱ……ソフィア?俺は急ぎ王城に帰らなければならない。
 もう既に、こっちに人が向かっているはずだから、安心して待っていて」
「し、城に?貴方は王城から来られたのですか? ちょっ……ちょっとお待ち下さい。
 アルティス様は、私にして下さった様に、上位回復魔法が使えるのですよね?
 私には、あの様な強力な聖魔法は使えません。
 お願いです、ここの人達を助けて……」

 聞こえたのか聞こえなかったのか?
 アルティスの姿はもうそこにはなかった。
 そそくさと消えてしまったアルティス。
 どんだけ腹が減ってんだい!

「ソフィア」
 絶望に膝を崩すソフィアを後ろで呼ぶ声がした。
「何が一体どうなってるんだ?ソフィア?」
 振り返ると、虫の息だったはずの魔法騎士団長のスパイクが、元気そうに立っている。
 いや、団長だけじゃ無い?皆、怪我が治っている様だ!

「ソフィア……」
 又も、後ろから声が掛かり、振り返るソフィア。

「きゃ~~~お化け~!!!」
 そう叫ぶと、物凄い速さで逃げだした。
 それもそのはず。
 その声は、火魔法を直撃され、全身丸焦げで、即死だったはずのカリンだったから。

 ドン!!誰かにぶつかり尻餅をつく。
 見上げると、そこには水魔法で凍らされ、バラバラに砕けたはずのサーシャが!

「どうなってるのよ~?!」
 泣きそうな声でそう叫ぶ。
「いやいや、こっちが聞きたいよ。何がどうなってる?」
「まさか、い……生き返ったの?死んじゃってたよね~?」
「いや?死んだの?私?……う~ん?よく分からない……」
「貴方は丸焦げ……貴方は凍ってバラバラ……やっぱ、お化け!?」

「落ち着け……ソフィア」
 団長が声をかけてきた。
「怪我人はおろか、死んだ奴も生き返った様だ……さっきの光る霧は何だったんだ?
 攻撃の音が止まった様だが、魔族はどうした?教えてくれ」
「教えてくれも何も、私にも何が何やら……でも魔族はもういません。全部消えて無くなりました……」

 きっとあの少年が、何かしてくれたのだろう。
 と~~ってもお腹が空いてたみたいだけど……
 バレバレだよね。食事が冷めないうちに早く戻りたいって言ってたし……
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