虐待と闇と幸福

社会人

第13話

メニューを開くと、カフェらしい飲み物の豊富さと軽食とデザートがあった。

流行りの某アプリにて、写真を投稿したくなるような飾り付けの食べ物が多かった。

「私は決まってるからどうぞ」

「どうも」

(何を頼もう...。それ以前にこの人は誰だろうか)
 
メニューを見るフリして横目に若老人を見る。

(なんか、引っかかる)  

私の視線に気づき、微笑みを返され、私は慌てて目を逸らす。

「私も決まりました」

「そう。店員を呼ぶわね。すみません」

店員を呼ぶ事に了承する縦の頷きを確認して、呼ばれた店員も注文を伺う事を気にしていたから、呼び掛けに直ぐに気づいてもらった。

若老人のお先にどうぞと視線を貰い、先に注文する事にした。

「アイスコーヒーを1つ」

「私は、いちごのパフェとホットコーヒーを1つずつ」

「かしこまりました」

店員は、注文内容を確認する為に繰り返してからキッチンへと注文を伝えに行った。

「強引でごめんなさい。もしかして、私の事を覚えてないかしら？」

「はい...。失礼で承知で聞きますけど、何処かでお会いしました？」

私の問いに悲しそうにして溜息を吐いた


「普段、貴方のお母さんが合わしてくれないから知らないのね」 

(私の母が関係してる人？)

ちょっと、困った顔をしたら

「簡単に言うと、私と貴方は孫と祖母って関係よ」  
 
昔の私なら、目を思いっきり見開き、口も薄く開かせながら驚いた感情を盛大に晒しているのだろう。 

それでも、頬が引き攣る。

「勘違いではなく？」

「あ～待って」

そう言って、ガソゴソと鞄を漁ってた。

「いつも、ここに」

独り言で手帳を取り出し、内ポケットに複数の写真を出す。

「ほら、コレ見て！貴方と私と貴方のお母さんよ」

差し出された写真を見ると、今よりも少し若い時の若老人と若い母の姿と、母に抱えられてる赤ん坊。

赤ん坊は私だと教えられ、その他にも成長した姿の私も見せられて、私はこの人の言う事が本当だと信じた。

最初に、何となくで観察して興味持ったのが、私の性格からの行動として可笑しかったのである。

フレンドリーな性格をしてる訳じゃなく、何となくで気になって観察する性格ではなく、何処かの記憶の片隅に残ってたかもしれない。

(この人の目は母に似てる...。母はこの人の目に似たんだ)

「貴方のお母さんに、ずっと貴方に会いたいとお願いしてたんだけど、会わせてくれなかったわ」

寂しそうに悲しそうに...悔しそうにと色んな感情で読み取れるような複雑な声色と表情を見せた。
 
私は、疑問に思ったことを話そうとした瞬間、頼んだ物がお盆に乗せられて運ばれてる状態で明るい声で店員がやってきた。

「失礼します。お待たせしました。アイスコーヒー1つ、いちごパフェを1つ、ホットコーヒーを1つで以上になります。ご注文のお間違いは無いでしょうか？」

自分の注文が呼ばれた瞬間に、意識せずに店員に見える程度に軽く手を挙げて、それを確認した店員は飲みやすい位置に置いてくれる。

「大丈夫です」

「では、ごゆっくりお召し上がりください。失礼します」

伝票をテーブルに置かれてる筒に入れて、新たに入った客を出迎える為に去った。



注文が届けば、食べずに話を続ける雰囲気でも無くなったから、2人で頂きますと挨拶をする。


「このいちごパフェ美味しい」

(この人、甘党だ)

幸せそうな感じで生クリームを食べてる。



よくあるアイスコーヒーの味は、喉を潤してくれる。