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6 束の間
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十年来の友である倫治と会った日から、一週間後。
留学を終えて帰国し、来月より復学するにあたっての準備をしている中で、メールが届く。
それは、倫治が申し込んでいたファシナンのイベント参加の当選を知らせる内容だった。
(当たってしまった……)
この一週間、あえてファシナンの楽曲には触れずにいた。
正直なところ、近づくのが怖い。
(九月二十五日、来週の日曜日、予定はないけど、どうしようか……)
当落結果が分かり次第、倫治に連絡をすることになっているが、どう伝えようか迷う。
(落選したと伝えるのが、楽なんだけど)
興味がある気持ちを、どうにも否定できない。
どこかに足を運ぶイベントではなく、オンライン上でのイベントだとメールに記載されている。
ネット環境とパソコンがあれば、自宅からでも参加出来るらしい。
(それなら気軽に参加できるだろうか……?)
当落メールを受け取ってから、二十四時間以内に参加の有無を連絡しなければ無効になる。
早めに決断しなければならない。
謎を少しでも知る為に気軽に、そう思って参加することにした。
倫治にはメールを受けた翌日に電話連絡をした。
「やっぱりね!超プレミアムイベントなんだから、参加後はこっそりレポよろしく!」
まるで自分が当選したかのような興奮ぶりだった。
参加すると決めてからは、暇を見つけては、ファシナンの曲をスマートファンから流している。
意識して聴くようになって気付いたが、ファシナンは今までに三十曲以上の楽曲を発表している。
なのに、音源を聴けるのは、最新曲から遡っても二年以内の楽曲のみだった。
デビュー時よりCDという形態で音源を発売したことはないので、二年以上前の曲に関しては、何を探しても一切聴くことが出来ない。
何故なのかを調べてみると、卒業したメンバーがいる楽曲は一切出さないらしい。
(調べてみたりする俺は、まんまと狙い通りに嵌ってるんだろうか)
倫治が推しているという「リリーサシェ」というグループの楽曲も聴いてみたが、ファシナンとは違い、特に何も感じ取れなかった。
(倫治ごめん、リリーサシェは興味持てないな)
十月になれば、大学生としての最後の一年間がスタートする。
その前に――
夏の暑さは抜けたが、まだ名残のある空気に薄らと汗ばむ日。
午後五時のイベントスタートまで、あと二時間と迫っていた。
留学を終えて帰国し、来月より復学するにあたっての準備をしている中で、メールが届く。
それは、倫治が申し込んでいたファシナンのイベント参加の当選を知らせる内容だった。
(当たってしまった……)
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正直なところ、近づくのが怖い。
(九月二十五日、来週の日曜日、予定はないけど、どうしようか……)
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(落選したと伝えるのが、楽なんだけど)
興味がある気持ちを、どうにも否定できない。
どこかに足を運ぶイベントではなく、オンライン上でのイベントだとメールに記載されている。
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(それなら気軽に参加できるだろうか……?)
当落メールを受け取ってから、二十四時間以内に参加の有無を連絡しなければ無効になる。
早めに決断しなければならない。
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「やっぱりね!超プレミアムイベントなんだから、参加後はこっそりレポよろしく!」
まるで自分が当選したかのような興奮ぶりだった。
参加すると決めてからは、暇を見つけては、ファシナンの曲をスマートファンから流している。
意識して聴くようになって気付いたが、ファシナンは今までに三十曲以上の楽曲を発表している。
なのに、音源を聴けるのは、最新曲から遡っても二年以内の楽曲のみだった。
デビュー時よりCDという形態で音源を発売したことはないので、二年以上前の曲に関しては、何を探しても一切聴くことが出来ない。
何故なのかを調べてみると、卒業したメンバーがいる楽曲は一切出さないらしい。
(調べてみたりする俺は、まんまと狙い通りに嵌ってるんだろうか)
倫治が推しているという「リリーサシェ」というグループの楽曲も聴いてみたが、ファシナンとは違い、特に何も感じ取れなかった。
(倫治ごめん、リリーサシェは興味持てないな)
十月になれば、大学生としての最後の一年間がスタートする。
その前に――
夏の暑さは抜けたが、まだ名残のある空気に薄らと汗ばむ日。
午後五時のイベントスタートまで、あと二時間と迫っていた。
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