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第1章
04 王城参上
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フィオナをそっと抱きかかえるアルティス。
フワッと空高く浮かぶと、“フッ…… ” 騎士団の視界から一瞬で2人の姿が消えた。
フィオナの見ていた景色が一瞬で変わる。何と王都の上空に居た。
「えっ……?あっ……な、何?」
「ん?着いたよ?此処で良いんだよね?」
「え、え~~~~~~~~~~~~~~っ!」
「人族で言えば転移魔法?空間魔法みたいな?」
「イヤイヤ、人族って……人も魔族も、そんなこと出来るなんて話聞いた事ない……」
大昔の大賢者様が造った、大掛かりな魔道具で、隣国へは行き来出来るけど……
「あっ、じゃ俺、獣人猫族だから?行きたい所がちゃんとイメージ出来れば、どこにでも行けるよ」
「猫族もそんな事出来ない!……って……いや貴方、人族でしょ?……ま、まさか本当に猫……じゃなくて、神族なのですか?」
「ハハハッ…… まあ、これ出来なければヒナ助けるのに間に合わなかったし……
細かい事は気にしないよ?」
「……………………」
確かに今は取り敢えず考えない方が良いのだろう……
フィオナは考える事を放棄した。
「あそこが王城だよね?」
「うん……」
フィオナの指示で王城の広いテラスに降りると、あっという間に騎士達に囲まれてしまう。
「何者だ!? あっ姫っ? 貴様!離れろ!無礼者!姫を離せ!」
あっ、またまた言われた。
そっと優しくフィオナを下ろす。
フィオナが、怪しい人じゃ無いの、と言う代わりに、アルティスの腕に自分の腕を絡めた。
「な、腕を離さんかフィオナ!誰じゃそいつは、結婚は許さんゾ!」
結婚?何を言ってるの?めっちゃ狼狽え、叫びながら鼻水を垂らして、オッサンがやって来た。
何処かで見た事あるな?
あ、思い出した。この顔、確かリヴァルド王だったよな……
このオッサン威厳のかけらも無いな。
まあ、うちのじいちゃん……創造神も威厳とは無縁だけど……
フィオナが、事の顛末を、リヴァルド王を始め、そこに集まった皆んなに説明していた。
ふとアルティスは1人の騎士を見つめた。
無表情でツカツカとその騎士の目の前まで来ると、ギョッとしている騎士の胸を、躊躇なく光り輝くあの剣で貫いた。
皆んなには、速すぎて、手で貫いた様にしか見えなかっただろう。
そしてその手にはもう剣は握られていない。
代わりに小さな瓶を握っていた。
周りの騎士達が慌てて剣を抜き、アルティスに向けたその時……
“ギョワ~!”まるで人とは思えない様な叫びをあげ、一瞬その騎士の後ろに魔族の様な姿が2重に浮かび上がる。
騎士に化けていた魔族は光の粒になって消えた。
周りに集まっていた人々は、何が何だか分からず、呆気に取られて言葉も出ない。
「あいつからは人じゃなく魔族の匂いが……そして懐に隠し持っていた、この瓶からは猛毒の匂いがしたよ?
俺が見てることに気付いて、瓶に手が行き、動きが怪しかったから……
やっぱ魔族だったね。オレめっちゃ鼻が利くんだよ」
猫だから?
瓶を手渡されたリヴァルド王は、手に取るといきなり開けようとする。
「あっ、開けちゃダメ!その瓶一本で、この王城の全員を殺せる程の、揮発性の猛毒だよ」
「ま、まさか……王城の騎士に魔族が紛れていると?そしてこの瓶の中身がそれほど強い毒だと?」
と言いつつ、また無意識に瓶に手を掛けようとする……
「だから!触んなよ、オッサン!」
「誰がオッサンじゃ!」
「すみません オ・ト・ウ・サ・マ……」
「お、お、お父様!!!」
頭から盛大に湯気が上がるリヴァルド王。
(このオッサン面白い。
あっ、でもフィオナの冷たい視線が怖いのでもうやめよう)
「君に助けて貰った事は良く分かったが、少し不敬が過ぎるのでは無いかね?」
(誰だこのハゲは?)
「フィオナ、このハ…… この人誰?」
「私はハルステイン王国の宰相ハーゲンだ」
(ハーゲンだと?まじ?その名前?)
「ハーゲ……ハゲさん? 今まさに猛毒で全員殺されかけたと言うのに、
不敬?そんな事言っている場合じゃないんじゃない?
俺の感知では、この王都には数十人の魔族が入り込んでるみたいだよ?」
「そんなまさか……」
「この王城にすら、まだ他に何人かの魔族の気配を感じるよ。 あれ?貴方の頭からも何やらおかしな気配が……」
「何を言う!これはだだのハゲじゃ!」
顔を真っ赤にして否定する。
(ブブブッ!面白いこのハゲ!)
(あっ、やばっ、フィオナが肩を震わせ、真っ赤な顔で睨んでる)
「プププッ……」
(何だ笑いを堪えてたの?)
「そして、私はハゲではなくハーゲンじゃ!」
(うん知ってる。さっきそう言ってたもん)
リヴァルド王は聞いているのかいないのか?肩を震わせ後ろを向いている……
(うん……オッサンも笑いを堪えてるのね?)
「片付けて来ます」と言い残すとアルティスが目の前から忽然と消えた。
城内から悲鳴が聞こえて来る。“ギャー!” “う、うわ~~っ!”
あ、片付けてる片付けてる……
フワッと空高く浮かぶと、“フッ…… ” 騎士団の視界から一瞬で2人の姿が消えた。
フィオナの見ていた景色が一瞬で変わる。何と王都の上空に居た。
「えっ……?あっ……な、何?」
「ん?着いたよ?此処で良いんだよね?」
「え、え~~~~~~~~~~~~~~っ!」
「人族で言えば転移魔法?空間魔法みたいな?」
「イヤイヤ、人族って……人も魔族も、そんなこと出来るなんて話聞いた事ない……」
大昔の大賢者様が造った、大掛かりな魔道具で、隣国へは行き来出来るけど……
「あっ、じゃ俺、獣人猫族だから?行きたい所がちゃんとイメージ出来れば、どこにでも行けるよ」
「猫族もそんな事出来ない!……って……いや貴方、人族でしょ?……ま、まさか本当に猫……じゃなくて、神族なのですか?」
「ハハハッ…… まあ、これ出来なければヒナ助けるのに間に合わなかったし……
細かい事は気にしないよ?」
「……………………」
確かに今は取り敢えず考えない方が良いのだろう……
フィオナは考える事を放棄した。
「あそこが王城だよね?」
「うん……」
フィオナの指示で王城の広いテラスに降りると、あっという間に騎士達に囲まれてしまう。
「何者だ!? あっ姫っ? 貴様!離れろ!無礼者!姫を離せ!」
あっ、またまた言われた。
そっと優しくフィオナを下ろす。
フィオナが、怪しい人じゃ無いの、と言う代わりに、アルティスの腕に自分の腕を絡めた。
「な、腕を離さんかフィオナ!誰じゃそいつは、結婚は許さんゾ!」
結婚?何を言ってるの?めっちゃ狼狽え、叫びながら鼻水を垂らして、オッサンがやって来た。
何処かで見た事あるな?
あ、思い出した。この顔、確かリヴァルド王だったよな……
このオッサン威厳のかけらも無いな。
まあ、うちのじいちゃん……創造神も威厳とは無縁だけど……
フィオナが、事の顛末を、リヴァルド王を始め、そこに集まった皆んなに説明していた。
ふとアルティスは1人の騎士を見つめた。
無表情でツカツカとその騎士の目の前まで来ると、ギョッとしている騎士の胸を、躊躇なく光り輝くあの剣で貫いた。
皆んなには、速すぎて、手で貫いた様にしか見えなかっただろう。
そしてその手にはもう剣は握られていない。
代わりに小さな瓶を握っていた。
周りの騎士達が慌てて剣を抜き、アルティスに向けたその時……
“ギョワ~!”まるで人とは思えない様な叫びをあげ、一瞬その騎士の後ろに魔族の様な姿が2重に浮かび上がる。
騎士に化けていた魔族は光の粒になって消えた。
周りに集まっていた人々は、何が何だか分からず、呆気に取られて言葉も出ない。
「あいつからは人じゃなく魔族の匂いが……そして懐に隠し持っていた、この瓶からは猛毒の匂いがしたよ?
俺が見てることに気付いて、瓶に手が行き、動きが怪しかったから……
やっぱ魔族だったね。オレめっちゃ鼻が利くんだよ」
猫だから?
瓶を手渡されたリヴァルド王は、手に取るといきなり開けようとする。
「あっ、開けちゃダメ!その瓶一本で、この王城の全員を殺せる程の、揮発性の猛毒だよ」
「ま、まさか……王城の騎士に魔族が紛れていると?そしてこの瓶の中身がそれほど強い毒だと?」
と言いつつ、また無意識に瓶に手を掛けようとする……
「だから!触んなよ、オッサン!」
「誰がオッサンじゃ!」
「すみません オ・ト・ウ・サ・マ……」
「お、お、お父様!!!」
頭から盛大に湯気が上がるリヴァルド王。
(このオッサン面白い。
あっ、でもフィオナの冷たい視線が怖いのでもうやめよう)
「君に助けて貰った事は良く分かったが、少し不敬が過ぎるのでは無いかね?」
(誰だこのハゲは?)
「フィオナ、このハ…… この人誰?」
「私はハルステイン王国の宰相ハーゲンだ」
(ハーゲンだと?まじ?その名前?)
「ハーゲ……ハゲさん? 今まさに猛毒で全員殺されかけたと言うのに、
不敬?そんな事言っている場合じゃないんじゃない?
俺の感知では、この王都には数十人の魔族が入り込んでるみたいだよ?」
「そんなまさか……」
「この王城にすら、まだ他に何人かの魔族の気配を感じるよ。 あれ?貴方の頭からも何やらおかしな気配が……」
「何を言う!これはだだのハゲじゃ!」
顔を真っ赤にして否定する。
(ブブブッ!面白いこのハゲ!)
(あっ、やばっ、フィオナが肩を震わせ、真っ赤な顔で睨んでる)
「プププッ……」
(何だ笑いを堪えてたの?)
「そして、私はハゲではなくハーゲンじゃ!」
(うん知ってる。さっきそう言ってたもん)
リヴァルド王は聞いているのかいないのか?肩を震わせ後ろを向いている……
(うん……オッサンも笑いを堪えてるのね?)
「片付けて来ます」と言い残すとアルティスが目の前から忽然と消えた。
城内から悲鳴が聞こえて来る。“ギャー!” “う、うわ~~っ!”
あ、片付けてる片付けてる……
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