上 下
31 / 63
転生魔王様編

悪意の無い悪⑧

しおりを挟む
男が木刀を振りかざし魔女を威嚇する
さすがに当てる気はなかったようだ
近くの机を思いっきり叩き驚かせる、つもりだった
振りかざした木刀が魔女に届きそうな瞬間
モウがその木刀を掴みその勢いを止める
驚いた男が動きを止めた瞬間
回し蹴りを軽く男に叩きつけ吹き飛ばす
漫画のように吹き飛び部屋の壁に打ち当たり
気を失うやられ役その1

須磨を含む4名全員が漫画のような出来事に固まる

 『な、なんなのあんた達』

驚愕と恐怖が男達を覆う

 『大丈夫死んでないよ』

モウがぼそっと呟く

 『だ、そーだよ』

魔女がいやらしく微笑みながら言う

その頃、外でボーッとしてた魔王様は
今、会社で恐らく一人で残業してる田口の事を
気にしていた

 あの娘絶対一人で抱え込んでしまって
 責任感じて残って仕事してんだろうな~

そんな事を考えてる自分にハッと気が付く

 朝陽の意識がそうさせてんのか
 自分の中で何かが変わる…?のか
 人族と戦争してたんだよ?
 それを今更と思いつつも
 この世界の関係が嫌って訳じゃないんだよな~
 じゃあ自分の世界に帰ったらどうなる?私?

外は暗くなって月が見える時間になっていた
そんな月を眺めて思いにふけってた時だった

 ガタン!!! どぉぉぉん!!!
 
 『なっなんの音?中で何してんの?』

机が吹き飛ぶ音に驚いた魔王様が
扉をそっと開けて中の様子を伺う

 『うは~、もめてるな~意外と抵抗するのな、あいつら』

中を見つつ須磨達が焦ってる姿を見てほくそ笑む魔王様

 『争い事なんか慣れてないんだから
 さっさと自覚して謝ればいいものを』

扉の外にそっと座り込みため息をつく魔王様
中はまだまだ張り詰めた空気間

 『あんた達、おいたが過ぎると怪我するよ
 どうして今こうなってるか、を考えなよ
 大人になる時間だよ』

魔女が男達というか子供達に問いかける

そう言われて俯く須磨
まだ反抗心を見せる男が椅子を魔女に向けて
投げつける
その椅子が急に反転してどこかに飛んでいく
その椅子の影からマウが小さい姿から大きくなって
現れる

声も出ない須磨を含め4名の男
もはや現実離れが過ぎている
人を超えたパワーの少女がいたり
いきなり大きくなって姿を現す少女がいたり
ファンタジー世界は実際に経験すると畏怖を
感じる物である

恐怖に駆られた須磨が自分のバッグに
手を入れる

 『お、お前ら一体どこのファンタジーだ!?』

そう言って取り出したのは見た目は拳銃に見えた
 
 『拳銃?ではないよね、おもちゃでどうこうなる状況じゃないよ』

魔女が横目で須磨を見つつ険しい顔をする

 『だ、だからなんなんだよ
 改造ガスガンだからな
 殺傷能力は充分にあるのは立証済みだ
 お、お前らもうどっかいけよ、さぁほら痛いぞ』

須磨が手を震わせながら威嚇する
恐怖からこの状況を打破したく
魔女達からマウントを取れるのはコレしかないと
須磨が窮地から脱したい一心で取り出したのだが
逆に魔女を怒りを買う事になってしまっている事に
気がつかず、強張った笑みを浮かべる須磨

 『あんたわかってるのか?
 それが危険である事を知っていて
 取り出したんだよな?
 今までは無邪気な子供のやり過ぎたイタズラで
 済ませてあげたけど
 武器を持って相手に向けた時点で
 自分もその覚悟をしなければいけないと
 わかっているんだろうね?』

魔女の睨みを聞かせた一言で
恐怖に飲まれる須磨がキレた
何事か分からないような言葉を叫びながら
引き金を引く

パシュッパシュッ

と軽い音とは裏腹に鉛状の玉が
発射される

一発が魔女の頬をかすめ
もう一発が肩に直撃する

 『あ、あ、当たった?』

須磨がハッとして自我を取り戻す
打った手を見て傷つく魔女をみて
また自分の手を見て
そして当たった事を知り
顔が青ざめる

 『そうか死にたいんだね』

そう言った魔女の姿が変化していく

続きます
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる

フルーツパフェ
大衆娯楽
 転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。  一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。  そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!  寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。 ――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです  そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。  大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。  相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。      

《勘違い》で婚約破棄された令嬢は失意のうちに自殺しました。

友坂 悠
ファンタジー
「婚約を考え直そう」 貴族院の卒業パーティーの会場で、婚約者フリードよりそう告げられたエルザ。 「それは、婚約を破棄されるとそういうことなのでしょうか?」 耳を疑いそう聞き返すも、 「君も、その方が良いのだろう?」 苦虫を噛み潰すように、そう吐き出すフリードに。 全てに絶望し、失意のうちに自死を選ぶエルザ。 絶景と評判の観光地でありながら、自殺の名所としても知られる断崖絶壁から飛び降りた彼女。 だったのですが。

“元“悪役令嬢は二度目の人生で無双します(“元“悪役令嬢は自由な生活を夢見てます)

翡翠由
ファンタジー
ある公爵令嬢は処刑台にかけられていた。 悪役令嬢と、周囲から呼ばれていた彼女の死を悲しむものは誰もいなく、ついには愛していた殿下にも裏切られる。 そして目が覚めると、なぜか前世の私(赤ん坊)に戻ってしまっていた……。 「また、処刑台送りは嫌だ!」 自由な生活を手に入れたい私は、処刑されかけても逃げ延びれるように三歳から自主トレを始めるのだが……。

モブなので恋愛よりドラゴン育成したいです ~どハマりしたゲームの世界に転生したけど、モブに恋愛はムリなので赤ちゃん白竜を育ててみる~

メソポ・たみあ
ファンタジー
恋愛RPG【ダンジョンズ・プリンセス】。 通称"ダンプリ"。 恋愛要素の他に、戦闘、ハクスラ等々――様々なやり込み要素を持つ大人気ゲームだ。 このゲームの"モンスター育成"は、かなり中毒性があると評判だった。 お気に入りのモンスターを育てて愛でるもよし、一緒に戦わせるもよし。 無限にやり込める仕様が多くの人を夢中にさせたのである。 俺はそんなダンプリの世界にモブとして転生してしまう。 ……だったらやることは1つしかないよね? ※カクヨム様にも投稿しております(タイトルに差異あり)  カクヨム異世界ファンタジー週間ランキング3位(4/6時点)  カクヨム総合週間ランキング4位(4/6時点)

3521回目の異世界転生 〜無双人生にも飽き飽きしてきたので目立たぬように生きていきます〜

I.G
ファンタジー
神様と名乗るおじいさんに転生させられること3521回。 レベル、ステータス、その他もろもろ 最強の力を身につけてきた服部隼人いう名の転生者がいた。 彼の役目は異世界の危機を救うこと。 異世界の危機を救っては、また別の異世界へと転生を繰り返す日々を送っていた。 彼はそんな人生で何よりも 人との別れの連続が辛かった。 だから彼は誰とも仲良くならないように、目立たない回復職で、ほそぼそと異世界を救おうと決意する。 しかし、彼は自分の強さを強すぎる が故に、隠しきることができない。 そしてまた、この異世界でも、 服部隼人の強さが人々にばれていく のだった。

ぽっちゃり無双 ~まんまる女子、『暴食』のチートスキルで最強&飯テロ異世界生活を満喫しちゃう!~

空戯K
ファンタジー
ごく普通のぽっちゃり女子高生、牧 心寧(まきころね)はチートスキルを与えられ、異世界で目を覚ました。 有するスキルは、『暴食の魔王』。 その能力は、“食べたカロリーを魔力に変換できる”というものだった。 強大なチートスキルだが、コロネはある裏技に気づいてしまう。 「これってつまり、適当に大魔法を撃つだけでカロリー帳消しで好きなもの食べ放題ってこと!?」 そう。 このチートスキルの真価は新たな『ゼロカロリー理論』であること! 毎日がチートデーと化したコロネは、気ままに無双しつつ各地の異世界グルメを堪能しまくる! さらに、食に溺れる生活を楽しんでいたコロネは、次第に自らの料理を提供したい思いが膨らんできて―― 「日本の激ウマ料理も、異世界のド級ファンタジー飯も両方食べまくってやるぞぉおおおおおおおお!!」 コロネを中心に異世界がグルメに染め上げられていく! ぽっちゃり×無双×グルメの異世界ファンタジー開幕! ※【第17回ファンタジー小説大賞】で『奨励賞』を受賞しました!!!

【完結】公爵家の末っ子娘は嘲笑う

たくみ
ファンタジー
 圧倒的な力を持つ公爵家に生まれたアリスには優秀を通り越して天才といわれる6人の兄と姉、ちやほやされる同い年の腹違いの姉がいた。  アリスは彼らと比べられ、蔑まれていた。しかし、彼女は公爵家にふさわしい美貌、頭脳、魔力を持っていた。  ではなぜ周囲は彼女を蔑むのか?                        それは彼女がそう振る舞っていたからに他ならない。そう…彼女は見る目のない人たちを陰で嘲笑うのが趣味だった。  自国の皇太子に婚約破棄され、隣国の王子に嫁ぐことになったアリス。王妃の息子たちは彼女を拒否した為、側室の息子に嫁ぐことになった。  このあつかいに笑みがこぼれるアリス。彼女の行動、趣味は国が変わろうと何も変わらない。  それにしても……なぜ人は見せかけの行動でこうも勘違いできるのだろう。 ※小説家になろうさんで投稿始めました

勇者パーティを追放された聖女ですが、やっと解放されてむしろ感謝します。なのにパーティの人たちが続々と私に助けを求めてくる件。

八木愛里
ファンタジー
聖女のロザリーは戦闘中でも回復魔法が使用できるが、勇者が見目麗しいソニアを新しい聖女として迎え入れた。ソニアからの入れ知恵で、勇者パーティから『役立たず』と侮辱されて、ついに追放されてしまう。 パーティの人間関係に疲れたロザリーは、ソロ冒険者になることを決意。 攻撃魔法の魔道具を求めて魔道具屋に行ったら、店主から才能を認められる。 ロザリーの実力を知らず愚かにも追放した勇者一行は、これまで攻略できたはずの中級のダンジョンでさえ失敗を繰り返し、仲間割れし破滅へ向かっていく。 一方ロザリーは上級の魔物討伐に成功したり、大魔法使いさまと協力して王女を襲ってきた魔獣を倒したり、国の英雄と呼ばれる存在になっていく。 これは真の実力者であるロザリーが、ソロ冒険者としての地位を確立していきながら、残念ながら追いかけてきた魔法使いや女剣士を「虫が良すぎるわ!」と追っ払い、入り浸っている魔道具屋の店主が実は憧れの大魔法使いさまだが、どうしても本人が気づかない話。 ※11話以降から勇者パーティの没落シーンがあります。 ※40話に鬱展開あり。苦手な方は読み飛ばし推奨します。 ※表紙はAIイラストを使用。

処理中です...